Hello Challengers! インタビュー企画 Hello Challengers! インタビュー企画
東京大学大学院教授/「はやぶさ2」チーム 橘省吾 東京大学大学院教授/「はやぶさ2」チーム 橘省吾

Challenger ⑧

Challenger ⑧

始まりを知るための、始まり

始まりを知るための、始まり

東京大学大学院教授 /「はやぶさ2」チーム 橘省吾

東京大学大学院教授 /「はやぶさ2」チーム 橘省吾

東京大学大学院理学系研究科宇宙惑星科学機構教授/宇宙科学研究所太陽系科学研究系特任教授
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻修了,博士(理学)
東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻助教
北海道大学理学院自然史科学専攻准教授などを経て,現職
国際隕石学会 Nier Prize,ゴールドシュミット会議 Gast Lectureship など受賞
著書に「星くずたちの記憶―銀河から太陽系への物語」(岩波科学ライブラリー)
「地球・惑星・生命」(共編)(東京大学出版会)など

東京大学大学院理学系研究科宇宙惑星科学機構教授/宇宙科学研究所太陽系科学研究系特任教授
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻修了,博士(理学)
東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻助教
北海道大学理学院自然史科学専攻准教授などを経て,現職
国際隕石学会 Nier Prize,ゴールドシュミット会議 Gast Lectureship など受賞
著書に「星くずたちの記憶―銀河から太陽系への物語」(岩波科学ライブラリー)
「地球・惑星・生命」(共編)(東京大学出版会)など

2020.11.25

2020.11.25

東京大学大学院教授/「はやぶさ2」チーム 橘省吾 東京大学大学院教授/「はやぶさ2」チーム 橘省吾

2020.11.25

2020.11.25

──宇宙の道に進もうと思ったきっかけを教えて下さい。

ちょうど小学校低学年の頃に、NASAの太陽系外惑星探査計画であるボイジャーのミッションがあったのです。
探査機が撮影した木星や土星などのカラフルな写真をみて、「なぜ、これらの惑星は表面の色が違うのだろう?」という疑問を持ちました。
今はそれが、表面を構成している物質が違うためだと答えられるのですが、当時はそれが不思議だったのですね。
惑星の材料を知りたいと考えておこなっている研究も、その頃の疑問がずっと続いているためと言えますね。 


──大学でもその宇宙への思いは続いていたのでしょうか?

大学に入る頃は、ちょうどホーキングの宇宙論がブームになっていた頃でした。
そちらにちらっと心が傾いたこともありましたが、やっぱり惑星科学に進むことにしました。
大阪大学の宇宙地球科学科(当時)に進み、卒論もやってみたら面白くなり、そのまま研究の道へと進みました。
でも、修士以降は必死で勉強しましたね。自分の中で譲れないものがある、 それは、小学生の頃から持っていた「惑星ってどういうものでできているんだろう」という疑問への答えだったのでしょうかね。


──小惑星探査機「はやぶさ2」ミッションの中でつらいことはどのようなことでしょうか?

開発から帰還までつらいことはたくさんですね(笑)。 ミッションはチームとして実施しますから、制約なども多く、一科学者の研究とは違います。
ただ、「はやぶさ2」のサンプラー開発においては、制約が多かった分、サンプルの科学的価値を上げるために何をするべきかが見えやすかったことは確かです。
その点では初代「はやぶさ」が残してくれたことも大きかったように思います。


──1回目の小惑星リュウグウの試料(以下、サンプル)採取の際にはどのようなお気持ちでしたか?

