貧血の症状がある人はもちろん、自覚症状のない「かくれ貧血」まで含めると、生理(月経)のある日本女性の約65%が貧血傾向にあります。その主な原因は鉄分不足です。鉄分不足から起こる貧血について正しい知識をもち、日頃から鉄分を効率的に摂取することで、改善することも少なくありません。生理による出血がある女性は、慢性的な鉄分不足を自分事として捉え、今日からでも鉄分チャージに取り組みましょう。
貧血の症状がある人はもちろん、自覚症状のない「かくれ貧血」まで含めると、生理(月経)のある日本女性の約65%が貧血傾向にあります。その主な原因は鉄分不足です。鉄分不足から起こる貧血について正しい知識をもち、日頃から鉄分を効率的に摂取することで、改善することも少なくありません。生理による出血がある女性は、慢性的な鉄分不足を自分事として捉え、今日からでも鉄分チャージに取り組みましょう。
ひらた・まさこ 日本大学医学部卒業。「私のクリニック目白」理事長兼院長。2003年10月に民間として日本で初めて、皮膚科、内科、心療内科など、複数の女性専門診療科目を有する「私のクリニック目白」を開設。女性のための家庭医・プライマリーケアを理念に女性専門医療に携わっている。著書に『水だけ洗顔で、一生美肌!』(小学館)、『肌がみるみる綺麗になる!大人の「スキンケア」新法則』(三笠書房)、監修書に『皮膚のトラブルが治らないときの本』(小学館)などがある。
ひらた・まさこ 日本大学医学部卒業。「私のクリニック目白」理事長兼院長。2003年10月に民間として日本で初めて、皮膚科、内科、心療内科など、複数の女性専門診療科目を有する「私のクリニック目白」を開設。女性のための家庭医・プライマリーケアを理念に女性専門医療に携わっている。著書に『水だけ洗顔で、一生美肌!』(小学館)、『肌がみるみる綺麗になる!大人の「スキンケア」新法則』(三笠書房)、監修書に『皮膚のトラブルが治らないときの本』(小学館)などがある。
貧血は男女共に起こりますが、どちらかというと女性のほうがなりやすい傾向にあります。その理由は女性には生理があり、ほぼ毎月、出血が生じているからです。
実際に、日本人女性の40%が貧血で、特に生理のある20代~40代の女性では貧血の傾向が顕著です。数値に表れる前の段階である「かくれ貧血」の人も合わせると、実に約65%もの生理のある女性が「貧血(鉄欠乏性貧血)」もしくは「かくれ貧血」だというデータがあります。
かくれ貧血の段階では健康診断でのヘモグロビン検査で貧血とは分かりません。特に生理がある人は、貧血の自覚症状がなくても日頃から鉄分を意識して摂ることが大切です。
貧血は男女共に起こりますが、どちらかというと女性のほうがなりやすい傾向にあります。その理由は女性には生理があり、ほぼ毎月、出血が生じているからです。
実際に、日本人女性の40%が貧血で、特に生理のある20代~40代の女性では貧血の傾向が顕著です。数値に表れる前の段階である「かくれ貧血」の人も合わせると、実に約65%もの生理のある女性が「貧血(鉄欠乏性貧血)」もしくは「かくれ貧血」だというデータがあります。
かくれ貧血の段階では健康診断でのヘモグロビン検査で貧血とは分かりません。特に生理がある人は、貧血の自覚症状がなくても日頃から鉄分を意識して摂ることが大切です。
生理のある女性の多くが慢性的な鉄分不足で貧血気味。さらに、生理以外にも、偏った食生活や無理なダイエット、ハードなスポーツは鉄欠乏性貧血の原因になります。これらの原因に心当たりのある人は、まずは食生活を見直してみましょう。
では、生理のある女性は1日にどのくらい鉄分を摂れば貧血の心配がなくなるのでしょうか。
厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生理のある女性の場合、1日当たりの鉄分の必要量は、10~14歳で10.0mg、15~29歳で8.5mg、30歳以上は9.0mgです。しかし、可能な限り、成長期の10~14歳は12.0mg、15~49歳は10.5mg、50歳以上は11.0mg摂取することが推奨されています。
