夏の入浴で睡眠改善、疲労回復!熱中症に注意して自律神経を整えよう

お風呂で体調を整えよう。夏の目的別の入浴方法を紹介。 お風呂で体調を整えよう。夏の目的別の入浴方法を紹介。

近年日本では猛暑が続き各地で30℃以上の猛暑日を記録することも珍しくありません。急な温度差で自律神経が乱れ睡眠不足や疲労がたまりやすく、体調不良を起こす方も増えています。

ところで、夏になると簡単にシャワーのみで済ませている方も多いのではないでしょうか。実は入浴によって自律神経が整い、不眠の改善や体調管理が楽になる可能性があります。

<監修>
井林雄太
国立大学医学部卒業後、救急含む総合病院を中心に初期研修を終了。内分泌代謝/糖尿病の臨床を含めた予防医学が専門。健康長寿に関連するミトコンドリア基礎研究に従事しながら、栄養学/アンチエイジング学にも専門を広げ、予防医学の一環として内分泌・糖尿病教育に力を入れながら医療系メディアにおいて情報発信を行っている。
昨今はコロナ禍において、予防医学の一環として感染症分野にも力を入れながら、複数企業のメディアにおいてコロナワクチンの最新情報などにも執筆・監修も行っている。厚労省委託事業であるMindsによる疾患ガイドライン、また医学専門書の執筆経験もあり、臨床・研究において幅広い知見を有している。

【資格】内科認定医、内分泌専門医、糖尿病専門医

入浴の睡眠導入効果

習慣としている自分の就寝時刻が近づくと、脳は覚醒状態から徐々にリラックスした状態に移り、やがて睡眠に入っていきます。リラックスしつつ眠りやすくなる方法があると効果的です。

入浴は一つの方法といえるでしょう。ゆっくりとした入浴による皮膚表面温度の上昇から毛穴も開き、疲労物質や老廃物が汗と共に体外へ排出されやすくなります。これは短時間のシャワーでは難しく、睡眠の質の向上も期待できます。

また適切な入浴により、一度体温を上げることで、入浴後に熱放出され効率よく体温を下げることができます。この体温の変動がスムーズな入眠および良質な睡眠に繋がるのです。

特に良質な睡眠を得るためのポイントとなるのは「深部体温」です。睡眠には体温の変化が大きく関係しており、深部体温の日内変動によるホルモンバランスの変化で眠くなりやすい仕組みになっています。

短時間のシャワーや熱いお風呂に一瞬入って上がるだけでは深部体温は上がりづらいといえます。厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針にもあるように、入浴のコツとしてはおよそ37~39℃くらいの「ご自身がぬるめと感じる湯温」でおよそ「20分以上適度な時間」ゆったりと入浴するとよいかもしれません。

入浴の疲労回復効果

入浴の疲労回復効果 入浴の疲労回復効果

入浴の疲労回復効果にも着目しましょう。入浴が身体にもたらす要素には、3つに分けると
① 温熱
② 身体にかかる水圧
③ 浮力
などがあります。

②、③はマッサージ効果で疲労回復効果がありますが、疲労回復に最も影響するのが温熱による血流促進作用です。

入浴温度が38℃以上になると心拍数、心拍出量などが増加し、末梢循血管が拡張して血流が増えます。血流がよくなり、深部体温も上昇することで代謝がよくなり疲労物質の排出につながるのです。

また筋肉や関節は浮力の作用などにより負担も軽減し、緊張がとれリラックス効果が高まることで、疲労回復が促されます。

入浴のコツはあまり高温にしないことです。42℃以上など高温に浸かりすぎると、交感神経が強く刺激され、血管収縮がおこり血流量が減少します。そのため皮膚表面の温度は上がっても、深部体温は上がらないばかりか、血圧や心拍数が上昇するデメリットが大きくなる可能性があります。

37~39℃程度のぬるめの温浴(微温浴)は、交感神経も刺激され軽度の血圧・心拍数・体温の変化は認められるものの、副交感神経も同時に刺激することから、血管拡張が促され血流が促進されて深部体温があがることで、疲労回復につながります。

入浴の発汗効果

入浴の発汗効果 入浴の発汗効果

汗をかくことは生理的な反応であり、汗腺の機能維持や老廃物の排出に重要です。しかしながら夏は意外とエアコンの効いた場所で過ごすため、汗をかかない方も増えてきています。

そのため汗腺の機能低下による体温調節機能の低下、老廃物の排出が促されないことによる体臭や皮膚炎などのトラブルを訴える方も増えています。

入浴により手足の末梢循環がよくなると同時に、特に下半身で停滞しがちな血液が水圧で心臓に戻りやすくなります。心臓から送り出される血液の量も増え、温められた血液が全身を回って体の深部体温を上げることで、新陳代謝もあがり汗腺が刺激され汗をかきやすくなります。

汗をかくことで、老廃物の排出が促され皮膚環境の改善につながります。また汗が蒸発する時の体温低下により、睡眠を促す作用もあります。

夏の入浴における注意点

入浴は我々の体にとって、睡眠や疲労回復、発汗による新陳代謝に良い影響を与えてくれます。しかし、夏場は特に外でも汗をかきやすく、脱水気味であり、平熱も高くなりやすいです。

そのため、体調管理ができていない状態で入浴が長くなると熱中症や脱水症等のリスクが高まってしまいます。体調不良時は長めの入浴はさけつつ、水分補給を普段からしっかり行うようにしましょう。

まとめ

睡眠や疲労回復、発汗による代謝改善など入浴は良い効果を我々にもたらします。入浴のコツは「微温浴」「ゆっくり10分~20分」で深部体温を上げることです。

夏場は水分補給をして体調管理をしつつ熱中症や脱水症状に気を付けて入浴をうまく生活に取り入れてみましょう。

【参考文献】
1.健康づくりのための睡眠指針 2014 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
2.温泉科学 59(3), 218-222, 2009-12-28 日本温泉科学会