“健康寿命”という言葉をご存じでしょうか?
医療技術の進歩や生活改善などのおかげもあり、日本は多くの方が長生きできる時代になりました。
しかし、年齢を重ねるにつれ体力は落ち、病気にかかりやすくなったり、ちょっとしたことで怪我してしまったりと、身体的な不安も抱えやすくなります。
そのため、平均寿命が延びると同時に
「年齢を重ねても、健康のまま生活を満喫したい」
と願う方が増えるようになりました。
そんな高齢化社会が進む日本では、“フレイル”という概念が提唱され、フレイルを予防、もしくはフレイルから回復することで健康な状態で人生を謳歌しようという考えが広まってきています。
<監修>
三戸 一晃
専門は手外科、整形外科外傷・一般、骨粗鬆症。
2003年慶應義塾大学医学部卒業。同年、同大整形外科学教室入局。
その後、数々の3次救急病院にて研修を行った。2016年より済生会横浜市東部病院医長、2017年より藤田医科大学講師。現在はスタンフォード大学整形外科に所属。
(経歴は2022年5月現在)
“健康寿命”という言葉をご存じでしょうか?
医療技術の進歩や生活改善などのおかげもあり、日本は多くの方が長生きできる時代になりました。
しかし、年齢を重ねるにつれ体力は落ち、病気にかかりやすくなったり、ちょっとしたことで怪我してしまったりと、身体的な不安も抱えやすくなります。
そのため、平均寿命が延びると同時に
「年齢を重ねても、健康のまま生活を満喫したい」
と願う方が増えるようになりました。
そんな高齢化社会が進む日本では、“フレイル”という概念が提唱され、フレイルを予防、もしくはフレイルから回復することで健康な状態で人生を謳歌しようという考えが広まってきています。
<監修>
三戸 一晃
専門は手外科、整形外科外傷・一般、骨粗鬆症。
2003年慶應義塾大学医学部卒業。同年、同大整形外科学教室入局。
その後、数々の3次救急病院にて研修を行った。2016年より済生会横浜市東部病院医長、2017年より藤田医科大学講師。現在はスタンフォード大学整形外科に所属。
(経歴は2022年5月現在)
壊れやすい荷物に、「Fragile(フラジール)」とタグがついていたりするのをご覧になったことはありませんか?
英語でモノの壊れやすさを「Fragility(フラジリティ)」といいます。
一方、似た言葉で人間の身体的、精神的な脆さを「Frailty(フレイルティ)」といいます。
これらの言葉を日本語化したものを“フレイル(虚弱)”というようになったのです。
“フレイル”は2014年に日本老年医学会が、高齢化が進む社会背景を踏まえて提唱した概念で、“健康と要介護状態の中間の状態”と定義されることもあります。
なお、フレイルは“身体的な衰弱”だけでなく、“精神的に弱った状態”や、“社会的な孤立”なども含む概念です。
なぜなら、身体的な不健康状態である身体的フレイルは、その他のトラブルを引き起こす原因ともなり得るからです。
例えば、足の怪我をしてから遠出をすることができなくなったとします。
それに伴い自立した生活に自信を失ってしまい、ご近所付き合いも減り、自宅内に閉じこもりがちになる。
これらは、身体的フレイルから精神的フレイル、社会的フレイルと、3つのフレイルが連鎖的に生じてしまった例です。
“フレイルに陥らず、いくつになっても元気で暮らしていきたい”という願いを実現するためには、まず、“身体的フレイルからどう身を守るか”を意識して対処することが重要なのです。
壊れやすい荷物に、「Fragile(フラジール)」とタグがついていたりするのをご覧になったことはありませんか?