生理のある女性の多くが慢性的な鉄分不足で貧血気味。さらに、生理以外にも、偏った食生活や無理なダイエット、ハードなスポーツは鉄欠乏性貧血の原因になります。これらの原因に心当たりのある人は、まずは食生活を見直してみましょう。
では、生理のある女性は1日にどのくらい鉄分を摂れば貧血の心配がなくなるのでしょうか。
厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生理のある女性の場合、1日当たりの鉄分の必要量は、10~14歳で10.0mg、15~29歳で8.5mg、30歳以上は9.0mgです。しかし、可能な限り、成長期の10~14歳は12.0mg、15~49歳は10.5mg、50歳以上は11.0mg摂取することが推奨されています。
さらに、妊娠中や授乳中は、母体の鉄分は優先的に赤ちゃんに与えられるので、鉄分不足から貧血に陥りやすく、鉄の摂取量の基準値も上がります。例えば、妊娠初期・授乳期は+2.5mg、お腹の赤ちゃんが大きくなる妊娠中期から後期は+9.5mgの鉄分を摂取することが推奨されています。鉄が多く含まれる複数の食品を組み合わせて食べるなど、いつも以上に鉄分を意識的に摂ることが大切です。
母親が貧血になると赤ちゃんに十分な栄養や酸素を運べなくなり、未熟児や低体重児が生まれる可能性が高いことも分かってきました。将来の妊娠・出産に備えて、生理が始まった女性は常に鉄分を意識して、貧血にならないように、効率的な補充を心がけましょう。
さらに、妊娠中や授乳中は、母体の鉄分は優先的に赤ちゃんに与えられるので、鉄分不足から貧血に陥りやすく、鉄の摂取量の基準値も上がります。例えば、妊娠初期・授乳期は+2.5mg、お腹の赤ちゃんが大きくなる妊娠中期から後期は+9.5mgの鉄分を摂取することが推奨されています。鉄が多く含まれる複数の食品を組み合わせて食べるなど、いつも以上に鉄分を意識的に摂ることが大切です。
母親が貧血になると赤ちゃんに十分な栄養や酸素を運べなくなり、未熟児や低体重児が生まれる可能性が高いことも分かってきました。将来の妊娠・出産に備えて、生理が始まった女性は常に鉄分を意識して、貧血にならないように、効率的な補充を心がけましょう。
生理があって貧血やかくれ貧血になっている女性の中には、婦人科系の病気によって経血量が増えていることがあります。生理が重く、毎月寝込んでしまうほど不調になる人や、生理中の経血の量が極端に多い場合、貧血の裏に子宮筋腫や子宮内膜症など婦人科系の病気が隠れている可能性もあるので注意が必要です。
<生理のある女性の貧血に影響する、代表的な婦人科疾患>
●子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋層に発生する良性の腫瘍で、婦人科領域の中でも発症頻度が高い病気です。子宮内にできた筋腫が大きくなることによって、生理の経血量が異常に増える「過多月経」などの症状が出ます。過多月経とは、1回の生理での経血量が140mL以上という診断目安があり、レバー状の血のかたまりが2日以上続くかどうかも診断基準となっています。
●子宮内膜症
子宮内膜症は、本来は子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、卵巣や腹膜、子宮の壁の中など子宮の内側以外の部位に発生して、発育を続ける病気です。子宮内膜症になると、生理に伴って炎症や出血が起こり、重い生理痛が見られます。
ナプキンが1時間もたないほど経血量が多い場合には、子宮筋腫や子宮内膜症の疑いがあります。生理が重く、経血の量が多いという自覚がある人は、病院で一度検査を受けることをおすすめします。医師の診察を受け、速やかに適切な治療をすることが大切です。
生理があって貧血やかくれ貧血になっている女性の中には、婦人科系の病気によって経血量が増えていることがあります。生理が重く、毎月寝込んでしまうほど不調になる人や、生理中の経血の量が極端に多い場合、貧血の裏に子宮筋腫や子宮内膜症など婦人科系の病気が隠れている可能性もあるので注意が必要です。
