保湿が必要なのは顔だけではありません。腕や脚、おなかなど全身の肌の保湿も重要です。しかし、全身を保湿するクリームなどのスキンケアアイテムを選ぶのは、それはそれで難しいものがあります。ここではクリームなどの体用のスキンケアアイテムの選び方や塗り方、さらに体の中から保湿ケアを行う「インナースキンケア」の重要性も併せて紹介します。
保湿が必要なのは顔だけではありません。腕や脚、おなかなど全身の肌の保湿も重要です。しかし、全身を保湿するクリームなどのスキンケアアイテムを選ぶのは、それはそれで難しいものがあります。ここではクリームなどの体用のスキンケアアイテムの選び方や塗り方、さらに体の中から保湿ケアを行う「インナースキンケア」の重要性も併せて紹介します。
ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。
ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。
「顔に比べて体には、そこまで手をかけていない」という人は、意外に多いかもしれません。
しかし、顔も体も、肌の保湿が大切なのは同じです。むしろ顔以外の肌のほうが、場合によっては過酷な環境にさらされ、保湿ケアを必要としている場合もあります。
たとえば手。手洗いや食器洗いなどで毎日、何回も水やせっけん、食器用洗剤、消毒用アルコールなどにさらされており、保水や保湿をしておかないと、手荒れに悩まされることがあるでしょう。
また腕や脚、おなかなどは衣類に守られているものの、こすれたり蒸れたりすることもあり、それによってトラブルが生じることもあります。このように保湿やスキンケアは、顔だけでなく全身の肌に必要なことなのです。
ただし、肌は場所によって角質の厚さや皮脂の分泌量が異なり、必要な保湿ケアも変わってきます。中でも以下の部位は、角質が厚くなりやすかったり、皮脂が少なかったりすることから、特に乾燥しやすく保湿が必要と考えられています。
●皮脂量が少なく、乾燥しやすい部位
皮脂を分泌させる皮脂腺は、手のひらと足の裏を除く、ほぼすべての全身に存在していますが、体の部位によって集中の度合いが異なります。特に頭皮、顔のTゾーンとあご、デコルテを含む胸元、背中、ワキ、へその周囲は、皮脂の分泌量が多くなりやすいといわれる部位です。
ということは上記に当てはまらない部位、たとえば首、腕、お尻、太もも、ふくらはぎ、肘や膝などは、比較的皮脂の量が少なく、乾燥しやすい部位だということができます。全身の保湿をする際は、まずこれらの部位を丁寧にケアする必要があるでしょう。
また、爪や唇にはそもそも皮脂腺が存在していません。この2つは、皮脂の膜によって肌の表面が守られておらず、水分が蒸発するばかりで乾燥が進んでしまうため、特に保湿が重要となります。
●角質が厚くなりやすく、乾燥しやすい部位
そのほか、かかとのように、角質層が厚くなることで乾燥が進んでしまう部位もあります。
かかとの皮膚は顔の皮膚の100倍の厚みがあるといわれており、角質層が体の中でもっとも厚いのが特徴です。乾燥によってターンオーバーがうまくいかないと、さらに角質層が積み重なってしまうこともあるため、根気よく保湿をして、角質が厚くなりすぎないようにすることが大切です。
もちろん個人差はありますが、上記にあげた「乾燥しやすい」とされる部位の肌は、体の中でも丁寧に保湿をしたほうがよいでしょう。
「顔に比べて体には、そこまで手をかけていない」という人は、意外に多いかもしれません。
しかし、顔も体も、肌の保湿が大切なのは同じです。むしろ顔以外の肌のほうが、場合によっては過酷な環境にさらされ、保湿ケアを必要としている場合もあります。
たとえば手。手洗いや食器洗いなどで毎日、何回も水やせっけん、食器用洗剤、消毒用アルコールなどにさらされており、保水や保湿をしておかないと、手荒れに悩まされることがあるでしょう。
また腕や脚、おなかなどは衣類に守られているものの、こすれたり蒸れたりすることもあり、それによってトラブルが生じることもあります。このように保湿やスキンケアは、顔だけでなく全身の肌に必要なことなのです。
ただし、肌は場所によって角質の厚さや皮脂の分泌量が異なり、必要な保湿ケアも変わってきます。中でも以下の部位は、角質が厚くなりやすかったり、皮脂が少なかったりすることから、特に乾燥しやすく保湿が必要と考えられています。
●皮脂量が少なく、乾燥しやすい部位
皮脂を分泌させる皮脂腺は、手のひらと足の裏を除く、ほぼすべての全身に存在していますが、体の部位によって集中の度合いが異なります。特に頭皮、顔のTゾーンとあご、デコルテを含む胸元、背中、ワキ、へその周囲は、皮脂の分泌量が多くなりやすいといわれる部位です。
ということは上記に当てはまらない部位、たとえば首、腕、お尻、太もも、ふくらはぎ、肘や膝などは、比較的皮脂の量が少なく、乾燥しやすい部位だということができます。全身の保湿をする際は、まずこれらの部位を丁寧にケアする必要があるでしょう。
また、爪や唇にはそもそも皮脂腺が存在していません。この2つは、皮脂の膜によって肌の表面が守られておらず、水分が蒸発するばかりで乾燥が進んでしまうため、特に保湿が重要となります。
●角質が厚くなりやすく、乾燥しやすい部位
そのほか、かかとのように、角質層が厚くなることで乾燥が進んでしまう部位もあります。
