肌がたるむと、顔全体が下方に垂れ下がり、フェイスラインがぼやけたり、ほうれい線ができたり、二重あごになったり、老けた印象を与えてしまいます。

「そうはいっても歳を重ねれば、たるみができるのは仕方ない……」そのように感じる人も多いのではないでしょうか。確かに加齢によるたるみを免れることは難しいもの。ですが、全く対策できないというわけではありません。

特に、肌にたるみを生じさせる三大原因といわれる「乾燥」「紫外線」「筋肉の衰え」については、スキンケアやエクササイズなどを行ったり、食事のバランスや生活リズムを整えたりして、自分でケアすることが可能です。肌は、ターンオーバーを繰り返し、日々生まれ変わっているため、たるみの兆候が出てきたら早めに対応すれば、改善できることも。

以下に紹介するような、たるみの改善に効果的な対策を、できることから試してみましょう。

乾燥は、肌のたるみを引き起こす代表的な原因の１つです。乾燥＝肌の水分の蒸発を防ぐには、化粧水などでケアするだけでなく、メイクオフや洗顔の時から注意が必要です。

●クレンジング

メイクを落とす時に最も大切なのは、肌をこすらないこと。「肌にメイクを残さないように、きっちり落としたい」と、つい肌をこすりたくなってしまう気持ちは分かりますが、こすることで保湿効果のある自分自身の皮脂が失われ、肌を乾燥させてしまうことが。手でそっと、メイクとなじませるようにしてオフしましょう。クレンジング剤にはオイル、クリーム、リキッド、ミルクなど、いくつかのタイプがありますが、基本的にメイクの濃さを考慮しつつ、自分の好みで選んでOKです。どのタイプを使っても、肌に優しくなじませることを忘れずに。

●洗顔

洗顔で大切なポイントは、「洗い過ぎによって皮脂を洗い流し過ぎない」こと。特に、クレンジング剤でメイクを落とした上、さらに洗顔をする「ダブル洗顔」を毎日してしまうと、皮脂が必要以上に失われてしまい、肌を傷めてしまいかねません。ダブル洗顔は、バッチリフルメイクをした日や汗をたくさんかいて皮脂が気になる時、またはTゾーンのように皮脂の分泌量が多い場所などに限定してもよいでしょう。

また、洗顔をすすぐ時の水の温度にも要注意。熱いお湯で洗うと、肌の健康に必要な皮脂まで洗い流されてしまいます。皮脂は41～42度で溶け出すので、その半分以下くらいの温度の水かぬるま湯で、優しく洗顔していきましょう。

●保湿

クレンジングや洗顔の後には、しっかり保湿を行うことが重要です。保湿というと、「化粧水をたっぷりつける」ことを思い浮かべる人がいるかもしれませんが、化粧水をたくさんつけただけでは水分が蒸発し、肌は乾燥してしまいます。化粧水でまだ肌が潤っているうちに、乳液やクリーム、オイルなどをつけて、乾燥を防ぎましょう。

朝と夜の洗顔時だけでなく、昼間の保湿も大切です。目や口の周り、頬などの乾燥しやすい部分に、メイクの上から乳液やクリームを、軽く押さえるように塗ると乾燥対策になり、たるみ防止にもつながります。

たるみを生じさせる肌の老化の8割は、紫外線による「光老化」といわれるほど。たるみの予防や改善において、紫外線対策は重要です。

紫外線にはUV-AとUV- B、UV-Cという3種類があり、このうち肌に影響を与えるのはUV-AとUV-Bです。UV- B は浴びるとすぐに影響があり、肌を日焼けさせるのはこのUV-Bです。一方、UV-Aは波長が長く、すぐに肌に影響は出ないものの、真皮にまで到達してコラーゲンやエラスチンにダメージを与え、たるみの原因になることも。

