免疫力を高める食べ物は?食べ方も工夫しよう!

免疫力を高める食べ物は?食べ方も工夫しよう! 免疫力を高める食べ物は?食べ方も工夫しよう!

免疫力を高めるためには、ストレスのコントロール、十分な睡眠、適度な運動など大切なことがいろいろありますが、中でもカギとなるのが、免疫に深くかかわる腸の健康を保つことといわれます。腸内細菌に注目し、免疫力アップに役立つ食事や食べ方を毎日の生活に取り入れましょう。

<監修>
小林弘幸先生
順天堂大学医学部・大学院 医学研究科教授

小林弘幸先生 順天堂大学医学部・大学院 医学研究科教授 小林弘幸先生 順天堂大学医学部・大学院 医学研究科教授

こばやし・ひろゆき 1960年埼玉県生まれ。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者としてプロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。また、順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト"でもある。著書に「腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割」(プレジデント社)、「病気知らずの医者がやっている 免疫力を高める最高の方法」(宝島社)、「医者が考案した『長生きみそ汁』」(アスコム)など多数。

〈目次〉

  • 水溶性食物繊維
  • 発酵食品
  • オリゴ糖
  • オメガ3系脂肪酸
  • 朝食は抜かない
  • 発酵食品は夕食で多めに
  • もち麦ご飯を習慣に
  • みそ汁は具だくさんに
  • お酒を飲む時は、同量の水を

(1)免疫力を高める食べ物=腸が喜ぶ食べ物

(1)免疫力を高める食べ物=腸が喜ぶ食べ物 (1)免疫力を高める食べ物=腸が喜ぶ食べ物

●腸が免疫に大切なわけ
免疫とは、細菌やウイルスなどの病原体から私たちの体を守る防御システムをいいます。病気にかかりにくい人とかかりやすい人、かかっても軽く済む人と重症化する人がいますが、この差を生むのが”免疫力“です。

免疫システムを担っているのは、白血球を中心とした免疫細胞です。この免疫細胞のおよそ7割は腸に存在することから、腸は人体最大の免疫器官といわれます。そのため免疫力を高めるには、腸のコンディショニングが欠かせません。免疫力を高める食べ物とはすなわち「腸が喜ぶ食べ物」といえます。

●多種多様な腸内細菌が免疫力のカギ

多種多様な腸内細菌が免疫力のカギ 多種多様な腸内細菌が免疫力のカギ

私たちの腸には1000種類以上、約100兆個もの腸内細菌が生息しています。これらの腸内細菌は腸壁のすぐ下にグループごとに群れをつくって密集し、その様子がまるで花畑のように見えることから、「腸内フローラ」あるいは「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と呼ばれます。

腸内細菌は大きく分けて体にプラスの働きをする「善玉菌」、体に悪い影響を及ぼす「悪玉菌」、そのどちらでもない「日和見菌」の3種類があります。腸が最大限にその働きを発揮するためには、これらの腸内細菌がバランスよく腸内に存在していることが大事です。

腸内フローラのバランスを改善する“善玉菌” 腸内フローラのバランスを改善する“善玉菌”

悪玉菌が腸内で増え過ぎてしまうと、体に有害な物質をつくり出し、下痢や便秘、病気などを引き起こします。日和見菌はその時々で優勢なほうの菌に味方するので、腸内環境を常に善玉菌優勢の状態に保つことが大切です。

また、腸内細菌の多様性(種類が多いこと)も重要です。多種多様な菌が存在することで細菌が協力して働き、ダメージに負けない力強い腸となります。

(2)免疫力のアップに!腸内フローラを育てる食べ物・栄養を知っておこう

納豆やヨーグルトが免疫力にいいと聞けば、そればかり食べ続ける人がいますが、実はあまり効果的ではありません。善玉菌にも様々なタイプがあり、その菌が合うか合わないかも人それぞれ。「ばっかり食べ」ではなく、多品目の食事から多様性に富んだ善玉菌を育てることが大切です。いつも同じようなものばかり食べている自覚のある人は、食品のバリエーションを増やすことを第一に心がけましょう。

●水溶性食物繊維

水溶性食物繊維 水溶性食物繊維

腸内の善玉菌は食物繊維をエサにして「短鎖脂肪酸」と呼ばれる体によい働きをする物質をつくり出します。短鎖脂肪酸は有害な細菌の繁殖を防いだり、腸のバリア機能を高めたりして、免疫力アップをはじめ健康に役立つ様々な働きをします。