英語でモノの壊れやすさを「Fragility(フラジリティ)」といいます。
一方、似た言葉で人間の身体的、精神的な脆さを「Frailty(フレイルティ)」といいます。
これらの言葉を日本語化したものを“フレイル(虚弱)”というようになったのです。
“フレイル”は2014年に日本老年医学会が、高齢化が進む社会背景を踏まえて提唱した概念で、“健康と要介護状態の中間の状態”と定義されることもあります。
なお、フレイルは“身体的な衰弱”だけでなく、“精神的に弱った状態”や、“社会的な孤立”なども含む概念です。
なぜなら、身体的な不健康状態である身体的フレイルは、その他のトラブルを引き起こす原因ともなり得るからです。
例えば、足の怪我をしてから遠出をすることができなくなったとします。
それに伴い自立した生活に自信を失ってしまい、ご近所付き合いも減り、自宅内に閉じこもりがちになる。
これらは、身体的フレイルから精神的フレイル、社会的フレイルと、3つのフレイルが連鎖的に生じてしまった例です。
“フレイルに陥らず、いくつになっても元気で暮らしていきたい”という願いを実現するためには、まず、“身体的フレイルからどう身を守るか”を意識して対処することが重要なのです。
フレイルかどうかを判断するには、国立長寿医療研究センターでは以下の5項目を使用することが提唱されています。
1. 体重減少:6カ月間で2kg以上の(意図しない)体重減少
2. 筋力低下:(握力)男性26kg未満、女性18kg未満
3. 疲労感 :(ここ2週間)理由もなく疲れたような感じがする
4. 歩行速度:通常歩行速度が1.0m/秒未満
5. 身体活動:①軽い運動・体操
②定期的な運動・スポーツ
いずれも「週に1回もしてない」
これらのうち、3つ以上の項目に該当すればフレイルと診断されます。
※1~2つ該当する場合は、プレフレイル(フレイルの前段階)
この診断項目は介護支援事業の場でも用いられていたり、健康的な街作りを展開していたりする自治体もあります。
フレイルかどうかを判断するには、国立長寿医療研究センターでは以下の5項目を使用することが提唱されています。
1. 体重減少:6カ月間で2kg以上の(意図しない)体重減少
2. 筋力低下:(握力)男性26kg未満、女性18kg未満
3. 疲労感 :(ここ2週間)理由もなく疲れたような感じがする
4. 歩行速度:通常歩行速度が1.0m/秒未満
5. 身体活動:①軽い運動・体操
②定期的な運動・スポーツ
いずれも「週に1回もしてない」
これらのうち、3つ以上の項目に該当すればフレイルと診断されます。
※1~2つ該当する場合は、プレフレイル(フレイルの前段階)
この診断項目は介護支援事業の場でも用いられていたり、健康的な街作りを展開していたりする自治体もあります。
ここまでの情報をご覧になったあなたは、「どうしたらいいの?」と不安になってしまったかもしれません。
確かに“年齢”という抗えない時の流れはありますが、フレイルには“可逆的である”という特徴があります。
つまり、一旦フレイルに陥ったとしても方法によっては、元の健康的な状態に復帰できるということ。
その方法を十分に理解していただくために、これからご紹介する“フレイルが起きる循環”をしっかりご覧ください。
まず、フレイルはいくつかの要因がサークル状にお互い関係しています。
その主要な要因とは、筋力低下、活動量低下、食事量の減少、低栄養の4つで、これらが悪循環を生みだします。
ここまでの情報をご覧になったあなたは、「どうしたらいいの?」と不安になってしまったかもしれません。
確かに“年齢”という抗えない時の流れはありますが、フレイルには“可逆的である”という特徴があります。
つまり、一旦フレイルに陥ったとしても方法によっては、元の健康的な状態に復帰できるということ。
その方法を十分に理解していただくために、これからご紹介する“フレイルが起きる循環”をしっかりご覧ください。
まず、フレイルはいくつかの要因がサークル状にお互い関係しています。
その主要な要因とは、筋力低下、活動量低下、食事量の減少、低栄養の4つで、これらが悪循環を生みだします。
フレイルから回復すること、また予防するにはこれらを意識し、原因となるものに日々対応していくことが必要です。
具体的には、疾患予防、持病の管理、運動・栄養管理が重要になってきます。
