【プロフィール・経歴】
福島大学教育学部養護教育課程中学校コース理科卒業後、福島県内の特別支援学校で勤務。
働き始めた頃に網膜剥離と白内障になり、その後手術の後遺症による緑内障で視力を徐々に失い、現在右0.1、光覚なし(光もわからない)の弱視となる。2013年からの9年間の視覚支援学校在職中より、視覚障害の有無にかからず誰もが分かり楽しめるインクルーシブ理科教材の作成、インクルーシブサイエンスアウトリーチ活動をしている。
【プロフィール・経歴】
福島大学教育学部養護教育課程中学校コース理科卒業後、福島県内の特別支援学校で勤務。
働き始めた頃に網膜剥離と白内障になり、その後手術の後遺症による緑内障で視力を徐々に失い、現在右0.1、光覚なし(光もわからない)の弱視となる。2013年からの9年間の視覚支援学校在職中より、視覚障害の有無にかからず誰もが分かり楽しめるインクルーシブ理科教材の作成、インクルーシブサイエンスアウトリーチ活動をしている。
2025.1.7
2025.1.7
■ハレー彗星の写真から入った天文の世界
■ハレー彗星の写真から入った天文の世界
--小さい頃からの宇宙への憧れ、つながりなどについて教えてください。
そうですね、1986年に、ハレー彗星が地球に戻ってきましたね。あのとき、隣の家のおじさんが、地元の天文同好会でハレー彗星の写真を撮って、それを私に下さったんです。
ただ、私が住んでいた場所は福島県庁(福島市)の近くで空が明るく、しかも周りにていねいに天文観測を指導してくれる人がいなかったので、星の見方がわからなかったんです。その意味でもその写真は貴重でしたね。
--都会だと星って見えないですよね…私もそうでした。
あとは日食や月食ですかね。こういう天文現象だと明るい街なかでもみられるので、そういったイベントで喜んでいた記憶があります。
--そこから大学へと…
大学では地学研究会の天文班に所属していました。夏は吾妻山に登って、ペルセウス座流星群をガッツリ観測していました。
--うわー、うらやましい!
でも天気が悪いタイミングってあるんですよね。そうすると1つのテントはだいたい麻雀部屋になる。私は麻雀ができないので、寝ていましたね。
--小さい頃からの宇宙への憧れ、つながりなどについて教えてください。
そうですね、1986年に、ハレー彗星が地球に戻ってきましたね。あのとき、隣の家のおじさんが、地元の天文同好会でハレー彗星の写真を撮って、それを私に下さったんです。
ただ、私が住んでいた場所は福島県庁(福島市)の近くで空が明るく、しかも周りにていねいに天文観測を指導してくれる人がいなかったので、星の見方がわからなかったんです。その意味でもその写真は貴重でしたね。
--都会だと星って見えないですよね…私もそうでした。
あとは日食や月食ですかね。こういう天文現象だと明るい街なかでもみられるので、そういったイベントで喜んでいた記憶があります。
--そこから大学へと…
大学では地学研究会の天文班に所属していました。夏は吾妻山に登って、ペルセウス座流星群をガッツリ観測していました。
--うわー、うらやましい!
でも天気が悪いタイミングってあるんですよね。そうすると1つのテントはだいたい麻雀部屋になる。私は麻雀ができないので、寝ていましたね。
■ビルの清掃員になりたかった!?
--学校の先生になろうとした理由を教えて下さい。
個人的には宇宙関係の研究者や、科学館の仕事をしたいとは思っていました。でも、諸事情によってそれは叶わず、地元(福島大学)の教育学部に進みました。その中で、理科が得意だったので、養護教育課程の中学校理科コースに進みました。
でも、将来教員になろうとは思っていなかったのです。実はビルの清掃員になりたかったのです。
--ビルの清掃員!?