素直に「成功した!万歳!」ではなかったですね。
弾丸発射=サンプル取得ではありませんから。
アメリカの探査機「オシリス・レックス」とは違い、実際に採取したサンプルをみているわけではありません。
ひょっとしたら途中で何かトラブルがあったかも知れない。そういう心配をしていましたね。
ただ、温度の上昇によって弾丸発射がつかめたときには、うれしかったです。

──宇宙の道に進もうと思ったきっかけを教えて下さい。

ちょうど小学校低学年の頃に、NASAの太陽系外惑星探査計画であるボイジャーのミッションがあったのです。
探査機が撮影した木星や土星などのカラフルな写真をみて、「なぜ、これらの惑星は表面の色が違うのだろう?」という疑問を持ちました。
今はそれが、表面を構成している物質が違うためだと答えられるのですが、当時はそれが不思議だったのですね。
惑星の材料を知りたいと考えておこなっている研究も、その頃の疑問がずっと続いているためと言えますね。 


──大学でもその宇宙への思いは続いていたのでしょうか?

大学に入る頃は、ちょうどホーキングの宇宙論がブームになっていた頃でした。
そちらにちらっと心が傾いたこともありましたが、やっぱり惑星科学に進むことにしました。
大阪大学の宇宙地球科学科(当時)に進み、卒論もやってみたら面白くなり、そのまま研究の道へと進みました。
でも、修士以降は必死で勉強しましたね。自分の中で譲れないものがある、 それは、小学生の頃から持っていた「惑星ってどういうものでできているんだろう」という疑問への答えだったのでしょうかね。


──小惑星探査機「はやぶさ2」ミッションの中でつらいことはどのようなことでしょうか?

開発から帰還までつらいことはたくさんですね(笑)。 ミッションはチームとして実施しますから、制約なども多く、一科学者の研究とは違います。
ただ、「はやぶさ2」のサンプラー開発においては、制約が多かった分、サンプルの科学的価値を上げるために何をするべきかが見えやすかったことは確かです。
その点では初代「はやぶさ」が残してくれたことも大きかったように思います。


──1回目の小惑星リュウグウの試料(以下、サンプル)採取の際にはどのようなお気持ちでしたか?

素直に「成功した!万歳!」ではなかったですね。
弾丸発射=サンプル取得ではありませんから。
アメリカの探査機「オシリス・レックス」とは違い、実際に採取したサンプルをみているわけではありません。
ひょっとしたら途中で何かトラブルがあったかも知れない。そういう心配をしていましたね。
ただ、温度の上昇によって弾丸発射がつかめたときには、うれしかったです。

オンラインインタビューの様子 オンラインインタビューの様子

オンラインインタビューの様子
左から、寺薗編集長、橘教授

オンラインインタビューの様子
左から、寺薗編集長、橘教授

──サンプルが帰ってくれば、いよいよ試料分析です。

まずはとにかく中を早くみてみたいですね。
私にとっては、サンプルが帰ってくることによってやっと「サンプルが語るモノの重要性」が始まるのです。
サンプル帰還は決して終わりではなく、新たな研究の始まりなのです。
3年後には「オシリス・レックス」もサンプルを持ち帰ってきます。
リュウグウとベンヌは見た目は似ていますが、細かい部分ではかなり違うようです。
遠くから見るだけでなく物質を直接分析することで、似て非なるものの成り立ちを詳しく知ることができるでしょう。


──今お持ちの夢を教えて下さい。

「はやぶさ2」は、C型小惑星からはじめてサンプルを持ち帰ってきます。
もし有機物があれば…ある可能性が高いですが、そこから情報が取れると面白いですね。
有機物は炭素・水素・酸素からなり、宇宙に普遍的にあることがわかっています。
いま、アルマ望遠鏡が星や惑星が誕生する現場で続々と有機分子を見つけています。
これらのデータを結びつければ、太陽系、さらには惑星ができた頃の初期状態を知ることができるかも知れませんね。楽しみです。


──『日本でも多くの方が「はやぶさ2」がサンプルを持って帰還することを楽しみにしています。そういった皆様へぜひメッセージをお願いいたします。

いよいよサンプルが帰ってきます。
でも、これは終わりではなく、新たな始まりなのです。
取ってきたサンプルが何を語るか、僕らは何を知ることができるのかまで期待をしていてください。

