「頭痛もち体質」って? PMS・生理の時に頭痛が起きる人もそうなの?

「頭痛もち体質」って? PMS・生理の時に頭痛が起きる人もそうなの?


生理周期とリンクして頭痛が起こる人は、「頭痛もち」の可能性が高い 生理周期とリンクして頭痛が起こる人は、「頭痛もち」の可能性が高い

生理周期とリンクして頭痛が起こる人は、「頭痛もち」の可能性が高いということをご存じですか? 生理前や生理中に起こる頭痛は、“PMS(月経前症候群や生理痛の一種)”だと捉えられがちです。しかし慢性頭痛の1つである片頭痛は、生理周期と密接なかかわりがあり、生理周期に合わせて毎回頭痛が起こる場合、実は元々“頭痛もち”の体質であると考えられるのです。

「毎月、生理が終わればよくなるから…」と思わずに、慢性的な頭痛そのものに対して、適切なケアを行うようにしましょう。女性に片頭痛が起こりやすい理由や、生理時の片頭痛の賢い対処法を紹介します。

生理周期とリンクして頭痛が起こる人は、「頭痛もち」の可能性が高いということをご存じですか? 生理前や生理中に起こる頭痛は、“PMS(月経前症候群や生理痛の一種)”だと捉えられがちです。しかし慢性頭痛の1つである片頭痛は、生理周期と密接なかかわりがあり、生理周期に合わせて毎回頭痛が起こる場合、実は元々“頭痛もち”の体質であると考えられるのです。

「毎月、生理が終わればよくなるから…」と思わずに、慢性的な頭痛そのものに対して、適切なケアを行うようにしましょう。女性に片頭痛が起こりやすい理由や、生理時の片頭痛の賢い対処法を紹介します。

<監修>

<監修>

東京女子医科大学 脳神経外科 頭痛外来 客員教授 清水俊彦(しみず としひこ)先生 東京女子医科大学 脳神経外科 頭痛外来 客員教授 清水俊彦(しみず としひこ)先生

東京女子医科大学 脳神経外科 頭痛外来 客員教授
清水俊彦(しみず としひこ)先生

東京女子医科大学 脳神経外科 頭痛外来 客員教授
清水俊彦(しみず としひこ)先生

医学博士。1958年生まれ。86年日本医科大学卒業。92年東京女子医科大学大学院修了。95年米国National Headache Foundation認定医。東京女子医科大学脳神経センターや獨協医科大学病院脳神経内科の他、汐留シティセンターセントラルクリニックなどで頭痛外来を担当。著書多数。近著に、『マンガでわかる 頭痛・めまい・耳鳴りの治し方』(新紀元社)、『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)。

医学博士。1958年生まれ。86年日本医科大学卒業。92年東京女子医科大学大学院修了。95年米国National Headache Foundation認定医。東京女子医科大学脳神経センターや獨協医科大学病院脳神経内科の他、汐留シティセンターセントラルクリニックなどで頭痛外来を担当。著書多数。近著に、『マンガでわかる 頭痛・めまい・耳鳴りの治し方』(新紀元社)、『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)。

女性にいちばん多い慢性頭痛「片頭痛」は、生理周期と密接に関係

女性にいちばん多い慢性頭痛「片頭痛」は、生理周期と密接に関係


慢性頭痛の代表格である片頭痛。日本では、約840万人の成人が片頭痛に悩まされているといわれています。4対1の割合で女性に圧倒的に多く、発症は20代から40代に集中。これは片頭痛が女性ホルモンであるエストロゲンの変動の影響を受けやすいためです。そのため生理に関連して片頭痛が起こるケースが少なくありません。

慢性頭痛の代表格である片頭痛。日本では、約840万人の成人が片頭痛に悩まされているといわれています。4対1の割合で女性に圧倒的に多く、発症は20代から40代に集中。これは片頭痛が女性ホルモンであるエストロゲンの変動の影響を受けやすいためです。そのため生理に関連して片頭痛が起こるケースが少なくありません。

※ Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia 1997; 17(1):15-22.

※ Sakai F, Igarashi H. Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia 1997; 17(1):15-22.

