2003年
東京大学大学院航空宇宙工学専攻博士課程修了。博士(工学)
2003年
JAXA宇宙科学研究所(ISAS/JAXA)助教
2015年
JAXAはやぶさ2プロジェクトマネージャ就任
2020年
JAXA宇宙科学研究所教授
2021年
はやぶさ2チーム IAF World Space Award受賞
「M-Vロケット」の開発、小惑星探査機「はやぶさ」の運用に従事。
また、ソーラーセイル宇宙船「イカロス」のサブチームリーダーとして、世界初のソーラーセイル技術の実現へと導いた。
小惑星探査機「はやぶさ2」の開発にあたっては、プロジェクトエンジニアとして技術開発を指揮。
2015年より、はやぶさ2プロジェクトマネージャ。専門分野は宇宙航行力学、宇宙機システム、太陽系探査。 「はやぶさ2」は、2020年地球に回収カプセルを帰還させ、現在、次の目的地へと旅を続けている。
2021年10月には、はやぶさ2チームはIAF(※) World Space Awardを受賞した。
※IAF(国際宇宙航行連盟) 平和目的の宇宙航行の発展や研究を促進する活動をしている国際的な組織
2003年
東京大学大学院航空宇宙工学専攻博士課程修了。博士(工学)
2003年
JAXA宇宙科学研究所(ISAS/JAXA)助教
2015年
JAXAはやぶさ2プロジェクトマネージャ就任
2020年
JAXA宇宙科学研究所教授
2021年
はやぶさ2チーム IAF World Space Award受賞
「M-Vロケット」の開発、小惑星探査機「はやぶさ」の運用に従事。
また、ソーラーセイル宇宙船「イカロス」のサブチームリーダーとして、世界初のソーラーセイル技術の実現へと導いた。
小惑星探査機「はやぶさ2」の開発にあたっては、プロジェクトエンジニアとして技術開発を指揮。
2015年より、はやぶさ2プロジェクトマネージャ。専門分野は宇宙航行力学、宇宙機システム、太陽系探査。 「はやぶさ2」は、2020年地球に回収カプセルを帰還させ、現在、次の目的地へと旅を続けている。
2021年10月には、はやぶさ2チームはIAF(※) World Space Awardを受賞した。
※IAF(国際宇宙航行連盟) 平和目的の宇宙航行の発展や研究を促進する活動をしている国際的な組織
2021.10.14
2021.10.14
──小惑星探査機「はやぶさ2」のこれまでの成果について、いくつか教えて下さい。
私はよく「9つの成果」という表現を使っていますが、4つご紹介すると、 ①初号機に続き達成できた「惑星間往復」、②1メートル以下の誤差で達成できた2回の「タッチダウン(着陸)」、 ③探査ロボットや衝突装置など多様な仕掛けによる「表面探査」、 ④貴重な「C型小惑星のサンプルを手に入れた」ことがあげられます。
──小惑星探査機「はやぶさ2」のこれまでの成果について、いくつか教えて下さい。
私はよく「9つの成果」という表現を使っていますが、4つご紹介すると、 ①初号機に続き達成できた「惑星間往復」、②1メートル以下の誤差で達成できた2回の「タッチダウン(着陸)」、 ③探査ロボットや衝突装置など多様な仕掛けによる「表面探査」、 ④貴重な「C型小惑星のサンプルを手に入れた」ことがあげられます。
©ISAS/JAXA 小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星Ryugu出発
©ISAS/JAXA 小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星Ryugu出発
──昨年12月、「はやぶさ2」は地球への帰還を果たしました。 1年経ったいま、地球帰還を振り返ってどのようなお気持ちでしょうか。
いろいろな感情がこみ上げてきますね。あの瞬間は涙が出るほど感動しました。 それまでの6年間は、「はやぶさ2」からの情報は全て電波を通して伝わってくるものでしたが、 地球帰還は、私たちが目の前で見ることができるものだったのです。 そして、すべてが正確でなければ実現しませんから、 地球帰還は、「答えが合っていた」というような安堵感と達成感がありましたね。 そして、このミッションを一緒に進めてくれたチームメンバーへの感謝の気持があります。 チーム全体がまるで一人の人物、人格のような形になったことが、 成功にもつながっていったのではないかと思っています。