日々の生活の中で“運動する時間を作り、しっかりと栄養を摂ること”を意識し、病気になりづらい身体作りを目指すことがフレイル予防に繋がります。
フレイルから回復すること、また予防するにはこれらを意識し、原因となるものに日々対応していくことが必要です。
具体的には、疾患予防、持病の管理、運動・栄養管理が重要になってきます。
日々の生活の中で“運動する時間を作り、しっかりと栄養を摂ること”を意識し、病気になりづらい身体作りを目指すことがフレイル予防に繋がります。
フレイル予防に効果的な食事には、筋力低下を予防できる、同時に豊富に栄養素を得られるものを意識することが大切です。
筋肉合成には、タンパク質、筋肉の運動に必要な必須アミノ酸であるBCAA(分岐鎖アミノ酸)、筋肉を支える骨にはカルシウム、カルシウムの吸収、骨の形成に必要なビタミンDなどを十分摂取できるようなレシピが理想的です。
フレイル予防に効果的な食事には、筋力低下を予防できる、同時に豊富に栄養素を得られるものを意識することが大切です。
筋肉合成には、タンパク質、筋肉の運動に必要な必須アミノ酸であるBCAA(分岐鎖アミノ酸)、筋肉を支える骨にはカルシウム、カルシウムの吸収、骨の形成に必要なビタミンDなどを十分摂取できるようなレシピが理想的です。
タンパク質が豊富に含まれているのは、肉、魚、乳製品、豆類など。
カルシウムが豊富なのは小魚、牛乳などで、ビタミンDは魚やきのこ類に多く含まれています。
これらの食材を日々の献立に積極的に取り入れ、バランス良く栄養を摂取することを意識しましょう。
牛乳の摂取量が少ないようなら、ミルク煮などの新しい調理法を取り入れてみたり、日々のレシピに小魚を添えたりすることを意識するのもおすすめです。
また、朝昼晩三食の栄養にバラつきをなくし、自分に必要な摂取エネルギーがしっかり毎日摂れているか、一度見直してみるのも良いかもしれません。
タンパク質が豊富に含まれているのは、肉、魚、乳製品、豆類など。
カルシウムが豊富なのは小魚、牛乳などで、ビタミンDは魚やきのこ類に多く含まれています。
これらの食材を日々の献立に積極的に取り入れ、バランス良く栄養を摂取することを意識しましょう。
牛乳の摂取量が少ないようなら、ミルク煮などの新しい調理法を取り入れてみたり、日々のレシピに小魚を添えたりすることを意識するのもおすすめです。
また、朝昼晩三食の栄養にバラつきをなくし、自分に必要な摂取エネルギーがしっかり毎日摂れているか、一度見直してみるのも良いかもしれません。
フレイル予防には、高い消費エネルギーを要する激しい運動は必要とされていません。
ご近所を散歩してみる、いつもエレベーターやエスカレーターを使うところを週二回は階段を使ってみるなど、意志が強くなければ続けられないような強い運動でなく、年単位で長く継続できるような軽い運動を取り入れるのがおすすめです。
日本整形外科学会では、“ロコトレ”という身体機能を維持するための運動が提唱されており、「片脚立ち」、「スクワット」といった運動が取り入れられています。
このような運動を、朝一日一回行うといったことも有効でしょう。
フレイル予防には、高い消費エネルギーを要する激しい運動は必要とされていません。
ご近所を散歩してみる、いつもエレベーターやエスカレーターを使うところを週二回は階段を使ってみるなど、意志が強くなければ続けられないような強い運動でなく、年単位で長く継続できるような軽い運動を取り入れるのがおすすめです。
日本整形外科学会では、“ロコトレ”という身体機能を維持するための運動が提唱されており、「片脚立ち」、「スクワット」といった運動が取り入れられています。
このような運動を、朝一日一回行うといったことも有効でしょう。
今は健康な方でも、数年、数十年後を想像すれば、“人生元気で楽しく長くやっていきたい”と思う方は多いのではないでしょうか?
そのためには、“フレイルに陥ることのない生活づくり”が大切です。
今一度、ご自身の日々の運動、食事内容を見直してみませんか?
今は健康な方でも、数年、数十年後を想像すれば、“人生元気で楽しく長くやっていきたい”と思う方は多いのではないでしょうか?
そのためには、“フレイルに陥ることのない生活づくり”が大切です。
今一度、ご自身の日々の運動、食事内容を見直してみませんか?