<生理のある女性の貧血に影響する、代表的な婦人科疾患>
●子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋層に発生する良性の腫瘍で、婦人科領域の中でも発症頻度が高い病気です。子宮内にできた筋腫が大きくなることによって、生理の経血量が異常に増える「過多月経」などの症状が出ます。過多月経とは、1回の生理での経血量が140mL以上という診断目安があり、レバー状の血のかたまりが2日以上続くかどうかも診断基準となっています。
●子宮内膜症
子宮内膜症は、本来は子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、卵巣や腹膜、子宮の壁の中など子宮の内側以外の部位に発生して、発育を続ける病気です。子宮内膜症になると、生理に伴って炎症や出血が起こり、重い生理痛が見られます。
ナプキンが1時間もたないほど経血量が多い場合には、子宮筋腫や子宮内膜症の疑いがあります。生理が重く、経血の量が多いという自覚がある人は、病院で一度検査を受けることをおすすめします。医師の診察を受け、速やかに適切な治療をすることが大切です。
鉄分不足からくる貧血を予防・改善するためには、鉄分を効率的に毎日コツコツ摂り続ける工夫が必要です。
食品に含まれる鉄分には、肉や魚の赤身やレバーなどに多く含まれる動物性の「ヘム鉄」と、野菜や穀類、豆腐、海藻類などに多く含まれる植物性の「非ヘム鉄」の2種類があります。
ヘム鉄と非ヘム鉄は体への吸収率が異なります。吸収効率が高いのはヘム鉄で、吸収率は10~30%と高いことが特徴です。非ヘム鉄の吸収率は5%以下と低く、効率的に鉄分を摂取したい時は、吸収率が高いヘム鉄を多く含む食品を意識的にしっかり摂るようにするとよいでしょう。
鉄分不足からくる貧血を予防・改善するためには、鉄分を効率的に毎日コツコツ摂り続ける工夫が必要です。
食品に含まれる鉄分には、肉や魚の赤身やレバーなどに多く含まれる動物性の「ヘム鉄」と、野菜や穀類、豆腐、海藻類などに多く含まれる植物性の「非ヘム鉄」の2種類があります。
ヘム鉄と非ヘム鉄は体への吸収率が異なります。吸収効率が高いのはヘム鉄で、吸収率は10~30%と高いことが特徴です。非ヘム鉄の吸収率は5%以下と低く、効率的に鉄分を摂取したい時は、吸収率が高いヘム鉄を多く含む食品を意識的にしっかり摂るようにするとよいでしょう。
生理のある成人女性(15~49歳)の1日の鉄分推奨摂取量は10.5mg。例えば、鶏レバーなら約100g、アサリの水煮なら約30g摂取すると、1日の推奨量を摂取できます。鉄分の吸収率をさらに高めるなら、緑黄色野菜や果物などに多く含まれるビタミンC、クエン酸、良質なタンパク質などと一緒に摂取するのがおすすめです。
ヘム鉄に比べると体内に吸収されにくい非ヘム鉄も、ビタミンCやクエン酸、動物性タンパク質と一緒に摂るなど、工夫次第で吸収率を上げることができます。例えば、酢を使った小松菜のスープや、豚肉とひじきを一緒に煮るなど、調理で組み合わせるのもよいでしょう。
また、アサリやシジミなどの貝類は、ヘム鉄と非ヘム鉄が両方含まれた鉄分の多い食品ですので、積極的に摂るとよいでしょう。
鉄分を多く含む食品には以下のようなものがあります。
生理のある成人女性(15~49歳)の1日の鉄分推奨摂取量は10.5mg。例えば、鶏レバーなら約100g、アサリの水煮なら約30g摂取すると、1日の推奨量を摂取できます。鉄分の吸収率をさらに高めるなら、緑黄色野菜や果物などに多く含まれるビタミンC、クエン酸、良質なタンパク質などと一緒に摂取するのがおすすめです。
ヘム鉄に比べると体内に吸収されにくい非ヘム鉄も、ビタミンCやクエン酸、動物性タンパク質と一緒に摂るなど、工夫次第で吸収率を上げることができます。例えば、酢を使った小松菜のスープや、豚肉とひじきを一緒に煮るなど、調理で組み合わせるのもよいでしょう。
