子供に比べると大人は乗り物酔いをしにくいとされます。しかし、大人になっても乗り物酔いに苦しむ人は少なくありません。
通勤や買い物で日々乗り物を利用する人は多く、乗り物酔いは仕事のパフォーマンスや暮らしの質にもかかわるものです。
大人になっても酔ってしまうのにはどのような理由があるのでしょうか。
乗り物酔いを起こす体の仕組みや起こしやすい体質を知り、その対処に役立てましょう。
子供に比べると大人は乗り物酔いをしにくいとされます。しかし、大人になっても乗り物酔いに苦しむ人は少なくありません。
通勤や買い物で日々乗り物を利用する人は多く、乗り物酔いは仕事のパフォーマンスや暮らしの質にもかかわるものです。
大人になっても酔ってしまうのにはどのような理由があるのでしょうか。
乗り物酔いを起こす体の仕組みや起こしやすい体質を知り、その対処に役立てましょう。
乗り物酔いには脳だけでなく、耳や目、鼻、足の筋肉・関節、自律神経といった様々な体の器官がかかわっています。
これらの器官で得た揺れや振動、光やにおいなどの情報は小脳へと届けられます。小脳にある前庭小脳が情報を整理して大脳へと伝達。それを元に大脳が適切な判断を下して体を動かします。
しかし、各器官から送られてくる情報の内容にズレがあると前庭小脳が混乱し、情報の整理・伝達も乱れて大脳が適切な判断を下せなくなります。それが乗り物酔いへとつながるのです。
子供が乗り物酔いしやすいのはこの前庭小脳がまだ成長段階にあり、自律神経も整いにくい状態にあるからです。大人になるにつれ刺激に対する経験値が増え、さらに20歳を過ぎれば前庭小脳の老化が始まって反応が鈍くなることから、乗り物酔いをしにくくなります。
しかし、前庭小脳の反応の強さ・弱さは人それぞれ。睡眠不足、空腹、急ブレーキ・急発進、読書の4つがそろえば大人でも約9割が乗り物酔いするというデータもあり、酔いやすさにはその日の体調や心的・外的要因が影響することが分かっています。
乗り物酔いには脳だけでなく、耳や目、鼻、足の筋肉・関節、自律神経といった様々な体の器官がかかわっています。
これらの器官で得た揺れや振動、光やにおいなどの情報は小脳へと届けられます。小脳にある前庭小脳が情報を整理して大脳へと伝達。それを元に大脳が適切な判断を下して体を動かします。
しかし、各器官から送られてくる情報の内容にズレがあると前庭小脳が混乱し、情報の整理・伝達も乱れて大脳が適切な判断を下せなくなります。それが乗り物酔いへとつながるのです。
子供が乗り物酔いしやすいのはこの前庭小脳がまだ成長段階にあり、自律神経も整いにくい状態にあるからです。大人になるにつれ刺激に対する経験値が増え、さらに20歳を過ぎれば前庭小脳の老化が始まって反応が鈍くなることから、乗り物酔いをしにくくなります。
しかし、前庭小脳の反応の強さ・弱さは人それぞれ。睡眠不足、空腹、急ブレーキ・急発進、読書の4つがそろえば大人でも約9割が乗り物酔いするというデータもあり、酔いやすさにはその日の体調や心的・外的要因が影響することが分かっています。
①アレルギーがある人
アレルギー症状は、その原因となるアレルゲンが体内に入りヒスタミンが放出されることで起こります。アレルギーに深く関与するヒスタミンは脳の嘔吐中枢も刺激するため、ヒスタミンを放出しやすいアレルギー体質の人は乗り物に酔う可能性が高くなります。
②低血圧の人
血圧をコントロールする自律神経の調整能力が弱く血液循環のバランスが保てないと、低血圧になります。低血圧になると脳や消化器への血液のめぐりも不足しがちになり、乗り物酔いを起こしやすくなります。
③便秘や下痢を起こしやすい人
腸の働きも自律神経によってコントロールされています。その一方で、腸内環境がよくなると自律神経も整うなど、相互に影響しあう関係です。腸の調子を崩しがちな人は自律神経も乱れやすく、乗り物酔いをしやすい体質といえます。
一般的に、男性よりも女性のほうが乗り物酔いに悩む人は多いとされていますが、女性は②や③の便秘に当てはまる人が男性よりも多いからと考えられます。①~③に当てはまり、乗り物酔いもひどい場合は、医師に相談しながら体質改善に取り組むとよいでしょう。
また、乗り物酔いをする頻度や症状の重さが突然変わったら耳や脳の病気の可能性があります。「大人になってから酔い始めた」「50歳を過ぎて症状がひどくなった」「急に酔わなくなった」などという方は医療機関で検査を受けるようにしましょう。
①アレルギーがある人
