スマートフォンやタブレット などの急速な普及により、私たちの生活環境はこの10年で様変わりしました。スマートフォン、パソコン、タブレットを長時間使用する生活は、目にも様々な影響を与えています。最も顕著なのが、目の使いすぎによる目の疲れです。休息をとっても回復しない、肩や首のコリ、頭痛や吐き気など、全身の症状が生じている場合は、ただの疲れ目ではなく、眼精疲労(がんせいひろう)の可能性があります。眼精疲労の原因は一つではなく、様々な要因が絡み合って起こるといわれています。ここでは、眼精疲労の主な原因について詳しく紹介します。
スマートフォンやタブレット などの急速な普及により、私たちの生活環境はこの10年で様変わりしました。スマートフォン、パソコン、タブレットを長時間使用する生活は、目にも様々な影響を与えています。最も顕著なのが、目の使いすぎによる目の疲れです。休息をとっても回復しない、肩や首のコリ、頭痛や吐き気など、全身の症状が生じている場合は、ただの疲れ目ではなく、眼精疲労(がんせいひろう)の可能性があります。眼精疲労の原因は一つではなく、様々な要因が絡み合って起こるといわれています。ここでは、眼精疲労の主な原因について詳しく紹介します。
<監修>
<監修>
戸田郁子先生
南青山アイクリニック理事長・院長/慶應義塾大学医学部眼科学教室講師
戸田郁子先生
南青山アイクリニック理事長・院長/慶應義塾大学医学部眼科学教室講師
とだ・いくこ 筑波大学医学専門学群卒業。東京慈恵会医科大学眼科、慶應義塾大学眼科学教室専修医、東京歯科大学眼科を経て、1994年米国ハーバード大学・眼研究所留学。97年南青山アイクリニック院長となる。99年慶應義塾大学医学博士に。02年南青山アイクリニック理事長に就任。04年慶應義塾大学眼科学教室講師。専門分野は屈折矯正手術(近視・乱視・遠視手術)およびドライアイ。
とだ・いくこ 筑波大学医学専門学群卒業。東京慈恵会医科大学眼科、慶應義塾大学眼科学教室専修医、東京歯科大学眼科を経て、1994年米国ハーバード大学・眼研究所留学。97年南青山アイクリニック院長となる。99年慶應義塾大学医学博士に。02年南青山アイクリニック理事長に就任。04年慶應義塾大学眼科学教室講師。専門分野は屈折矯正手術(近視・乱視・遠視手術)およびドライアイ。
眼精疲労とは、目だけではなく、全身にも疲れを感じる状態のことを指します。眼精疲労は単なる疲れ目とは区別して考えることが重要です。主にテレビやパソコン、スマートフォンなどの画面を長時間見る、メガネやコンタクトレンズの不具合、目の病気などで起こりますが、全身の疾患や精神的なストレスなどが原因になっている場合もあります。目の疲れやその他の症状が長く続くようであれば、原因を特定し、根本から治療することが改善のカギになります。
眼精疲労の予防・改善には、自分の眼精疲労の原因を知ることが第一歩です。ただし、眼精疲労の原因は一つではなく、様々な要因が関連しています。ここからは、眼精疲労の主な原因と考えられている6つについて詳しく解説していきます。
眼精疲労とは、目だけではなく、全身にも疲れを感じる状態のことを指します。眼精疲労は単なる疲れ目とは区別して考えることが重要です。主にテレビやパソコン、スマートフォンなどの画面を長時間見る、メガネやコンタクトレンズの不具合、目の病気などで起こりますが、全身の疾患や精神的なストレスなどが原因になっている場合もあります。目の疲れやその他の症状が長く続くようであれば、原因を特定し、根本から治療することが改善のカギになります。
眼精疲労の予防・改善には、自分の眼精疲労の原因を知ることが第一歩です。ただし、眼精疲労の原因は一つではなく、様々な要因が関連しています。ここからは、眼精疲労の主な原因と考えられている6つについて詳しく解説していきます。
眼精疲労の大きな原因といわれているのが、スマートフォンの画面を長時間見続けることによって起こる「スマホ眼精疲労」です。スマートフォンはこの10年で急速に普及しました。総務省の調査によると、2020年におけるスマートフォンの世帯保有状況は86.8%となっています(総務省情報通信白書令和3年版) 。ではなぜ、スマートフォンを使うと目が疲れるのでしょうか。