──昨年12月、「はやぶさ2」は地球への帰還を果たしました。 1年経ったいま、地球帰還を振り返ってどのようなお気持ちでしょうか。
いろいろな感情がこみ上げてきますね。あの瞬間は涙が出るほど感動しました。 それまでの6年間は、「はやぶさ2」からの情報は全て電波を通して伝わってくるものでしたが、 地球帰還は、私たちが目の前で見ることができるものだったのです。 そして、すべてが正確でなければ実現しませんから、 地球帰還は、「答えが合っていた」というような安堵感と達成感がありましたね。 そして、このミッションを一緒に進めてくれたチームメンバーへの感謝の気持があります。 チーム全体がまるで一人の人物、人格のような形になったことが、 成功にもつながっていったのではないかと思っています。
──「はやぶさ2」で、いま皆さんに注目してほしい点はどのようなところでしょうか。
1つは、いま進んでいるサンプルの分析です。小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルは、 世界でただ1箇所、いまこの日本にあります。ここからどういう成果が出てくるかが楽しみです。 そしてもう1つは、これから始まる拡張ミッションです。「はやぶさ2」は燃料が半分以上残っていたので、 これを使ってもっと面白いことができると考えています。この先はまさに、純粋なチャレンジです。
──いま小惑星を旅している「はやぶさ2」は、どのような気持ちだと思いますか?
そうですね…気持ちを聞くためのコマンドは用意していないのですが(笑)、 「え、あと10年もやるの!?」という気持ちかも知れませんね。あるいは、「次の目的地に行ってきます」と答えるかも。 遊びに行くような感じで、楽しく飛んでいるんじゃないかと思います。
──「はやぶさ2」で、いま皆さんに注目してほしい点はどのようなところでしょうか。
1つは、いま進んでいるサンプルの分析です。小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルは、 世界でただ1箇所、いまこの日本にあります。ここからどういう成果が出てくるかが楽しみです。 そしてもう1つは、これから始まる拡張ミッションです。「はやぶさ2」は燃料が半分以上残っていたので、 これを使ってもっと面白いことができると考えています。この先はまさに、純粋なチャレンジです。
──いま小惑星を旅している「はやぶさ2」は、どのような気持ちだと思いますか?
そうですね…気持ちを聞くためのコマンドは用意していないのですが(笑)、 「え、あと10年もやるの!?」という気持ちかも知れませんね。あるいは、「次の目的地に行ってきます」と答えるかも。 遊びに行くような感じで、楽しく飛んでいるんじゃないかと思います。
──これから先の「はやぶさ2」ミッションの注目ポイントについて教えて下さい。
やはり、拡張ミッションですね。
まず、2026年7月に小惑星2001 CC21にフライバイ(※1)します。 そばを通り過ぎて観測するわけですが、もともとそのような前提で設計していない探査機で観測するわけですから、 運用には相当な工夫が必要です。
さらに2031年には1998 KY26という小惑星へのランデブー(※2)を試みます。 わずか30メートルほどの天体ですが、なんと10分で自転しています。
なんでこんなに速い自転速度の小惑星が存在できるのか、 ひょっとしたら一枚岩なのではないか、興味が尽きません。
※1天体を観測する目的で接近するが、着陸せずに通過すること。
※2宇宙探査機が小惑星などに速度を合わせ、同一の軌道を飛行すること
──小惑星探査の魅力や意義、これからの夢について教えて下さい。
小惑星は「太陽系の化石」といわれています。
地球では手に入らない大昔の物質がそのまま残されています。 その小惑星の中でも、C型という分類の小惑星には水や炭素などがあるとされています。 生命にもつながるこのような物質を調べることは、「われわれが何者なのか」を調べることにもつながります。 こういった小惑星は小さく、望遠鏡では詳しく調べられないので、探査機によって現地に行くことに意義があります。
そして小さいので、現地に行ってみないとわからないこと、現地に着いてから考えなければいけないことがたくさんあるのです。 そこでもまた、チームとしての対応力が求められるのです。まさにチャレンジですね。
