貧血の症状として真っ先にイメージするのは「めまい」や「立ちくらみ」ではないでしょうか。では、貧血だとなぜ、めまいや立ちくらみといった症状が出るのでしょうか。本記事では、そのメカニズムを解説すると共に、貧血以外の原因や症状の違いについても紹介します。さらに、生理のある女性の多くが、無自覚のまま陥っている可能性が高い「かくれ貧血」についても解説します。貧血の一歩手前のかくれ貧血の段階から、貧血について正しく知り、めまいや立ちくらみが起こる前に対策を講じましょう。
貧血の症状として真っ先にイメージするのは「めまい」や「立ちくらみ」ではないでしょうか。では、貧血だとなぜ、めまいや立ちくらみといった症状が出るのでしょうか。本記事では、そのメカニズムを解説すると共に、貧血以外の原因や症状の違いについても紹介します。さらに、生理のある女性の多くが、無自覚のまま陥っている可能性が高い「かくれ貧血」についても解説します。貧血の一歩手前のかくれ貧血の段階から、貧血について正しく知り、めまいや立ちくらみが起こる前に対策を講じましょう。
ひらた・まさこ 日本大学医学部卒業。「私のクリニック目白」理事長兼院長。2003年10月に民間として日本で初めて、皮膚科、内科、心療内科など、複数の女性専門診療科目を有する「私のクリニック目白」を開設。女性のための家庭医・プライマリーケアを理念に女性専門医療に携わっている。著書に『水だけ洗顔で、一生美肌!』(小学館)、『肌がみるみる綺麗になる!大人の「スキンケア」新法則』(三笠書房)、監修書に『皮膚のトラブルが治らないときの本』(小学館)などがある。
ひらた・まさこ 日本大学医学部卒業。「私のクリニック目白」理事長兼院長。2003年10月に民間として日本で初めて、皮膚科、内科、心療内科など、複数の女性専門診療科目を有する「私のクリニック目白」を開設。女性のための家庭医・プライマリーケアを理念に女性専門医療に携わっている。著書に『水だけ洗顔で、一生美肌!』(小学館)、『肌がみるみる綺麗になる!大人の「スキンケア」新法則』(三笠書房)、監修書に『皮膚のトラブルが治らないときの本』(小学館)などがある。
「貧血」とは、血液中の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」というタンパク質の濃度が低くなった状態のこと。ヘモグロビンには体中の組織に酸素を届けるという大切な働きがあります。
肺で酸素と結合するヘモグロビンの材料となるのが鉄分です。何らかの理由で体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンの生産量も減ってしまいます。ヘモグロビンの量が減り、体内の酸素量が減って脳が酸欠状態になると、めまいや立ちくらみといった症状が現れるというわけです。
脳が消費する酸素量は全身の約2割を占めるため、多くの酸素が必要です。貧血により、脳が酸素不足になって起こるめまいは、足元が安定せず、ふわふわと雲の上を漂っているような浮遊感があるなど、独特な感覚を伴うのが特徴です。
ただ、一言でめまいといっても、様々な症状や原因があります。貧血のめまいは、貧血が治れば解消しますが、以下のようなめまいの種類によっては、メニエール病など別の病気が原因のこともあるので注意が必要です。
「貧血」とは、血液中の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」というタンパク質の濃度が低くなった状態のこと。ヘモグロビンには体中の組織に酸素を届けるという大切な働きがあります。
肺で酸素と結合するヘモグロビンの材料となるのが鉄分です。何らかの理由で体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンの生産量も減ってしまいます。ヘモグロビンの量が減り、体内の酸素量が減って脳が酸欠状態になると、めまいや立ちくらみといった症状が現れるというわけです。
脳が消費する酸素量は全身の約2割を占めるため、多くの酸素が必要です。貧血により、脳が酸素不足になって起こるめまいは、足元が安定せず、ふわふわと雲の上を漂っているような浮遊感があるなど、独特な感覚を伴うのが特徴です。
ただ、一言でめまいといっても、様々な症状や原因があります。貧血のめまいは、貧血が治れば解消しますが、以下のようなめまいの種類によっては、メニエール病など別の病気が原因のこともあるので注意が必要です。
めまいの症状にはいろいろあり、原因もそれぞれ異なります。あなたが感じている症状が、貧血によるめまいの可能性が高いのか、貧血以外の原因が考えられるのか、下記を参考にセルフチェックしてみましょう。
・ふわふわ、浮遊感のあるめまい