目には自動的にピントを調整するオートフォーカス機能が備わっています。目の中にある毛様体筋(もうようたいきん)という筋肉が縮んだり緩んだりして水晶体の厚さを変え、ピントを合わせているのです。近くの物を見る時は、水晶体を厚くするために、毛様体筋は緊張しています。
目からスマートフォンの画面の距離は約20~30cm。これは目にとって、かつて経験したことがないほどの至近距離です。さらに寄り目で画面を見続けているため、毛様体筋はずっと緊張を強いられています。目の筋肉も体の筋肉と同様に、長時間緊張し続けると疲れて凝り固まります。これが眼精疲労の原因になるのです。
また、スマートフォンは画面が小さく見づらいため、ついつい画面をのぞき込み、姿勢も悪くなりがちです。長時間同じ姿勢で使用すると首や肩の筋肉が固縮し、強いコリを引き起こすことも少なくありません。さらにスマートフォンから出るブルーライトが角膜にダメージを与え、目の痛みや目のかわきなどの症状を悪化させてしまいます。
眼精疲労の大きな原因といわれているのが、スマートフォンの画面を長時間見続けることによって起こる「スマホ眼精疲労」です。スマートフォンはこの10年で急速に普及しました。総務省の調査によると、2020年におけるスマートフォンの世帯保有状況は86.8%となっています(総務省情報通信白書令和3年版) 。ではなぜ、スマートフォンを使うと目が疲れるのでしょうか。
目には自動的にピントを調整するオートフォーカス機能が備わっています。目の中にある毛様体筋(もうようたいきん)という筋肉が縮んだり緩んだりして水晶体の厚さを変え、ピントを合わせているのです。近くの物を見る時は、水晶体を厚くするために、毛様体筋は緊張しています。
目からスマートフォンの画面の距離は約20~30cm。これは目にとって、かつて経験したことがないほどの至近距離です。さらに寄り目で画面を見続けているため、毛様体筋はずっと緊張を強いられています。目の筋肉も体の筋肉と同様に、長時間緊張し続けると疲れて凝り固まります。これが眼精疲労の原因になるのです。
また、スマートフォンは画面が小さく見づらいため、ついつい画面をのぞき込み、姿勢も悪くなりがちです。長時間同じ姿勢で使用すると首や肩の筋肉が固縮し、強いコリを引き起こすことも少なくありません。さらにスマートフォンから出るブルーライトが角膜にダメージを与え、目の痛みや目のかわきなどの症状を悪化させてしまいます。
近年、ビジネスパーソンにとってパソコンなどのディスプレイ画面を使ったVDT(Visual Display Terminal)作業は欠かせません。しかし、VDT作業を長時間続けると、画面にピントを合わせるために毛様体筋が緊張し、目に疲れが生じます。また、まばたきの回数が減って涙の蒸発量が増えたり、新しい涙の供給量が減ったりして、目が乾燥してしまいます。
このような目を酷使するVDT作業は、目の症状だけでなく、首や肩のコリ、腰や背中の痛みなど、全身に様々な悪影響を及ぼします。VDT作業に関連して生じる障害を総称して、VDT症候群と言います。VDT症候群は、現代人の眼精疲労の大きな原因です。
パソコン作業による目の疲れや、首や肩、腰や背中の疲労を防ぐためには、画面を目線がやや下になる位置に設置する、一連続作業時間が1時間を超えないようにする、次の作業までの間にこまめに目を休めるなどの工夫が必要です。「画面を1時間見続けたら、1分間目を閉じる」という習慣をつけると眼精疲労予防に役立ちます。
近年、ビジネスパーソンにとってパソコンなどのディスプレイ画面を使ったVDT(Visual Display Terminal)作業は欠かせません。しかし、VDT作業を長時間続けると、画面にピントを合わせるために毛様体筋が緊張し、目に疲れが生じます。また、まばたきの回数が減って涙の蒸発量が増えたり、新しい涙の供給量が減ったりして、目が乾燥してしまいます。
