2020.2.14
リポD SPACE PROJECT発足発表会
2月14日、宇宙開発を目指してがんばる人々を応援するプロジェクト「リポD SPACE PROJECT」の発足発表会を日本科学未来館で行いました。
プロジェクトの説明後、第2部では、応援の力をテーマにしたトークセッションを行いました。
JAXA宇宙科学研究所はやぶさ2プロジェクトチーム津田雄一プロジェクトマネージャ(写真向かって右)とNEC宇宙システム事業部小湊 隆 マネージャ(写真向かって左)による対談をご紹介します。
“応援の力”が 未来への挑戦を加速する
先代「はやぶさ」から学んだこと
<津田氏>
小惑星探査機「はやぶさ2」は、「はやぶさ」で起きたいろいろなことを教訓として設計・運用されています。
先代から学んだことで一番重要なことは「想定外を想定する」ということです。
誰も行ったことがないところへ行くわけですから、想定が外れたときも含めてきちんと計画しておくことが重要なのです。
そしてそれも含めて一般の方々に発信していくことが重要だと思っています。
<小湊氏>
「はやぶさ」という一つの 探査機ができ上がるとき、それに関係している人は何百人といるわけです。
そういった人の成果の上で探査機ができ上がっていると思うとき、チームの重要さを感じます。
<津田氏>
「はやぶさ」から学んだことは「挑戦の心」でしょうか。
宇宙開発では計画通りにいくかどうかで評価されます。
しかし、「はやぶさ」は世界ではじめてのことを行う。
そこへ挑戦することの大切さ、そして挑戦することを皆さんに見せていくことが重要だということを学びました。
「はやぶさ2」では成果が出る過程を見えるようにしました。
それが皆さんからのたくさんの応援につながったと思っています。
<小湊氏>
いま津田さんがおっしゃっていた「挑戦」というところは私もすごく感じます。
世界初のことが目の前で次々に起きていく、その現場に身を置きながら、挑戦することのすごさをひしひしと感じていました。
小惑星探査機「はやぶさ2」を 後押ししているのは、応援の力
<小湊氏>
宇宙の話はなかなか一般の人たちには通じにくいのですが、この「はやぶさ2」の話をすると、多くの人が「頑張ってね」と声をかけてくれます。
それが嬉しいですね。
<津田氏>
ミッションの状況を皆さんに発信することは、我々にもいい影響があるんです。
「はやぶさ2」の場合、2回目のタッチダウンはやるかやらないかで議論になりました。
そんな中で、皆様から「はやぶさ2チームのことは信頼しているから、プロジェクトチームが思った通りにやるべきだ」というご意見をたくさんいただきました。
涙が出るくらい嬉しかったです。
その時は、プロジェクトチームの外まで含めてONE TEAMのようになりましたね。
<小湊氏>
先代「はやぶさ」もいろいろな人が応援してくれました。
こういった応援メッセージは運用室の壁に全て張り出されています。
疲れたりしんどかったりする時にメッセージをみると、ものすごく励まされるんです。
応援の力で、もっと遠くへ…
<津田氏>
私自身はずっと太陽系探査に関わってきました。太陽系探査は太陽系の科学を発展させるためにあると思っています。
でも、「はやぶさ」「はやぶさ2」この2つの探査を通して思ったことは、探査を通して皆さんに元気を提供することができたということです。
次は行っていないところを目指したいですね。
木星よりさらに遠くとか、小惑星帯とか。太陽系に小惑星は86万個もあるのだそうです。
こういうところに行くための探査機を作りたいですね。
<小湊氏>
はい。まだ見たことがない世界に行くためには探査機を作らなければならない。
メーカーの立場としては、そのようなところにいける探査機を日本の技術で作り上げるということに情熱を持って携わっています。
日本、そして世界の宇宙科学の発展に貢献できるようなことをやっていきたいですね。
<津田氏>
子どもたちに向けて「夢を持ちましょう」と言うことは簡単ですが、実際には難しいですよね。
少しでも面白いと思ったものには好奇心を持って深入りしてみる、挑戦してみる、そうするとその先に夢が見つかるのだと思います。
大人ができることは、そういう子どもたちを応援することではないでしょうか。
<小湊氏>
この歳になってもワクワクすることはいっぱいあります。
それは、子どもの時に感じていたワクワク感が今でも続いているのだと思います。
もし今、ワクワク感を感じているお子さんがいたら、その気持ちをずっと大切にして欲しいです。
そういう気持ちから挑戦が生まれてくるはずです。
(2020年2月14日「リポD SPACE PROJECT」発足発表会にて)