貧血の可能性があります。他にも、脳や神経の問題に伴って起きていることも考えられます。めまいだけでなく、手足のしびれや、ろれつが回らないなどの症状を併発しているなら、脳梗塞の疑いも……。そのまま放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。
・ぐるぐる回るめまい
内耳の器官が原因で起こるタイプのめまいである可能性が高いです。このタイプは、平衡感覚をつかさどる耳の器官のトラブルによって、あなた自身や目の前の景色がぐるぐる回っているように見えるのが特徴です。代表的なのは良性発作性頭位めまい症で、寝たり起きたりといった動作や、下を向いた時などに約30秒~1分間のめまいが起こります。
その他にも、内耳の疾患であるメニエール病の疑いもあります。メニエール病は回転性のめまいが10分間~数時間続き、何度も繰り返すのが特徴です。
・耳鳴りがあるめまい
貧血によるめまいには、耳鳴りまで起こるケースはほとんどありません。耳鳴りの症状がある場合は、外耳道に炎症が起きているか、内耳のリンパ液が増えて起こるメニエール病の可能性も。メニエール病では立っていられないほどのめまいに加えて耳鳴りが起きることがあります。
めまいの症状にはいろいろあり、原因もそれぞれ異なります。あなたが感じている症状が、貧血によるめまいの可能性が高いのか、貧血以外の原因が考えられるのか、下記を参考にセルフチェックしてみましょう。
・ふわふわ、浮遊感のあるめまい
貧血の可能性があります。他にも、脳や神経の問題に伴って起きていることも考えられます。めまいだけでなく、手足のしびれや、ろれつが回らないなどの症状を併発しているなら、脳梗塞の疑いも……。そのまま放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。
・ぐるぐる回るめまい
内耳の器官が原因で起こるタイプのめまいである可能性が高いです。このタイプは、平衡感覚をつかさどる耳の器官のトラブルによって、あなた自身や目の前の景色がぐるぐる回っているように見えるのが特徴です。代表的なのは良性発作性頭位めまい症で、寝たり起きたりといった動作や、下を向いた時などに約30秒~1分間のめまいが起こります。
その他にも、内耳の疾患であるメニエール病の疑いもあります。メニエール病は回転性のめまいが10分間~数時間続き、何度も繰り返すのが特徴です。
・耳鳴りがあるめまい
貧血によるめまいには、耳鳴りまで起こるケースはほとんどありません。耳鳴りの症状がある場合は、外耳道に炎症が起きているか、内耳のリンパ液が増えて起こるメニエール病の可能性も。メニエール病では立っていられないほどのめまいに加えて耳鳴りが起きることがあります。
貧血と低血圧(起立性低血圧)は、めまいや立ちくらみなどの症状がよく似ているため、混同されがちですが、実は全く違う状態です。
貧血は、肺で酸素を受け取る血液中のへモグロビンの濃度が薄くなることで起きます。先述の通り、貧血になると全身をめぐる酸素の量が少なくなるため、脳が酸素不足に陥り、めまいや立ちくらみを起こします。つまり、立ちくらみやめまいは、酸素不足の脳が悲鳴を上げている状態とも言えるわけです。
一方、低血圧(起立性低血圧)の場合、ヘモグロビン濃度は正常ですが、何らかの理由で心臓のポンプ機能が弱くなるなどして、体内に送り出される血液量が減っている状態です。
急に起き上がったり、長く立ち続けていたりする時に、目の前が突然真っ暗になり、立ちくらみが起きる場合は、「起立性低血圧」の可能性が高いです。分かりやすい例でいうと、学校の朝礼で立ち続けていた子どもが、急に倒れることがあります。これは貧血ではなく起立性低血圧が原因と考えられます。
立ち続けたことで血圧が急降下し、脳に十分な血液が送り届けられず、めまいや立ちくらみといった症状となって現れているのです。起立性低血圧は「脳貧血」ともいわれますが、貧血とは無関係ですので、注意しましょう。
貧血と低血圧(起立性低血圧)は、めまいや立ちくらみなどの症状がよく似ているため、混同されがちですが、実は全く違う状態です。
貧血は、肺で酸素を受け取る血液中のへモグロビンの濃度が薄くなることで起きます。先述の通り、貧血になると全身をめぐる酸素の量が少なくなるため、脳が酸素不足に陥り、めまいや立ちくらみを起こします。つまり、立ちくらみやめまいは、酸素不足の脳が悲鳴を上げている状態とも言えるわけです。
一方、低血圧(起立性低血圧)の場合、ヘモグロビン濃度は正常ですが、何らかの理由で心臓のポンプ機能が弱くなるなどして、体内に送り出される血液量が減っている状態です。
急に起き上がったり、長く立ち続けていたりする時に、目の前が突然真っ暗になり、立ちくらみが起きる場合は、「起立性低血圧」の可能性が高いです。分かりやすい例でいうと、学校の朝礼で立ち続けていた子どもが、急に倒れることがあります。これは貧血ではなく起立性低血圧が原因と考えられます。