食物繊維の中でも、水に溶ける水溶性食物繊維は、腸の中で水分を含んでゲル状になり、便を軟らかくして便通をよくしてくれます。不溶性食物繊維に比べて摂取が難しいので、意識して摂るようにしましょう。

【水溶性食物繊維を多く含む食品】
海藻
寒天 もずく めかぶ ひじき 昆布 わかめ など

野菜
ごぼう アボカド 春菊 モロヘイヤ オクラ など

果物
キウイ バナナ いちご もも りんご など

その他
納豆 きな粉 大麦(押し麦) もち麦 なめこ など

●発酵食品

発酵食品 発酵食品

発酵とは、微生物が有機物を分解して体によい働きをする物質をつくり出したり、食品にうまみや風味を加えたりする働きをいいます。

発酵食品にはヨーグルト、納豆、ぬか漬け、みそなど数多くあり、これらの食品には乳酸菌や麹(こうじ)菌、納豆菌、酵母菌、酢酸菌などの様々な善玉菌(微生物)が含まれています。これらの菌が腸内で短鎖脂肪酸をつくり出し、腸内を弱酸性にすることで悪玉菌の増殖を抑え、もともと腸内に存在する善玉菌をサポートしてくれます。

サポーターとして摂った善玉菌は腸に定着せずに排泄されてしまうので、発酵食品は毎日摂ることが大事です。多種多様な善玉菌を摂るために、定番の発酵食品を1つ決め、それ以外に2~3種類は摂るようにしましょう。

なお、市販の漬物の中には発酵していないものもあるので注意してください。キムチなら、乳酸発酵させたものを選びましょう。

【発酵食品】
ヨーグルト みそ 納豆 しょうゆ 酢 チーズ ぬか漬け キムチ ピクルス サラミ アンチョビ 塩辛 かつお節 くさや 粕漬け 塩麹 日本酒 焼酎 ワイン パン

●オリゴ糖

オリゴ糖 オリゴ糖

オリゴ糖は腸内で主に善玉菌のビフィズス菌、乳酸菌のエサになり、腸内環境の改善に役立ちます。甘味料としても販売されていますが、過剰に摂ると人によってはお腹が緩くなることもあるので気をつけてください。

【オリゴ糖を多く含む食品】
ヤーコン ごぼう 玉ねぎ ねぎ にんにく バナナ 蒸し大豆 アスパラガス キャベツ トウモロコシ はちみつ

●オメガ3系脂肪酸

オメガ3系脂肪酸 オメガ3系脂肪酸

オメガ3系脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、腸の炎症を鎮め、善玉菌が増えやすい環境を整える効果が期待できます。サンマ、サバ、イワシなどの青魚に含まれるEPA、DHAはその代表ですが、酸化しやすいので、魚なら生で食べるのが最も効果的。食用油の場合も加熱せずにそのままサラダなどにかけて摂りましょう。

【オメガ3系脂肪酸を多く含む食品】
魚の油(EPA、DHA) アマニ油 シソ油 エゴマ

(3)免疫力を高めるために、「食べ方」も工夫しよう

せっかく腸によい食品を摂るなら、食べ方を工夫して、その効果を最大限に活かしたいもの。免疫力アップにつながる食べ方のヒントをご紹介します。

●朝食は抜かない

朝食は抜かない 朝食は抜かない

消化・吸収の働きをコントロールしているのは、自分の意思とは関係なく働く「自律神経」です。自律神経には「お休みモード」の副交感神経と「活動モード」の交感神経の2つがありますが、朝は副交感神経から交感神経に切り替わるタイミングで、そのスイッチとして重要なのが朝食です。

朝食にはまた、私たちに備わる「体内時計」をリセットする意味もあります。体内時計のずれはホルモン分泌や新陳代謝のリズムを狂わせ、結果的に免疫力が落ちてしまいます。さらに、朝食は1日のエネルギー源となるだけでなく、胃腸を刺激してスムーズな排便を促し、腸内環境を整えるために役立ちます。

これまで朝食を摂る習慣のなかった人は、バナナ1本からでもよいので始めてみましょう。バナナは善玉菌のエサとなるオリゴ糖を含み、食物繊維やビタミン、ミネラルも豊富な優秀食材。和食なら、みそ汁1杯からでもOKです。