これからの夢は、火星より遠くにも、魅力ある小惑星がたくさんありますね。こういった世界を探るのが面白そうですね。 あるいは小惑星以外にも、例えば木星や土星のような外惑星の衛星を調べるというのも面白いな、と思います。
──「はやぶさ2」を応援している皆様へ、メッセージをお願いします。
「はやぶさ2」は本当に幸せなミッションだと思います。打ち上げ前からこれだけ応援をいただくミッションはありませんでした。 多くの方の応援が大きな力になりました。
成果だけではなく、それを達成するプロセスを応援していただいたことがうれしかったですね。 「はやぶさ2」は映画にならないミッションを目指してきました。 ドラマのようなハラハラドキドキがない、でもそれが本来のミッションの姿だと思っています。
「はやぶさ2」の探査から、科学の面白さをつかんでいただければうれしいですね。
──これから先の「はやぶさ2」ミッションの注目ポイントについて教えて下さい。
やはり、拡張ミッションですね。
まず、2026年7月に小惑星2001 CC21にフライバイ(※1)します。 そばを通り過ぎて観測するわけですが、もともとそのような前提で設計していない探査機で観測するわけですから、 運用には相当な工夫が必要です。
さらに2031年には1998 KY26という小惑星へのランデブー(※2)を試みます。 わずか30メートルほどの天体ですが、なんと10分で自転しています。
なんでこんなに速い自転速度の小惑星が存在できるのか、 ひょっとしたら一枚岩なのではないか、興味が尽きません。
※1天体を観測する目的で接近するが、着陸せずに通過すること。
※2宇宙探査機が小惑星などに速度を合わせ、同一の軌道を飛行すること
──小惑星探査の魅力や意義、これからの夢について教えて下さい。
小惑星は「太陽系の化石」といわれています。
地球では手に入らない大昔の物質がそのまま残されています。 その小惑星の中でも、C型という分類の小惑星には水や炭素などがあるとされています。 生命にもつながるこのような物質を調べることは、「われわれが何者なのか」を調べることにもつながります。 こういった小惑星は小さく、望遠鏡では詳しく調べられないので、探査機によって現地に行くことに意義があります。
そして小さいので、現地に行ってみないとわからないこと、現地に着いてから考えなければいけないことがたくさんあるのです。 そこでもまた、チームとしての対応力が求められるのです。まさにチャレンジですね。
これからの夢は、火星より遠くにも、魅力ある小惑星がたくさんありますね。こういった世界を探るのが面白そうですね。 あるいは小惑星以外にも、例えば木星や土星のような外惑星の衛星を調べるというのも面白いな、と思います。
──「はやぶさ2」を応援している皆様へ、メッセージをお願いします。
「はやぶさ2」は本当に幸せなミッションだと思います。打ち上げ前からこれだけ応援をいただくミッションはありませんでした。 多くの方の応援が大きな力になりました。
成果だけではなく、それを達成するプロセスを応援していただいたことがうれしかったですね。 「はやぶさ2」は映画にならないミッションを目指してきました。 ドラマのようなハラハラドキドキがない、でもそれが本来のミッションの姿だと思っています。
「はやぶさ2」の探査から、科学の面白さをつかんでいただければうれしいですね。
©池下章裕 はやぶさ2 旅立ち1
©池下章裕 はやぶさ2 旅立ち1
<編集長からの一言>
津田さん、今回のインタビューのときもそうでしたが、いつもにこやかなんですよね。 でもその笑顔の後ろには、6年間にわたるミッションでの数多くの困難や厳しい選択があったかと思います。
大きな仕事を成し遂げた人のみがみせることができる笑顔、それはまさに人々を「魅せる」笑顔でもあります。 あと10年以上続くミッション、私たちもさらに応援し、盛り上げていきたいと思います。
<編集長からの一言>
津田さん、今回のインタビューのときもそうでしたが、いつもにこやかなんですよね。 でもその笑顔の後ろには、6年間にわたるミッションでの数多くの困難や厳しい選択があったかと思います。
大きな仕事を成し遂げた人のみがみせることができる笑顔、それはまさに人々を「魅せる」笑顔でもあります。 あと10年以上続くミッション、私たちもさらに応援し、盛り上げていきたいと思います。