ひたすら窓拭きとかやってみたかった。でも、隣の家の今度はおばあちゃんに「大学まで行かせてもらってるんだから、ビルの清掃員は退職してからでもいいじゃない」って怒られて…
--そして、教員の道へと。
私が出た小学校は福島第一小学校というところですが、ここには当時、弱視学級・難聴学級・情緒障害学級という3つの学級がありました。そこに難聴の友達が2人いて、普段はみんなと一緒に通常学級で学習をし、週に何時間か難聴学級で個別学習をしていました。このような特別支援教育の形態を通級指導というのですが、今思い返せば、養護・訓練(自立活動)の時間に、難聴学級で学習をしていたのだと思います。
大学の特別支援の制度の授業のとき、この通級指導が制度化されたのが平成になってからだという事実を知って衝撃を受けたのです。
私は弱視や難聴の友達と一緒に学習できるのが当たり前だと思っていたのですが、そうではなかったと。そして、弱視や難聴の友達と一緒に過ごしたこともあって、障害に対する配慮を自然と学べていたのです。
そういう経験もあって、障害のある子もない子も一緒に地域の学校で学べるようにしたい…そんな思いから、教員を目指すようになったのです。
■ビルの清掃員になりたかった!?
--学校の先生になろうとした理由を教えて下さい。
個人的には宇宙関係の研究者や、科学館の仕事をしたいとは思っていました。でも、諸事情によってそれは叶わず、地元(福島大学)の教育学部に進みました。その中で、理科が得意だったので、養護教育課程の中学校理科コースに進みました。
でも、将来教員になろうとは思っていなかったのです。実はビルの清掃員になりたかったのです。
--ビルの清掃員!?
ひたすら窓拭きとかやってみたかった。でも、隣の家の今度はおばあちゃんに「大学まで行かせてもらってるんだから、ビルの清掃員は退職してからでもいいじゃない」って怒られて…
--そして、教員の道へと。
私が出た小学校は福島第一小学校というところですが、ここには当時、弱視学級・難聴学級・情緒障害学級という3つの学級がありました。そこに難聴の友達が2人いて、普段はみんなと一緒に通常学級で学習をし、週に何時間か難聴学級で個別学習をしていました。このような特別支援教育の形態を通級指導というのですが、今思い返せば、養護・訓練(自立活動)の時間に、難聴学級で学習をしていたのだと思います。
大学の特別支援の制度の授業のとき、この通級指導が制度化されたのが平成になってからだという事実を知って衝撃を受けたのです。
私は弱視や難聴の友達と一緒に学習できるのが当たり前だと思っていたのですが、そうではなかったと。そして、弱視や難聴の友達と一緒に過ごしたこともあって、障害に対する配慮を自然と学べていたのです。
そういう経験もあって、障害のある子もない子も一緒に地域の学校で学べるようにしたい…そんな思いから、教員を目指すようになったのです。
弱視が顔を近づけてみることができるようにした観察用透明半球を使ったダジック・アース背面投影装置
弱視が顔を近づけてみることができるようにした観察用透明半球を使ったダジック・アース背面投影装置
--貴重な経験だったんですね。
難聴の友達2人とは、手話ができず、口の動きや表情などから会話を読み取るコミュニケーション方法いわゆる口話でやりとりしていました。そのときわかったのが、やり取りのコツとして、大きな声でしゃべること、顔をみて口を大きく開けて話すこと。難聴の方と話す方法を自然に学習していたのです。
--そんな中、佐久間さんも視力障害に…
そうです。教員として働き始めた20代前半のときです。
ちょうど視力が落ちてきて辛さを感じていたとき、運良く今の視覚支援学校勤務となって、視覚障害教育を通じて、生徒たちと一緒にいろいろなスキルを身につけることができるようになっています。
--貴重な経験だったんですね。
難聴の友達2人とは、手話ができず、口の動きや表情などから会話を読み取るコミュニケーション方法いわゆる口話でやりとりしていました。そのときわかったのが、やり取りのコツとして、大きな声でしゃべること、顔をみて口を大きく開けて話すこと。難聴の方と話す方法を自然に学習していたのです。
--そんな中、佐久間さんも視力障害に…
そうです。教員として働き始めた20代前半のときです。
ちょうど視力が落ちてきて辛さを感じていたとき、運良く今の視覚支援学校勤務となって、視覚障害教育を通じて、生徒たちと一緒にいろいろなスキルを身につけることができるようになっています。
■天文教育とは?インクルーシブ天文学とは?
