皆さんは、筋トレを行うと同時に、その前後の食事の重要性についてどれくらい意識をしていますか?例えば、「筋トレ後は必ずプロテインをとっています」という方は多いかもしれません。ですが、本当にそれで良いのでしょうか?
確かに、筋肉を作るもととなる栄養素はプロテインのもとである「タンパク質」であることは間違いありません。しかし、それだけとっていても他の栄養素がきちんと取れていなければ、やはり十分な筋トレの効果は得られません。
ここで重要となるのは「5大栄養素」をバランスよく取ることです。今回は、筋トレの効果を最大限に引き出すための、「5大栄養素」の効率的な取り入れ方について見ていきましょう。
<監修>
境ありさ
管理栄養士取得後、小学校での栄養管理を経験。その後、ニュージーランドのヴィーガンカフェで働きながら現地の人々に触れ合う中で、様々な食のあり方に気づく。
帰国後、クリニックでの乳幼児から生活習慣病患者など様々なライフステージの方への栄養指導を行う中で、自身が長年悩んでいた生理不順や冷えなど不調から「一次予防」の重要性を再認識し、分子栄養学を学ぶ。
現在は、個々人の生活背景に応じて、食事や栄養で今ある不調や病気を改善する「不調改善管理栄養士」として、記事執筆や保健指導、体質に応じた栄養カウンセリングや、ファスティングサポートなどを行っている。
皆さんは、筋トレを行うと同時に、その前後の食事の重要性についてどれくらい意識をしていますか?例えば、「筋トレ後は必ずプロテインをとっています」という方は多いかもしれません。ですが、本当にそれで良いのでしょうか?
確かに、筋肉を作るもととなる栄養素はプロテインのもとである「タンパク質」であることは間違いありません。しかし、それだけとっていても他の栄養素がきちんと取れていなければ、やはり十分な筋トレの効果は得られません。
ここで重要となるのは「5大栄養素」をバランスよく取ることです。今回は、筋トレの効果を最大限に引き出すための、「5大栄養素」の効率的な取り入れ方について見ていきましょう。
<監修>
境ありさ
管理栄養士取得後、小学校での栄養管理を経験。その後、ニュージーランドのヴィーガンカフェで働きながら現地の人々に触れ合う中で、様々な食のあり方に気づく。
帰国後、クリニックでの乳幼児から生活習慣病患者など様々なライフステージの方への栄養指導を行う中で、自身が長年悩んでいた生理不順や冷えなど不調から「一次予防」の重要性を再認識し、分子栄養学を学ぶ。
現在は、個々人の生活背景に応じて、食事や栄養で今ある不調や病気を改善する「不調改善管理栄養士」として、記事執筆や保健指導、体質に応じた栄養カウンセリングや、ファスティングサポートなどを行っている。
5大栄養素は「糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル」この5つで成り立っています。以下でそれぞれの役割と多く含まれる食材についてご紹介します。
糖質
体のエネルギー源になる
ご飯、パン、麺類、芋類、糖類など
脂質
体のエネルギー源になる
油全般、バター、ナッツ類、アボカドなど
タンパク質
体を作るもととなる
肉、魚、魚介類、大豆製品、卵、乳製品など
ビタミン
体の調子を整える
野菜全般、果物全般、キノコ類など
ミネラル
体の調子を整える
野菜全般、海藻類、種実類、貝類、大豆製品、乳製品など
5大栄養素は「糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル」この5つで成り立っています。以下でそれぞれの役割と多く含まれる食材についてご紹介します。
糖質
体のエネルギー源になる
ご飯、パン、麺類、芋類、糖類など
脂質
体のエネルギー源になる
油全般、バター、ナッツ類、アボカドなど
タンパク質
体を作るもととなる
肉、魚、魚介類、大豆製品、卵、乳製品など
ビタミン
体の調子を整える
野菜全般、果物全般、キノコ類など
ミネラル
体の調子を整える
野菜全般、海藻類、種実類、貝類、大豆製品、乳製品など
それでは、この5大栄養素がどのように筋トレへの効果を高めてくれるのでしょうか。まず、筋トレを行うために必要なエネルギー源となるのが、糖質や脂質です。しかし脂質は通常、消化してエネルギーになるまでに時間がかかるため筋トレ前後に摂るとすれば糖質が有効です。
