筋疲労を緩和するプロテインやアミノ酸

筋疲労を緩和するプロテインやアミノ酸

筋疲労を緩和するプロテインやアミノ酸 筋疲労を緩和するプロテインやアミノ酸

筋疲労の定義は、「運動によって引き起こされる筋力または筋パワーを生み出す能力の低下」とされています。私たちの身体は大小約600もの筋肉により構成されており、日々の生活を元気に過ごす上で、重要な役割を担っています。今回は、筋疲労を緩和する栄養素やプロテイン、アミノ酸について紹介します。

<監修>
馬場朝美
中村学園大学栄養科学部栄養科学科を卒業。
その後,福岡市内公立小学校で栄養教諭,家庭教諭とて勤務。
児童の栄養管理,アレルギー対応,学校給食の献立作成・衛生管理,食育の推進,個別栄養指導に携わる。
退職後,ニューヨークに渡米。
ボランティア団体「Soup Kitchen」に所属し,低所得者やホームレス,貧困家庭に食事を提供する活動に参加。
管理栄養士としての知識や教員経験を生かし,現地のカウンセラーと共に,月に30〜40人の栄養カウンセリングに携わる。現在は,イギリス,University of London, Birkbeckの修士課程。健康及び臨床心理学専攻。

筋疲労の定義は、「運動によって引き起こされる筋力または筋パワーを生み出す能力の低下」とされています。私たちの身体は大小約600もの筋肉により構成されており、日々の生活を元気に過ごす上で、重要な役割を担っています。今回は、筋疲労を緩和する栄養素やプロテイン、アミノ酸について紹介します。

<監修>
馬場朝美
中村学園大学栄養科学部栄養科学科を卒業。
その後,福岡市内公立小学校で栄養教諭,家庭教諭とて勤務。
児童の栄養管理,アレルギー対応,学校給食の献立作成・衛生管理,食育の推進,個別栄養指導に携わる。
退職後,ニューヨークに渡米。
ボランティア団体「Soup Kitchen」に所属し,低所得者やホームレス,貧困家庭に食事を提供する活動に参加。
管理栄養士としての知識や教員経験を生かし,現地のカウンセラーと共に,月に30〜40人の栄養カウンセリングに携わる。現在は,イギリス,University of London, Birkbeckの修士課程。健康及び臨床心理学専攻。

筋肉の疲労はどのような仕組みで感じるのか

筋肉の疲労はどのような仕組みで感じるのか

運動などの身体活動による肉体的な疲労は、末梢性疲労と呼ばれ、激しい運動などを続けた後の筋肉痛・倦怠感・だるさなどの症状が代表的です。末梢性疲労の原因は、いまだ完全には解明されていません。これまでは、筋肉を収縮させるエネルギーを得るために、糖質が代謝・分解されてできる生成物である乳酸が疲労の原因物質と考えられていました。

しかし、最近では、乳酸が作られる過程で発生する水素イオンなどの作用で、筋肉のpHバランスが酸性に傾くことが疲労の原因の一つと考えられています。筋肉は酸性に弱く、運動時間が長くなったり、高負荷の運動を行ったりすると、筋肉を収縮するためのエネルギー源となる筋グリコーゲンが枯渇し、次第に筋肉を動かすためのエネルギーが不足し、運動が制限されるようになります。その一連の結果、疲れやだるさ、筋肉の張りとなってあらわれると考えられています。

運動などの身体活動による肉体的な疲労は、末梢性疲労と呼ばれ、激しい運動などを続けた後の筋肉痛・倦怠感・だるさなどの症状が代表的です。末梢性疲労の原因は、いまだ完全には解明されていません。これまでは、筋肉を収縮させるエネルギーを得るために、糖質が代謝・分解されてできる生成物である乳酸が疲労の原因物質と考えられていました。

しかし、最近では、乳酸が作られる過程で発生する水素イオンなどの作用で、筋肉のpHバランスが酸性に傾くことが疲労の原因の一つと考えられています。筋肉は酸性に弱く、運動時間が長くなったり、高負荷の運動を行ったりすると、筋肉を収縮するためのエネルギー源となる筋グリコーゲンが枯渇し、次第に筋肉を動かすためのエネルギーが不足し、運動が制限されるようになります。その一連の結果、疲れやだるさ、筋肉の張りとなってあらわれると考えられています。

筋肉・身体の疲労を緩和させる栄養素

筋肉・身体の疲労を緩和させる栄養素

疲労回復に効果的な栄養素として、ビタミンB群、たんぱく質、鉄が挙げられます。

・ビタミンB群 (豚肉、うなぎ、カツオ、小麦胚芽、大豆、貝類など)
エネルギーの代謝に重要な機能をもち、糖質の代謝を促進しエネルギーに変換するのを助けます。不足すると糖質の代謝がうまくいかず、乳酸が体内に蓄積されやすくなります。

・たんぱく質 (魚・肉類、大豆、卵、乳製品など)
身体を構成する大切な栄養素で、疲労した筋肉を修復し、免疫力向上させる免疫細胞を作る働きがあります。筋疲労の回復、緩和には欠かせない栄養素です。不足すると疲れやすくなり、スタミナ切れを引き起こします。

