生活習慣ケアコラム

LDL(悪玉)コレステロールに要注意!
LDLが高い原因と下げる方法を解説

コレステロールでも悪玉と呼ばれる種類があることをご存知でしょうか。健康診断でも悪玉コレステロールの値が表示されることが多くなってきています。

今回はコレステロールの中でも悪玉と呼ばれる種類のコレステロールの働きや注意点についてまとめました。


<監修>医師 新道 悠
千葉大学医学部卒業。
2018年までは福岡県の病院で総合診療医として内科全般を専門に地域医療に貢献。
その後、米国の医師免許を取得し、2019年からは米国のニューヨーク マンハッタンにある病院にて内科医師として勤務。
米国内科学会、日本プライマリケア学会所属。

目次

血中脂質とは何か

一般的に「血中脂質」と呼ばれるものは、血中に含まれる脂肪分を指し、LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの総称です。

これらは脂肪分ですので、直接血中に溶けずリポタンパク質と呼ばれるタンパク質に結合して、血液に溶け込める様になった状態で全身に運搬されエネルギー源として使用されています。

LDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールの違い

このLDL、HDLとはそれぞれ、Low Density Lipoprotein(LDL=低濃度のリポタンパク質)、High Density Lipoprotein(HDL=高濃度のリポタンパク質)の頭文字で、前述の脂肪分を運搬するリポタンパク質のことです。
体内のコレステロール運搬を担うリポタンパク質の違いで、含まれる脂肪の濃度や体内での脂肪運搬の機能が異なっています。


LDL(悪玉)コレステロールは本来、細胞内に取り込まれて、ホルモン産生、細胞膜の形成などの役割を担いますが、血中に多く存在すると血管壁に沈着、蓄積し、血管の壁で炎症反応を起こして血管の内壁を傷つけ、動脈硬化に起因する心筋梗塞や脳梗塞などの誘引となることが知られています。


対照的に、HDL(善玉)コレステロールは、組織に蓄積したコレステロールの除去、抗酸化作用、血栓予防作用、血管の内壁の維持、血液を固まりにくくする作用で、動脈硬化を防ぐ作用があると考えられています。

血中脂質の診断基準

一般的に、過去に重い病歴などのない健康な方においてのコレステロールが高い状態の基準は以下の様です。


 - LDL(悪玉)コレステロール140mg/dL以上(120-139mg/dLは境界型)
 - HDL(善玉)コレステロール 40mg/dL未満
 - 中性脂肪(トリグリセリド)150mg/dL以上


ただし、これらの値はあくまで高血圧、糖尿病、過去の心筋梗塞などがなく、動脈硬化性の疾患を起こすリスクが低い方での基準です。

高血圧等の症状があり、リスクが高いと判断される方の場合には、LDL(悪玉)コレステロールの目標値がより低い値になるので注意が必要です。

そして、正確なコレステロール値の測定のためには、空腹時採血(10時間以上の絶食)が推奨されますので、採血のある日の食事摂取の有無は気をつけると良いでしょう。

LDL(悪玉)コレステロール値を下げるための生活習慣

LDL(悪玉)コレステロール値が高い場合には、生活習慣を見直すことが大切です。

食事療法と運動療法がまず始められる効果的な治療方法になります。
過去の研究でも食事、運動を見直すことによって体重減少とそれに伴うLDL(悪玉)コレステロールの減少が報告されています。

【食事】
食事療法などで一般的に勧められるのは、「地中海食」と呼ばれる様なフルーツ、野菜、全粒の穀物、豆類、ナッツ、種子類を多くして、オリーブオイルを主にした脂質と、魚、鶏肉、乳製品によるタンパク摂取を主にした食事です。

過体重/肥満の人で、この食事療法に取り組むと、LDL(悪玉)コレステロール値が7mg/dL前後(4-10mg/dL)減少すると言われており、運動と一緒に取り組むと効果的です。

【運動】
また、運動による、LDL(悪玉)コレステロールを含む動脈硬化に関連するコレステロールの低下とHDL(善玉)コレステロールの増加も認められています。

一般的には有酸素運動と呼ばれる様な、早歩きのウォーキング(歩行中に会話はできるが歌えないくらい)などが、始めるのにあまり準備なども必要なく比較的安全なので、コレステロール値を下げるために推奨されることが多いです。

はじめは週3回、1回20-30分程度から始めて、体調などを見ながら少しずつ増やしてみるのが良いでしょう。

まとめ

LDL(悪玉)/HDL(善玉)コレステロールの違いや、その基準値を始め、高いLDL(悪玉)コレステロールで起こり得ることなどをまとめました。

それぞれの体内での働きや正常値を確認し、ご自身の健康診断結果などと照らし合わせてみてください。

また食事・運動などの生活習慣に気をつけることでLDL(悪玉)コレステロール値が高くならない様に心がけましょう。
▪参考文献

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