生活習慣ケアコラム

血圧の正常値を知っていますか?診断基準と計測方法を解説

血圧は健康診断でも測定されるため、多くの人にとって身近に感じることができる身体の指標です。
今回は血圧とはそもそも何なのか、血圧の正常値や、血圧が高いことによるリスクなどを専門家に伺います。

<監修>医師 天野方一先生
埼玉医科大学卒業。
医師として6年間の実務を行い、この間に予防医学やアンチエイジングの重要性を実感。
その後、帝京大学大学院公衆衛生学研究科、ハーバード大学公衆衛生大学院を経て、現在は腎臓病学、抗加齢医学(アンチエイジング)及び産業医学を専門として活動。予防医療に特化したメディカルクリニックや複数企業の嘱託産業医としても勤務中。

目次

血圧の数値は何を表しているのか

血圧とは、心臓から全身に送り出される血液が、血管の内側に与える圧力のこと表しています。
「水がホースから出る勢い」をイメージしていただくと理解しやすいと思います。

血圧の正常値を知っていますか?その診断基準と平均血圧の計測方法

高血圧の診断では、病院やクリニックで測る診察室血圧に加え、自宅でご本人が測る家庭血圧が大きな役割を果たすと言われています。
多くの疫学研究では家庭血圧の方が長期的な見通しを反映しやすいためです。
家庭血圧と診察室血圧にギャップがあった場合は、家庭血圧を基準に血圧を下げる治療を行った方が良いとされています。


高血圧の基準は家庭血圧で135/85mmHg以上、診察室血圧では140/90mmHg以上と定義されています。
一方で正常血圧の定義は家庭血圧で115/75mmHg以下、診察室血圧では120/80mmHg以下とされています。
正常血圧と高血圧の間は正常高値血圧や高値血圧と呼ばれ、将来的に高血圧になりやすいとも言われているのです。


血圧は1日の中でも変動しますし、測定時の行動や、状態などによっても異なってきます。
日本高血圧学会は、起床時と寝る前の毎日決まった時間帯に測定することを推奨しています。


起床後は起きて1時間以内、トイレをすませ、服薬・食事前の測定にすること、また就寝前は、入浴後1時間以上時間をあけて測定することが理想的です。
いざ血圧を測定しようとすると人は緊張してしまいますので、測定時は数回深呼吸し、リラックスした状態で行った方が良いでしょう。

高血圧をもたらす要因

高血圧をもたらす原因は、過剰な塩分摂取と動脈硬化であると考えられています。

塩分は水分と結びつきやすい性質を持っていますので、過剰な塩分摂取は、体内の血液量が増加する原因となります。

また、血管が動脈硬化により狭くなってしまうために、血管にかかる圧力が高くなるのです(=血圧があがることになります)。

水がホースから出る勢いが血圧であると考えると、過剰な塩分摂取=水の量が増える、動脈硬化=ホースが狭くなる、と置き換えることができます。どちらのケースでも、水がホースから出る勢いは増すというわけです。

高血圧を予防・下げるために必要なこと

高血圧によって起こる各種疾患を予防するために、降圧目標が定められています。降圧目標は年齢や基礎疾患によって異なります。

75歳以上の高齢者、両側頸動脈狭窄の認められている脳血管障害患者、尿蛋陰性の慢性腎臓病患者は、家庭血圧で135/85mmHg以下、診察室血圧では140/90mmHg以下へのコントロールが推奨されています。

一方で75歳未満の成人、両側頸動脈狭窄の認められていない脳血管障害患者、冠動脈疾患患者、尿蛋陽性の慢性腎臓病患者、糖尿病患者及び抗血栓薬使用中の患者は、家庭血圧で125/75mmHg以下、診察室血圧では130/80mmHg以下と、更なる厳格な血圧コントロールが推奨されています。

血圧を下げるためには、第一に減塩を心がけるべきです。日本人の多くは遺伝的に塩分を体内に貯めやすいと言われています。つまり塩分を摂取することにより血圧が上昇しやすい民族なのです。

塩分の摂取量を減らすためには加工食品の摂取を減らし、みそ汁や漬物の摂取も減らすことから始めてみてください。加工食品は製造過程で多くの塩分が使われます。また、普段の生活においてみそ汁や漬物を食べないようにするだけで、塩分の摂取量が減ることも分かっています。

まとめ

高血圧は症状こそありませんが、様々な危険な疾患のリスクとなるものです。

特に日本人は遺伝的に、塩分を過剰に摂取すると高血圧になりやすい民族です。日常生活の中で減塩を心がけていくことが、健康な生活を送ることに繋がっていきます。
<参考文献>
・高血圧治療ガイドライン2019.
・Internal medicine. 2015;54;903-910.