このような目を酷使するVDT作業は、目の症状だけでなく、首や肩のコリ、腰や背中の痛みなど、全身に様々な悪影響を及ぼします。VDT作業に関連して生じる障害を総称して、VDT症候群と言います。VDT症候群は、現代人の眼精疲労の大きな原因です。
パソコン作業による目の疲れや、首や肩、腰や背中の疲労を防ぐためには、画面を目線がやや下になる位置に設置する、一連続作業時間が1時間を超えないようにする、次の作業までの間にこまめに目を休めるなどの工夫が必要です。「画面を1時間見続けたら、1分間目を閉じる」という習慣をつけると眼精疲労予防に役立ちます。
近視、遠視、乱視、老眼などの視力矯正不良で起こる「調整性眼精疲労」も、眼精疲労の原因の一つです。VDT作業やスマートフォンの長時間利用が日常化している人が、度数の合わないメガネやコンタクトレンズを使い続けていると、ピントを合わせるために毛様体筋は常に緊張し続け、疲れ目が進行した眼精疲労を引き起こします。
メガネやコンタクトレンズの購入から時間が経っている人は、度数が合っているか確認してみましょう。また、メガネの度数は合っていても、メガネをかけたままお風呂に入っていたり、レンズ面を下にして保管していたりすると、湿気や熱でフレームがゆがんだり、レンズのコーティングがはげて見え方が変わってしまうこともあります。
度数や見え方の変化によって、気づかぬうちに視力の低下が生じていると、目を凝らしたり、無意識に目を近づけたりすることが多くなるため、肩や首のコリ、頭痛の原因になることもあります。
また、加齢も眼精疲労を悪化させる要因の一つです。特に、40代以降は水晶体の厚さを変えるピント調節機能が衰えます。老眼の症状があるのにメガネをかけない、または度数の合わないメガネを使っていると、眼精疲労を悪化させることがあります。老眼鏡の度数は定期的に変えていくことも重要です。
近視、遠視、乱視、老眼などの視力矯正不良で起こる「調整性眼精疲労」も、眼精疲労の原因の一つです。VDT作業やスマートフォンの長時間利用が日常化している人が、度数の合わないメガネやコンタクトレンズを使い続けていると、ピントを合わせるために毛様体筋は常に緊張し続け、疲れ目が進行した眼精疲労を引き起こします。
メガネやコンタクトレンズの購入から時間が経っている人は、度数が合っているか確認してみましょう。また、メガネの度数は合っていても、メガネをかけたままお風呂に入っていたり、レンズ面を下にして保管していたりすると、湿気や熱でフレームがゆがんだり、レンズのコーティングがはげて見え方が変わってしまうこともあります。
度数や見え方の変化によって、気づかぬうちに視力の低下が生じていると、目を凝らしたり、無意識に目を近づけたりすることが多くなるため、肩や首のコリ、頭痛の原因になることもあります。
また、加齢も眼精疲労を悪化させる要因の一つです。特に、40代以降は水晶体の厚さを変えるピント調節機能が衰えます。老眼の症状があるのにメガネをかけない、または度数の合わないメガネを使っていると、眼精疲労を悪化させることがあります。老眼鏡の度数は定期的に変えていくことも重要です。
眼精疲労の主要因と考えられているのが「ドライアイ」です。ドライアイとは、目の表面での涙液の安定性が低下して目が乾燥し、目の表面が傷つきやすくなる病気です。加齢の他、長時間のVDT作業や室内の乾燥、コンタクトレンズの使用など、様々な原因で起こります。ドライアイの患者数は今や2000万人とも3000万人ともいわれています。
近年は、目の疲れを訴える患者さんの約6割にドライアイの症状があるという調査結果もあり、眼精疲労とドライアイの関連性に注目が集まっています。疲れ目だけでなく、目のかわきなどの違和感がある場合は放っておかず、早めに眼科を受診するようにしましょう。
眼精疲労の主要因と考えられているのが「ドライアイ」です。ドライアイとは、目の表面での涙液の安定性が低下して目が乾燥し、目の表面が傷つきやすくなる病気です。加齢の他、長時間のVDT作業や室内の乾燥、コンタクトレンズの使用など、様々な原因で起こります。ドライアイの患者数は今や2000万人とも3000万人ともいわれています。