「片頭痛」は、生理周期と密接に関係 「片頭痛」は、生理周期と密接に関係

特に多いのはエストロゲンの分泌量が低下する生理の2、3日前と排卵期で、生理中や生理直後に起こりやすい人もいます。女性ホルモンの分泌が安定する妊娠中は発症が減りますが、大半は出産後に再び発症します。エストロゲンの分泌が急減する更年期になると片頭痛は起こりにくくなりますが、緊張型頭痛のような重い感じの痛みに変わったり(慢性片頭痛)、めまい、耳鳴りや不眠などの不快症状が現れたりするケースがよく見られます。

特に多いのはエストロゲンの分泌量が低下する生理の2、3日前と排卵期で、生理中や生理直後に起こりやすい人もいます。女性ホルモンの分泌が安定する妊娠中は発症が減りますが、大半は出産後に再び発症します。エストロゲンの分泌が急減する更年期になると片頭痛は起こりにくくなりますが、緊張型頭痛のような重い感じの痛みに変わったり(慢性片頭痛)、めまい、耳鳴りや不眠などの不快症状が現れたりするケースがよく見られます。

毎月の生理に合わせて頭痛が起きる人は、痛覚過敏?

毎月の生理に合わせて頭痛が起きる人は、痛覚過敏?


毎月の生理に合わせて頭痛が起きる人は、痛覚過敏? 毎月の生理に合わせて頭痛が起きる人は、痛覚過敏?

片頭痛は、脳の血管が急激に拡張して、血管を取り巻いている三叉(さんさ)神経(頭部の感覚を脳に伝える知覚神経の1つ)が刺激されることで放出される“痛み物質”により痛みの情報が大脳に伝えられ、痛みとして表現されることで起こります。片頭痛になりやすい人は、痛覚過敏(痛み物質を大脳に伝える神経が敏感な状態)なため、脳が興奮しやすく、少しの刺激でも痛みが起こりやすいといえるのです。

生理周期に合わせて頭痛が起きやすい“頭痛もち体質”の人は、生理前や排卵期以外にも気温や気圧の変化、光、音、においなど、普通の人なら気づかないような微妙な変化の影響を受け、頭痛を起こしやすいため、生活の工夫で変化を減らすことが大切です。

また、片頭痛の発症が生理とリンクしているかどうか、自分のパターンを把握するために、生理周期と片頭痛が起きたタイミングを一緒に記録してみるとよいでしょう。起こりやすいタイミングが分かれば、ある程度は片頭痛が予測でき、起こりやすそうな日には大事な予定を入れないなどの対策をとることができます。片頭痛が起こりそうな日は、明るさを抑えた室内で静かに落ち着いて過ごすよう心がけてください。

片頭痛は、脳の血管が急激に拡張して、血管を取り巻いている三叉(さんさ)神経(頭部の感覚を脳に伝える知覚神経の1つ)が刺激されることで放出される“痛み物質”により痛みの情報が大脳に伝えられ、痛みとして表現されることで起こります。片頭痛になりやすい人は、痛覚過敏(痛み物質を大脳に伝える神経が敏感な状態)なため、脳が興奮しやすく、少しの刺激でも痛みが起こりやすいといえるのです。

生理周期に合わせて頭痛が起きやすい“頭痛もち体質”の人は、生理前や排卵期以外にも気温や気圧の変化、光、音、においなど、普通の人なら気づかないような微妙な変化の影響を受け、頭痛を起こしやすいため、生活の工夫で変化を減らすことが大切です。

また、片頭痛の発症が生理とリンクしているかどうか、自分のパターンを把握するために、生理周期と片頭痛が起きたタイミングを一緒に記録してみるとよいでしょう。起こりやすいタイミングが分かれば、ある程度は片頭痛が予測でき、起こりやすそうな日には大事な予定を入れないなどの対策をとることができます。片頭痛が起こりそうな日は、明るさを抑えた室内で静かに落ち着いて過ごすよう心がけてください。

働き盛りの女性ほど「頭痛もち」が多い理由とは?

働き盛りの女性ほど「頭痛もち」が多い理由とは?


