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JUICE所内プロジェクトチーム チーム長 JAXA宇宙科学研究所 太陽系科学研究系教授 齋藤 義文 JUICE所内プロジェクトチーム チーム長 JAXA宇宙科学研究所 太陽系科学研究系教授 齋藤 義文

[提供:JAXA]

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Challenger⑳

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はるかなる時間と空間を超え、いざ木星の衛星へ

はるかなる時間と空間を超え、いざ木星の衛星へ

JUICE所内プロジェクトチーム チーム長
JAXA宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 教授
齋藤 義文

JUICE所内プロジェクトチーム チーム長
JAXA宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 教授
齋藤 義文

1991年3月 京都大学大学院理学研究科修士課程地球物理学専攻修了
1992年9月 京都大学大学院理学研究科博士課程地球物理学専攻中退
1995年2月 東京大学大学院理学研究科にて論文博士(理学)取得
1992年に宇宙科学研究所太陽系プラズマ研究系の助手に採用されて以降、「Geotail」「のぞみ」「かぐや」「BepiColombo/Mio」衛星などに搭載されたプラズマ粒子観測装置の開発やデータ解析に携わり、惑星間空間プラズマや天体周辺プラズマの研究を進めている。
2017年より現職。

1991年3月 京都大学大学院理学研究科修士課程地球物理学専攻修了
1992年9月 京都大学大学院理学研究科博士課程地球物理学専攻中退
1995年2月 東京大学大学院理学研究科にて論文博士(理学)取得
1992年に宇宙科学研究所太陽系プラズマ研究系の助手に採用されて以降、「Geotail」「のぞみ」「かぐや」「BepiColombo/Mio」衛星などに搭載されたプラズマ粒子観測装置の開発やデータ解析に携わり、惑星間空間プラズマや天体周辺プラズマの研究を進めている。
2017年より現職。

2023.3.27

2023.3.27

2023.3.27

2023.3.27

──宇宙に興味を抱くようになったエピソードやきっかけなどを教えてください。

確か小学校3年生のとき、両親からクリスマスプレゼントとして望遠鏡をもらったのです。兄が星好きで、土星を見せたりしてくれました。望遠鏡を通して輪がある土星が見えることに感動しました。
私自身は工作や旅行が好きで、「現地(その星)に行きたい」という思いが強かったのです。大学で、その「現地に行く手段」、つまり探査という手段があることを知りました。また電磁気学が好きで、そこからモノを作ることの楽しみも知りました。こういったことが今の探査につながっているのでしょう。

──JUICE(ジュース)はどのような計画で、どのようなミッションを行うのでしょうか? また、探査機の特長を教えてください。

JUICEは、木星の大きな4つの衛星「ガリレオ衛星」のうち、氷で表面が覆われている3つ(エウロパ、ガニメデ、カリスト)を上空から探査するミッションです。これらの衛星を調べ、最後はガニメデを周回する予定です。他の惑星の衛星を周回するミッションは世界初となります。
JUICEの目的は、「惑星がいかにして作られたのかを解明する」「氷衛星の地下に海があるかを解明する」「木星周辺の磁場の変動を観測する」、この3つにあります。
探査機はヨーロッパが主体になって開発し、日本の研究者は観測機器開発で参加しています。

──宇宙に興味を抱くようになったエピソードやきっかけなどを教えてください。

確か小学校3年生のとき、両親からクリスマスプレゼントとして望遠鏡をもらったのです。兄が星好きで、土星を見せたりしてくれました。望遠鏡を通して輪がある土星が見えることに感動しました。
私自身は工作や旅行が好きで、「現地(その星)に行きたい」という思いが強かったのです。大学で、その「現地に行く手段」、つまり探査という手段があることを知りました。また電磁気学が好きで、そこからモノを作ることの楽しみも知りました。こういったことが今の探査につながっているのでしょう。

