「腰が重い・だるい」を解消するコンディショニング

「腰がだるい」を解消するコンディショニング。 腰痛予防にも。 「腰がだるい」を解消するコンディショニング。 腰痛予防にも。

デスクワークの人も、立ち仕事の人も、長時間同じ姿勢でいると、腰のあたりが重だるくなります。

この状態を放っておくと、いずれは腰痛に。

車や電車などで長距離移動の時も、体を動かせずつらいですよね。

腰痛は筋肉の過緊張が原因で起こり、肩こりに次ぐ、第二の「国民病」と呼ばれています。

今回は、「腰痛」の原因とセルフケアについて、一流アスリートのコンディショニングトレーナーを務める、有吉与志恵先生に詳しく教えていただきました。

<監修>
一般社団法人日本コンディショニング協会
有吉与志恵先生(運動指導者)
解剖学、運動生理学、東洋医学の考え方を取り入れ、“筋肉を鍛えるよりも整える”ことで姿勢と体調を改善できる、「コンディショニングメソッド」を確立。陸上、クライミング、テニスをはじめとする日本代表アスリート、経営者、政治家、タレントなどを含む、のべ1万人以上のトレーニング、美容、健康づくりを指導。著書に、『強くなるコアトレ ランナーのためのコンディショニング(ベースボール・マガジン社)』など多数。

筋肉のコリは「ぎっくり腰」の原因に

有名な腰痛の1つに「ぎっくり腰」がありますが、まさに筋肉のコリ(過緊張)が原因です。

腰にある筋肉を酷使し、「これ以上頑張れない」状態で無理やり大きな動きをさせると、鋭い痛みで体に知らせてくれるのです。

ぎっくり腰を繰り返していると、背骨と背骨の間にある椎間板をつぶしてしまう「椎間板ヘルニア」や、背骨と背骨をつなぐ腱や靭帯、筋肉が悲鳴をあげる「すべり症」「分離症」に繋がります。

これはスポーツなどの過度な負担によって、他の骨の場合なら「疲労骨折」と言われる状態まで酷使したものと考えられます。

このように腰痛を起こすと、生活に大きな支障を生み出します。

腰の重だるさは腰痛の兆し。
早めのケアが必要なのです。

筋肉のコリは「ぎっくり腰」の原因に 筋肉のコリは「ぎっくり腰」の原因に

腰痛の予防には「正しい呼吸」が必要!

腰痛の予防には「正しい呼吸」が必要! 腰痛の予防には「正しい呼吸」が必要!

腰の筋肉の過緊張を軽減するには、姿勢が重要になります。

背中が丸くなるとその分、負担も大きくなります。

そもそも、なぜ背中が丸くなるのでしょうか?

それは、多裂筋や骨盤底筋群などの「姿勢筋」がきちんと働いていないからです。

これでは腰の筋肉に負担がかかってしまいます。

では、姿勢筋はどのようにするときちんと働いてくれると思いますか?

正解は「正しい呼吸」。
意外ですよね?

息を大きく吸った時、お腹のどこが膨らみますか?

「前」に膨らむのはNGです。

正しい呼吸は、息を吸った時に「横」に膨らむのです。

呼吸の主役となる「横隔膜」は「腹横筋」というお腹の奥にある筋肉が動かしています。

腹横筋は息を吸う時横に膨らむ筋肉です。

しかし、日常の動作や姿勢のクセにより筋肉に歪みが生じると、腹横筋がサボりがちになり、腹直筋(腹筋)など他の筋肉が代わりに働いてしまうのです。

腹横筋の働き次第で「ぽっこりお腹」に!?

ちなみに、腹横筋が働かなくなるとお腹回りに脂肪がつきやすくなりますし、腹横筋と連動している骨盤底筋群も働かなくなるため、内臓が沈み、ぽっこりお腹の原因にもなってしまいます。

呼吸の際にお腹が横に膨らまなくなっている人は、腹横筋がサボることにより、本来の働きを忘れてしまっているのです。

この腹横筋は、「多裂筋」や「骨盤底筋群」といった姿勢筋も動かしているので、腹横筋がサボりだすと姿勢筋にも影響。

腰の筋肉に負担をかけ、腰の重だるさ(コリ)につながってしまいます。

そこで、コンディショニングの出番です!

コンディショニングの基本メソッド

コンディショニングは近年注目されている疲労解消メソッドの1つ。

日々の疲れを癒すためにコンディショニングを活用するオフィスワーカーも増えてきています。

コンディショニングは「体調改善運動」とも呼ばれ、場所や服装を選ばず、日常の中で、いつでも、どこでもできる運動法で、仕事や家事の合間に手軽にできるのが特徴です。

「リセットコンディショニング」は日常生活の動きや姿勢のクセで筋肉のバランスが崩れ、骨格の歪みによって硬くなった筋肉(コリ・ハリ)の弾力を取り戻し、歪みのない本来の体に導きます。

一方、「アクティブコンディショニング」では骨格の歪みによって使えていなかった筋肉を再教育し、日常姿勢や動作を改善することで、質の高い筋肉を目指します。

筋肉というのはコリやハリがあると、機能が低下し、本来の働き(動き)を忘れてしまうものなのです。

「リセット」の後に「アクティブ」を行い、2つのメソッドの組み合わせるのがコンディショニングの基本。

2つのメソッドをぜひ実践して、腰の重だるさの根本改善を目指しましょう!

「リセットコンディショニング」で、 腰回りの硬くなった筋肉を改善!

肋骨の下~脇腹を上下にさする 肋骨の下~脇腹を上下にさする

腰痛予防におすすめのリセットコンディショニングとして、今回は「胸郭下部リセット」というメソッドをご紹介します。

まず、親指と残りの4本の指でL字型をつくり、その角を肋骨の下の方にあて、肋骨に少し圧をかけながら上下にさすります。

続いて、親指を腰のこっている部分(硬いまたは圧して痛いと感じる箇所)を圧さえます。

肋骨の下を骨盤に近づけるように 肋骨の下を骨盤に近づけるように

次に身体を左右交互に倒します。
肋骨の下を骨盤に近づけるようなイメージです。

リセットは回数を問わず繰り返し行い、「硬さがとれた」「腰がスッキリした」など、変化を感じられたら終了です。

「アクティブコンディショニング」で、 腰痛になりにくい筋肉に整えよう!

吐く時は両手でお腹をえぐる感じ 息を吸うと横腹が膨らむことを確認 吐く時は両手でお腹をえぐる感じ 息を吸うと横腹が膨らむことを確認

次に、「正しい呼吸」で、「アブブレス」と「ストロングブレス」いうアクティブコンディショニングを行います。

まずは「アブブレス」から。

背筋を伸ばし、脚を閉じ、両手で横腹に圧を加えながら息を吐きます。
(吐く力は60〜70%程度)

これを何度か繰り返します。

続いて、「ストロングブレス」。

両手で圧を加えながら、ハッハッハッハッハッーと5回に分けて小刻みに強く吐きます。
(吐く力は80%〜100%)

お腹がちゃんと横に膨らむようになったでしょうか?

背筋が伸びた感覚が得られたら、筋肉がちゃんと整った証拠です。

長距離移動や仕事の合い間に「腰が張ってきたな」と思ったら、ぜひ行ってみてください。

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