頭痛が起きたら市販薬で対処するという人は多いのではないでしょうか?慢性的に頭痛が起きやすい「頭痛もち」の人が市販の頭痛薬を選ぶ際のポイントや、市販薬が効くメカニズム、よく使用される成分について解説します。
頭痛が起きたら市販薬で対処するという人は多いのではないでしょうか?慢性的に頭痛が起きやすい「頭痛もち」の人が市販の頭痛薬を選ぶ際のポイントや、市販薬が効くメカニズム、よく使用される成分について解説します。
市販の頭痛薬はどのように痛みに働きかけているのでしょうか? まずは頭痛が起こるプロセスから見ていきましょう。
<頭痛が起こるプロセス>
①炎症などによって痛みのもととなる物質「プロスタグランジン」がつくられる(末梢:まっしょう)
②その情報が大脳に伝えられる(中枢)
③大脳が痛みを感知する
市販の頭痛薬に含まれる鎮痛成分は、このプロセスのいずれかに作用します。例えば、①のプロセスで、痛みのもとの物質であるプロスタグランジンがつくられないようにしたり、②のプロセスで痛みの情報が大脳に伝わるのをブロックしたりして、痛みを緩和します。その他、頭痛に伴うイライラや緊張を鎮める鎮静成分などを組み合わせ、鎮痛効果を高めています。
市販の頭痛薬はどのように痛みに働きかけているのでしょうか? まずは頭痛が起こるプロセスから見ていきましょう。
<頭痛が起こるプロセス>
①炎症などによって痛みのもととなる物質「プロスタグランジン」がつくられる(末梢:まっしょう)
②その情報が大脳に伝えられる(中枢)
③大脳が痛みを感知する
市販の頭痛薬に含まれる鎮痛成分は、このプロセスのいずれかに作用します。例えば、①のプロセスで、痛みのもとの物質であるプロスタグランジンがつくられないようにしたり、②のプロセスで痛みの情報が大脳に伝わるのをブロックしたりして、痛みを緩和します。その他、頭痛に伴うイライラや緊張を鎮める鎮静成分などを組み合わせ、鎮痛効果を高めています。
では、市販の頭痛薬で使用される主な成分と、その特徴を見てみましょう。
<痛みのもとを抑える成分>
●アスピリン…痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑える働きがあります。副作用で胃を荒らしやすく、小児の使用はすすめられません。
●イブプロフェン…痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑える働きがあります。強い抗炎症作用をもち、炎症のある痛みにも向いています。
●ロキソプロフェン…痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑える働きがあります。鎮痛作用が強く、胃腸障害は比較的起こりにくい成分です。
<痛みの伝わりを抑える成分>
●アセトアミノフェン…脳の中枢に働きかけて、痛みの情報の大脳への伝達を抑える働きがあります。効き目は穏やかで安全性が高く、小児の解熱鎮痛剤の主流になっています。
●エテンザミド…脳の中枢に働きかけて、痛みの情報の大脳への伝達を抑える働きがあります。痛覚過敏を抑制する作用があり、胃にも優しい成分です。
このように、“痛みのもと”を抑える成分と、“痛みの伝わり”を抑える成分があり、それぞれに作用しています。
では、市販の頭痛薬で使用される主な成分と、その特徴を見てみましょう。
<痛みのもとを抑える成分>
●アスピリン…痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑える働きがあります。副作用で胃を荒らしやすく、小児の使用はすすめられません。
●イブプロフェン…痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑える働きがあります。強い抗炎症作用をもち、炎症のある痛みにも向いています。
●ロキソプロフェン…痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑える働きがあります。鎮痛作用が強く、胃腸障害は比較的起こりにくい成分です。
<痛みの伝わりを抑える成分>
