ニュージーランドは北島と南島から構成されているが、各地域のライバル意識は強い。
ニュージーランドの国内ラグビーでは、南北合わせて14の各地方代表が「地方代表選手権」(Bunnings Warehouse NPC)を争っている。
イメージとしては、地方代表で活躍を見せてからスーパーラグビーへと舞台を移し、そこからさらにオールブラックスへの階段を上っていくというわけだ。
つまり、オールブラックスは各地方の優れたメンバーの集合体なのだ。
選手たちは地方代表としてのプライドを持ち、国内ではライバル意識を燃やしつつ、オールブラックスの一員となれば、最高のチームを作るべく結束するのである。
ニュージーランドは北島と南島から構成されているが、各地域のライバル意識は強い。
ニュージーランドの国内ラグビーでは、南北合わせて14の各地方代表が「地方代表選手権」(Bunnings Warehouse NPC)を争っている。
イメージとしては、地方代表で活躍を見せてからスーパーラグビーへと舞台を移し、そこからさらにオールブラックスへの階段を上っていくというわけだ。
つまり、オールブラックスは各地方の優れたメンバーの集合体なのだ。
選手たちは地方代表としてのプライドを持ち、国内ではライバル意識を燃やしつつ、オールブラックスの一員となれば、最高のチームを作るべく結束するのである。
ブロディ・レタリック(ホークス・ベイ)
ブロディ・レタリック(ホークス・ベイ)
T・J・ペレナラ(ウェリントン)
T・J・ペレナラ(ウェリントン)
アーロン・スミス(マナワツ)
アーロン・スミス(マナワツ)
ボーデン・バレット(タラナキ)
ボーデン・バレット(タラナキ)
アーディー・サヴェア(ウェリントン)
アーディー・サヴェア(ウェリントン)
リーコ・イオアネ(オークランド)
リーコ・イオアネ(オークランド)
サミュエル・ホワイトロック(カンタベリー)
サミュエル・ホワイトロック(カンタベリー)
イーサン・ブラッカダー(タスマン)
イーサン・ブラッカダー(タスマン)
ウィル・ジョーダン(タスマン)
ウィル・ジョーダン(タスマン)
※( )内は出身地方代表
※( )内は出身地方代表
毎年、オールブラックスは冬にその活動を開始する。
とはいっても、カレンダーの6月。北半球と南半球では季節が正反対だから、北半球で「サマーテスト」と呼ばれる6月から7月のテストマッチで、新しいメンバーが発表されるのだ。
通例では、この時期は北半球の国をニュージーランドに迎えてテストマッチを数試合戦う。試合中、選手たちが白い息を吐くのは、この時期の風物詩といえる。
そして8月からは、南半球のライバル、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンとの「ラグビー・チャンピオンシップ」が行われ、シーズンは佳境に入っていく。南半球では、ちょうど冬から春にかけての時期であり、メンバーのコンビネーションも熟成期に入ってチーム力がグンとアップする時期だ。
そして10月から11月にかけては、今度はオールブラックスが北半球に遠征する「オータムテスト」が行われる。
過去には、この時期に日本代表とのテストマッチが組まれるなど、北半球各国との力比べが行われる。
2021年、オールブラックスのテストマッチの成績は12勝3敗。
常に世界の目標とされるチームであることに、変わりはない
毎年、オールブラックスは冬にその活動を開始する。
とはいっても、カレンダーの6月。北半球と南半球では季節が正反対だから、北半球で「サマーテスト」と呼ばれる6月から7月のテストマッチで、新しいメンバーが発表されるのだ。
通例では、この時期は北半球の国をニュージーランドに迎えてテストマッチを数試合戦う。試合中、選手たちが白い息を吐くのは、この時期の風物詩といえる。
そして8月からは、南半球のライバル、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンとの「ラグビー・チャンピオンシップ」が行われ、シーズンは佳境に入っていく。南半球では、ちょうど冬から春にかけての時期であり、メンバーのコンビネーションも熟成期に入ってチーム力がグンとアップする時期だ。
そして10月から11月にかけては、今度はオールブラックスが北半球に遠征する「オータムテスト」が行われる。
過去には、この時期に日本代表とのテストマッチが組まれるなど、北半球各国との力比べが行われる。
2021年、オールブラックスのテストマッチの成績は12勝3敗。
常に世界の目標とされるチームであることに、変わりはない
オールブラックスの監督を歴任者のなかでも、グラハム・ヘンリーとスティーブ・ハンセンのふたりは特別な地位を占めている。
ワールドカップが始まった1987年以降、世界のラグビー史を振り返ってみると、オールブラックスは常に先頭を走りながらも、1987年の第1回大会で優勝して以来、1990年代、2000年代と世界の頂点に手が届かなかった。
しかし地元ニュージーランドで開催された2011年の大会、ヘンリーはダン・カーターをはじめスタンドオフの3人をケガで欠きながらも、チームをまとめあげ、24年ぶりの優勝に導いだ。
また、ヘンリーは1989年に来日、早稲田大学をコーチし、独創的な戦術を伝授して大学日本一の獲得の基盤を作ったことでも知られる。