働き盛りの女性ほど「頭痛もち」が多い 働き盛りの女性ほど「頭痛もち」が多い

頭痛が起こりやすいのは、男女共に30代から40代の働き盛りの世代に多い傾向があります。そして、その世代においても女性のほうが圧倒的に頭痛に悩む人が多くなっています。1つには先に述べた女性ホルモンの影響もありますが、女性の30代から40代は仕事だけでなく育児や家事にと、最も忙しい年代。身体的・精神的なストレスによって頭痛が起こりやすくなっているともいえるでしょう。

つい頑張り過ぎてしまう女性に知っていただきたいのが、慢性的な頭痛は、れっきとした病気だということ。放置をすれば頭痛体質が進行し、小さな環境の変化でも頭痛が起きたり、めまい、耳鳴り、不眠やイライラなど様々な不調を招いたりする「脳過敏症候群」に陥るリスクが高まります。頭痛は自身の体調を知らせるサインと考え、我慢や放置をせず、適切なケアを行うようにしましょう。

頭痛が起こりやすいのは、男女共に30代から40代の働き盛りの世代に多い傾向があります。そして、その世代においても女性のほうが圧倒的に頭痛に悩む人が多くなっています。1つには先に述べた女性ホルモンの影響もありますが、女性の30代から40代は仕事だけでなく育児や家事にと、最も忙しい年代。身体的・精神的なストレスによって頭痛が起こりやすくなっているともいえるでしょう。

つい頑張り過ぎてしまう女性に知っていただきたいのが、慢性的な頭痛は、れっきとした病気だということ。放置をすれば頭痛体質が進行し、小さな環境の変化でも頭痛が起きたり、めまい、耳鳴り、不眠やイライラなど様々な不調を招いたりする「脳過敏症候群」に陥るリスクが高まります。頭痛は自身の体調を知らせるサインと考え、我慢や放置をせず、適切なケアを行うようにしましょう。

こだわりが強い人は要注意! 「頭痛もち」になりやすい人には、こんな傾向が

こだわりが強い人は要注意! 「頭痛もち」になりやすい人には、こんな傾向が


片頭痛のいちばんの原因は、身体的・精神的なストレスです。1つのことに集中的にこだわり、気分転換が上手にできないタイプの人は、ストレスをため込みやすく、片頭痛を起こしやすい傾向にあります。

・几帳面で、完璧主義
・生活が不規則
・運動不足
・ストレス解消がうまくできない

このような性格や生活習慣があると、頭痛もちになりやすい傾向にあります。しかし、頭痛もちの人は、脳の働きが活発で頭の回転が速く、才能豊かな人が多いというポジティブで素敵な面もたくさんあります。このようなポジティブな面をいかしつつ、自分を追い詰めないような生活を心がけ、疲れ過ぎる前にリラックスする余裕をもつようにしましょう。

片頭痛のいちばんの原因は、身体的・精神的なストレスです。1つのことに集中的にこだわり、気分転換が上手にできないタイプの人は、ストレスをため込みやすく、片頭痛を起こしやすい傾向にあります。

・几帳面で、完璧主義
・生活が不規則
・運動不足
・ストレス解消がうまくできない

このような性格や生活習慣があると、頭痛もちになりやすい傾向にあります。しかし、頭痛もちの人は、脳の働きが活発で頭の回転が速く、才能豊かな人が多いというポジティブで素敵な面もたくさんあります。このようなポジティブな面をいかしつつ、自分を追い詰めないような生活を心がけ、疲れ過ぎる前にリラックスする余裕をもつようにしましょう。

※ 出典:清水俊彦著『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)

※ 出典:清水俊彦著『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)

また、食事や睡眠の時間が一定ではないなど、不規則な生活も片頭痛を誘発します。毎日の生活に適度な運動を取り入れたり、生活リズムを整えたりすることは、頭痛予防にとって大切なことです。

また、食事や睡眠の時間が一定ではないなど、不規則な生活も片頭痛を誘発します。毎日の生活に適度な運動を取り入れたり、生活リズムを整えたりすることは、頭痛予防にとって大切なことです。

空腹も片頭痛を誘因。血糖値を下げ過ぎない一工夫とは?

空腹も片頭痛を誘因。血糖値を下げ過ぎない一工夫とは?