立ち続けたことで血圧が急降下し、脳に十分な血液が送り届けられず、めまいや立ちくらみといった症状となって現れているのです。起立性低血圧は「脳貧血」ともいわれますが、貧血とは無関係ですので、注意しましょう。
自分が貧血かどうかは、健康診断などで行われる血液検査で調べることができます。
一般的に「ヘモグロビン値」「ヘマトクリット値」「赤血球数」の3つの数値で診断されます。中でも特に重要なのがへモグロビン値です。世界保健機関(WHO)の基準では、成人女性ではヘモグロビン値が12.0g/dL未満の場合に貧血と判断されます。
ここで注意が必要なのは、貧血の診断基準であるヘモグロビン値は正常範囲でも、体内の貯蔵鉄「フェリチン」が少なくなっている「かくれ貧血(潜在性鉄欠乏)」です。
私たちの体内には常時3~4gの鉄分があります。「機能鉄」「血清鉄」「組織鉄」「貯蔵鉄」の4種類あり、それぞれ異なる役割を担っています。貯蔵鉄は体内の鉄分が不足した際に使われるために、肝臓や脾臓などにストックされている鉄分で、「フェリチン鉄」とも呼ばれます。
本来、貯蔵鉄は緊急事態に備えて体内に蓄えられているのですが、貯蔵鉄を使ったまま鉄分の補充がないと、だんだん減少していきます。特に生理のある女性は、知らず知らずのうちに貯蔵鉄が少なくなっている人がとても多いのです。
貧血の一歩手前の段階であるかくれ貧血は、貧血の自覚症状はありません。一般的な血液検査では見逃されやすく、心身の不調を感じていても放置してしまいがちです。フェリチンが血中に溶け出した「血清フェリチン」の数値によって、貯蔵鉄の量が分かるので、ぜひ一度検査してチェックしてみることをおすすめします。
検査の結果、もし貧血及びかくれ貧血と診断されたら、めまいや立ちくらみなどの症状が出る前に、貧血を改善することが大切です。特に、生理による出血がある女性は慢性的な鉄分不足の可能性が高く、日々の食事で鉄分が多く含まれる食品を摂取する他、サプリメントを上手に活用するなどして、鉄分の補充を心がけましょう。
自分が貧血かどうかは、健康診断などで行われる血液検査で調べることができます。
一般的に「ヘモグロビン値」「ヘマトクリット値」「赤血球数」の3つの数値で診断されます。中でも特に重要なのがへモグロビン値です。世界保健機関(WHO)の基準では、成人女性ではヘモグロビン値が12.0g/dL未満の場合に貧血と判断されます。
ここで注意が必要なのは、貧血の診断基準であるヘモグロビン値は正常範囲でも、体内の貯蔵鉄「フェリチン」が少なくなっている「かくれ貧血(潜在性鉄欠乏)」です。
私たちの体内には常時3~4gの鉄分があります。「機能鉄」「血清鉄」「組織鉄」「貯蔵鉄」の4種類あり、それぞれ異なる役割を担っています。貯蔵鉄は体内の鉄分が不足した際に使われるために、肝臓や脾臓などにストックされている鉄分で、「フェリチン鉄」とも呼ばれます。
本来、貯蔵鉄は緊急事態に備えて体内に蓄えられているのですが、貯蔵鉄を使ったまま鉄分の補充がないと、だんだん減少していきます。特に生理のある女性は、知らず知らずのうちに貯蔵鉄が少なくなっている人がとても多いのです。
貧血の一歩手前の段階であるかくれ貧血は、貧血の自覚症状はありません。一般的な血液検査では見逃されやすく、心身の不調を感じていても放置してしまいがちです。フェリチンが血中に溶け出した「血清フェリチン」の数値によって、貯蔵鉄の量が分かるので、ぜひ一度検査してチェックしてみることをおすすめします。
検査の結果、もし貧血及びかくれ貧血と診断されたら、めまいや立ちくらみなどの症状が出る前に、貧血を改善することが大切です。特に、生理による出血がある女性は慢性的な鉄分不足の可能性が高く、日々の食事で鉄分が多く含まれる食品を摂取する他、サプリメントを上手に活用するなどして、鉄分の補充を心がけましょう。
めまいや立ちくらみは貧血の代表的な症状です。しかし、めまいの種類によっては、メニエール病など別の病気が潜んでいることも……。まずは症状や原因の違いを理解しましょう。そして、健康診断などで貧血と診断されれば、速やかに改善に取り組むことが大切です。貧血ということは、酸欠状態のまま日常生活を送っているようなもの。生理のある女性は誰でも貧血のリスクがあり、その一歩手前の「かくれ貧血」の段階からケアすることをおすすめします。めまいや立ちくらみといった症状が出る前に、対策を始めましょう。
めまいや立ちくらみは貧血の代表的な症状です。しかし、めまいの種類によっては、メニエール病など別の病気が潜んでいることも……。まずは症状や原因の違いを理解しましょう。そして、健康診断などで貧血と診断されれば、速やかに改善に取り組むことが大切です。貧血ということは、酸欠状態のまま日常生活を送っているようなもの。生理のある女性は誰でも貧血のリスクがあり、その一歩手前の「かくれ貧血」の段階からケアすることをおすすめします。めまいや立ちくらみといった症状が出る前に、対策を始めましょう。