■天文教育とは?インクルーシブ天文学とは?
--天文教育というのはどのようなことでしょうか?また、その中で佐久間さんが果たしている役割はどのようなものでしょうか?
難しい質問ですね…
私自身は、天文教育を特段頑張っているという意識はないですね。むしろ面白いから伝えたい、という思いが強いです。
この考え方って、アウトリーチ(支援が必要な人に、行政や支援機関が能動的に足を運び、直接働きかけてサービスを届ける「待たない支援」のこと)に近いところがありますね。
--アウトリーチは私もまさにライフワークです。
教育って、単に知識を定着させたり、学力を上げたりすることだけではないと思うんです。生活全般や、その先のキャリアを育てていくもの。そこにつながっていくと考えたとき、子どもたちが天文を面白がってくれるかどうかはわからないけど、彼らにとっていろんなことを経験してもらう、そのうちの1つにはなると思っています。
だからこそ、面白さを伝える。それは彼らにとってもその場で「ああ、面白かった」で終わるかも知れないし、さらに勉強したいと思うかも知れない。でも、ともかくきっかけを与えることが重要だと思っています。
--天文教育というのはどのようなことでしょうか?また、その中で佐久間さんが果たしている役割はどのようなものでしょうか?
難しい質問ですね…
私自身は、天文教育を特段頑張っているという意識はないですね。むしろ面白いから伝えたい、という思いが強いです。
この考え方って、アウトリーチ(支援が必要な人に、行政や支援機関が能動的に足を運び、直接働きかけてサービスを届ける「待たない支援」のこと)に近いところがありますね。
--アウトリーチは私もまさにライフワークです。
教育って、単に知識を定着させたり、学力を上げたりすることだけではないと思うんです。生活全般や、その先のキャリアを育てていくもの。そこにつながっていくと考えたとき、子どもたちが天文を面白がってくれるかどうかはわからないけど、彼らにとっていろんなことを経験してもらう、そのうちの1つにはなると思っています。
だからこそ、面白さを伝える。それは彼らにとってもその場で「ああ、面白かった」で終わるかも知れないし、さらに勉強したいと思うかも知れない。でも、ともかくきっかけを与えることが重要だと思っています。
ブラックホールの構造とM87ブラックホールの回転方向を確認するための教材①
ブラックホールの構造とM87ブラックホールの回転方向を確認するための教材①
ブラックホールの構造とM87ブラックホールの回転方向を確認するための教材②
ブラックホールの構造とM87ブラックホールの回転方向を確認するための教材②
--なるほど、確かに重要ですね。ところで、佐久間さんはなぜ天文が面白いと思ったのでしょう?
若干好き嫌いの話になりますが、街なかで育ったこともあるのか、私は生物系はちょっと苦手。虫も好きではありません。あと、雑多な性格なので(笑い)化学も得意じゃなかった。化学式とか全然覚えられませんでした。あと、物理は力学の計算ができなかった…
でも、地学とか天文は頭の中に入ってくる。これはもう好き嫌いの問題なのかも知れませんね。
--そんな中、「インクルーシブ天文学」とは、どのようなことでしょうか?
実は私の卒業論文のテーマがこの「インクルージョン」だったのです。
日本でインクルージョンというと障害の有無に焦点が当てられがちですが、実はそれだけではなく、ジェンダー、文化、宗教、世代、言語や人種などに関係なく、すべての人が共に学んで生きること、これがインクルージョンだと思っています。
その中で、誰にでもわかる・楽しめる天文学が「インクルーシブ天文学」だと思います。
--このインクルーシブ天文学の実践例を教えてください。
全盲の友人がいるのですが、その人が「天文や宇宙は触れるものがないから面白くなかったし、興味が持てなかった」って言っていたんですよね。
そこで、大きなペットボトルを使って触って分かる呼吸器モデル、星座の触図など、触ってわかる教材の確認をお願いしてみました。そしたら、すごく喜んでくださった。
--なるほど、確かに重要ですね。ところで、佐久間さんはなぜ天文が面白いと思ったのでしょう?