・鉄 (カツオ、マグロ、レバー、豚もも肉、あさり、牛乳、大豆、大豆製品、ひじきなど)
体内の酸素を各細胞に運ぶ役目があるため、不足すると運動能力が低下し、疲れやすくなります。特に女性に不足しやすいため、意識して定期的に摂ることが大切です。肉や魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄は、卵や乳製品・植物性食品に含まれる非ヘム鉄よりも吸収率が高いため、動物性食品をしっかり摂ることで鉄分を効率よく摂取できます。

これらの栄養素は運動機能を向上させる効果や筋肉細胞へのダメージを軽減させる可能性があることから、身体的な疲労感を緩和する可能性があります。疲労回復を促すためには、栄養素だけではなく、摂取のタイミングも重要になります。これらの栄養を激しい運動後できるだけ早く摂取するのが大切です。疲れた身体は放置しておくと筋肉の分解を開始してしまいます。それを防ぐためにも、使ったエネルギーをできるだけ早く補うことが重要になります。

疲労回復に効果的な栄養素として、ビタミンB群、たんぱく質、鉄が挙げられます。

・ビタミンB群 (豚肉、うなぎ、カツオ、小麦胚芽、大豆、貝類など)
エネルギーの代謝に重要な機能をもち、糖質の代謝を促進しエネルギーに変換するのを助けます。不足すると糖質の代謝がうまくいかず、乳酸が体内に蓄積されやすくなります。

・たんぱく質 (魚・肉類、大豆、卵、乳製品など)
身体を構成する大切な栄養素で、疲労した筋肉を修復し、免疫力向上させる免疫細胞を作る働きがあります。筋疲労の回復、緩和には欠かせない栄養素です。不足すると疲れやすくなり、スタミナ切れを引き起こします。

・鉄 (カツオ、マグロ、レバー、豚もも肉、あさり、牛乳、大豆、大豆製品、ひじきなど)
体内の酸素を各細胞に運ぶ役目があるため、不足すると運動能力が低下し、疲れやすくなります。特に女性に不足しやすいため、意識して定期的に摂ることが大切です。肉や魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄は、卵や乳製品・植物性食品に含まれる非ヘム鉄よりも吸収率が高いため、動物性食品をしっかり摂ることで鉄分を効率よく摂取できます。

これらの栄養素は運動機能を向上させる効果や筋肉細胞へのダメージを軽減させる可能性があることから、身体的な疲労感を緩和する可能性があります。疲労回復を促すためには、栄養素だけではなく、摂取のタイミングも重要になります。これらの栄養を激しい運動後できるだけ早く摂取するのが大切です。疲れた身体は放置しておくと筋肉の分解を開始してしまいます。それを防ぐためにも、使ったエネルギーをできるだけ早く補うことが重要になります。

疲労感の回復メカニズム

疲労感の回復メカニズム

疲労感の回復メカニズム 疲労感の回復メカニズム

良質な睡眠や適度な運動、栄養バランスの良い食事や生活リズムを整えることなどが、疲労回復に効果的であるとされています。十分な休息と回復の時間をもつことで、体内の破壊された筋肉は徐々に修復されます。また、壊れた筋組織に適切な栄養をバランスよく摂取することで疲労回復を促進します。

激しい運動をすればするほど、筋肉は破壊され多くのアミノ酸が消費されるので、その分アミノ酸を適宜補うことが大切です。意識的にアミノ酸を摂取することで、筋疲労を最小限に抑え、筋肉の修復を早く促すことにつながります。

良質な睡眠や適度な運動、栄養バランスの良い食事や生活リズムを整えることなどが、疲労回復に効果的であるとされています。十分な休息と回復の時間をもつことで、体内の破壊された筋肉は徐々に修復されます。また、壊れた筋組織に適切な栄養をバランスよく摂取することで疲労回復を促進します。

激しい運動をすればするほど、筋肉は破壊され多くのアミノ酸が消費されるので、その分アミノ酸を適宜補うことが大切です。意識的にアミノ酸を摂取することで、筋疲労を最小限に抑え、筋肉の修復を早く促すことにつながります。

疲労回復を促進できるアミノ酸やプロテイン

疲労回復を促進できるアミノ酸やプロテイン

筋肉・身体の疲労を緩和させる栄養素の一つであるたんぱく質は、特に重要です。今回は、たんぱく質の中でも疲労回復が期待されているアミノ酸やプロテインについて紹介します。

・BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)
BCAAは分岐鎖アミノ酸の略で、エネルギー源となり、筋肉の合成を促進します。BCAAが体内で足りなくなると、代わりに筋肉が分解されてエネルギー源に変換され、筋損傷や筋肉疲労につながることが知られています。そのため、BCAAを運動前後に摂ることは、筋肉痛や筋肉疲労の回復に有効です。また、運動中に壊れた筋組織の再生や筋肉の増進が期待されています。さらに、BCAAは必須アミノ酸であるため体内で作られない成分で、日頃からの補給が必要不可欠です。

