新型コロナワクチンの副反応は、女性のほうが強く出やすいといわれることもあります。
ワクチン接種後の副反応に、女性特有の傾向はあるのでしょうか。
他にも妊娠・授乳中のワクチン接種と副反応が出た場合の解熱鎮痛剤の選び方、使い方など、女性ならではの新型コロナワクチンの疑問について、新型コロナをはじめとした感染症に詳しい、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学分野教授で医師の森内浩幸先生にうかがいました。
(インタビューは2022年6月10日に行い、内容はその時の状況に基づいています。)
新型コロナワクチンの副反応は、女性のほうが強く出やすいといわれることもあります。
ワクチン接種後の副反応に、女性特有の傾向はあるのでしょうか。
他にも妊娠・授乳中のワクチン接種と副反応が出た場合の解熱鎮痛剤の選び方、使い方など、女性ならではの新型コロナワクチンの疑問について、新型コロナをはじめとした感染症に詳しい、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学分野教授で医師の森内浩幸先生にうかがいました。
(インタビューは2022年6月10日に行い、内容はその時の状況に基づいています。)
<監修>
<監修>
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学分野 教授
森内浩幸(もりうちひろゆき)先生
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 小児科学分野 教授
森内浩幸(もりうちひろゆき)先生
医学博士。1984年、長崎大学医学部卒業後、国立仙台病院臨床研究部レジデント、NIAID 研究員および NIH Clinical Center 臨床スタッフを経て、1999年、長崎大学医学部小児科学教室 主任教授。1996年、Young Investigator Award (American Society for Microbiology)受賞。2010年、厚生労働科学特別研究事業 「ヒトT細胞白血病ウイルス-1型母子感染予防のための保健指導の標準化に関する研究」研究代表者、厚生労働省HTLV-1対策連絡協議会委員、先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」顧問等を務める。日本小児科学会理事(予防接種・感染症対策委員会担当)、日本ワクチン学会理事などを歴任し、現在は日本ウイルス学会(理事)、日本臨床ウイルス学会(幹事)、日本小児感染症学会(理事長)他などを務める。
医学博士。1984年、長崎大学医学部卒業後、国立仙台病院臨床研究部レジデント、NIAID 研究員および NIH Clinical Center 臨床スタッフを経て、1999年、長崎大学医学部小児科学教室 主任教授。1996年、Young Investigator Award (American Society for Microbiology)受賞。2010年、厚生労働科学特別研究事業 「ヒトT細胞白血病ウイルス-1型母子感染予防のための保健指導の標準化に関する研究」研究代表者、厚生労働省HTLV-1対策連絡協議会委員、先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」顧問等を務める。日本小児科学会理事(予防接種・感染症対策委員会担当)、日本ワクチン学会理事などを歴任し、現在は日本ウイルス学会(理事)、日本臨床ウイルス学会(幹事)、日本小児感染症学会(理事長)他などを務める。
ワクチンを接種すると、体内では炎症反応と呼ばれる自然免疫の仕組みの1つが働き、副反応が生じます。新型コロナワクチンの副反応としては具体的に、接種部位の痛み、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢などが確認されています。
じつはこうした免疫の反応には男女差があることが分かっていて、女性のほうが強く出る傾向があります。副反応の強さから、新型コロナワクチンの接種を避けたいと感じる女性も少なくないでしょう。
とはいえ新型コロナワクチンそのものは有効性、安全性を検査した上で提供されているものですし、副反応の多くは接種の翌日をピークに、数日以内に回復していきます。また頭痛や発熱などの副反応の症状は、解熱鎮痛剤などを使って軽減させることもできます。必要以上に怖がり過ぎず、可能な人はぜひワクチンを接種するとよいでしょう。
何より女性はワクチンの予防効果も男性より強く出ます。メリットがとても大きいです。
ワクチンを接種すると、体内では炎症反応と呼ばれる自然免疫の仕組みの1つが働き、副反応が生じます。新型コロナワクチンの副反応としては具体的に、接種部位の痛み、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢などが確認されています。
じつはこうした免疫の反応には男女差があることが分かっていて、女性のほうが強く出る傾向があります。副反応の強さから、新型コロナワクチンの接種を避けたいと感じる女性も少なくないでしょう。
とはいえ新型コロナワクチンそのものは有効性、安全性を検査した上で提供されているものですし、副反応の多くは接種の翌日をピークに、数日以内に回復していきます。また頭痛や発熱などの副反応の症状は、解熱鎮痛剤などを使って軽減させることもできます。必要以上に怖がり過ぎず、可能な人はぜひワクチンを接種するとよいでしょう。