若干好き嫌いの話になりますが、街なかで育ったこともあるのか、私は生物系はちょっと苦手。虫も好きではありません。あと、雑多な性格なので(笑い)化学も得意じゃなかった。化学式とか全然覚えられませんでした。あと、物理は力学の計算ができなかった…
でも、地学とか天文は頭の中に入ってくる。これはもう好き嫌いの問題なのかも知れませんね。
--そんな中、「インクルーシブ天文学」とは、どのようなことでしょうか?
実は私の卒業論文のテーマがこの「インクルージョン」だったのです。
日本でインクルージョンというと障害の有無に焦点が当てられがちですが、実はそれだけではなく、ジェンダー、文化、宗教、世代、言語や人種などに関係なく、すべての人が共に学んで生きること、これがインクルージョンだと思っています。
その中で、誰にでもわかる・楽しめる天文学が「インクルーシブ天文学」だと思います。
--このインクルーシブ天文学の実践例を教えてください。
全盲の友人がいるのですが、その人が「天文や宇宙は触れるものがないから面白くなかったし、興味が持てなかった」って言っていたんですよね。
そこで、大きなペットボトルを使って触って分かる呼吸器モデル、星座の触図など、触ってわかる教材の確認をお願いしてみました。そしたら、すごく喜んでくださった。
視覚支援学校中学部全盲生徒が、教材を活用し授業を受ける様子①
視覚支援学校中学部全盲生徒が、教材を活用し授業を受ける様子①
視覚支援学校中学部全盲生徒が、教材を活用し授業を受ける様子②
視覚支援学校中学部全盲生徒が、教材を活用し授業を受ける様子②
■触ってわかるはやぶさ2、触ってわかるブラックホール
■触ってわかるはやぶさ2、触ってわかるブラックホール
--はやぶさ2の特別授業もありましたね
あれは会津大学在籍当時の寺薗さんにご協力いただいて…。
福島は「はやぶさ2」に関わっている企業がすごく多い。そういった企業さんや関係者にお願いをすると、みんなすごく協力してくれたんです。
あと、福島県(会津若松市)出身の渡部潤一先生(京都産業大学神山宇宙科学研究所所長)もすごく後押ししてくださいました。「天文分野は、日本ではプロもアマチュアもないんだ」と。だから、えらい先生とも情報交換できる。天文はこういうところがいいですよね。
--はやぶさ2の特別授業もありましたね
あれは会津大学在籍当時の寺薗さんにご協力いただいて…。
福島は「はやぶさ2」に関わっている企業がすごく多い。そういった企業さんや関係者にお願いをすると、みんなすごく協力してくれたんです。
あと、福島県(会津若松市)出身の渡部潤一先生(京都産業大学神山宇宙科学研究所所長)もすごく後押ししてくださいました。「天文分野は、日本ではプロもアマチュアもないんだ」と。だから、えらい先生とも情報交換できる。天文はこういうところがいいですよね。
小惑星 「リュウグウ」 と 「イトカワ」 の同縮尺3Dプリンター模型
小惑星 「リュウグウ」 と 「イトカワ」 の同縮尺3Dプリンター模型
小惑星探査機「はやぶさ2」実物大模型
小惑星探査機「はやぶさ2」実物大模型
小惑星探査機「はやぶさ2」実物大模型を活用した授業の様子
小惑星探査機「はやぶさ2」実物大模型を活用した授業の様子
小惑星探査機「はやぶさ2」実物大太陽光パネル模型
小惑星探査機「はやぶさ2」実物大太陽光パネル模型
--あとはブラックホールの教材も。
2019年に、史上はじめてブラックホールの写真撮影に成功した
というニュースがありましたね。このブラックホールの回転方向を触ってわかるようにした模型を作ったのです。
この模型を一般向けイベントに持っていったら、小学校3年生の女の子が、原理をちゃんと理解して、ブラックホールの回転方向を答えられたんですね。びっくりしました。
福島市で行ったイベントでは、小学校1年生の男の子が興味を持ってくれて、ドップラー効果(音源や光源(波源)と観測者が相対的に移動する際、波の周波数が本来の数値からずれて観測される現象)の原理を理解し、M87ブラックホールの回転方向を答えてくれたんですね。一緒に来ていたお父さんのほうが迷っていて…
--世代も超える、性別も超える、健常かどうかも超える、まさにインクルーシブ天文学ですね。
--あとはブラックホールの教材も。
2019年に、史上はじめてブラックホールの写真撮影に成功した
