クレアチンは、レジスタンス運動(無酸素運動)など高強度のトレーニング時に、エネルギーを素早く生み出すサポートをしてくれる成分です。近年では、プロアスリートはもちろんのこと、趣味でスポーツを楽しむ人たちの間でも、サプリメントなどで取り入れる愛好家が増えています。また、運動パフォーマンスの向上以外にも、筋肉量の増加や中高年の脳の機能改善など、様々な効果が期待されています。今回は、なぜクレアチンがそのような効果を生むのか、そのメカニズムや効果的な摂り方などについて、管理栄養士の小池ゆみえ先生にうかがいました。
クレアチンは、レジスタンス運動(無酸素運動)など高強度のトレーニング時に、エネルギーを素早く生み出すサポートをしてくれる成分です。近年では、プロアスリートはもちろんのこと、趣味でスポーツを楽しむ人たちの間でも、サプリメントなどで取り入れる愛好家が増えています。また、運動パフォーマンスの向上以外にも、筋肉量の増加や中高年の脳の機能改善など、様々な効果が期待されています。今回は、なぜクレアチンがそのような効果を生むのか、そのメカニズムや効果的な摂り方などについて、管理栄養士の小池ゆみえ先生にうかがいました。
こいけ・ゆみえ 管理栄養士として病院に約10年勤務したのちフリーランスとなり、その後大手乳業メーカーでの健康相談や病院・クリニックでの食事指導、専門学校の講師、企業のセミナー講師、雑誌や広報誌への健康レシピの執筆・監修など幅広く活動中。スポーツ栄養ではプロ野球選手、大学や高校野球部のサポートやスポーツ小学生の保護者への食事アドバイスを行う。
こいけ・ゆみえ 管理栄養士として病院に約10年勤務したのちフリーランスとなり、その後大手乳業メーカーでの健康相談や病院・クリニックでの食事指導、専門学校の講師、企業のセミナー講師、雑誌や広報誌への健康レシピの執筆・監修など幅広く活動中。スポーツ栄養ではプロ野球選手、大学や高校野球部のサポートやスポーツ小学生の保護者への食事アドバイスを行う。
クレアチンは肝臓や腎臓、膵臓で合成することができるアミノ酸の一種で、体内では95%が骨格筋に存在しています。
クレアチンは運動パフォーマンスの向上に高い効果があるため、スポーツサプリメントの代表格として比較的古くから詳しく研究されてきました。特に、1992年のバルセロナオリンピック陸上競技100m走の金メダリスト、リンフォード・クリスティが使用したことから臨床試験が進み、その後は様々なスポーツにおけるクレアチン摂取による効果が発表されています。
現在ではトップアスリートだけでなく、中高年の筋肉量・筋力の維持をはじめ、趣味としてスポーツを楽しむ一般の人たちの間でも広く愛用されています。
クレアチンは肝臓や腎臓、膵臓で合成することができるアミノ酸の一種で、体内では95%が骨格筋に存在しています。
クレアチンは運動パフォーマンスの向上に高い効果があるため、スポーツサプリメントの代表格として比較的古くから詳しく研究されてきました。特に、1992年のバルセロナオリンピック陸上競技100m走の金メダリスト、リンフォード・クリスティが使用したことから臨床試験が進み、その後は様々なスポーツにおけるクレアチン摂取による効果が発表されています。
現在ではトップアスリートだけでなく、中高年の筋肉量・筋力の維持をはじめ、趣味としてスポーツを楽しむ一般の人たちの間でも広く愛用されています。
そもそも、私たちの筋肉が力を発揮する時(収縮する時)には、どのような体の変化が起こっているのでしょうか。
筋肉の収縮には、ATP(アデノシン三リン酸)がADP(アデノシン二リン酸)に分解される時に放出されるエネルギーが使われています。
そもそも、私たちの筋肉が力を発揮する時(収縮する時)には、どのような体の変化が起こっているのでしょうか。
筋肉の収縮には、ATP(アデノシン三リン酸)がADP(アデノシン二リン酸)に分解される時に放出されるエネルギーが使われています。
しかし、体内のATPは量に限りがあるため、強い筋肉の力を長く持続するためには、ADPに分解されたら、直ちにATPを再合成する必要があるのです。
そのATPの再合成に寄与する物質の1つが、「クレアチンリン酸」です。クレアチンリン酸とは、クレアチンにリン酸が結合し、リン酸化したものを指します。クレアチンリン酸がADPと反応すると、エネルギー源となるATPが再合成されるというわけです。
しかし、体内のATPは量に限りがあるため、強い筋肉の力を長く持続するためには、ADPに分解されたら、直ちにATPを再合成する必要があるのです。
そのATPの再合成に寄与する物質の1つが、「クレアチンリン酸」です。クレアチンリン酸とは、クレアチンにリン酸が結合し、リン酸化したものを指します。クレアチンリン酸がADPと反応すると、エネルギー源となるATPが再合成されるというわけです。
筋肉の負荷が大きければ大きいほど、エネルギーの消費も増えますが、体内にたくさんクレアチンを備えておくと、クレアチンリン酸となってエネルギーの再生を助けてくれます。そのため、体の外からクレアチンを摂取してクレアチンの量が増えれば、筋肉の強い力をより長い時間維持することが可能になるのです。
