集中力アップや仮眠の際にも有効なカフェインとの正しい付き合い方

集中力アップや仮眠の際にも有効なカフェインとの正しい付き合い方 集中力アップや仮眠の際にも有効なカフェインとの正しい付き合い方

みなさんは、普段からカフェインを摂取していますか?また、カフェインに対してどのような見方をしていますか?今回はそのような疑問に対し、カフェインとはそもそもどのようなものなのか、またカフェインの具体的な作用のメカニズム、正しい取り方についてみていきましょう。

<監修>
境ありさ
管理栄養士取得後、小学校での栄養管理を経験。その後、ニュージーランドのヴィーガンカフェで働きながら現地の人々に触れ合う中で、様々な食のあり方に気づく。
帰国後、クリニックでの乳幼児から生活習慣病患者など様々なライフステージの方への栄養指導を行う中で、自身が長年悩んでいた生理不順や冷えなど不調から「一次予防」の重要性を再認識し、分子栄養学を学ぶ。
現在は、個々人の生活背景に応じて、食事や栄養で今ある不調や病気を改善する「不調改善管理栄養士」として、記事執筆や保健指導、体質に応じた栄養カウンセリングや、ファスティングサポートなどを行っている。

カフェインとはどのような成分か

カフェインは、その代表格であるコーヒー豆、茶葉、カカオ豆などに含まれる食品成分の一つですがこれは「アルカロイド」と呼ばれる成分の一種です。

アルカロイドとは、窒素原子を含む天然の有機化合物で、一般によく知られているアルカロイドとしてタバコに含まれるニコチンや、医療用の鎮痛薬として使用されるモルヒネなどがあります。

カフェインで期待できる集中力アップ効果

カフェインを取ると、眠気が改善し、集中力がアップするというのは多くの人が感じている作用だと思いますが、これはどのようなメカニズムなのでしょうか。

① 私たちの体では、食事などからエネルギー(いわゆる「ATP」といわれる物質)を作る時にその代謝産物として、アデノシンという物質が作られます。

② このアデノシンは脳の覚醒を作用をストップさせ、神経を落ち着かせる働きがあり、脳内でアデノシン受容体に接合することで、私たちは眠気を感じます。

③しかし、カフェインを取ると、カフェインが、アデノシンの接合を阻害し、アデノシン受容体に接合します。そうすることで、眠気が抑えられるのです。

では実際に、カフェインをどれくらいの量取ると、効果的なのでしょうか。
研究論文1)によると、
”安全性を考慮すると、成人での 1 日摂取量を 300 mg(体重1kgあたり5mg)以内にとどめて摂取することが、カフェイン関連問題を生じることなく、 その有益効果を受けることができる”
と報告されています。

では1回あたりどれくらいの摂取が望ましいのかというと、個々人の感受性によって異なりますが、1回あたりの摂取量で安全性が認められているのは200mg、また睡眠障害(不眠)を起こさない量が1回あたり100mg以下という報告がなされていることから、1回あたり50mgから100mg以下の摂取が望ましいと言えるのではないでしょうか。
また同論文によると、カフェインの効果は、摂取後15分〜30分後に効果がではじめ、30分〜120分で血液中の濃度が最大になると報告されており、効き目が薄れてくる「半減期」は平均して4時間(個人差や一回のカフェイン摂取量によって2〜8時間)であると報告があります。

このことから、「1回あたり50mgから100mg」を5〜6時間ごとに1日2回、多くて3回までの摂取が適切な量だと言えるでしょう。

仮眠の際のカフェインの有効な使い方

仮眠の際のカフェインの有効な使い方 仮眠の際のカフェインの有効な使い方

では次に、仮眠の際のカフェインの有効性について見ていきましょう。近年、特に昼食後に30分以内の仮眠を取ることで、日中のパフォーマンスの向上に有効であるということが、多くの論文など2)で報告されています。

カフェインはその効果が現れるまでに15分から30分かかるということから、カフェインを摂取した直後に30分程度の仮眠を取ることで、起床時にカフェインの効果が現れはじめ、寝起きの目覚めの悪さや、ぼーっとする感覚を防ぐことができるのではないかと言われています。

