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インタビュー企画

撮影:神戸健太郎

Challenger10

夢、希望、挫折、
そしてその先へ

こうのとりフライトディレクタ
第5期JAXA宇宙飛行士選抜試験ファイナリスト
内山崇

2000年  東京大学大学院修士課程修了、(株)IHI入社
2008年  JAXA、第5期JAXA宇宙飛行士選抜試験ファイナリスト、宇宙船「こうのとり」フライトディレクタ
2009年初号機から2020年最終9号機までフライトディレクタとして、ISS輸送ミッションの9機連続成功に貢献。
現在は、日本の有人宇宙開発をさらに前進させるべく新型宇宙船開発に携わる。
宇宙船よりコントロールの効かない2児を相手に、子育て奮闘中。
↓Twitter↓
https://twitter.com/HTVFD_Uchiyama

(C)JAXA
2021.02.25

■いまのお仕事について教えて下さい。

2009年から、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を輸送する宇宙船「こうのとり」(HTV)のフライトディレクタという仕事をしています。
この仕事は、いってみれば管制官を束ねるチームリーダーのような仕事です。「こうのとり」1号機から最終の9号機まですべてのフライトディレクタを担当していました。
さらに現在は、「こうのとり」の成果を活かしてJAXAが計画している新型補給機の開発にも携わっています。 将来は月に行くことも想定されています。


■宇宙に興味を持ったきっかけを教えて下さい。

子供の頃に買ってもらった「宇宙開発」という図鑑ですかね…。
でも、強烈な記憶は、10歳のときにあったスペースシャトル「チャレンジャー」爆発事故でしょうか。 子供心にあんなに巨大なものがアメリカでは打ち上げられて、しかも戻ってきているんだ、きっと大人になった頃には誰もが宇宙に行けるようになるんだ、そんなことを思いました。


■内山さんは宇宙飛行士のファイナリスト(最終選考者)でもあるわけですが、ファイナリストにしか見えない風景というのはどのようなものでしょうか?

私自身、最後まで残るとは思っていませんでした。 そのときには、次々にやってくる試験をこなすことしか考えられませんでした。ゴールがみえないのです。
でも、ファイナリストはゴールがみえている。 宇宙飛行士に必要となる素質が何かを間近で体感し、自分との距離(あと少し)も分かりました。

■宇宙飛行士の最終試験の結果を知り、どん底の気持ちからまた前に向かって歩き出すことができたきっかけ、言葉などがありましたら、教えて下さい。

いちばん辛かったのは、ファイナリストになると「ひょっとしたら…」という気持ちが湧くことですね。
宇宙飛行士になったら、自分だけの人生ではありません。いわば公人として一生を送ることになります。 自分にその覚悟があるのか。私は覚悟をしているつもりでした。そこまで高めた気持ちが一気に落ちてしまう。眼の前で夢が消え去る。そこから立ち上がるのに10年かかったわけです。
私の場合、「こうのとり」のフライトディレクタという仕事があり、戻る場所があったというのが幸いでした。自分には戻る場所がある、それが支えになりました。

オンラインインタビューの様子。左から内山フライトディレクタ、寺薗編集長

■先ごろ、宇宙飛行士選抜試験の体験を綴ったご著書『宇宙飛行士選抜試験』が出版されましたね。どのような方に読んで欲しいですか?

宇宙飛行士の選抜試験は皆さんが受けられるわけではありません。ぜひ、それを追体験して欲しいと思います。
本を読めば、まるで受験をしているような感覚になれると思います。
単純にライバルを蹴落としてのし上がるのではない、いってみれば仲間となるような試験なのです。
子供の頃にはいろいろな夢があり、何にでもなれるけど、大人になると次第にその夢が現実のもとに閉ざされていく。
でも、宇宙飛行士は大人になってからでも追える夢なのです。
夢を追う人、夢破れた人、夢を探す人、皆さんに読んで欲しいですね。

■昨年、日本が13年ぶりに宇宙飛行士を募集するという発表がありました。内山さんはどのようなことに期待されていますか?

私たちが受験した2008年の選抜から大きく間が空いてしまいました。
ですが、今後、5年程度に一度の一般公募が行われることも発表され、今後宇宙飛行士を目指したい方にとって継続的な募集は大きな意義があります。
また13年ぶりの募集開始までに1年あるということは、私たちのときとは違い、十分に準備する時間があるということです。
「宇宙飛行士になりたい」という方には、ぜひ挑戦して欲しいと思います。


■今後挑戦したいと思っていること、今の夢などについて教えてください。

子どもたちが修学旅行で宇宙に行けるようになるといいと思いますね。地球を壊すのも守るのも人です。 環境問題を解決するのは、結局は科学の力だと思います。
子どもたちが宇宙から美しい地球を見ることで、自然にそのような想いを抱いてくれたらいいな、と思います。


■夢に向かって挑戦しようとしている人、宇宙飛行士選抜試験に挑もうとしている人に、メッセージをお願いします。

何か成し遂げたいと思って夢を抱いたら、ぜひ本気で挑んでください。それが人を成長させます。
何かに挑むこと、そのプロセスこそが大切なのです。
夢への考え方はいろいろあります。宇宙飛行士に何故なりたいか。宇宙飛行士になって何をするか、それが大切です。
そして、それは宇宙飛行士でなくても出来ることかも知れません。
0か100ではなく、その中のどこかに道があるはず。ぜひそこへ向けて進んでいきましょう。


<編集長からの一言>
ファイナリスト選出の喜びから落選のどん底、そして新たなる道へ。
内山さんの人生はその挑戦する目標は異なっていたとしても、私たちが経験する道でもあります。
私にももちろん挫折もあり、そこからはい上がることもありました。
そのとき、私たちはどうすればいいのか。内山さんの後ろ姿にそれを教えてもらえるような気がします。
いつか内山さん設計の宇宙船の打ち上げを、2人で見届けたいものです。もちろん種子島で。
(インタビュアー:月探査情報ステーション 編集長 寺薗淳也氏)


星加’s eye

第5期宇宙飛行士選抜試験のファイナリストとして書籍を出版された内山さん。
最近では、宇宙飛行士を目指す人へ向け連載をしているとも伺いました。
本気で宇宙飛行士を目指し、挫折を知った上で、何かに挑むことの大切さを伝えてくださっているからこそ、言葉ひとつひとつがとても響きました。 これからも応援しています。

Next Challenger

脚本家
加藤 陽一

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