筋肉の負荷が大きければ大きいほど、エネルギーの消費も増えますが、体内にたくさんクレアチンを備えておくと、クレアチンリン酸となってエネルギーの再生を助けてくれます。そのため、体の外からクレアチンを摂取してクレアチンの量が増えれば、筋肉の強い力をより長い時間維持することが可能になるのです。
次に、クレアチンを摂取することで期待できる具体的な効果について見ていきましょう。クレアチンの効果と言えばアスリートの運動パフォーマンスの向上がよく知られていますが、その他にも、筋肉量の増加、筋肥大の促進、筋肉疲労の回復促進、脳の機能改善など様々な効果が期待できます。一つずつ詳しく解説します。
①高強度の筋肉を維持したいスポーツのパフォーマンスアップ
クレアチンの大きな効果として挙げられるのがスポーツのパフォーマンス向上です。エネルギー源である体内のATPが減少しても、クレアチンを摂取して体内量を高めておけば、クレアチンリン酸とADPが反応して、より素早くATPの再合成がなされるため、瞬発力が必要なスポーツや高強度の運動に対して特に効果が見られます。
以下のようなスポーツで効果が期待できます。
・高強度の筋トレ
・重量挙げ、円盤投げ、ジャンプ
・サッカーやラグビーなど瞬発的なパワーが必要なコンタクトスポーツ
・短距離ダッシュのタイム短縮など
・マラソンなど持久運動における最後のひとふんばり
②筋肉量を増やす
クレアチンそのものは筋肉の構成要素ではありませんが、クレアチンによってレジスタンス運動(無酸素運動)時のエネルギー供給がサポートされるので、高強度のトレーニングにも耐えられるエネルギーを出し続けることが可能になります。負荷がかかるトレーニングを長期間続けた結果として、筋肉量を増やすことができるというわけです。
次に、クレアチンを摂取することで期待できる具体的な効果について見ていきましょう。クレアチンの効果と言えばアスリートの運動パフォーマンスの向上がよく知られていますが、その他にも、筋肉量の増加、筋肥大の促進、筋肉疲労の回復促進、脳の機能改善など様々な効果が期待できます。一つずつ詳しく解説します。
①高強度の筋肉を維持したいスポーツのパフォーマンスアップ
クレアチンの大きな効果として挙げられるのがスポーツのパフォーマンス向上です。エネルギー源である体内のATPが減少しても、クレアチンを摂取して体内量を高めておけば、クレアチンリン酸とADPが反応して、より素早くATPの再合成がなされるため、瞬発力が必要なスポーツや高強度の運動に対して特に効果が見られます。
以下のようなスポーツで効果が期待できます。
・高強度の筋トレ
・重量挙げ、円盤投げ、ジャンプ
・サッカーやラグビーなど瞬発的なパワーが必要なコンタクトスポーツ
・短距離ダッシュのタイム短縮など
・マラソンなど持久運動における最後のひとふんばり
②筋肉量を増やす
クレアチンそのものは筋肉の構成要素ではありませんが、クレアチンによってレジスタンス運動(無酸素運動)時のエネルギー供給がサポートされるので、高強度のトレーニングにも耐えられるエネルギーを出し続けることが可能になります。負荷がかかるトレーニングを長期間続けた結果として、筋肉量を増やすことができるというわけです。
③その他
運動中の疲労軽減と疲労回復のサポートとして、クレアチンが有効という研究結果もあります。例えば、クレアチンを摂取することによって、摂取していない群と比較した場合、運動後の乳酸値が低くなることを確認した試験結果があるなど、クレアチン摂取による運動中の疲労軽減と回復の促進への効果が期待されます。
また、運動が長期間できない、あるいは日々の運動量が長期間減少してしまい、筋力が低下してしまった場合のリハビリ補助としても、クレアチンの効果に注目が集まっています。筋力は筋肉を使用しないと徐々に低下してしまいますが、運動と並行してクレアチンを摂取すると、筋力の早期回復に寄与する可能性が様々な研究によって示されています。
③その他
運動中の疲労軽減と疲労回復のサポートとして、クレアチンが有効という研究結果もあります。例えば、クレアチンを摂取することによって、摂取していない群と比較した場合、運動後の乳酸値が低くなることを確認した試験結果があるなど、クレアチン摂取による運動中の疲労軽減と回復の促進への効果が期待されます。
また、運動が長期間できない、あるいは日々の運動量が長期間減少してしまい、筋力が低下してしまった場合のリハビリ補助としても、クレアチンの効果に注目が集まっています。筋力は筋肉を使用しないと徐々に低下してしまいますが、運動と並行してクレアチンを摂取すると、筋力の早期回復に寄与する可能性が様々な研究によって示されています。
クレアチンを摂取することで、加齢と共に減少する中高齢者の筋肉量や筋力が維持できると、ロコモティブシンドロームの予防につながるなど、クレアチンの効果への期待はますます高まっています。