──JUICE(ジュース)はどのような計画で、どのようなミッションを行うのでしょうか? また、探査機の特長を教えてください。

JUICEは、木星の大きな4つの衛星「ガリレオ衛星」のうち、氷で表面が覆われている3つ(エウロパ、ガニメデ、カリスト)を上空から探査するミッションです。これらの衛星を調べ、最後はガニメデを周回する予定です。他の惑星の衛星を周回するミッションは世界初となります。
JUICEの目的は、「惑星がいかにして作られたのかを解明する」「氷衛星の地下に海があるかを解明する」「木星周辺の磁場の変動を観測する」、この3つにあります。
探査機はヨーロッパが主体になって開発し、日本の研究者は観測機器開発で参加しています。

木星の周りを回るガリレオ衛星の1つガニメデを周回するJUICE(想像図)[提供:JAXA] 木星の周りを回るガリレオ衛星の1つガニメデを周回するJUICE(想像図)[提供:JAXA]

木星の周りを回るガリレオ衛星の1つガニメデを周回するJUICE(想像図)[提供:JAXA]

木星の周りを回るガリレオ衛星の1つガニメデを周回するJUICE(想像図)[提供:JAXA]

──JUICE計画はヨーロッパと日本との共同プロジェクトですが、国際プロジェクトならではの苦労、あるいは興味深いエピソードなどはありますでしょうか。

ヨーロッパの探査機なので、観測機器の開発ではヨーロッパの基準を守らなければならないという点に苦労しました。例えば、ヨーロッパの基準に使用したい電子部品が適合しなかったり、部品の取り付け方が基準に合わない、といったこともありました。こういったことはチーム内で話し合いながら解決していきました。

──JUICE探査機の開発にあたって、苦労したこと、それを解決したエピソードなどを教えてください。

私自身は基本的に超高層大気の研究を行っているのですが、私たちが携わっているGALA(レーザ高度計)は、海外の大型ミッションに日本から初めて提供する固体惑星科学の機器であるため、開発に苦労しました。レーザ高度計自体は「はやぶさ」シリーズや月探査衛星「かぐや」などにも搭載されましたが、今回のJUICEでは測定する距離がこれらと大幅に異なるため、一からの開発に近い状態でした。これらの機器も国際的な協力で開発を進めました。

──JUICE計画はヨーロッパと日本との共同プロジェクトですが、国際プロジェクトならではの苦労、あるいは興味深いエピソードなどはありますでしょうか。

ヨーロッパの探査機なので、観測機器の開発ではヨーロッパの基準を守らなければならないという点に苦労しました。例えば、ヨーロッパの基準に使用したい電子部品が適合しなかったり、部品の取り付け方が基準に合わない、といったこともありました。こういったことはチーム内で話し合いながら解決していきました。

──JUICE探査機の開発にあたって、苦労したこと、それを解決したエピソードなどを教えてください。

私自身は基本的に超高層大気の研究を行っているのですが、私たちが携わっているGALA(レーザ高度計)は、海外の大型ミッションに日本から初めて提供する固体惑星科学の機器であるため、開発に苦労しました。レーザ高度計自体は「はやぶさ」シリーズや月探査衛星「かぐや」などにも搭載されましたが、今回のJUICEでは測定する距離がこれらと大幅に異なるため、一からの開発に近い状態でした。これらの機器も国際的な協力で開発を進めました。

木星磁気圏プラズマが吹き付けるガニメデ磁気圏を訪れるJUICE(想像図)[提供:JAXA] 木星磁気圏プラズマが吹き付けるガニメデ磁気圏を訪れるJUICE(想像図)[提供:JAXA]

木星磁気圏プラズマが吹き付けるガニメデ磁気圏を訪れるJUICE(想像図)[提供:JAXA]

木星磁気圏プラズマが吹き付けるガニメデ磁気圏を訪れるJUICE(想像図)[提供:JAXA]

