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インタビュー企画

Challenger1

小さな目が宇宙で見守る

東京理科大学
木村真一研究室

1988年 東京大学 薬学部 製薬化学科 卒業
1993年 東京大学 薬学研究科 製薬化学専攻 博士課程 修了
1993年 独立行政法人情報通信研究機構(当時 郵政省通信総合研究所)に着任
2007年 東京理科大学理工学部 電気電子情報工学科 准教授
2012年より現職
宇宙ロボット工学、自律制御工学、宇宙システム、小型衛星に関する研究に従事
東京理科大学 スペースコロニー研究センター副センター長、理工学研究科宇宙理工学コース長
2020年 宇宙科学研究所賞受賞
「超小型カメラ技術による深宇宙ミッションへの貢献」

インタビュー風景
2020.3.25

実は宇宙は専門外だった
木村先生

木村先生(以下、木村): 実は、私の博士号は薬学なんですよ。

──そうなんですか!?

木村: 学生時代は全く宇宙とは関係なかったんです。昆虫の歩行運動の制御の研究をしていました。しかし就職先がなく、たまたま訪ねた通信総合研究所でこの話に興味を持ってくださった方が宇宙ロボットの研究を勧めてくれました。

──宇宙ロボットと歩行制御、つながりそうでつながらない感じがしますが。

木村: 最初は宇宙開発って全く考えていなかったのです。ただ、自分は何に興味があって研究をしていたのかを考えると、ケガをしても生物はどうしてそのケガに適応して動き続けることができるのだろうかということだと気がつきました。こういう考え方は宇宙開発でも役に立つのではないかと考えて、帰りの電車の中で研究提案書を書いて、通信総合研究所に送りました。それが宇宙とのつながりになりました。
私はこのときの経験から学んだ3つ大切なことがあると思っています。自分の研究を少し離れて少し広げてみることで面白いことがあるのではないかと考えてみること、考えたことをすぐにアクションに起こすこと、そして出会いと縁を大切にすることですね。

──先生のこれから先の研究はどのように展開していきそうでしょうか?

木村: いまは東京理科大学副学長の向井千秋先生がリーダーを務めるスペース・コロニー研究センターの副センター長として研究を統括しています。宇宙で人が生きていくための研究ですが、これは地球の私たちの暮らしにもつながる重要な研究です。

私の夢は、 「みんなが安全に宇宙へ行ける時代へ」です。
宇宙はもうすぐ、誰もが行くようになる場所になるでしょう。そのとき、安全を見張る「目」が必要になります。木村研究室で開発されたカメラがその一翼を担う日が、必ずやってくることでしょう。また、私が宇宙用のカメラを開発するときに、宇宙専用デバイスを使うのではなくて、民生用の技術を効果的に活用することで、低コストで非常に優れた機器を作ることができました。こうした経験を生かして、今は宇宙と直接関係のない衣食住に関連する様々な技術を、宇宙居住につなげることで、宇宙での暮らしの実現に寄与できればと思っています。

木村研究室で開発された小型カメラの数々。カメラ自体も数センチ角と驚くほど小さい。このようなカメラが宇宙からの驚きの画像・映像を送ってきている。

たった5グラムのカメラが
宇宙開発の未来を切り拓く

木村: JAXAが打ち上げた小型実証衛星「イカロス」には分離カメラが搭載されていて、宇宙ではじめての「自撮り」をやってのけました。これが、小惑星探査機「はやぶさ2」のタッチダウンの様子を捉えたカメラ、DCAM3にもつながっていきます。

──「何が起きているかみたい!」というみんなの願望に応えるカメラですね。

木村:はい。「はやぶさ2」には東京理科大開発のカメラが6台も搭載されています。

──私も初代「はやぶさ」のカメラチームメンバーでしたが、もしあのときにDCAM3のような鮮明な映像が手に入っていればどれほどよかったかと思います。

木村: 「はやぶさ」の経験は大いに活きていると思います。装置や設計だけではなく、考え方、あるいはムードのようなものが重要なんだと思います。
ちなみに、いま、うちの研究室で開発しているカメラは最軽量でたった5グラムです。

──5グラム!

木村:はい。今まで宇宙では使えないと思われていたプラスチックをレンズに使って、軽量化を図りました。カメラにもいろいろなものがあって、ある一瞬だけ活躍してもらえばいいというものもあります。用途や目的に応じて、宇宙用だからと過剰なコストをかけるのではなく、様々なカメラが活用できるようになれば、みんながもっと様々な映像を活用できるようになると思います。

これから、宇宙での小型カメラの活躍シーンはもっともっと広がると思います。より細かくみる、データ処理機能も入れて「賢くみる」、赤外線やX線など様々な波長で「様々なものをみる」といったように。そのような世界をぜひ、実現させていきたいですね。

向って左より、上村史門さん、木下英明さん、帰山拓人さん、山下智輝さん、地田雅矢さん

若き研究者の卵たち

──木村研究室にお邪魔していちばん印象的だったのは、学生さんの数の多さ。そしてみんなが活発に研究を行い、互いに議論をしている様子でした。そんな学生さんに、研究室のお話を伺ってみました。

木下英明さん(学部4年生)
月や惑星へ着陸する探査機の画像による航法誘導技術の研究をしています。中学・高校時代から、宇宙探査機を造る研究をしたいなと思っていたので、この研究室を選びました。木村研究室は、先輩方の知識が他の研究室よりもしっかりと後輩たちに受け継がれていると思います。

帰山拓人さん(学部4年生)
カメラ内のメモリーを拡張可能な形で増設することにより、高頻度撮影や高精度な撮影できるようにすることを研究しています。研究室ではとても連携が取れており、今年はCANSATと呼ばれるアメリカで行われる模擬人工衛星コンテストでよい成果を挙げることができました。

地田雅矢さん(修士1年)
人類の宇宙での長期滞在のために、光触媒を用いた空気浄化システムの研究をしています。人間が宇宙で暮らすのは夢なので、自分も関わりたかったのです。木村研究室はチームワーク、仲のよさが自慢ですね。年2回バレーボール大会にも出て、昨年は優勝しました。

山下智輝さん(修士1年)
宇宙空間で不揮発性メモリーがどのくらい環境に適応できるのかを研究しています。宇宙開発に新しい可能性を見いだせることがこの研究の動機です。研究室ではカメラ班、ロボット班、計算機班に分かれて研究していますが、一方で先輩・後輩の縦のつながりもあり、縦と横でつながれる研究室は魅力です。

上村史門さん(修士2年)
FPGAという半導体素子を使った超小型衛星の通信符号化処理という研究を行っています。ソフトウェアとハードウェアの両立ができる研究というのが魅力でした。この研究室では、みんなが自分の専門外のところも教えてくれたりするのが魅力的ですね。

研究室全体で親睦を深め、お互いに研究の面倒を見合う木村研究室。研究でも日々の生活でもまさに「ONE TEAM」として打ち込んでいる、そんな若き研究者の卵たちの姿がありました。
(インタビュアー:月探査情報ステーション 編集長 寺薗淳也氏)

ムッタ’s eye

木村先生たちが作る超小型カメラがどんな未来を写してくれるのか、楽しみです。
学生たちの楽しそうな雰囲気に私も元気をもらいました。
木村研のみなさん、これからもがんばってください!応援しています!

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有限会社ライブ代表取締役
上坂浩光

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