●発酵食品は夕食で多めに

発酵食品は夕食で多めに 発酵食品は夕食で多めに

発酵食品はいつ摂ってもよいのですが、ベストなタイミングを挙げるなら、夜です。消化・吸収は自律神経のうち「お休みモード」の副交感神経が優位の時に行われます。夜は睡眠に向かって副交感神経が徐々に優位になってくる時間帯なので、腸が活発に働く夕食時に摂るのがより効果的というわけです。

なお、“食べる”という行為は交感神経を刺激するので、食事中は交感神経が優位になります。交感神経が優位なまま眠ると睡眠の質が悪くなったり、睡眠中に行われる消化・吸収に影響して腸内環境が悪化したりするため、夕食は遅くとも就寝の3時間前までには済ませるようにしましょう。腸内環境のことを考えれば、夕食は腹6分くらいが理想です。

●もち麦ご飯を習慣に

もち麦ご飯を習慣に もち麦ご飯を習慣に

健康のために主食を玄米にする人が増えていますが、玄米に含まれる食物繊維の大半は不溶性食物繊維で、善玉菌のエサになる水溶性食物繊維はわずかです。不溶性食物繊維は便のカサを増やし、腸のぜん動運動を活発にする働きがありますが、摂り過ぎると便が硬くなって便秘を悪化させたり、人によってはお腹が痛くなったりすることもあり注意が必要です。

その点、大麦に含まれる食物繊維の3分の2は水溶性食物繊維なので、ご飯に大麦を混ぜて炊いた「大麦ご飯」を主食にすれば、無理なくバランスよく食物繊維を摂ることができます。

大麦には粘り気が少ない「うるち性」と、粘りが強い「もち性」の2種類があります。このうち大麦ご飯に向くのは、もち性の「もち麦」のほうです。モチモチとした食感で、ご飯に混ぜても違和感がありません。また、加工法では、「丸麦」タイプがおすすめです。

●みそ汁は具だくさんに

みそ汁は具だくさんに みそ汁は具だくさんに

みそは日本の代表的な発酵食品。腸内フローラを整えて免疫力を高めたいなら、毎日のみそ汁はぜひ取り入れていただきたい習慣です。その際、善玉菌を増やす水溶性食物繊維が多い具を積極的に加えるようにしましょう。

例えば、わかめなどの海藻類や、なめこ、ごぼう、大根、白菜、ほうれん草、かぼちゃなどです。これらを何種類か組み合わせ、さらに豚肉や卵などのタンパク源も加えれば栄養バランスもアップし、主菜としても通用する一品となります。

さらに効率よく善玉菌を増やすなら、作り置きできる「長生きみそ玉」もおすすめです。


【長生きみそ玉の作り方】
・材料(みそ汁10杯分)
赤みそ…80g、白みそ…80g、玉ねぎすりおろし…150g、りんご酢…大さじ1

〈作り方〉
1. ボウルなどに全ての材料を入れてよく混ぜ合わせる。
2. 10等分するように製氷皿に入れ、2~3時間凍らせれば、みそ玉の完成。
3. みそ玉1個に対して150mLの湯を注げば、長生きみそ汁のでき上がり。

ここがPOINT!
白みそには植物性乳酸菌が多く、玉ねぎに含まれるオリゴ糖、りんご酢に含まれるグルコン酸はどちらも腸内で善玉菌のエサになります。

●お酒を飲む時は、同量の水を

お酒を飲む時は、同量の水を お酒を飲む時は、同量の水を

アルコールは適量を摂取すればリラックスに役立ちますが、飲み過ぎれば交感神経を刺激し、結果的に腸内環境を悪化させ、免疫力を低下させてしまう原因となります。

また、アルコールは腸壁を直接痛めつけ、炎症を引き起こして腸のバリア機能を低下させたり、消化・吸収の働きに影響して悪玉菌の増殖を招いたりすることも。腸の健康のためにも、飲み過ぎには注意が必要です。

こうしたダメージを少しでも少なくする方法として、お酒を飲む時は同量の水を飲むことをおすすめします。脱水による二日酔いの予防になり、飲酒量をある程度抑えることもできるからです。健康を考えてお酒を飲むのはあまり楽しくないかもしれませんが、飲み過ぎが免疫力にも影響することは頭に入れておき、上手に水分を補給しましょう。

(4)まとめ

免疫力には毎日の食生活が大きく影響しています。免疫力アップにつながる食材を使って、食事を楽しみながら、自分の腸内細菌を優しく育む気持ちでケアしていきましょう。