便秘薬の種類と選び方

便秘薬の種類と選び方 便秘薬の種類と選び方

一口に市販の便秘薬といっても、配合している成分によっていくつかの種類があることをご存じですか?便秘薬の中身をきちんと知っておくことは、自分にぴったりの便秘薬を選ぶための第一歩です。便秘薬の種類と成分、どんな便秘に合っているのかを解説します。

〈監修〉

医療法人社団信証会 江田クリニック院長   江田 証(えだ あかし)先生 医療法人社団信証会 江田クリニック院長   江田 証(えだ あかし)先生

医療法人社団信証会 江田クリニック院長
医学博士 江田 証(えだ あかし)先生

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒業。日本消化器病学会奨励賞受賞。
日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染症認定医。米国消化器病学会インターナショナルメンバーを務める。日本抗加齢医学会専門医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界初、米国消化器病学会で発表し、英文誌の巻頭論文として発表。全国から訪れる多くの患者の診療と多数の胃カメラおよび大腸カメラ検査を行っている。
著書に、日本初の小腸の健康本である『小腸を強くすれば病気にならない』(インプレス)、『なんだかよくわからない「お腹の不調」はこの食事で治せる!世界が認めた低FODMAP(フォドマップ)食事法』(PHP研究所)などがある。

便秘薬の種類について知っておこう

便秘薬の種類について知っておこう 便秘薬の種類について知っておこう

様々な種類がある市販の便秘薬ですが、その働きによって、大きく「刺激性便秘薬」と「非刺激性便秘薬」の2種類に分けられます。まずは、それぞれの特徴を知っておきましょう。

刺激性便秘薬……大腸に直接作用して腸を動かし、便を送り出す


刺激性便秘薬は、大腸に直接作用して腸を動かすタイプの便秘薬です。便秘を解消するには、腸が動く「ぜん動運動」が重要ですが、刺激性便秘薬がぜん動運動を促してくれるので、しっかりとした効き目が得られやすいのが特徴です。

非刺激性便秘薬……便の量を増やしたり、便や腸に水分を集めたりしてお通じをサポート


非刺激性便秘薬は、便のほうに作用して排便を促すタイプの便秘薬です。便や腸に水分を集めて便を軟らかくする「浸透性下剤」と、食物繊維で便の量を増やす「膨張性下剤」があり、どちらも便を出しやすい形にすることで、自然に近いお通じをサポートします。

  下剤の分類 主な働き 主な成分名
刺激性便秘薬 刺激性下剤 大腸に直接作用してぜん動運動を促す ビサコジル、 センナ、センノシド、 ピコスルファートナトリウム、 ダイオウ(大黄)
非刺激性便秘薬 浸潤性下剤 腸内の浸透圧を上げて腸内の水分量を増やし、便を軟らかくする 酸化マグネシウム、 ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)
非刺激性便秘薬 膨張性下剤 大腸で水分を含んで膨らみ、便の量を増やす プランタゴ・オバタ

便秘薬にもこのような種類があることを知っておくと、自分が目指すお通じに合わせて選ぶことができます。続いて、「こんな時はどれを選べばいいの?」という具体的な選び方のポイントをご紹介しましょう。

お悩み別、便秘薬の選び方

様々な便秘のお悩みに合わせて、便秘薬の選び方のポイントを解説します。

便秘薬を初めてのむ場合は?


便秘薬を初めてのむ場合は? 便秘薬を初めてのむ場合は?

便秘薬を初めてのむ場合には、自然に近いお通じを目指すタイプか、服用する量を少量から調節できて、腸の様子を見ながら服用できるタイプがおすすめです。

自然に近いお通じを目指したいなら「非刺激性便秘薬」を選びましょう。中でも「酸化マグネシウム」は浸透圧によって腸内と便に水分を集め、便を軟らかくすることで自然に近い排便を促してくれるので、初めての人にもおすすめです。

初めて服用するけれど、とにかく便秘をすっきりさせたい!という場合は、大腸に直接作用する「刺激性便秘薬」の中でも、服用する量を自分で調節できるタイプを選ぶとよいでしょう。まずは最少量から始めてみることができます。

お腹を痛くしたくない、自然に出したい場合は?


