プラセンタ

「プラセンタ」とは? お肌の透明感を取り戻す強い味方

プラセンタを配合した美容ドリンクやサプリメント、化粧品などが近年続々と登場しています。美肌やアンチエイジングに効果があると話題ですが、いったいどのような素材なのでしょうか? プラセンタの多彩な効果、種類や特徴などについてご紹介します。

<監修>

日比野佐和子先生
医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授


ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。

目次

美容界などで注目されている素材「プラセンタ」って、いったい何?

プラセンタとは「胎盤」のことです。
ご存じのように胎盤は、妊娠期に形成される臓器で、妊娠中に母体から赤ちゃんに酸素や栄養素を届けたり、逆に、赤ちゃんの老廃物を母体の血液に戻したりといった、お腹の中の赤ちゃんの生命を守る大切な役割を果たしています。

ヒトだけでなく、牛や豚、馬などの哺乳動物の多くも妊娠期に胎盤ができます。
そうした動物たちの多くは、出産後は胎盤を食べてしまうのですが、それは栄養が詰まった胎盤を食べることで、出産で低下した体力を早く回復させることができるからといわれています。
私たち人間も、一部の国や地域では出産後に胎盤を食べる「胎盤食」の風習があり、海外の著名人などがその経験を語って、日本でも話題になったことがあります。

実際に胎盤には10数種類のアミノ酸や多種のビタミン、ミネラル、酵素をはじめ、栄養成分や成長因子が豊富に含まれています。

こうしたことから、プラセンタは古くから“薬”として活用され、その歴史は紀元前にさかのぼるとも。
古代中国の始皇帝や、古代エジプトの女王・クレオパトラ、マリー・アントワネットも若さを保つためにプラセンタを活用していたといわれています。
日本でも、江戸時代、加賀の三大秘薬の一つである“混元丹(こんげんたん)”に含有されていたといわれ、また漢方では生薬“紫河車(しかしゃ)”として知られています。

「プラセンタ」にはどのような効果があるの?

先に述べたように、プラセンタには豊富な栄養成分が含まれています。
しかもこれらの栄養成分が化学的に合成されたものではなく、生物から自然に生成されているのが特別なところといえるでしょう。

栄養豊富なプラセンタは、健康面では、肝臓機能の強化、疲労回復、自律神経を整えるなどの効果を期待することができます。その他、美肌づくりにつながる様々な効果も期待できます。

<主な美肌効果>

・肌の再生力を高める
プラセンタに含まれる成長因子が細胞を活性化させ、細胞の修復・再生をサポートする。エラスチンやコラーゲンの量が増え、肌にハリをもたらす。

・肌の保湿力を高める
プラセンタに含まれるアミノ酸や、成長因子の働きにより、肌の角質の水分を保持。乾燥肌の改善や、肌の乾燥によるシワの改善が期待できる。

・美白効果
プラセンタは、メラニン色素をつくる「チロシナーゼ」という酵素の活性を阻害する働きがあり、シミの予防に効果が期待できる。また、肌のターンオーバーを促進することで、できてしまったメラニンの排出もスムーズに。今あるシミにも効果が期待できる。

・抗炎症作用
プラセンタには炎症を抑え、細胞を修復する働きがあり、ニキビ肌の改善にも期待ができる。また、皮膚の炎症によるかゆみを抑える働きもあり、アトピー性皮膚炎にも有効。

・抗酸化作用
プラセンタには過剰な活性酸素の発生を抑制する強力な抗酸化作用がある。細胞の若返りをサポートし、肌のくすみの改善などが期待できる。

プラセンタはどのように取り入れることができるの?

美容やアンチエイジングの領域で注目されているプラセンタですが、近代医学におけるプラセンタ療法は、1930年代、旧ソ連・オデッサ医科大学教授のフィラトフ博士が「プラセンタの埋没療法(組織療法)」を行ったことに始まり、この埋没療法を実践した多くの研究報告や論文が発表されました。
日本の医師たちもこの影響を受け、1950年代頃よりプラセンタ埋没療法を始めるようになります。