筋トレの前後のいずれも糖質が必要な理由として、筋トレ前には、筋トレに必要なエネルギー源を補給するためというのは分かりやすいでしょう。では筋トレ後にも糖質が必要とされるのはなぜでしょうか。それは筋トレによって筋グリコーゲンという通常筋肉に蓄えられている糖質が失われ、早急に補わなければ筋グリコーゲンを作り出すために筋肉そのものが分解されてしまうからです。上記から筋トレ前後の糖質の摂取が筋トレの効果を高めることがご理解頂けたかと思います。
次に筋トレによって筋肉を発達・肥大させるための材料となるのがタンパク質です。よく、筋トレ後はダイエットの意味も込めて食事は取らずにプロテインだけ取るという人がいますが、タンパク質は糖質や脂質が足りない場合、筋肉の合成よりも優先的にエネルギー源として利用されるため、食事からの糖質や脂質の摂取が不足している場合、効率よく筋肉を合成することができません。
また、ビタミンは筋トレで必要とされる脂質や糖質を効率よくエネルギーに変換するために必要とされます。更には、筋肉や全身の疲労回復や体のコンディションを整えるのもこのビタミンの役割です。
そしてミネラルですが、筋トレの際に身体でエネルギーを生み出す際、同時に多くの熱が発生し、体温が上昇します。私たちの体ではこの体温を下げるために多量の発汗を行うのですが、この汗によって多量のミネラルが失われます。特に激しい運動や筋トレ後に「こむら返り」を起こしやすいという人がいますが、これは発汗により多量のミネラルが失われたことが原因の一つなのです。
それでは、この5大栄養素がどのように筋トレへの効果を高めてくれるのでしょうか。まず、筋トレを行うために必要なエネルギー源となるのが、糖質や脂質です。しかし脂質は通常、消化してエネルギーになるまでに時間がかかるため筋トレ前後に摂るとすれば糖質が有効です。
筋トレの前後のいずれも糖質が必要な理由として、筋トレ前には、筋トレに必要なエネルギー源を補給するためというのは分かりやすいでしょう。では筋トレ後にも糖質が必要とされるのはなぜでしょうか。それは筋トレによって筋グリコーゲンという通常筋肉に蓄えられている糖質が失われ、早急に補わなければ筋グリコーゲンを作り出すために筋肉そのものが分解されてしまうからです。上記から筋トレ前後の糖質の摂取が筋トレの効果を高めることがご理解頂けたかと思います。
次に筋トレによって筋肉を発達・肥大させるための材料となるのがタンパク質です。よく、筋トレ後はダイエットの意味も込めて食事は取らずにプロテインだけ取るという人がいますが、タンパク質は糖質や脂質が足りない場合、筋肉の合成よりも優先的にエネルギー源として利用されるため、食事からの糖質や脂質の摂取が不足している場合、効率よく筋肉を合成することができません。
また、ビタミンは筋トレで必要とされる脂質や糖質を効率よくエネルギーに変換するために必要とされます。更には、筋肉や全身の疲労回復や体のコンディションを整えるのもこのビタミンの役割です。
そしてミネラルですが、筋トレの際に身体でエネルギーを生み出す際、同時に多くの熱が発生し、体温が上昇します。私たちの体ではこの体温を下げるために多量の発汗を行うのですが、この汗によって多量のミネラルが失われます。特に激しい運動や筋トレ後に「こむら返り」を起こしやすいという人がいますが、これは発汗により多量のミネラルが失われたことが原因の一つなのです。
それではここで、この5大栄養素がバランスよく摂取できるお手軽なレシピ2点をご紹介しましょう。
〈マグロとアボカドのネバネバ玄米丼ぶり〉
それではここで、この5大栄養素がバランスよく摂取できるお手軽なレシピ2点をご紹介しましょう。
〈マグロとアボカドのネバネバ玄米丼ぶり〉
【材料(一人分)】
・マグロの赤身刺・・・80g
・アボカド・・・1/2個
・ひきわり納豆・・・1パック
・長芋・・・50g
・卵黄・・・1つ分
・大葉・・・1枚
・刻みのり・・・適量
・めんつゆ(2倍希釈)・・・大さじ3
・ごま油・・・小さじ1/2
・玄米ごはん・・・200g
【作り方】