お腹を痛くしたくない、自然に出したい場合は? お腹を痛くしたくない、自然に出したい場合は?

「刺激性便秘薬」は腸を直接動かすため、腸の活発な動きがお腹の痛みとなって現れやすいという特徴があります。そのため、お腹の痛みが不安な人は、作用が穏やかで痛みの心配が少ない「非刺激性便秘薬」を選ぶとよいでしょう。自然に近いお通じを目指すことができます。

ダイエットなどが原因で食事量が少なく、便の量が足りなくて便秘になっている場合は、非刺激性便秘薬の中でも、食物繊維をプラスしたタイプの便秘薬がおすすめです。便の量を増やすことでスムーズに排泄できます

食事量が少ない便秘の場合、同時に水分摂取量も少ないことが多いので、便秘薬をのむ時は、コップ3杯ほどのたっぷりの水でのむようにしましょう。

しつこい便秘をしっかり解消したい場合は?


しつこい便秘をしっかり解消したい場合は? しつこい便秘をしっかり解消したい場合は?

しつこい便秘にお悩みの場合は、大腸に直接作用する「刺激性便秘薬」で、腸の動き(ぜん動運動)を促すと解消しやすくなります。ただし腸が活発に動き、お腹の痛みとなって現れやすいため、お腹の様子を確認しながら服用量を上手に調節していきましょう。

また、刺激性便秘薬は長期にわたって使用すると耐性ができることがあります。そのため、慢性便秘の場合は生活習慣を見直し、便秘になりにくい生活に改善していくことも重要です。また、便秘が続く場合は、早めに専門医を受診して相談しましょう。

漢方やハーブなどを選びたい場合は?


漢方やハーブなどを選びたい場合は? 漢方やハーブなどを選びたい場合は?

代表的な便秘の漢方薬には、「大黄甘草湯」があります。その名の通り「大黄(ダイオウ)」と「甘草(カンゾウ)」の2種類の生薬を組み合わせた漢方薬です。

大黄はタデ科の多年草のダイオウの根からつくられた生薬で、主成分のセンノシドが、胃や小腸では吸収されず、大腸で腸内細菌によって分解されて腸のぜん動運動を促します。「甘草」は、便秘に伴う腹痛や排便時の痛みを和らげます。

また「センナ」というハーブもあります。アフリカ原産のセンナというマメ科の植物から抽出された成分で、これも主成分はセンノシドです。

漢方やハーブは「穏やか」というイメージがあるかもしれませんが、大黄やセンナは腸を直接動かすため、「刺激性便秘薬」の成分に当たり、しっかりとした効き目が見込めます。一方でお腹が痛くなったり、長期にわたって使用すると耐性ができたりすることもあります。

穏やかな作用の「非刺激性便秘薬」に含まれる生薬としては、「プランタゴ・オバタ」があります。オオバコ科の植物で、その種子の外皮を粉砕したものを「サイリウム」と呼びます。食物繊維が多く含まれ、腸で水分を吸収して便の量を増やし、自然に近いお通じを促します。

プランタゴ・オバタは、便秘薬への配合の他にも、特定保健用食品や機能性表示食品、健康食品、サプリメントなどにも広く使用されています。

旅行先などで、今すぐに便秘を解消したい場合は?


旅行先などで、今すぐに便秘を解消したい場合は? 旅行先などで、今すぐに便秘を解消したい場合は?

旅行先で便秘になってしまう人は多いものです。便秘薬は服用後、約6~11時間で効果が出るものがほとんどですが、「坐薬」なら10~30分で効果が出ます。そのため、旅行先でカチカチの便が出ない時など、即効性がほしい時には坐薬タイプがおすすめです。

坐薬は直腸のみに作用して便通を促すので、お腹が痛くなりにくいのもうれしいところ。ホテルなどの滞在先で30分程度のトイレタイムを確保してから使いましょう。

子ども、妊婦、高齢者でものめる便秘薬は?


子ども、妊婦、高齢者でものめる便秘薬は? 子ども、妊婦、高齢者でものめる便秘薬は?