このことから、昼食後、仮眠の直前にコップ1杯程度のコーヒーをとって仮眠を取ることで、その有効性を十分に発揮できると考えられるでしょう。

カフェインが含まれる飲料や食品

次に、カフェインが含まれる飲料や食品について具体的に見ていきましょう。
まず飲料ですが、カフェインを含む飲料をあげると、コーヒー、紅茶、緑茶、烏龍茶、一部の清涼飲料水、エナジードリンクのようなものがあげられます。

その含有量について見てみると、一般的な粉末で作るコーヒーの場合、100mlあたり60mg程度含まれています。また、紅茶の場合、100mlあたり、コーヒーの半分で30mg程度。煎茶の場合、100mlあたり、20mg程度です。(日本食品標準成分表2020年版より)

また、一般的な栄養ドリンクなどは100mlあたり50mg程度のカフェインを含んでいることが多くなっています。
 
次に食品ですが、カフェインはコーヒー豆、カカオ豆、茶葉などに含まれているためチョコレートやカカオパウダーを使用したお菓子がその代表格ですが、それ以外にも抹茶のお菓子や紅茶の茶葉を使用したお菓子などにも含まれています。

飲料と比べると、平均的な1回の摂取量は少ないかもしれませんが、近年、健康効果が高いとして販売されている高カカオチョコレート(カカオ70%以上のもの)とコーヒーを合わせて仕事中や休憩中に毎回摂取していると、カフェインの摂りすぎになっていることもあるかもしれません。

ちなみにミルクチョコレート50g(板チョコ焼1枚分)あたり14mg、カカオ70%の高カカオチョコレートの場合、50gあたり42mgのカフェインが含まれています。

過剰摂取や摂取タイミングには要注意

脳をスッキリさせて集中力や仕事のパフォーマンスを向上させてくれるカフェインですが、摂取する際に具体的には、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。

まず一つ目はその「摂取量」です。日本においては、その個人差が大きいため、1日の上限値などは設けられていませんが、安全な量は1日あたり300mg(体重1kgあたり5mg)程度だと言えます。

エナジードリンクを1日に何本も飲んでいたり、水分代わりにコーヒーを飲むようなことをしていたりすると過剰摂取となり、その有害作用として知られている不眠、不安、高血圧、心臓の機能低下、心疾患のリスクなどを高めてしまう場合もあります。

また「カフェイン依存症」になることで、カフェインが切れると、イライラや疲労感、全く集中できないなどの症状を起こすこともあります。

そして注意すべき二つ目は、「摂取するタイミング」です。カフェインの体内での半減期(効果が薄れてくる時間)は平均して4時間程度。就寝時間から逆算して、最低でも寝る4時間前からは、摂取を控えた方が良いでしょう。ただ、もちろん個人差が大きいので、ご自身で体感的にカフェインが睡眠に影響しない時間を把握することが大切です。

また、アメリカの神経科学者、スティーブ・ミラー氏によると、ストレスホルモンといわれるストレスによって放出される「コルチゾール」が、脳の覚醒のために放出される朝一(8時から9時)のカフェインの摂取は、コルチゾールの分泌を低下させ、なおかつカフェイン効果を発揮しにくくなるため、カフェイン依存になりやすくなることから、この時間の摂取も避けた方が良いと提唱しています。

このようなことから、摂取タイミングとして理想的なのは、昼食の前後であり、「10時から15時前後」であると言えるのではないでしょうか。

まとめ

カフェインは適量を、適切なタイミングで摂取することで、集中力を高めたり、仕事のパフォーマンスを向上させてくれたりなどの効果が期待できます。しかし、過剰摂取には注意が必要です。上手に向き合いながら、普段の生活をより良いものにしていきましょう。

【参考文献】
1)日常生活の中におけるカフェイン摂取 -作用機序と安全性評価 栗原久 2015

2)午後の眠気対策としての短時間仮眠 林光緒 堀忠雄 2007

3)日本食品標準成分表2020年版

4)The Best Time for your Coffee. Steve Miller 2013