紫外線対策というと「外に出る時だけすればOK」「紫外線の強い時期だけでOK」と思いがちですが、室内にも紫外線は届いています。365日、自宅にいる時もUVクリームを塗っておくことが大切。できれば、UV-Aを防ぐ目安の「PAが＋＋以上」で、UV-Bを防ぐ目安である「SPFが50」のUVクリームを選ぶとよいでしょう。

なお、日焼け止めは朝塗っただけではNG。2～3時間を目安に塗り直しをすることも忘れずに。

筋肉の衰えは、たるみの三大原因の1つに挙げられます。エクササイズによって顔の筋肉を鍛え、たるみの改善を目指していきましょう。

後頭部から背中にかけて広がる僧帽（そうぼう）筋という筋肉も、表情筋に大きくかかわっています。この筋肉が硬くなっていると顔全体が下に引っ張られ、たるみが生じてしまいます。ストレッチでほぐしてみましょう。

●表情筋エクササイズ

顔には、顔の中心部から外側に向けて放射線状に、「表情筋」と呼ばれる筋肉が走っています。この表情筋を鍛えることで、たるみができづらくなるはず。表情筋は、表情豊かにおしゃべりをしているだけでも鍛えられますが、ア・イ・ウ・エ・オの形に、口をゆっくり大きく開けて動かすのも効果的です。テレビや動画を見ている時やトイレの中など、ちょっとした時間に繰り返しやってみましょう。

●頭皮＆顔面のツボマッサージ

顔の肌は頭皮ともつながっています。頭皮には意外とコリがたまっているもの。マッサージをして頭皮を軟らかくし、肌の血流をよくしていくと、たるみ予防にもつながります。指の腹を使って、頭の中心から下へと、頭皮をマッサージし、もみほぐしていきましょう。

頭皮がほぐれたら、そのまま眉頭、目頭、目尻、口角を、指の腹で軽く押さえるようにして、顔のコリもほぐしていきましょう。2～3秒押して離す動作を繰り返します。強く押し過ぎないよう、薬指や中指を使って行うのがおすすめです。

●首のストレッチ

首を前後左右に傾けたり、ゆっくりと回転させたりして、首の周りの筋肉をほぐしましょう。

●僧帽筋のストレッチ

両手を組み、組んだ手を頭上に、背伸びをするように伸ばします。その後、手を組んだまま前に出して、背中の筋肉を伸ばしたり、後ろに組み直して、胸を開くように伸ばしたりしてみましょう。

健康な肌を保つには、外側からのケアだけでなく、食事による適切な栄養摂取といった内側からのケアも欠かせません。

肌にとって重要な役割を果たすコラーゲンは、タンパク質の一種です。まずは肉、魚、卵、乳製品などのタンパク質を補える食品をしっかりと摂取しましょう。できれば1食につき1品は、タンパク質を含む食品を摂るようにするのがおすすめです。鶏の手羽先のように、コラーゲンを多く含む食品を摂取するのもよいでしょう。

また、肌を健康に保ったり、コラーゲンの生成を助けたりする働きがある、ビタミンA、B群、C、Eなども摂取しましょう。それらのビタミンを多く含む、緑黄色野菜をタンパク質と一緒に摂ると効果的です。

肌のコラーゲンを維持する成長ホルモンは、寝ている間に分泌されます。だから、しっかりと睡眠をとることは、肌の潤いを保ち、たるみを予防・改善するのに重要です。睡眠が不規則だと、コラーゲンの生成が妨げられ、シワやたるみが加速してしまうことも。睡眠中に成長ホルモンを分泌させるには、眠り始めの3時間に、深くぐっすり眠ることが重要といわれています。眠る前にスマホを見続けるなど、眠りを浅くしてしまうような習慣はやめて、健康的な睡眠を目指しましょう。

肌をたるませる原因の中には、日々のちょっとした心がけや習慣の積み重ねで改善できることもあります。毎日コツコツ続けて、年齢に負けない肌を手に入れましょう。