アレルギー症状は、その原因となるアレルゲンが体内に入りヒスタミンが放出されることで起こります。アレルギーに深く関与するヒスタミンは脳の嘔吐中枢も刺激するため、ヒスタミンを放出しやすいアレルギー体質の人は乗り物に酔う可能性が高くなります。
②低血圧の人
血圧をコントロールする自律神経の調整能力が弱く血液循環のバランスが保てないと、低血圧になります。低血圧になると脳や消化器への血液のめぐりも不足しがちになり、乗り物酔いを起こしやすくなります。
③便秘や下痢を起こしやすい人
腸の働きも自律神経によってコントロールされています。その一方で、腸内環境がよくなると自律神経も整うなど、相互に影響しあう関係です。腸の調子を崩しがちな人は自律神経も乱れやすく、乗り物酔いをしやすい体質といえます。
一般的に、男性よりも女性のほうが乗り物酔いに悩む人は多いとされていますが、女性は②や③の便秘に当てはまる人が男性よりも多いからと考えられます。①~③に当てはまり、乗り物酔いもひどい場合は、医師に相談しながら体質改善に取り組むとよいでしょう。
また、乗り物酔いをする頻度や症状の重さが突然変わったら耳や脳の病気の可能性があります。「大人になってから酔い始めた」「50歳を過ぎて症状がひどくなった」「急に酔わなくなった」などという方は医療機関で検査を受けるようにしましょう。
大人も子供も乗り物酔いの対処法は基本的に同じで、その1つが乗り物酔いの薬をのむことです。薬自体の効き目に加えて、薬をのんだという安心感も心理的な負担を軽減し、酔い止めに効果があります。
乗り物酔いにはヒスタミンが関与するため、日本で販売されている乗り物酔いの薬の多くは抗ヒスタミン薬がベースになっています。抗ヒスタミン薬には自律神経の働きを調整し、嘔吐中枢への刺激を抑える作用があります。ただし、眠気が出やすくなるので服用後の自動車運転などには注意してください。
抗ヒスタミン薬は子供がのんでも問題ありませんが、大人用と子供用の薬では成分の比率が異なり効き目も変わります。対象年齢をしっかりと確認し、正しく服用してください。錠剤、ドリンク剤、チュアブル錠等があり、酔ってからのめるものもあります。子供用は味や香りを工夫しているものが多いので、子供の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
大人用も子供用も、予防のためにのむ場合は乗り物に乗る30分~1時間前にのみましょう。空腹でのんでも問題ありませんが、空腹も乗り物酔いの原因の1つ。消化のよい食事で軽くお腹を満たしておくのがおすすめです。
大人も子供も乗り物酔いの対処法は基本的に同じで、その1つが乗り物酔いの薬をのむことです。薬自体の効き目に加えて、薬をのんだという安心感も心理的な負担を軽減し、酔い止めに効果があります。
乗り物酔いにはヒスタミンが関与するため、日本で販売されている乗り物酔いの薬の多くは抗ヒスタミン薬がベースになっています。抗ヒスタミン薬には自律神経の働きを調整し、嘔吐中枢への刺激を抑える作用があります。ただし、眠気が出やすくなるので服用後の自動車運転などには注意してください。
抗ヒスタミン薬は子供がのんでも問題ありませんが、大人用と子供用の薬では成分の比率が異なり効き目も変わります。対象年齢をしっかりと確認し、正しく服用してください。錠剤、ドリンク剤、チュアブル錠等があり、酔ってからのめるものもあります。子供用は味や香りを工夫しているものが多いので、子供の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。
大人用も子供用も、予防のためにのむ場合は乗り物に乗る30分~1時間前にのみましょう。空腹でのんでも問題ありませんが、空腹も乗り物酔いの原因の1つ。消化のよい食事で軽くお腹を満たしておくのがおすすめです。
川越耳科学クリニック院長
坂田 英明(さかた・ひであき)先生
耳鼻科医。埼玉医科大学医学部卒業後、目白大学保健医療学部教授等を経て、2015年に耳鳴り・めまい・難聴の治療を主にした川越耳科学クリニックを開設。YouTube「めまいにさよなら」でも情報を発信。
川越耳科学クリニック院長
坂田 英明(さかた・ひであき)先生
耳鼻科医。埼玉医科大学医学部卒業後、目白大学保健医療学部教授等を経て、2015年に耳鳴り・めまい・難聴の治療を主にした川越耳科学クリニックを開設。YouTube「めまいにさよなら」でも情報を発信。