何より女性はワクチンの予防効果も男性より強く出ます。メリットがとても大きいです。
新型コロナワクチンの副反応は女性のほうが強く出ることが分かっていますが、女性は、月経によって体調の変化が起こりやすいため、ワクチン接種のタイミングも気になるところです。また、妊娠中や授乳中の場合には胎児や子どもへの影響を考え、そのような場合にワクチンを接種してもよいのかが気になるという人も少なくないでしょう。妊娠中、授乳中、生理中でのワクチン接種について、また、ワクチン接種によって不妊になるというウワサについてもうかがいました。
新型コロナワクチンの副反応は女性のほうが強く出ることが分かっていますが、女性は、月経によって体調の変化が起こりやすいため、ワクチン接種のタイミングも気になるところです。また、妊娠中や授乳中の場合には胎児や子どもへの影響を考え、そのような場合にワクチンを接種してもよいのかが気になるという人も少なくないでしょう。妊娠中、授乳中、生理中でのワクチン接種について、また、ワクチン接種によって不妊になるというウワサについてもうかがいました。
まず妊婦さんについてですが、妊娠中の女性の副反応が、同じ年齢の女性の副反応と比べて強く起こることは確認されていません。むしろ新型コロナワクチンは研究が進んだ結果、お腹の赤ちゃんへの影響もなく、妊婦さんに対しても非常に安心して使えるものであることが分かっています。加えて、妊娠中に新型コロナワクチンを接種すると、妊婦さんのお腹にいる赤ちゃんも、すでに新型コロナに対する抗体をもった状態で生まれてきます。それが大きなメリットです。妊娠中に新型コロナワクチンを接種することは、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても、プラスになることが多いといえます。
授乳中の場合も、新型コロナワクチンを接種することは全く問題ありません。新型コロナワクチンに対する抗体は母乳の中にも含まれることが分かっているので、母乳からも赤ちゃんに抗体をあげられます。しかも母乳に含まれる抗体は、口から赤ちゃんの体内に入るので、ウイルスが吸着しやすい鼻や喉の粘膜あたりで、新型コロナウイルスをブロックできるような力をもっています。現在妊娠中で、まだワクチン接種をしていない方は、今のうちに接種しておけば、胎盤と母乳の両方を通じて、赤ちゃんを新型コロナウイルスから守ることができます。
まず妊婦さんについてですが、妊娠中の女性の副反応が、同じ年齢の女性の副反応と比べて強く起こることは確認されていません。むしろ新型コロナワクチンは研究が進んだ結果、お腹の赤ちゃんへの影響もなく、妊婦さんに対しても非常に安心して使えるものであることが分かっています。加えて、妊娠中に新型コロナワクチンを接種すると、妊婦さんのお腹にいる赤ちゃんも、すでに新型コロナに対する抗体をもった状態で生まれてきます。それが大きなメリットです。妊娠中に新型コロナワクチンを接種することは、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても、プラスになることが多いといえます。
授乳中の場合も、新型コロナワクチンを接種することは全く問題ありません。新型コロナワクチンに対する抗体は母乳の中にも含まれることが分かっているので、母乳からも赤ちゃんに抗体をあげられます。しかも母乳に含まれる抗体は、口から赤ちゃんの体内に入るので、ウイルスが吸着しやすい鼻や喉の粘膜あたりで、新型コロナウイルスをブロックできるような力をもっています。現在妊娠中で、まだワクチン接種をしていない方は、今のうちに接種しておけば、胎盤と母乳の両方を通じて、赤ちゃんを新型コロナウイルスから守ることができます。
生理中は体調がすぐれないという人も多く、ワクチン接種は避けたいと思うこともあるでしょう。基本的には生理中、ワクチン接種を避けるべきとはいわれていません。ただし生理中の体調には個人差があります。生理痛が強いなど、普段から体調を崩しやすい方がそのタイミングでワクチン接種をすると、生理による体調不良にワクチンの副反応が重なり、体調不良の上乗せになってしまう可能性があります。生理周期がだいたい一定で、生理日の予測が立てられる人の場合は、生理のタイミングをできるだけ避けて、新型コロナワクチン接種をしたほうがよいでしょう。
生理中は体調がすぐれないという人も多く、ワクチン接種は避けたいと思うこともあるでしょう。基本的には生理中、ワクチン接種を避けるべきとはいわれていません。ただし生理中の体調には個人差があります。生理痛が強いなど、普段から体調を崩しやすい方がそのタイミングでワクチン接種をすると、生理による体調不良にワクチンの副反応が重なり、体調不良の上乗せになってしまう可能性があります。生理周期がだいたい一定で、生理日の予測が立てられる人の場合は、生理のタイミングをできるだけ避けて、新型コロナワクチン接種をしたほうがよいでしょう。
新型コロナワクチンには、不妊との関係がささやかれることがありました。新型コロナワクチンと不妊に関する研究や観察はこれまでずっと行われていますが、関係があることを支持するようなデータは見つかっていません。なので、不妊を気にして新型コロナのワクチン接種を避ける必要はないでしょう。むしろワクチンによって新型コロナの重症化を防げるメリットのほうが大きいと考えられます。