というニュースがありましたね。このブラックホールの回転方向を触ってわかるようにした模型を作ったのです。
この模型を一般向けイベントに持っていったら、小学校3年生の女の子が、原理をちゃんと理解して、ブラックホールの回転方向を答えられたんですね。びっくりしました。
福島市で行ったイベントでは、小学校1年生の男の子が興味を持ってくれて、ドップラー効果(音源や光源(波源)と観測者が相対的に移動する際、波の周波数が本来の数値からずれて観測される現象)の原理を理解し、M87ブラックホールの回転方向を答えてくれたんですね。一緒に来ていたお父さんのほうが迷っていて…
--世代も超える、性別も超える、健常かどうかも超える、まさにインクルーシブ天文学ですね。
■視力が落ちる中で、日々感じる喜び
■視力が落ちる中で、日々感じる喜び
--日々の生活や仕事の中で、苦労していることやうれしかったことなどを教えてください。
やはり、弱視がどんどん進んでいることでしょうかね…
以前は小説が大好きで、文庫本を週に1〜2冊読んでいました。漫画もたくさん読んでいたのですが今はそれができない。でも、最近は本の読み上げ機能や、オーディオブックなども普及してきて、本当に便利になりました。
こんなエピソードもありました。中学部で合同授業をやっていたときに、1人の女の子に先生方が「どうしたの?なんで泣いてるの?」と声をかけ始めたんですね。その子と私は1メートルくらいしか離れていない。でも泣いている姿顔が見えない。生徒の表情や顔色、変化が見えなくなっていたことに気づき、視覚支援学校以外で働くことができる場所はどこだろうかと考えるようになりました。自分の将来を考え、地学の専門性を高めるために様々な研修会に参加し、その中で得たものを生徒たちに伝えたくて、さらに様々な教材を作りました。
そうそう、面白いことでいうと、百円ショップやホームセンターはパラダイスですよね。
--わかります!
私が作っている教材は、ペットボトルを改造したり、牛乳パックを使ったり、百円ショップやホームセンターで手に入る品物を使っているんです。身近なもので教材が作れるというのは、失敗しても壊れても痛ましくないし、「いつでもだれでもどこでも作れる」ので他の人と共有しやすいですね。
自分が作った教材が面白いといってもらえると、本当にうれしいです。
--これから成し遂げたいと思っていること、目標などについて教えてください。
2024年12月に亡くなられた元・常磐大学の中村正之先生との生前の約束で、彼が制作した「さわれる写真」関係の実物・デジタルの資料を、郡山市の星のソムリエの方と引き継いでいます。これを今後、インクルーシブ天文教育やアウトリーチに活かしていきたいですね。
また、2022年から3年間勤務した病弱支援学校では、VRヘッドセットを使った体験学習を行いました。VRヘッドセットを使うと、太陽系のそれぞれの重力を体験するといった、実際に行けない場所をあたかもそこにいるかのように体験できるんですね。天文・宇宙分野ではすごく強力なツールだと思っています。
昨年の誕生日に、主人が最新のVRヘッドセットを買ってくれたんです。弱視でも、視覚の状態によってはVRヘッドセットを使えるんじゃないかと思っています。今後はVRに関する教材研究を行って、授業に活用したいと思っています。
--日々の生活や仕事の中で、苦労していることやうれしかったことなどを教えてください。
やはり、弱視がどんどん進んでいることでしょうかね…
以前は小説が大好きで、文庫本を週に1〜2冊読んでいました。漫画もたくさん読んでいたのですが今はそれができない。でも、最近は本の読み上げ機能や、オーディオブックなども普及してきて、本当に便利になりました。
こんなエピソードもありました。中学部で合同授業をやっていたときに、1人の女の子に先生方が「どうしたの?なんで泣いてるの?」と声をかけ始めたんですね。その子と私は1メートルくらいしか離れていない。でも泣いている姿顔が見えない。生徒の表情や顔色、変化が見えなくなっていたことに気づき、視覚支援学校以外で働くことができる場所はどこだろうかと考えるようになりました。自分の将来を考え、地学の専門性を高めるために様々な研修会に参加し、その中で得たものを生徒たちに伝えたくて、さらに様々な教材を作りました。
そうそう、面白いことでいうと、百円ショップやホームセンターはパラダイスですよね。
--わかります!