そして、日本の医療現場では1950年代から更年期障害や肝機能障害を治療する医薬品として厚生労働省より認可され、現在まで使用されてきた長い歴史があります。

私たちの美容や健康に様々なよい効果をもたらしてくれるプラセンタは、次の3つの方法で取り入れることができます。

① 医薬品
肝機能障害や更年期障害の治療薬として保険適用されています。実際に医療現場では、ヒトの胎盤から抽出したプラセンタ製剤を皮下注射または筋肉注射によって投与。また、滋養強壮や肉体疲労などの効果がある市販の内服薬もあります。

②美容ドリンクやサプリメント
動物の胎盤から抽出した「プラセンタエキス」を配合した美容ドリンク、サプリメントも様々登場しています。

③化粧品
注射や内服によって内側から取り入れるだけでなく、外側から肌に塗ることで、その効果を得ることも可能。プラセンタエキスを配合した美容液などが登場しています。

豚や馬由来、ヒト由来など様々ある「プラセンタ」。その違いは?

医療現場における肝機能障害や更年期障害の治療薬ではヒト由来のプラセンタ製剤が使われていますが、それ以外では、主に豚や馬などの動物の胎盤から抽出されたプラセンタが使われています。
こうした「動物性プラセンタ」が一般的ではありますが、最近では、「植物性プラセンタ」や「海洋性プラセンタ」なども登場しています。それぞれの特徴を見てみましょう。

<動物性プラセンタ>

・豚プラセンタ……豚は一度に10頭前後を出産する多胎なので、他の動物と比べて胎盤を大量に取ることができるため、プラセンタの中で最も多く使われています。

・馬プラセンタ……アミノ酸含有量が多いのが特長。馬は豚のように多胎ではないため希少価値が高く、また、馬プラセンタは厳重な管理下で育てられたサラブレッドの胎盤から採取されることが多いのも特徴です。しかし、商品に「馬プラセンタ」と記載があっても、微量しか配合されていない可能性もあるので、成分表示でどのぐらいの量が含まれているかをチェックしましょう。プラセンタの配合量を知る上で参考になるのは、タンパク質含有量(窒素量)です。しかしながら、注意点として、他のアミノ酸を添加している場合もあるので、「総窒素量が多い=プラセンタの配合量が多い」とは一概にはいえません。「プラセンタエキス純末」としての表示を確認する必要があります。

<植物性プラセンタ>

植物に胎盤は存在しませんが、胎盤と似た働きをする、発芽が起きる部分「胎座」から抽出した物を「植物性プラセンタ」と呼んでいます。動物性プラセンタと同じようにアミノ酸やミネラル、ビタミンなどの栄養素は含まれていますが、成長因子は含まれていないので、動物性とは分けて考えたほうがよい物です。メロンの胎座などがよく使われています。

<海洋性プラセンタ>

魚類にも胎盤は存在しないため、魚卵を包んでいる「卵巣膜」から抽出した物を「海洋性プラセンタ」と呼んでいます。卵を育てるために必要なアミノ酸、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの栄養成分が含まれていますが、植物性プラセンタと同様、成長因子は含まれていません。

プラセンタ注射を打つと、献血は行えなくなる!?

肝機能障害や更年期障害の治療薬として使われているヒト由来のプラセンタは、国内で提供された胎盤が使われます。

1つ注意点があり、ヒト由来のプラセンタ製剤を注射した場合、献血はできなくなります。
これは注射によって、変異型クロイツフェルトヤコブ病(感染性ヒトプリオン病:ヒトに感染する狂牛病)に感染するリスクが0%とはいえなくなるためですが、実際には製造過程で感染の安全対策は講じられており、プラセンタ注射によって発症した例は一例もありません。なお、献血ができなくなるのは、プラセンタを注射した場合のみで、美容ドリンクやサプリメントでの摂取は、献血に影響しません。

「プラセンタ」を使った製品を選ぶ時のポイントは?

プラセンタを使った美容ドリンクやサプリメント、化粧品は、美容や健康のためのセルフケアとして手軽に活用することができます。
プラセンタの効果を得るためには、濃度が高い物を選ぶようにしましょう。化粧品の成分表は配合量が多い順に記載されているので、プラセンタが前のほうに記載されている製品を選ぶのがポイントです。

また、プラセンタは量だけでなく、品質にもこだわりたいもの。衛生的な環境で飼育された国産の豚のプラセンタを使用しているかどうかも大事なポイントになります。

古くから美容・健康への効果が認められ、活用されてきたプラセンタ。現代に生きる私たちも、この自然由来のパワーある素材を上手に活用していきましょう。