筋疲労は乳酸が原因?正しく知っておきたい乳酸と疲労の関係性

筋疲労は乳酸が原因?正しく知っておきたい乳酸と疲労の関係性 筋疲労は乳酸が原因?正しく知っておきたい乳酸と疲労の関係性

運動時のパフォーマンスを最大限高めるためには、より良くからだの状態を整えることが必要です。これをコンディショニングと呼びます。コンディショニングにおいて筋疲労は、大きな対処すべき課題となります。ここでは、筋疲労と乳酸について、またその対応について正しく理解、対処していきましょう。

<監修>
三戸一晃
専門は手外科、整形外科外傷・一般、骨粗鬆症。
2003年慶應義塾大学医学部卒業。同年、同大整形外科学教室入局。
その後、数々の3次救急病院にて研修を行った。2016年より済生会横浜市東部病院医長、2017年より藤田医科大学講師。2020年4月より同大非常勤講師。(所属・経歴は2021年6月現在)

そもそも乳酸とはどのような物質なのか

一番身近なものでみなさん思いつくのが乳酸菌という名前ではないでしょうか。乳酸菌は、糖を分解し乳酸を作る比較的単純な過程で自ら必要なエネルギーを得ています。この代謝過程には、酸素を必要としません。これを発酵といい、乳酸発酵は、ヨーグルトの生成に使われるなど我々の生活に欠かせないものです。いずれにせよ、乳酸は、一つの代謝過程の結果生じた酸ということになります。

運動で乳酸が生成されるメカニズム

通常、運動、つまり筋肉を収縮させるためのエネルギーを得るには、酸素を用いて糖を分解します。この方法には、多くのエネルギーが得られるメリットがありますが、時間がかかるデメリットがあります。

したがって、激しい運動を続けていくと、持続的に大量のエネルギーを得るため、酸素を用いないスピーディーにエネルギーを得る別の方法を動員しはじめます。このスピーディーにエネルギーを得る方法を、乳酸解糖といいます。乳酸解糖は、メリットが多い反面、乳酸が蓄積してしまうデメリットがあります。

筋肉の疲労感の原因が乳酸って本当?

誰しも運動を継続すると疲労感が生じます。筋疲労が生じるメカニズムは諸説あるとされていますが、その説のひとつとして、筋肉内に乳酸が蓄積することは以前から言われてきました。

その説では、乳酸は、名前の通り酸であり、その蓄積によってpH低下が生じ(体内が酸性の状態になり)、筋肉運動や代謝に障害を起こし筋疲労が生じると考えられています。

その他、乳酸が原因でなくエネルギー源の蓄積されていた糖が減少することやエネルギーの分解の結果生じたリン酸の蓄積が筋疲労の原因とする説も提唱されており、様々な要因が研究されているところです。

筋肉の疲労を軽減するためにできること

筋肉の疲労を軽減するためにできること 筋肉の疲労を軽減するためにできること

筋疲労の軽減を主眼にしたコンディショニングを達成するためには、様々な方面からアプローチすることになります。運動前には、まず筋、筋膜などの部位を運動時の損傷を軽減させるため、これらを柔軟にするストレッチを準備体操として行います。

また筋運動を継続するための十分な糖を貯蓄し、体調を整え、かつしっかり栄養を摂取しておくことも大事です。加えて、栄養供給路の確保のため、またあらかじめ組織内の乳酸などの老廃物をしっかり除去しておくため、日頃より血流の良い状態を準備して作っておくことがよいと思われます。

運動後は、乳酸などの運動によって生じる老廃物を早期に排除するため、直後の体のほてりが落ち着いたら、局所を入浴などにより温めるなどして血流の良い状態にもっていくのがよいでしょう。また運動により損傷した筋の修復のため、一定期間、しっかりと体を休ませ、栄養バランスの良い食事をすることが望まれます。

まとめ

乳酸は以前より筋疲労の原因とされてきました。近年は、リン酸などの他の物質の蓄積がその原因とする諸説もあります。いずれにせよコンディショニングを考えるにあたって、運動時に生じる老廃物を早期に除去し、蓄積のなるべくない状態を維持することが重要になってくるでしょう。また筋疲労には、前述のような様々な原因があります。乳酸だけにとらわれるのではなく、日頃より筋肉運動に必要な栄養をしっかり摂り、身体の血流を保つなど運動に備えた体作りがやはり筋疲労に対応する根本となると考えます。

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