1.マグロとアボカドは1センチ幅程度の角切りにする、長芋はすりおろす
2.ボウルに1のマグロとアボカド、納豆、めんつゆ、ごま油を入れて混ぜ合わせる
3.ご飯を器に盛り、すりおろした長芋、2、大葉、卵黄、刻みのりをちらして完成
【ポイント】
良質なタンパク質であるマグロの赤身、納豆、卵を組み合わせることで同時にいろんな種類のビタミンやミネラルも取れます。また、整腸作用や免疫力を高める効果のある長芋をプラス。アボカドには良質な脂質とともにビタミンやミネラルが豊富。さらに玄米には、糖質や脂質を効率よくエネルギー源に変換するビタミンB群が豊富です。白米でも良いですが、玄米がよりおすすめです。
〈鳥もも肉の豆乳トマト鍋〉
【材料(一人分)】
・マグロの赤身刺・・・80g
・アボカド・・・1/2個
・ひきわり納豆・・・1パック
・長芋・・・50g
・卵黄・・・1つ分
・大葉・・・1枚
・刻みのり・・・適量
・めんつゆ(2倍希釈)・・・大さじ3
・ごま油・・・小さじ1/2
・玄米ごはん・・・200g
【作り方】
1.マグロとアボカドは1センチ幅程度の角切りにする、長芋はすりおろす
2.ボウルに1のマグロとアボカド、納豆、めんつゆ、ごま油を入れて混ぜ合わせる
3.ご飯を器に盛り、すりおろした長芋、2、大葉、卵黄、刻みのりをちらして完成
【ポイント】
良質なタンパク質であるマグロの赤身、納豆、卵を組み合わせることで同時にいろんな種類のビタミンやミネラルも取れます。また、整腸作用や免疫力を高める効果のある長芋をプラス。アボカドには良質な脂質とともにビタミンやミネラルが豊富。さらに玄米には、糖質や脂質を効率よくエネルギー源に変換するビタミンB群が豊富です。白米でも良いですが、玄米がよりおすすめです。
〈鳥もも肉の豆乳トマト鍋〉
【材料(一人分)】
・鶏胸肉(皮なし)・・・100g
・キャベツ・・・80g
・ブロッコリー・・・60g
・じゃがいも・・・中2個
・ニンニク・・・1片
・無調整豆乳・・・300ml
・カットトマト缶・・・1/2
・オリーブオイル・・・大さじ1
・塩こしょう・・・適量
・コンソメ(顆粒)・・・大さじ1
【作り方】
1.じゃがいもは皮の表面をよく洗って皮付きのまま一口大にカットし水にさらす
2.キャベツとブロッコリーも一口大にカットし、鳥もも肉は皮があれば除いて一口大にカットし、塩こしょうを表面にまぶしておく
3.鍋用の深鍋にオリーブオイルとみじん切りにしたニンニクを入れ、香りがたったら鶏肉を入れ、表面に焼き色がつくまで炒める
4.一度鶏肉を取り出し、豆乳、トマト缶、コンソメ、塩こしょうを入れ、鶏肉とカットしておいた具材をいれる
5.中火で具材が柔らかくなるまで煮て完成!
【ポイント】
高タンパクかつ低脂肪である鶏肉を使用した簡単メニュー。特に鶏胸肉にはイミダペプチドと呼ばれる運動により発生した活性酸素を除去し、疲労を回復してくれる成分が含まれているので、筋トレ後に最適。また、豆乳にはタンパク質のほか、ビタミン、ミネラルも豊富なので合わせて取ることで、タンパク質の利用効率もアップ。
さらに、トマトに含まれるリコピンには疲労回復に役立つ高い抗酸化作用に加え、脂肪燃焼効果もあります。ブロッコリーやじゃがいもで良質な糖質や豊富なビタミンCが取れるのも大きなメリットです。
【材料(一人分)】
・鶏胸肉(皮なし)・・・100g
・キャベツ・・・80g
・ブロッコリー・・・60g
・じゃがいも・・・中2個
・ニンニク・・・1片
・無調整豆乳・・・300ml
・カットトマト缶・・・1/2
・オリーブオイル・・・大さじ1
・塩こしょう・・・適量
・コンソメ(顆粒)・・・大さじ1
【作り方】
1.じゃがいもは皮の表面をよく洗って皮付きのまま一口大にカットし水にさらす
2.キャベツとブロッコリーも一口大にカットし、鳥もも肉は皮があれば除いて一口大にカットし、塩こしょうを表面にまぶしておく
3.鍋用の深鍋にオリーブオイルとみじん切りにしたニンニクを入れ、香りがたったら鶏肉を入れ、表面に焼き色がつくまで炒める
4.一度鶏肉を取り出し、豆乳、トマト缶、コンソメ、塩こしょうを入れ、鶏肉とカットしておいた具材をいれる
5.中火で具材が柔らかくなるまで煮て完成!