●アセトアミノフェン…脳の中枢に働きかけて、痛みの情報の大脳への伝達を抑える働きがあります。効き目は穏やかで安全性が高く、小児の解熱鎮痛剤の主流になっています。
●エテンザミド…脳の中枢に働きかけて、痛みの情報の大脳への伝達を抑える働きがあります。痛覚過敏を抑制する作用があり、胃にも優しい成分です。
このように、“痛みのもと”を抑える成分と、“痛みの伝わり”を抑える成分があり、それぞれに作用しています。
慢性頭痛の代表格である片頭痛は、脳の血管が急激に拡張して、血管の周囲を取り巻いている三叉(さんさ)神経を刺激し、この情報が大脳に伝えられることで、脳が興奮状態となって痛みが生じます。片頭痛になりやすい人は痛覚過敏(痛みを大脳に伝える神経が敏感な状態)で、少しの刺激でも脳が興奮して痛みが起こりやすくなっているのです。
頭痛薬によって表面的な痛みはケアしたものの、水面下にある脳の興奮状態を抑えずに放置していると、脳はちょっとした刺激で興奮するクセがついてしまいます。すると、小さな刺激でも頭痛が起きたり、めまい、耳鳴り、不眠やイライラなど様々な不調を招く「脳過敏症候群」に進展してしまいます。
そのため、こうした痛覚過敏による頭痛では、エテンザミドを配合した頭痛薬を選ぶのも一案です。近年の新たな研究では、エテンザミドが痛みの伝わりを抑えることで、鎮痛効果を高める可能性があるだけでなく、痛覚過敏を抑制すると報告されています。大脳への刺激をブロックし、脳の異常な興奮を抑える働きも期待できるのです。
市販の頭痛薬成分の多くは、痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑えることで解熱鎮痛作用を発揮しています。エテンザミドは「痛みの情報が大脳に伝わるのをブロックする」という、他の成分にはないアプローチによって解熱鎮痛作用を発揮しているのが特徴です。
慢性頭痛の代表格である片頭痛は、脳の血管が急激に拡張して、血管の周囲を取り巻いている三叉(さんさ)神経を刺激し、この情報が大脳に伝えられることで、脳が興奮状態となって痛みが生じます。片頭痛になりやすい人は痛覚過敏(痛みを大脳に伝える神経が敏感な状態)で、少しの刺激でも脳が興奮して痛みが起こりやすくなっているのです。
頭痛薬によって表面的な痛みはケアしたものの、水面下にある脳の興奮状態を抑えずに放置していると、脳はちょっとした刺激で興奮するクセがついてしまいます。すると、小さな刺激でも頭痛が起きたり、めまい、耳鳴り、不眠やイライラなど様々な不調を招く「脳過敏症候群」に進展してしまいます。
そのため、こうした痛覚過敏による頭痛では、エテンザミドを配合した頭痛薬を選ぶのも一案です。近年の新たな研究では、エテンザミドが痛みの伝わりを抑えることで、鎮痛効果を高める可能性があるだけでなく、痛覚過敏を抑制すると報告されています。大脳への刺激をブロックし、脳の異常な興奮を抑える働きも期待できるのです。
市販の頭痛薬成分の多くは、痛みのもととなるプロスタグランジンの生成を抑えることで解熱鎮痛作用を発揮しています。エテンザミドは「痛みの情報が大脳に伝わるのをブロックする」という、他の成分にはないアプローチによって解熱鎮痛作用を発揮しているのが特徴です。
また、エテンザミドのもう1つの特徴として、「胃を荒らしにくい」ことが挙げられます。
エテンザミドと物質の形状が似ている成分にアスピリンがありますが、こちらは痛みのもとをブロックする際に、胃に酸を残すため胃粘膜を傷めてしまいます。というのも、痛みのもとであるプロスタグランジンは悪い側面ばかりではないのです。プロスタグランジンには胃腸の血流を促したり、粘膜を保護したりする作用があります。そのため、痛みのもとを抑えると、副作用として胃腸障害が現れやすくなってしまうのです。一般には解熱鎮痛作用をもつ成分の多くはアスピリンのように胃粘膜を傷めてしまいやすいという特徴があります。
しかし、エテンザミドはプロスタグランジンに作用しないため、痛みのもとをブロックする成分と一緒に摂取すると、胃粘膜障害を軽減する働きが報告されています。特に片頭痛に関しては吐き気などの胃腸症状を伴っていることが多いため、エテンザミドのように胃粘膜に穏やかな成分を選ぶのがよいでしょう。