クレアチンは筋肉だけに作用するのではなく、エネルギーが必要な身体のプロセス全てに関与しています。クレアチンの効果として近年期待されているのが、記憶力や知力といった脳機能の改善への可能性です。
クレアチンは筋肉だけでなく、脳や神経細胞にも貯蔵されています。そのため、クレアチンのエネルギー代謝効果が脳の記憶能力、知力の向上につながる可能性が研究結果によって示されるなど、スポーツ以外の分野でも注目が集まっています。
クレアチンを摂取することで、加齢と共に減少する中高齢者の筋肉量や筋力が維持できると、ロコモティブシンドロームの予防につながるなど、クレアチンの効果への期待はますます高まっています。
クレアチンは筋肉だけに作用するのではなく、エネルギーが必要な身体のプロセス全てに関与しています。クレアチンの効果として近年期待されているのが、記憶力や知力といった脳機能の改善への可能性です。
クレアチンは筋肉だけでなく、脳や神経細胞にも貯蔵されています。そのため、クレアチンのエネルギー代謝効果が脳の記憶能力、知力の向上につながる可能性が研究結果によって示されるなど、スポーツ以外の分野でも注目が集まっています。
クレアチンはアミノ酸の一種で、栄養素としてはタンパク質に含まれます。体重や筋肉量によっても異なりますが、一般的に体重70kgの成人では、体内に約120g貯蔵しているといわれています。クレアチンは、体内で合成することも、食べ物から摂取することも、両方できる窒素化合物です。
私たち人間には1日約2gのクレアチンが必要で、食べ物からの摂取と体内での合成により日々補充されて、体内に蓄えられています。
クレアチンが多く含まれている食材には、豚肉や牛肉などの肉類や、ニシンやサケ、アジなどの魚類などがあります。ただ、クレアチンは熱に弱く、加熱で失われやすいため、食事だけでは十分な量を摂りにくく、サプリメントで摂取するのが有効です。
クレアチンのサプリメントは様々な商品が市販されており、高強度の筋トレを支える筋出力維持と向上を目指すアスリートやスポーツ愛好家に人気があります。サプリメントを利用すれば、クレアチンを効率的に摂取できますが、注意点もあります。
摂取のポイントは「適正量を守り、過剰摂取に気をつけること」。サプリメントで摂る場合は1日1回、食後に3~5gが目安です。サプリメントはあくまでも食事の栄養補助として活用することを心がけましょう。
体づくりの基本は栄養バランスの取れた食生活に他なりません。筋肥大のためにも、健康維持のためにもまずは食事からしっかり栄養を摂ることが重要です。筋肉をつけたいからといって、一度にたくさんタンパク質を摂取しても、一定量以上は筋肉をつくる材料にはなりません。余剰分が出るようなタンパク質の過剰摂取は避けましょう。
クレアチンはアミノ酸の一種で、栄養素としてはタンパク質に含まれます。体重や筋肉量によっても異なりますが、一般的に体重70kgの成人では、体内に約120g貯蔵しているといわれています。クレアチンは、体内で合成することも、食べ物から摂取することも、両方できる窒素化合物です。
私たち人間には1日約2gのクレアチンが必要で、食べ物からの摂取と体内での合成により日々補充されて、体内に蓄えられています。
クレアチンが多く含まれている食材には、豚肉や牛肉などの肉類や、ニシンやサケ、アジなどの魚類などがあります。ただ、クレアチンは熱に弱く、加熱で失われやすいため、食事だけでは十分な量を摂りにくく、サプリメントで摂取するのが有効です。
クレアチンのサプリメントは様々な商品が市販されており、高強度の筋トレを支える筋出力維持と向上を目指すアスリートやスポーツ愛好家に人気があります。サプリメントを利用すれば、クレアチンを効率的に摂取できますが、注意点もあります。
摂取のポイントは「適正量を守り、過剰摂取に気をつけること」。サプリメントで摂る場合は1日1回、食後に3~5gが目安です。サプリメントはあくまでも食事の栄養補助として活用することを心がけましょう。
体づくりの基本は栄養バランスの取れた食生活に他なりません。筋肥大のためにも、健康維持のためにもまずは食事からしっかり栄養を摂ることが重要です。筋肉をつけたいからといって、一度にたくさんタンパク質を摂取しても、一定量以上は筋肉をつくる材料にはなりません。余剰分が出るようなタンパク質の過剰摂取は避けましょう。
クレアチンの摂取は様々なスポーツはもちろん、筋トレで筋肉をつけたい人、トレーニング後の疲労回復、中高年の筋力維持、脳機能の改善にも効果的です。このようにクレアチンの必要量が増加している人にとっては、クレアチンを食事だけで十分にまかなうことが難しいため、食事のバランスを整えた上で、適正量を守り、サプリメントで上手に補うようにしましょう。
クレアチンの摂取は様々なスポーツはもちろん、筋トレで筋肉をつけたい人、トレーニング後の疲労回復、中高年の筋力維持、脳機能の改善にも効果的です。このようにクレアチンの必要量が増加している人にとっては、クレアチンを食事だけで十分にまかなうことが難しいため、食事のバランスを整えた上で、適正量を守り、サプリメントで上手に補うようにしましょう。