なお、男性に関して言えば、ワクチンを接種せずに新型コロナにかかった場合、精子の数、そして精子の運動能力が下がってしまうため、男性不妊になりやすいことが分かっています。ワクチン接種をしている男性には、そのような変化は今のところ見られていません。男性不妊の場合も、不妊治療を行う時の通院や治療の負担は、女性に大きくかかってきます。妊娠を考えている場合は、男女ともに新型コロナのワクチンを接種しておいたほうがよいでしょう。
新型コロナワクチンには、不妊との関係がささやかれることがありました。新型コロナワクチンと不妊に関する研究や観察はこれまでずっと行われていますが、関係があることを支持するようなデータは見つかっていません。なので、不妊を気にして新型コロナのワクチン接種を避ける必要はないでしょう。むしろワクチンによって新型コロナの重症化を防げるメリットのほうが大きいと考えられます。
なお、男性に関して言えば、ワクチンを接種せずに新型コロナにかかった場合、精子の数、そして精子の運動能力が下がってしまうため、男性不妊になりやすいことが分かっています。ワクチン接種をしている男性には、そのような変化は今のところ見られていません。男性不妊の場合も、不妊治療を行う時の通院や治療の負担は、女性に大きくかかってきます。妊娠を考えている場合は、男女ともに新型コロナのワクチンを接種しておいたほうがよいでしょう。
妊娠中に新型コロナワクチンを接種し、その副反応を抑えたい場合、アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤を使うことを強くおすすめします。アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤は、それ以外のイブプロフェンやロキソプロフェンといった成分を含む解熱鎮痛剤に比べて、胎児への影響が少ないという特徴があります。
イブプロフェンやロキソプロフェンには、特に妊娠後期の胎児に対し、動脈管という大きな血管のバイパスをする管を閉じさせる働きがあります。動脈管は、生まれた後には閉じているべきものですが、お腹の中にいる時には開いていることが重要です。しかし、イブプロフェンやロキソプロフェンの解熱鎮痛剤を使うと、含まれる成分が作用して動脈管が閉じてしまい、お腹の赤ちゃんの心臓に大きな負担をかけてしまうことがあります。一度のんだからといってすぐに影響が生じるものではないものの、のむ回数が多かったり、量が多かったりすると起こる可能性が高まるので、妊娠中にはそれらを避け、アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤を使いましょう。処方箋なしで、薬局で購入できる市販薬で構いませんが、心配であれば、妊婦健診でかかっている産科の医師に相談するのがよいでしょう。
妊娠中に新型コロナワクチンを接種し、その副反応を抑えたい場合、アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤を使うことを強くおすすめします。アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤は、それ以外のイブプロフェンやロキソプロフェンといった成分を含む解熱鎮痛剤に比べて、胎児への影響が少ないという特徴があります。
イブプロフェンやロキソプロフェンには、特に妊娠後期の胎児に対し、動脈管という大きな血管のバイパスをする管を閉じさせる働きがあります。動脈管は、生まれた後には閉じているべきものですが、お腹の中にいる時には開いていることが重要です。しかし、イブプロフェンやロキソプロフェンの解熱鎮痛剤を使うと、含まれる成分が作用して動脈管が閉じてしまい、お腹の赤ちゃんの心臓に大きな負担をかけてしまうことがあります。一度のんだからといってすぐに影響が生じるものではないものの、のむ回数が多かったり、量が多かったりすると起こる可能性が高まるので、妊娠中にはそれらを避け、アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤を使いましょう。処方箋なしで、薬局で購入できる市販薬で構いませんが、心配であれば、妊婦健診でかかっている産科の医師に相談するのがよいでしょう。
胎児の時に開いている動脈管は、赤ちゃんが生まれて自分で呼吸し始めると自然に閉じるようにできています。授乳中はすでに動脈管が閉じているため、妊娠中ほどイブプロフェンやロキソプロフェンの影響は考えにくいものの、かかりつけ医・薬剤師に相談するようにしましょう。アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤があればベターです。
なお、のむタイミングとしては、頭痛や発熱などの症状が出始めてから服用しましょう。副反応の症状が出ていないうちに、予防的に服用することは避けてください。上手に解熱鎮痛剤を使って、ワクチンの副反応とも上手に付き合っていきましょう。
胎児の時に開いている動脈管は、赤ちゃんが生まれて自分で呼吸し始めると自然に閉じるようにできています。授乳中はすでに動脈管が閉じているため、妊娠中ほどイブプロフェンやロキソプロフェンの影響は考えにくいものの、かかりつけ医・薬剤師に相談するようにしましょう。アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤があればベターです。
なお、のむタイミングとしては、頭痛や発熱などの症状が出始めてから服用しましょう。副反応の症状が出ていないうちに、予防的に服用することは避けてください。上手に解熱鎮痛剤を使って、ワクチンの副反応とも上手に付き合っていきましょう。