──将来、チャレンジしたいと思っていることを教えてください。

もちろん、JUICEの観測成果から科学的な成果を見出したいですね。それ以外には、現在進めている月探査計画「ルペックス」(LUPEX)に搭載する予定の質量分析計です。これまでとは異なり、降りたところで物質の分析ができるということは非常に大きな意義があります。将来的には月だけではなく、火星、さらには外惑星などにも持っていきたいですね。

──これから宇宙開発に携わりたいという方、特に若い方へのアドバイスやメッセージをお願いします。

私が研究者としてのキャリアを積み始めた頃には、自分が作った観測装置を月・惑星に持っていけるということは想像だにしていませんでした。しかし今はそれが可能です。私たちが研究室で、まさに格闘しながら作り上げた装置を、現地に届けられるのです。ぜひ、若いうちはいろいろなことにチャレンジし、興味を持ったことを続けていって欲しいと思います。

──JUICE探査機を応援している人たちへのメッセージをお願いいたします。

JUICEは2023年4月に打ち上げられ、木星圏に到着するのは2031年、ミッション終了は2035年予定という、非常に長期にわたるミッションです。そして私たちはこの開発のために10年をかけてきました。もちろん少し不安もあります。でも、誰もがみたことがない世界の、誰もがみたことがないデータを、私たちが最初にみられる、これにまさる喜びはないと思います。いよいよ冒険が始まります。ぜひ、応援してください。

──将来、チャレンジしたいと思っていることを教えてください。

もちろん、JUICEの観測成果から科学的な成果を見出したいですね。それ以外には、現在進めている月探査計画「ルペックス」(LUPEX)に搭載する予定の質量分析計です。これまでとは異なり、降りたところで物質の分析ができるということは非常に大きな意義があります。将来的には月だけではなく、火星、さらには外惑星などにも持っていきたいですね。

──これから宇宙開発に携わりたいという方、特に若い方へのアドバイスやメッセージをお願いします。

私が研究者としてのキャリアを積み始めた頃には、自分が作った観測装置を月・惑星に持っていけるということは想像だにしていませんでした。しかし今はそれが可能です。私たちが研究室で、まさに格闘しながら作り上げた装置を、現地に届けられるのです。ぜひ、若いうちはいろいろなことにチャレンジし、興味を持ったことを続けていって欲しいと思います。

──JUICE探査機を応援している人たちへのメッセージをお願いいたします。

JUICEは2023年4月に打ち上げられ、木星圏に到着するのは2031年、ミッション終了は2035年予定という、非常に長期にわたるミッションです。そして私たちはこの開発のために10年をかけてきました。もちろん少し不安もあります。でも、誰もがみたことがない世界の、誰もがみたことがないデータを、私たちが最初にみられる、これにまさる喜びはないと思います。いよいよ冒険が始まります。ぜひ、応援してください。

オンラインインタビューの様子 左からJAXA:齋藤義文さん、インタビュアー寺園淳也編集長 オンラインインタビューの様子 左からJAXA:齋藤義文さん、インタビュアー寺園淳也編集長

<編集長からの一言>
30年くらい前、私は宇宙研で大学院生としての研究時間を過ごしていました。私がいた研究室の隣にいらした齋藤義文先生はまさに私にとってよきお兄さん。ときは流れ、このような形でまたお会いして、齋藤先生が関わる壮大なプロジェクトをご紹介できる機会があることを誇りに思います。謎多き木星の衛星たちの素顔が少しでも明らかになる日を心待ちにしたいと思います。

<編集長からの一言>
30年くらい前、私は宇宙研で大学院生としての研究時間を過ごしていました。私がいた研究室の隣にいらした齋藤義文先生はまさに私にとってよきお兄さん。ときは流れ、このような形でまたお会いして、齋藤先生が関わる壮大なプロジェクトをご紹介できる機会があることを誇りに思います。謎多き木星の衛星たちの素顔が少しでも明らかになる日を心待ちにしたいと思います。

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