近年は、目の疲れを訴える患者さんの約6割にドライアイの症状があるという調査結果もあり、眼精疲労とドライアイの関連性に注目が集まっています。疲れ目だけでなく、目のかわきなどの違和感がある場合は放っておかず、早めに眼科を受診するようにしましょう。
糖尿病、高血圧などの疾患や心の病気、精神的なストレス、過労や睡眠不足が続くことでも眼精疲労は起きます。特にストレスは、眼精疲労の主原因であるドライアイを引き起こす要因の一つです。緊張やストレスにより交感神経が優位になると、涙の分泌量が低下し、ドライアイになりやすくなります。眼精疲労の予防のためには、リラックスする時間を意識して設けることが大切です。運動や息抜きなどをして、ストレスをためない生活を心がけましょう。
なお、40代以降は涙の量も自然と減り、目の病気も増えてきます。目から体の疾患が分かることもあり、「目が重い」「目がかすむ」「夕方になると目がかわいてしょぼしょぼする」などの症状が現れた時は、内科だけでなく、眼科でも定期的に検査を受けると良いでしょう。
糖尿病、高血圧などの疾患や心の病気、精神的なストレス、過労や睡眠不足が続くことでも眼精疲労は起きます。特にストレスは、眼精疲労の主原因であるドライアイを引き起こす要因の一つです。緊張やストレスにより交感神経が優位になると、涙の分泌量が低下し、ドライアイになりやすくなります。眼精疲労の予防のためには、リラックスする時間を意識して設けることが大切です。運動や息抜きなどをして、ストレスをためない生活を心がけましょう。
なお、40代以降は涙の量も自然と減り、目の病気も増えてきます。目から体の疾患が分かることもあり、「目が重い」「目がかすむ」「夕方になると目がかわいてしょぼしょぼする」などの症状が現れた時は、内科だけでなく、眼科でも定期的に検査を受けると良いでしょう。
目の不調には老化に伴うものが多く、目の疲れやかすみ目など、眼精疲労とよく似た症状として現れます。気になる症状があるのに何もケアしないで放置すると、病気の発見が遅れ、気づいた時にはかなり症状が悪化していた、というケースも少なくありません。40代以降は白内障や緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症など、失明につながる危険な病気のリスクも上がりますので、特に注意が必要です。
中でも緑内障は、40代以降の20人に1人がかかっているとされる病気です。初期症状はほとんどなく、検査をして初めて見つかるケースも多いため、定期的な検診が非常に重要です。また、糖尿病網膜症も初期症状はほとんどなく、ある日突然目の大出血を起こしたりする危険な病気です。
目に異変が現れた時は、体の中で何か異変が起こっている可能性も少なくありません。今回紹介したような原因が複数重なることで、眼精疲労が一層悪化することも……。疲れが取れない時は、早めに眼科を受診しましょう。
目の不調には老化に伴うものが多く、目の疲れやかすみ目など、眼精疲労とよく似た症状として現れます。気になる症状があるのに何もケアしないで放置すると、病気の発見が遅れ、気づいた時にはかなり症状が悪化していた、というケースも少なくありません。40代以降は白内障や緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症など、失明につながる危険な病気のリスクも上がりますので、特に注意が必要です。
中でも緑内障は、40代以降の20人に1人がかかっているとされる病気です。初期症状はほとんどなく、検査をして初めて見つかるケースも多いため、定期的な検診が非常に重要です。また、糖尿病網膜症も初期症状はほとんどなく、ある日突然目の大出血を起こしたりする危険な病気です。
目に異変が現れた時は、体の中で何か異変が起こっている可能性も少なくありません。今回紹介したような原因が複数重なることで、眼精疲労が一層悪化することも……。疲れが取れない時は、早めに眼科を受診しましょう。