私が作っている教材は、ペットボトルを改造したり、牛乳パックを使ったり、百円ショップやホームセンターで手に入る品物を使っているんです。身近なもので教材が作れるというのは、失敗しても壊れても痛ましくないし、「いつでもだれでもどこでも作れる」ので他の人と共有しやすいですね。
自分が作った教材が面白いといってもらえると、本当にうれしいです。
--これから成し遂げたいと思っていること、目標などについて教えてください。
2024年12月に亡くなられた元・常磐大学の中村正之先生との生前の約束で、彼が制作した「さわれる写真」関係の実物・デジタルの資料を、郡山市の星のソムリエの方と引き継いでいます。これを今後、インクルーシブ天文教育やアウトリーチに活かしていきたいですね。
また、2022年から3年間勤務した病弱支援学校では、VRヘッドセットを使った体験学習を行いました。VRヘッドセットを使うと、太陽系のそれぞれの重力を体験するといった、実際に行けない場所をあたかもそこにいるかのように体験できるんですね。天文・宇宙分野ではすごく強力なツールだと思っています。
昨年の誕生日に、主人が最新のVRヘッドセットを買ってくれたんです。弱視でも、視覚の状態によってはVRヘッドセットを使えるんじゃないかと思っています。今後はVRに関する教材研究を行って、授業に活用したいと思っています。
YouTube360度動画を使った日周運動の授業の様子
YouTube360度動画を使った日周運動の授業の様子
VR Chatを使った太陽系天体の重力の違いを知る授業の様子
VR Chatを使った太陽系天体の重力の違いを知る授業の様子
■すべての人のための天文のために
■すべての人のための天文のために
--「すべての人のための天文」に興味を持っている方へのメッセージをお願いします。
「すべての人のための天文」には様々な方法がある、と私は思っています。興味を持って下さる方も多い。でも、実際の現場では実情が異なることも多いのです。
よくいわれるのが、「目が見えない人のためには点字をつければいい」という発想です。弱視で点字を指で読むことができる人はごく稀で、全盲でもすべての人が点字を指で読むことができるわけではありません。
--そうなんですか!私もそれは知りませんでした。
一方で、デジタル機器やタブレット端末の普及により、点字を使わなくても情報を手に入れる方法は増えてきました。読み上げや文字の拡大などの手段も使えます。
私がこれまでに作ってきた教材類は、実は半分は初めの段階で「わからない」といわれてしまう。本当に理解できるものを作るためには、様々な工夫を続けていかなければならないのです。
だから、インクルーシブ天文学に興味を持ち、いろいろ作って下さっている方は、まず使って欲しい人に一度使ってもらう。これは障害の有無に関わりません。その方の意見を元に改良していく。ここが重要だと思います。あともう一つは、作ったら終わりではなく、その解説もしっかり考えていくこと。教材自身の解説もそうですし、使い方もちゃんと説明を入れておく。作った教材を提供するだけでなく、使う人との対話も重要になってきます。
--「すべての人のための天文」に興味を持っている方へのメッセージをお願いします。
「すべての人のための天文」には様々な方法がある、と私は思っています。興味を持って下さる方も多い。でも、実際の現場では実情が異なることも多いのです。
よくいわれるのが、「目が見えない人のためには点字をつければいい」という発想です。弱視で点字を指で読むことができる人はごく稀で、全盲でもすべての人が点字を指で読むことができるわけではありません。