・タウリン
含硫アミノ酸というアミノ酸の一種で、筋肉、心臓や肝臓などの臓器、脳、眼の網膜など体の各組織に高い濃度で含まれています。体内の中でも特に筋肉には、タウリン量の約70%が含まれています。タウリンの投与が筋肉の疲労となる老廃物の除去を助け、筋肉細胞へのダメージや酸化ストレスを軽減する効果があり、身体や細胞を正常な状態に戻そうとします。主に、牡蠣・しじみ・あさり・ホタテなどの貝類、たこ・いかなどの軟体動物に多く含まれます。

・ホエイプロテイン
牛乳を原料としたたんぱく質の一種です。母乳の成分に近く、筋肉の主成分となる必須アミノ酸やBCAAを含んでおり、筋トレ後の筋肉修復に効果的です。比較的に体内への吸収が速いのが特徴です。運動直後に摂取すると効果的です。

・カゼインプロテイン
ホエイプロテインと同様に、牛乳を原料とします。運動後の疲労回復に効果的なアミノ酸のグルタミンを含みます。体内への吸収は緩やかですが、腹持ちがいいのが特徴です。身体にゆっくりと継続的に蓄えることができるので、就寝前の摂取がおすすめです。

筋肉・身体の疲労を緩和させる栄養素の一つであるたんぱく質は、特に重要です。今回は、たんぱく質の中でも疲労回復が期待されているアミノ酸やプロテインについて紹介します。

・BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)
BCAAは分岐鎖アミノ酸の略で、エネルギー源となり、筋肉の合成を促進します。BCAAが体内で足りなくなると、代わりに筋肉が分解されてエネルギー源に変換され、筋損傷や筋肉疲労につながることが知られています。そのため、BCAAを運動前後に摂ることは、筋肉痛や筋肉疲労の回復に有効です。また、運動中に壊れた筋組織の再生や筋肉の増進が期待されています。さらに、BCAAは必須アミノ酸であるため体内で作られない成分で、日頃からの補給が必要不可欠です。

・タウリン
含硫アミノ酸というアミノ酸の一種で、筋肉、心臓や肝臓などの臓器、脳、眼の網膜など体の各組織に高い濃度で含まれています。体内の中でも特に筋肉には、タウリン量の約70%が含まれています。タウリンの投与が筋肉の疲労となる老廃物の除去を助け、筋肉細胞へのダメージや酸化ストレスを軽減する効果があり、身体や細胞を正常な状態に戻そうとします。主に、牡蠣・しじみ・あさり・ホタテなどの貝類、たこ・いかなどの軟体動物に多く含まれます。

・ホエイプロテイン
牛乳を原料としたたんぱく質の一種です。母乳の成分に近く、筋肉の主成分となる必須アミノ酸やBCAAを含んでおり、筋トレ後の筋肉修復に効果的です。比較的に体内への吸収が速いのが特徴です。運動直後に摂取すると効果的です。

・カゼインプロテイン
ホエイプロテインと同様に、牛乳を原料とします。運動後の疲労回復に効果的なアミノ酸のグルタミンを含みます。体内への吸収は緩やかですが、腹持ちがいいのが特徴です。身体にゆっくりと継続的に蓄えることができるので、就寝前の摂取がおすすめです。

まとめ

まとめ

筋疲労を緩和するアミノ酸やプロテインの摂取は、定期的に運動をしている人だけに限らず、疲労を感じる全ての人において大切です。十分な睡眠や適度な運動だけでなく、日頃の食事も見直してみてはいかがでしょうか。今回紹介した栄養素を正しいタイミングで意識的に摂取することで、疲労の緩和や回復につながるでしょう。

【参考文献】
1)日本疲労学会 抗疲労臨床評価ガイドライン
2)厚生労働省 e-ヘルスネット 健康用語辞典
3)Vøllestad, N. K., Sejersted, O. M., Bahr, R., Woods, J. J., & Bigland-Ritchie, B. (1988). Motor drive and metabolic responses during repeated submaximal contractions in humans. Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985), 64(4), 1421–1427. https://doi.org/10.1152/jappl.1988.64.4.1421

筋疲労を緩和するアミノ酸やプロテインの摂取は、定期的に運動をしている人だけに限らず、疲労を感じる全ての人において大切です。十分な睡眠や適度な運動だけでなく、日頃の食事も見直してみてはいかがでしょうか。今回紹介した栄養素を正しいタイミングで意識的に摂取することで、疲労の緩和や回復につながるでしょう。

【参考文献】
1)日本疲労学会 抗疲労臨床評価ガイドライン
2)厚生労働省 e-ヘルスネット 健康用語辞典
3)Vøllestad, N. K., Sejersted, O. M., Bahr, R., Woods, J. J., & Bigland-Ritchie, B. (1988). Motor drive and metabolic responses during repeated submaximal contractions in humans. Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985), 64(4), 1421–1427. https://doi.org/10.1152/jappl.1988.64.4.1421

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