また、エテンザミドのもう1つの特徴として、「胃を荒らしにくい」ことが挙げられます。
エテンザミドと物質の形状が似ている成分にアスピリンがありますが、こちらは痛みのもとをブロックする際に、胃に酸を残すため胃粘膜を傷めてしまいます。というのも、痛みのもとであるプロスタグランジンは悪い側面ばかりではないのです。プロスタグランジンには胃腸の血流を促したり、粘膜を保護したりする作用があります。そのため、痛みのもとを抑えると、副作用として胃腸障害が現れやすくなってしまうのです。一般には解熱鎮痛作用をもつ成分の多くはアスピリンのように胃粘膜を傷めてしまいやすいという特徴があります。
しかし、エテンザミドはプロスタグランジンに作用しないため、痛みのもとをブロックする成分と一緒に摂取すると、胃粘膜障害を軽減する働きが報告されています。特に片頭痛に関しては吐き気などの胃腸症状を伴っていることが多いため、エテンザミドのように胃粘膜に穏やかな成分を選ぶのがよいでしょう。
市販の頭痛薬は上手に利用することでつらい症状を緩和し、生活の質を高めることができます。胃を荒らさないよう空腹時を避けて、十分な量の水でのみましょう。また、薬はアルコールと同時にのむと作用が強く現れたりして危険なことがあるので、服用時にはお酒を控えること。頭痛薬にはカフェインが含まれていることが多いので、過剰摂取を避けるために、服用の前後はコーヒーや紅茶の飲み過ぎにも注意しましょう。
服用するタイミングも重要です。一般に早めにのんだほうがよく効くので、頭痛を感じた時点で服用するのがポイント。ただし片頭痛は、痛みを感じてからのむのでは遅いことも…。吐き気などの胃腸症状を伴っていることが多く、薬の有効成分の吸収が妨げられてしまうというのが1つの理由です。片頭痛に関しては、次のような頭痛の予兆を感じたらすぐにのむようにしましょう。
<片頭痛の予兆の一例>
・生あくびが出る
・ひどい肩こり
・異常なほどの空腹感
・軽い吐き気
・体のむくみを感じる
・目の前がチカチカ光る
また、「市販の頭痛薬は効果が弱いから安全だろう…」と考え、自己流で服用している人も見られますが、それは誤った考え方です。必ず用法・用量を守ることが大切であり、守らずに過剰摂取をしていると、薬物の使用過多による「薬物乱用頭痛」を招く恐れもあります。
月に10回以上市販薬をのんでいるという人、用法・用量通りでは効果が得られなくなってきたという人は、頭痛外来など頭痛に詳しい専門医がいる医療機関の受診を。市販薬へのリテラシーを高め、つらい頭痛を賢くケアしましょう。
市販の頭痛薬は上手に利用することでつらい症状を緩和し、生活の質を高めることができます。胃を荒らさないよう空腹時を避けて、十分な量の水でのみましょう。また、薬はアルコールと同時にのむと作用が強く現れたりして危険なことがあるので、服用時にはお酒を控えること。頭痛薬にはカフェインが含まれていることが多いので、過剰摂取を避けるために、服用の前後はコーヒーや紅茶の飲み過ぎにも注意しましょう。
服用するタイミングも重要です。一般に早めにのんだほうがよく効くので、頭痛を感じた時点で服用するのがポイント。ただし片頭痛は、痛みを感じてからのむのでは遅いことも…。吐き気などの胃腸症状を伴っていることが多く、薬の有効成分の吸収が妨げられてしまうというのが1つの理由です。片頭痛に関しては、次のような頭痛の予兆を感じたらすぐにのむようにしましょう。
<片頭痛の予兆の一例>
・生あくびが出る
・ひどい肩こり
・異常なほどの空腹感
・軽い吐き気
・体のむくみを感じる
・目の前がチカチカ光る
また、「市販の頭痛薬は効果が弱いから安全だろう…」と考え、自己流で服用している人も見られますが、それは誤った考え方です。必ず用法・用量を守ることが大切であり、守らずに過剰摂取をしていると、薬物の使用過多による「薬物乱用頭痛」を招く恐れもあります。
月に10回以上市販薬をのんでいるという人、用法・用量通りでは効果が得られなくなってきたという人は、頭痛外来など頭痛に詳しい専門医がいる医療機関の受診を。市販薬へのリテラシーを高め、つらい頭痛を賢くケアしましょう。