ヘンリーの後継者として2012年から監督の座に就いたのがハンセンである。
2019年までに退任するまでの8年間、93勝10敗4分けという圧倒的な結果を残し、2015年には史上初のワールドカップの連覇に導いた。
ふたりに共通するのは、マネージメント手腕に秀でているだけでなく、常に探求心を怠らず、チームを活性化させたこと。
勝つだけにとどまらず、エキサイティングで魅力的なラグビーを見せたことは、オールブラックスの財産となった。
オールブラックスの監督を歴任者のなかでも、グラハム・ヘンリーとスティーブ・ハンセンのふたりは特別な地位を占めている。
ワールドカップが始まった1987年以降、世界のラグビー史を振り返ってみると、オールブラックスは常に先頭を走りながらも、1987年の第1回大会で優勝して以来、1990年代、2000年代と世界の頂点に手が届かなかった。
しかし地元ニュージーランドで開催された2011年の大会、ヘンリーはダン・カーターをはじめスタンドオフの3人をケガで欠きながらも、チームをまとめあげ、24年ぶりの優勝に導いだ。
また、ヘンリーは1989年に来日、早稲田大学をコーチし、独創的な戦術を伝授して大学日本一の獲得の基盤を作ったことでも知られる。
ヘンリーの後継者として2012年から監督の座に就いたのがハンセンである。
2019年までに退任するまでの8年間、93勝10敗4分けという圧倒的な結果を残し、2015年には史上初のワールドカップの連覇に導いた。
ふたりに共通するのは、マネージメント手腕に秀でているだけでなく、常に探求心を怠らず、チームを活性化させたこと。
勝つだけにとどまらず、エキサイティングで魅力的なラグビーを見せたことは、オールブラックスの財産となった。
オールブラックスの魅力のひとつに挙げられるのが、「カウンターアタック」だ。
相手の持ち込んだボールをターンオーバーした後や、相手キックからオールブラックスのカウンターアタックが始まる時は、ワクワクする。信じられないようなプレーからトライが生まれ、興奮と恍惚がスタジアムを包む。
なぜ、華麗なカウンターアタックが可能なのか?
2015年まで司令塔を務めたダン・カーターがその秘密を教えてくれた。
「ラグビーには、スクラムやラインアウトといった『ストラクチャー』と呼ばれるセットプレーの局面が50%、そしてキックの蹴り合いになったりする『アンストラクチャー』と呼ばれる局面も50%ある。オールブラックスの選手たちは、アンストラクチャーの局面でのカウンターアタックを仕掛けるのが、本当に大好きなんだ」
スクラム、ラインアウトは練習でも同じ局面を作るのが可能だが、アンストラクチャーは同じ局面は絶対に訪れない。それだけにミスが起きるリスクも高いが、選手たちはどんな決まりを共有して攻めるのだろうか。
「相手からのキックをキャッチしたとする。どうするか? カウンターアタックの極意は、スペースがあるかどうかを探すことなんだ。ニュージーランドの選手たちは、スペース感覚が優れていて、みんなが一瞬にしてどのスペースが空いているか、離れていても感覚を共有できる。もちろん、そのためには大きな声を出して、コミュニケーションを図っている。カウンターアタックが成功した時は、本当に気持ちがいい。それこそが僕たちが表現したいラグビーそのものだからね」
感覚とコミュニケーションによる選手同士のつながりが、オールブラックスの魅力的な表現を生んでいるのだ。
オールブラックスの魅力のひとつに挙げられるのが、「カウンターアタック」だ。
相手の持ち込んだボールをターンオーバーした後や、相手キックからオールブラックスのカウンターアタックが始まる時は、ワクワクする。信じられないようなプレーからトライが生まれ、興奮と恍惚がスタジアムを包む。
なぜ、華麗なカウンターアタックが可能なのか?
2015年まで司令塔を務めたダン・カーターがその秘密を教えてくれた。
「ラグビーには、スクラムやラインアウトといった『ストラクチャー』と呼ばれるセットプレーの局面が50%、そしてキックの蹴り合いになったりする『アンストラクチャー』と呼ばれる局面も50%ある。オールブラックスの選手たちは、アンストラクチャーの局面でのカウンターアタックを仕掛けるのが、本当に大好きなんだ」
スクラム、ラインアウトは練習でも同じ局面を作るのが可能だが、アンストラクチャーは同じ局面は絶対に訪れない。それだけにミスが起きるリスクも高いが、選手たちはどんな決まりを共有して攻めるのだろうか。
「相手からのキックをキャッチしたとする。どうするか? カウンターアタックの極意は、スペースがあるかどうかを探すことなんだ。ニュージーランドの選手たちは、スペース感覚が優れていて、みんなが一瞬にしてどのスペースが空いているか、離れていても感覚を共有できる。もちろん、そのためには大きな声を出して、コミュニケーションを図っている。カウンターアタックが成功した時は、本当に気持ちがいい。それこそが僕たちが表現したいラグビーそのものだからね」
感覚とコミュニケーションによる選手同士のつながりが、オールブラックスの魅力的な表現を生んでいるのだ。
Written by 生島淳(スポーツライター)
Written by 生島淳(スポーツライター)