顆粒タイプの「非刺激性便秘薬」には、3歳から服用できるものがあります。

また錠剤タイプでも、非刺激性の「酸化マグネシウム」の便秘薬は5歳から服用が可能です。便秘になりやすい妊娠中でも服用できますが、妊娠中に服用する場合は、主治医や薬剤師に相談してからにしましょう。

「酸化マグネシウム」の便秘薬は高齢者ものみやすいですが、注意したいのは腎臓に病気がある場合です。余分なマグネシウムを排泄する腎臓機能が低下しているため、「高マグネシウム血症」になる危険があります。腎臓に限らず他の病気で服薬している場合は、市販の便秘薬をのむ前に主治医や薬剤師に相談してください。

量を調節できるタイプの刺激性便秘薬は11歳から、坐薬は12歳から使用できるものもあります。

便秘薬を選ぶ時に注意したいこと

薬剤師・登録販売者・かかりつけ医に相談を


薬剤師・登録販売者・かかりつけ医に相談を 薬剤師・登録販売者・かかりつけ医に相談を

市販の便秘薬はたくさんの種類があるので、自分に合う薬が分からない場合は、薬局・薬店で薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

持病で処方薬をのんでいる場合は、その薬の副作用で便秘が起きている場合があります。例えば夜間頻尿やパーキンソン病などで処方される「抗コリン薬」、高血圧に処方される「カルシウム拮抗薬」などは、副作用として便秘が挙げられます。持病で服薬をしている人は、市販薬をのむ前に主治医に便秘の相談をするようにしましょう。

用法・用量は必ず守り、最少量から。長期間のみ続けずに適切に受診を


便秘薬は必ず用法・用量を守ってのむことが大切です。また、できるだけ最少量から始めましょう。「刺激性便秘薬」は長期にわたって使用すると耐性ができることもあります。慢性的な便秘は医療機関を受診して、相談することも大切です。

便秘の根本的な改善は、生活習慣の見直しから


便秘の根本的な改善は、生活習慣の見直しから 便秘の根本的な改善は、生活習慣の見直しから

便秘薬は、つらい便秘の時に頼りになる「お守り」のようなもの。便秘対策の基本はあくまでも「生活習慣の改善」です。次のポイントを参考に、便秘になりにくい生活スタイルを身につけましょう。

3食きちんと食べる

食事は胃を刺激し、排便を促すシグナル(胃結腸反射:いけっちょうはんしゃ)を腸に送ります。特に朝食後の胃結腸反射が最も強いので、朝食を抜かないことが大切です。

十分な睡眠をとり、規則正しい生活をする

睡眠不足になると、腸のぜん動運動をつかさどる自律神経が乱れて便秘になりやすくなります。十分な睡眠をとり、規則正しい生活を心がけることで自律神経のバランスを整えましょう。

食事は胃を刺激し、排便を促すシグナル(胃結腸反射:いけっちょうはんしゃ)を腸に送ります。特に朝食後の胃結腸反射が最も強いので、朝食を抜かないことが大切です。

発酵食品と食物繊維をたっぷり摂る

便秘の腸は悪玉菌が多く、腸内細菌のバランスが悪い状態です。善玉菌を増やす発酵食品と、善玉菌のエサになる食物繊維をたっぷり摂りましょう。

1日2リットルの水分を摂取する

水分摂取量が少ないと便秘になりやすくなります。1日2リットルを目安に水分をこまめに摂りましょう。

適度な運動とその後の休息

運動不足は腸のぜん動運動を妨げます。適度な運動の後に十分に休息をすると大腸は活発に動くので、ウォーキングなどの軽い運動を習慣にしましょう。

便意を我慢しない

便意を我慢し続けていると、便意自体が消失して便秘になってしまいます。逆に、便意がなくても朝はトイレタイムを習慣にすることで便が出やすくなります。

ストレスをためない

ストレスで緊張し続けていると、自律神経が乱れて腸の働きが抑制されてしまいます。こまめにストレスを解消して、リラックスすることが大切です。

便秘薬の種類と選び方を知っておけば、いざという時に役立ちます。自分に合った便秘薬を選ぶと共に、生活習慣を見直して“快腸”な毎日を過ごしていきましょう。