【ポイント】
高タンパクかつ低脂肪である鶏肉を使用した簡単メニュー。特に鶏胸肉にはイミダペプチドと呼ばれる運動により発生した活性酸素を除去し、疲労を回復してくれる成分が含まれているので、筋トレ後に最適。また、豆乳にはタンパク質のほか、ビタミン、ミネラルも豊富なので合わせて取ることで、タンパク質の利用効率もアップ。
さらに、トマトに含まれるリコピンには疲労回復に役立つ高い抗酸化作用に加え、脂肪燃焼効果もあります。ブロッコリーやじゃがいもで良質な糖質や豊富なビタミンCが取れるのも大きなメリットです。
栄養バランスが大事なのは分かったが、そんなに食事や調理に時間をかけられない場合もあるかと思います。そんな時は比較的栄養バランスの整った食材を選んだり、サプリメントで補充したり、間食を利用して補ったり、食べ物だけではなく飲み物で補うことも意識してみましょう。
まず、その食材一つで多種類の栄養素が取れることから完全栄養食とも呼ばれる卵、納豆、玄米、ヨーグルト、バナナなどの食材や、栄養バランス系のドリンクやゼリー、スナックバーは常備しておくと良いでしょう。
また、白米や食パンなど日常にある精白された食品はどうしてもビタミンやミネラル、アミノ酸(タンパク質が分解されてできるもの)が不足しているので、おにぎりやパンを食べる時は、マルチビタミン&ミネラル、アミノ酸を含むサプリメントを併せて摂取することをオススメします。
栄養を摂るタイミングについても意識してみましょう。通常の食事の場合は運動の3〜4時間前、栄養ドリンクやゼリー、スナックバー、バナナなどを間食で摂る場合は運動前1時間以内が効率よくエネルギーになると報告されています。
栄養バランスが大事なのは分かったが、そんなに食事や調理に時間をかけられない場合もあるかと思います。そんな時は比較的栄養バランスの整った食材を選んだり、サプリメントで補充したり、間食を利用して補ったり、食べ物だけではなく飲み物で補うことも意識してみましょう。
まず、その食材一つで多種類の栄養素が取れることから完全栄養食とも呼ばれる卵、納豆、玄米、ヨーグルト、バナナなどの食材や、栄養バランス系のドリンクやゼリー、スナックバーは常備しておくと良いでしょう。
また、白米や食パンなど日常にある精白された食品はどうしてもビタミンやミネラル、アミノ酸(タンパク質が分解されてできるもの)が不足しているので、おにぎりやパンを食べる時は、マルチビタミン&ミネラル、アミノ酸を含むサプリメントを併せて摂取することをオススメします。
栄養を摂るタイミングについても意識してみましょう。通常の食事の場合は運動の3〜4時間前、栄養ドリンクやゼリー、スナックバー、バナナなどを間食で摂る場合は運動前1時間以内が効率よくエネルギーになると報告されています。
筋トレの効果を高めるためには、タンパク質だけでなく、筋トレに必要なエネルギー源を糖質で摂取しつつ、失われたビタミンやミネラル分をバランスよく補給することもとても重要です。食事を意識することで、より効率的な筋力アップに繋げましょう。
【参考文献】
・日本食品標準成分表2020年版
・アスリートの栄養摂取と食生活(日本スポーツ協会
・中強度運動中のエネルギー代謝に対する運動前食事摂取タイミングの影響に関する研究
筋トレの効果を高めるためには、タンパク質だけでなく、筋トレに必要なエネルギー源を糖質で摂取しつつ、失われたビタミンやミネラル分をバランスよく補給することもとても重要です。食事を意識することで、より効率的な筋力アップに繋げましょう。
【参考文献】
・日本食品標準成分表2020年版
・アスリートの栄養摂取と食生活(日本スポーツ協会
・中強度運動中のエネルギー代謝に対する運動前食事摂取タイミングの影響に関する研究