また、アサリやシジミなどの貝類は、ヘム鉄と非ヘム鉄が両方含まれた鉄分の多い食品ですので、積極的に摂るとよいでしょう。
鉄分を多く含む食品には以下のようなものがあります。
<ヘム鉄>
・豚レバー
・鶏レバー
・牛レバー
・牛赤身肉
・砂肝
・赤貝
・アサリ
・めざし
・マイワシ
・マグロ
・カツオ
<ヘム鉄>
・豚レバー
・鶏レバー
・牛レバー
・牛赤身肉
・砂肝
・赤貝
・アサリ
・めざし
・マイワシ
・マグロ
・カツオ
<非ヘム鉄>
・豆乳
・高野豆腐
・そば
・小松菜
・納豆
・レンズ豆
・枝豆
・そら豆
・ひじき
・青のり
・厚揚げ
・サラダ菜
・水菜
・ほうれん草
<非ヘム鉄>
・豆乳
・高野豆腐
・そば
・小松菜
・納豆
・レンズ豆
・枝豆
・そら豆
・ひじき
・青のり
・厚揚げ
・サラダ菜
・水菜
・ほうれん草
鉄鍋や鉄玉子などで普段の料理に鉄分を自然にプラス
鉄鍋や鉄玉子などで普段の料理に鉄分を自然にプラス
普段使っている調理器具を鉄製の道具に変えるだけで、鉄分を効率的に摂取できます。鉄製の鍋や鉄瓶、フライパンなどを活用しましょう。
「鉄製の調理器具は扱いが難しそう……」という人におすすめなのが、やかんや鍋に入れるタイプの鉄の球です。鉄玉子などとも呼ばれ、価格は1,000円程度と比較的安価で手に入ります。やかんに入れてお湯を沸かして使ったり、鍋でみそ汁を作るときなどにポンと入れて調理したりするだけなので、調理が苦手な人でも気軽に始められます。使い終わったら錆びないように、すぐに洗って水気を拭くことがポイントです。
普段使っている調理器具を鉄製の道具に変えるだけで、鉄分を効率的に摂取できます。鉄製の鍋や鉄瓶、フライパンなどを活用しましょう。
「鉄製の調理器具は扱いが難しそう……」という人におすすめなのが、やかんや鍋に入れるタイプの鉄の球です。鉄玉子などとも呼ばれ、価格は1,000円程度と比較的安価で手に入ります。やかんに入れてお湯を沸かして使ったり、鍋でみそ汁を作るときなどにポンと入れて調理したりするだけなので、調理が苦手な人でも気軽に始められます。使い終わったら錆びないように、すぐに洗って水気を拭くことがポイントです。
サプリで鉄分を補うことも一案
サプリで鉄分を補うことも一案
鉄分は毎日の食事から補給するのが基本ですが、吸収率が低く、摂取が難しい栄養素でもあります。そこで、食事で必要な鉄分を摂れない時は、補助としてサプリメントを飲んでみるのも一案です。
サプリメントにもヘム鉄と非ヘム鉄のものがあります。個人差はありますが、胃腸の弱い人が非ヘム鉄のサプリメントを摂取すると、胃腸障害を起こしやすくなる可能性があるので、気になる人は吸収率が高く、胃腸障害の心配のないヘム鉄を選ぶとよいでしょう。サプリメントは摂取目安を確認して飲むことをおすすめします。
鉄分は毎日の食事から補給するのが基本ですが、吸収率が低く、摂取が難しい栄養素でもあります。そこで、食事で必要な鉄分を摂れない時は、補助としてサプリメントを飲んでみるのも一案です。
サプリメントにもヘム鉄と非ヘム鉄のものがあります。個人差はありますが、胃腸の弱い人が非ヘム鉄のサプリメントを摂取すると、胃腸障害を起こしやすくなる可能性があるので、気になる人は吸収率が高く、胃腸障害の心配のないヘム鉄を選ぶとよいでしょう。サプリメントは摂取目安を確認して飲むことをおすすめします。
日本人女性は貧血や隠れ貧血が多く、圧倒的に鉄分が不足しています。特に生理のある女性は、必須栄養素である鉄分が不足したまま、勉強や仕事、子育て、介護などに日々頑張っているのですから、様々なプチ不調が起きるのは当然のこと。生理のある女性は自覚がなくても鉄分不足だと認識し、今すぐ貧血対策を始めましょう。
日本人女性は貧血や隠れ貧血が多く、圧倒的に鉄分が不足しています。特に生理のある女性は、必須栄養素である鉄分が不足したまま、勉強や仕事、子育て、介護などに日々頑張っているのですから、様々なプチ不調が起きるのは当然のこと。生理のある女性は自覚がなくても鉄分不足だと認識し、今すぐ貧血対策を始めましょう。