中国の小説「西遊記」の物語も、三蔵法師が経典を求めて旅をする過程に人々はワクワクしても、目的である経典そのものに惹かれたりすることは少ないですよね。
でも、何のために旅をしていたのか、それは経典の教えを知るためです。
みなさんには「はやぶさ2」の道中だけでなく、取ってきたサンプルが何を物語ってくれるのかを注目して、この先も応援していただければと思います。

──サンプルが帰ってくれば、いよいよ試料分析です。

まずはとにかく中を早くみてみたいですね。
私にとっては、サンプルが帰ってくることによってやっと「サンプルが語るモノの重要性」が始まるのです。
サンプル帰還は決して終わりではなく、新たな研究の始まりなのです。
3年後には「オシリス・レックス」もサンプルを持ち帰ってきます。
リュウグウとベンヌは見た目は似ていますが、細かい部分ではかなり違うようです。
遠くから見るだけでなく物質を直接分析することで、似て非なるものの成り立ちを詳しく知ることができるでしょう。


──今お持ちの夢を教えて下さい。

「はやぶさ2」は、C型小惑星からはじめてサンプルを持ち帰ってきます。
もし有機物があれば…ある可能性が高いですが、そこから情報が取れると面白いですね。
有機物は炭素・水素・酸素からなり、宇宙に普遍的にあることがわかっています。
いま、アルマ望遠鏡が星や惑星が誕生する現場で続々と有機分子を見つけています。
これらのデータを結びつければ、太陽系、さらには惑星ができた頃の初期状態を知ることができるかも知れませんね。楽しみです。


──『日本でも多くの方が「はやぶさ2」がサンプルを持って帰還することを楽しみにしています。そういった皆様へぜひメッセージをお願いいたします。

いよいよサンプルが帰ってきます。
でも、これは終わりではなく、新たな始まりなのです。
取ってきたサンプルが何を語るか、僕らは何を知ることができるのかまで期待をしていてください。

中国の小説「西遊記」の物語も、三蔵法師が経典を求めて旅をする過程に人々はワクワクしても、目的である経典そのものに惹かれたりすることは少ないですよね。
でも、何のために旅をしていたのか、それは経典の教えを知るためです。
みなさんには「はやぶさ2」の道中だけでなく、取ってきたサンプルが何を物語ってくれるのかを注目して、この先も応援していただければと思います。

最後は「ファイト イッパーツ!」 橘先生、頑張って! 最後は「ファイト イッパーツ!」 橘先生、頑張って!

リポビタンD [指定医薬部外品] 疲労回復
最後は「ファイト イッパーツ!」 橘先生、頑張って!

リポビタンD [指定医薬部外品] 疲労回復
最後は「ファイト イッパーツ!」 橘先生、頑張って!

今回の取材は、カプセル回収チームが向かっていたオーストラリア・アデレードからインターネット回線を通して行いました。
新型コロナウイルスの隔離期間中という大変な状況での中の取材でしたが、「これから始まるんだ」という力強い言葉に、私も元気をもらいました。
小学生からの夢を心に秘め、太陽系の始まりを追い続ける橘さん、その熱いマインドが太陽系誕生の秘密を解き明かす日を、私も楽しみに待ちたいと思います。
(インタビュアー:月探査情報ステーション 編集長 寺薗淳也氏)

今回の取材は、カプセル回収チームが向かっていたオーストラリア・アデレードからインターネット回線を通して行いました。
新型コロナウイルスの隔離期間中という大変な状況での中の取材でしたが、「これから始まるんだ」という力強い言葉に、私も元気をもらいました。
小学生からの夢を心に秘め、太陽系の始まりを追い続ける橘さん、その熱いマインドが太陽系誕生の秘密を解き明かす日を、私も楽しみに待ちたいと思います。
(インタビュアー:月探査情報ステーション 編集長 寺薗淳也氏)

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