空腹により起こる血糖値の低下は、片頭痛の誘因となります。 空腹により起こる血糖値の低下は、片頭痛の誘因となります。

「お腹がすくとイライラする」のも片頭痛の人によくあるパターンです。空腹により起こる血糖値の低下は、片頭痛の誘因となります。脳の血管は血糖値の影響を受け、血糖値が低下すると脳の血管が拡張。三叉神経を刺激して、片頭痛を起こしやすくなるのです。

特に生理前や生理中は食欲が増し、空腹感が強まる時期。血糖値の低下による片頭痛を防ぐには、キャンディーやドライフルーツなどを常備し、頭痛の予兆を感じたら口にするのがおすすめです。血糖値の変動を激しくする、ドカ食いや朝食抜きはNGです。

意外なことに、生理のある女性に多い貧血も片頭痛の誘因となります。貧血で赤血球が減少すると、脳に運ばれる酸素量が減って脳血管が拡張、血管周囲の三叉神経を刺激して片頭痛が起こりやすくなります。貧血や貧血気味の人は、鉄やタンパク質を効率よく摂取することができる、赤身の肉(ひれ肉、もも肉など)や魚(マグロ、カツオなど)を意識して摂るようにしましょう。

「お腹がすくとイライラする」のも片頭痛の人によくあるパターンです。空腹により起こる血糖値の低下は、片頭痛の誘因となります。脳の血管は血糖値の影響を受け、血糖値が低下すると脳の血管が拡張。三叉神経を刺激して、片頭痛を起こしやすくなるのです。

特に生理前や生理中は食欲が増し、空腹感が強まる時期。血糖値の低下による片頭痛を防ぐには、キャンディーやドライフルーツなどを常備し、頭痛の予兆を感じたら口にするのがおすすめです。血糖値の変動を激しくする、ドカ食いや朝食抜きはNGです。

意外なことに、生理のある女性に多い貧血も片頭痛の誘因となります。貧血で赤血球が減少すると、脳に運ばれる酸素量が減って脳血管が拡張、血管周囲の三叉神経を刺激して片頭痛が起こりやすくなります。貧血や貧血気味の人は、鉄やタンパク質を効率よく摂取することができる、赤身の肉(ひれ肉、もも肉など)や魚(マグロ、カツオなど)を意識して摂るようにしましょう。

つらい頭痛、どう対処したらいいの?

つらい頭痛、どう対処したらいいの?


生理周期に合わせて頭痛が起きる頭痛もちの方 生理周期に合わせて頭痛が起きる頭痛もちの方

「生理周期に合わせて頭痛が起きる頭痛もちの方で、以下のような片頭痛の特徴が見られる場合は、まずは頭痛の専門医がいる医療機関を受診して相談しましょう。

<片頭痛の特徴>
・発作時は寝込んでしまうほどの痛み
・体を動かすと痛みが悪化する
・吐き気や嘔吐(おうと)を伴う
・光や音、においに敏感になる

やむを得ず市販薬を使用する場合は、痛みのもとを抑えるだけでなく、大脳への痛みの伝達(伝わり)を防ぐ成分を配合している薬を選ぶのも一案です。

ただし、これまで市販薬をのんで対処していたけれど、用法・用量通りでは効かなくなってきたと感じる方や、痛み方が変わってきたという方は要注意です。頭痛が悪化している可能性もあるため、早めに頭痛専門医を受診するようにしましょう。

「生理周期に合わせて頭痛が起きる頭痛もちの方で、以下のような片頭痛の特徴が見られる場合は、まずは頭痛の専門医がいる医療機関を受診して相談しましょう。

<片頭痛の特徴>
・発作時は寝込んでしまうほどの痛み
・体を動かすと痛みが悪化する
・吐き気や嘔吐(おうと)を伴う
・光や音、においに敏感になる

やむを得ず市販薬を使用する場合は、痛みのもとを抑えるだけでなく、大脳への痛みの伝達(伝わり)を防ぐ成分を配合している薬を選ぶのも一案です。

ただし、これまで市販薬をのんで対処していたけれど、用法・用量通りでは効かなくなってきたと感じる方や、痛み方が変わってきたという方は要注意です。頭痛が悪化している可能性もあるため、早めに頭痛専門医を受診するようにしましょう。