朝食を抜いたり、昼食はファストフードやインスタント食品、パンやスナック菓子など手軽な食事で済ませたりする人も多いでしょう。食事量が足りない分、スイーツやジャンクフードなどの間食を頻繁に摂ってお腹を満たしている人も少なくありません。このようなイージーで不規則な食生活が怖いのは、食事のたびに血糖値が急激に上がることです。同時に、糖化も確実に、急速に進んでいきます。

一方、日本の伝統食にはアンチエイジングの知恵が詰まっています。例えば、青菜や根菜をたっぷり摂れば、食物繊維によって糖の吸収が緩やかになります。納豆やみそなどの発酵食品は腸内環境を改善し、解毒作用を高めてくれます。他にも、小魚を骨ごと食べ、きのこや海藻、梅干しなどを食す日本古来のバランスのよい食事は、ビタミンB群など必須栄養素をふんだんに含んでおり、ブドウ糖をどんどん消費して糖化を予防できるのです。

塩分の摂り過ぎが糖化を悪化させることが、最近の研究で明らかになってきました。糖化の過程で発生するAGEsが、細胞の表面にあるRAGE（レイジ）と結合すると、細胞はその刺激で炎症物質を放出し、周りの細胞に炎症が起こります。さらに、新たな活性酸素も発生し、炎症が強くなります。塩分の過剰摂取には十分注意しましょう。

「酒は百薬の長」といいますが、お酒をよく飲む人ほど体内にAGEsがたまりやすい傾向があります。アルコールの代謝物質は糖化の原因になりますから、飲み過ぎは禁物です。お酒はほどほどを心がけましょう。

たばこは、糖化はもちろんビタミンCも破壊して肌の老化を早めます。例えば、たばこを1本吸うと、ビタミンCが約25mg破壊されます。ビタミンCはコラーゲンの再生や、シミの原因となるメラニン色素の排出、活性酸素の除去など、美肌に欠かせない栄養素ですから、肌の健康を気にするなら禁煙に努めましょう。

ストレスが続くとストレスホルモンである「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールは困難に立ち向かう時に、集中力や判断力、気力などが維持できるように働く、いわば‟応援ホルモン“です。しかし、ストレスが強く、長期にわたると、コルチゾールは過剰に分泌され続け、様々なトラブルを引き起こします。

その一つが肥満です。脂肪細胞にあるレセプターがコルチゾールの刺激を受けると、脂肪をため込むようになります。同じ量の食事でも、イライラしている人のほうがリラックスしている人より太りやすいのはこのためです。やけ食いやお菓子でストレスを発散しようとすれば、体重は増加する一方です。

コルチゾールの影響でインスリンが過剰に分泌してブドウ糖を一気に処理すると、血糖値がガクンと下がり、一時的に低血糖になります。すると空腹を感じてイライラが増し、また何か食べるという悪循環に……。血糖値はそのたびに乱高下し、糖化が進行していきます。

また、コルチゾールには免疫機能を低下させるという問題も。新陳代謝や免疫機能が低下すれば、AGEsの排出が滞って、糖化は悪化します。糖化の進行を防ぐためにも、自分なりのストレス解消法を見つけておきましょう。

毎日の良質な睡眠なくして、肌を糖化から守ることはできません。睡眠中には、１日の活動で疲れた肌と体を再生するために「メラトニン」と「成長ホルモン」という、新陳代謝や免疫機能を活性化する物質が分泌されています。寝不足が続くと、肌にたまったAGEsを排出できず、糖化が進んでしまいます。肌の抗糖化には毎日6時間以上の睡眠を確保することが大切です。

メラトニンは活性酸素を除去する非常に高い抗酸化作用がある他、免疫機能を高める作用、血中のコレステロールを減らすなど、糖化抑制には必須の物質です。メラトニンの分泌は午前3時ごろをピークに、夜明けと共に消えていきます。夜更かしや睡眠不足でリズムが乱れると、分泌量が大幅に減ってしまい、肌は疲労回復できません。

一方、睡眠中に脳下垂体から分泌されるのが成長ホルモンです。成長期だけでなく、大人になってからも脂肪の分解、タンパク質の合成、免疫機能アップ、細胞の新陳代謝を高めるなど様々な作用があります。深く良質の睡眠は肌のターンオーバーを促し、肌に蓄積されたAGEsを排出して美肌に導いてくれます。

私たちの細胞をサビさせてしまう悪玉「活性酸素」も美肌の敵です。活性酸素はAGEsが細胞に炎症を起こすのを促進します。酸化によってサビて、もろくなった細胞ほど、糖化は簡単に進んでしまうのです。つまり、糖化だけでなく酸化も防がないと、美肌は実現できないということ。

活性酸素を増やす一番の原因となるのが紫外線です。シミ、たるみ、肌の乾燥、肌荒れ、シミの元であるメラニン色素の排出阻害など、肌の老化の原因の８割は、紫外線と活性酸素による「光老化」だといわれています。

紫外線対策は夏だけすればよいと思いがちですが、一年中対策を取ることが重要です。曇りの日でも青天の日の半分量の紫外線が地上に届いていますし、紫外線はガラス窓を透過します。室内でも日焼け止めクリームを塗るなど、しっかり対策を取りましょう。