--そうなんですか!私もそれは知りませんでした。
一方で、デジタル機器やタブレット端末の普及により、点字を使わなくても情報を手に入れる方法は増えてきました。読み上げや文字の拡大などの手段も使えます。
私がこれまでに作ってきた教材類は、実は半分は初めの段階で「わからない」といわれてしまう。本当に理解できるものを作るためには、様々な工夫を続けていかなければならないのです。
だから、インクルーシブ天文学に興味を持ち、いろいろ作って下さっている方は、まず使って欲しい人に一度使ってもらう。これは障害の有無に関わりません。その方の意見を元に改良していく。ここが重要だと思います。あともう一つは、作ったら終わりではなく、その解説もしっかり考えていくこと。教材自身の解説もそうですし、使い方もちゃんと説明を入れておく。作った教材を提供するだけでなく、使う人との対話も重要になってきます。
「さわれる写真展」の様子(全盲男性・晴眼男児)①
「さわれる写真展」の様子(全盲男性・晴眼男児)①
「さわれる写真展」の様子(全盲男性・晴眼男児)②
「さわれる写真展」の様子(全盲男性・晴眼男児)②
--解説には対話も重要なんですね
一方的に話すだけでは伝わらないと思います。その人がどういうふうに理解しているかを確認し、進めていかなければなりません。先ほどのブラックホール模型の例で、小学校1年生がちゃんと答えられたのも、1つ1つ確認しながらやっていったことが大きいのです。
本当にその人が求めている、現場が求めている教材や資料を作っていくことが重要だ、そう思いますね。
--解説には対話も重要なんですね
一方的に話すだけでは伝わらないと思います。その人がどういうふうに理解しているかを確認し、進めていかなければなりません。先ほどのブラックホール模型の例で、小学校1年生がちゃんと答えられたのも、1つ1つ確認しながらやっていったことが大きいのです。
本当にその人が求めている、現場が求めている教材や資料を作っていくことが重要だ、そう思いますね。
<インタビューを終えて>
<インタビューを終えて>
佐久間さんとは、天文教育普及研究会という、天文を通じて教育や一般への広報普及を図っていこうという団体でご一緒しています。しかも、福島という共通のつながりを持っている(寺薗はかつて福島県の会津大学にて教員として務めていました)。弱視だから、体にハンディキャップがあるから、ということを一切感じさせず、一緒に楽しく天文教育に打ち込んでいる、佐久間さんのその姿をいつも頼もしく、あるいは力強く感じています。天文って、本当に誰でも楽しめるものなんですよね。佐久間さんの頑張りがきっと、1人でも多くの人たちに「星に手が届く」力になるのではないかと思います。
8月には郡山市で、当会の年会が佐久間さんを実行委員長として開催されます。私も佐久間さんと久しぶりにいろいろとお話ができるのが楽しみです。
佐久間さんとは、天文教育普及研究会という、天文を通じて教育や一般への広報普及を図っていこうという団体でご一緒しています。しかも、福島という共通のつながりを持っている(寺薗はかつて福島県の会津大学にて教員として務めていました)。弱視だから、体にハンディキャップがあるから、ということを一切感じさせず、一緒に楽しく天文教育に打ち込んでいる、佐久間さんのその姿をいつも頼もしく、あるいは力強く感じています。天文って、本当に誰でも楽しめるものなんですよね。佐久間さんの頑張りがきっと、1人でも多くの人たちに「星に手が届く」力になるのではないかと思います。
8月には郡山市で、当会の年会が佐久間さんを実行委員長として開催されます。私も佐久間さんと久しぶりにいろいろとお話ができるのが楽しみです。