かかとの皮膚は顔の皮膚の100倍の厚みがあるといわれており、角質層が体の中でもっとも厚いのが特徴です。乾燥によってターンオーバーがうまくいかないと、さらに角質層が積み重なってしまうこともあるため、根気よく保湿をして、角質が厚くなりすぎないようにすることが大切です。
もちろん個人差はありますが、上記にあげた「乾燥しやすい」とされる部位の肌は、体の中でも丁寧に保湿をしたほうがよいでしょう。
全身を保湿するには、具体的にどのようにしていけばよいのでしょうか。
部位によってケアの方法を変えたり、使うクリームを変えたりする必要はあるのでしょうか。
●ボディケアに最適なのは、ターンオーバーを促す「尿素入りクリーム」
ボディの保湿ケアには「尿素」という成分が配合されたクリームがおすすめです。
尿素には水分を保持する働きと硬くなった角質をやわらかくする働きがあります。そのため、尿素入りクリームは、肘や膝、かかとなど、角質が厚くなりやすい部分のケアには特に最適です。
また、あまり角質が厚くないとされる腕や脚、おしりなどの肌も、ケアをしていないとターンオーバーが遅くなり、角質層が厚くなってしまうことも。尿素配合のクリームを全身に使い、適切なターンオーバーを促していきましょう。
●首と手は顔と同じケアがおすすめ
人間の汗腺のほとんどを占める「エクリン汗腺」は全身に200~500万個ほど分布しており、そのうち、発汗する能力のある「能動汗腺」は日本人で約230万個だといわれています。汗をかく量は部位によって差があり、背中、首、額、手の甲で量が多く、次いでお腹、頬、わきの下の汗の量が多いとされています。
このように、首の肌は薄くてデリケートなのにも関わらず、顔に比較して汗をかきやすいため、かいた汗が蒸発する際に肌の水分まで奪ってしまい、乾燥しやすくなります。乾燥が進むとシワができてしまうこともあるため、顔と同じく丁寧なお手入れを心がけましょう。
また、一日に何度も洗う機会の多い手も、乾燥しやすく、シワが気になる部位です。こちらもUVケアや保湿、マッサージなど、顔と同じケアで潤いを与えてあげましょう。
全身を保湿するには、具体的にどのようにしていけばよいのでしょうか。
部位によってケアの方法を変えたり、使うクリームを変えたりする必要はあるのでしょうか。
●ボディケアに最適なのは、ターンオーバーを促す「尿素入りクリーム」
ボディの保湿ケアには「尿素」という成分が配合されたクリームがおすすめです。
尿素には水分を保持する働きと硬くなった角質をやわらかくする働きがあります。そのため、尿素入りクリームは、肘や膝、かかとなど、角質が厚くなりやすい部分のケアには特に最適です。
また、あまり角質が厚くないとされる腕や脚、おしりなどの肌も、ケアをしていないとターンオーバーが遅くなり、角質層が厚くなってしまうことも。尿素配合のクリームを全身に使い、適切なターンオーバーを促していきましょう。
●首と手は顔と同じケアがおすすめ
人間の汗腺のほとんどを占める「エクリン汗腺」は全身に200~500万個ほど分布しており、そのうち、発汗する能力のある「能動汗腺」は日本人で約230万個だといわれています。汗をかく量は部位によって差があり、背中、首、額、手の甲で量が多く、次いでお腹、頬、わきの下の汗の量が多いとされています。
このように、首の肌は薄くてデリケートなのにも関わらず、顔に比較して汗をかきやすいため、かいた汗が蒸発する際に肌の水分まで奪ってしまい、乾燥しやすくなります。乾燥が進むとシワができてしまうこともあるため、顔と同じく丁寧なお手入れを心がけましょう。
また、一日に何度も洗う機会の多い手も、乾燥しやすく、シワが気になる部位です。こちらもUVケアや保湿、マッサージなど、顔と同じケアで潤いを与えてあげましょう。
入浴時の体の洗い方を見直すことも、全身の保湿につながります。
特に気をつけたいのが、体の「洗いすぎ」です。体を洗う時はさっぱりした感覚を得ようと、つい力強くゴシゴシこすってしまうことがあるかもしれません。しかし洗いすぎは肌の皮脂や角質の落としすぎにつながり、肌を守ってくれるバリア機能を低下させてしまうこともあるので、注意が必要です。
肌への負担が大きくなりすぎない、綿素材のタオルと、よく泡立てたボディソープを使い、赤ちゃんの肌を洗うようなイメージで、やさしく体を洗っていきましょう。皮脂腺の多い胸元や背中、ワキなどは丁寧に。ただし、ゴシゴシと力を入れてこすって肌に負担をかけるのではなく、やさしくじっくり洗うことを心がけましょう。
肌の潤いを奪いすぎないぬるま湯で、すすぎ残しがないよう、しっかりと流したらOKです。入浴後は、先ほど紹介した尿素配合のクリームで、全身を丁寧に保湿しましょう。
入浴時の体の洗い方を見直すことも、全身の保湿につながります。
特に気をつけたいのが、体の「洗いすぎ」です。体を洗う時はさっぱりした感覚を得ようと、つい力強くゴシゴシこすってしまうことがあるかもしれません。しかし洗いすぎは肌の皮脂や角質の落としすぎにつながり、肌を守ってくれるバリア機能を低下させてしまうこともあるので、注意が必要です。
肌への負担が大きくなりすぎない、綿素材のタオルと、よく泡立てたボディソープを使い、赤ちゃんの肌を洗うようなイメージで、やさしく体を洗っていきましょう。皮脂腺の多い胸元や背中、ワキなどは丁寧に。ただし、ゴシゴシと力を入れてこすって肌に負担をかけるのではなく、やさしくじっくり洗うことを心がけましょう。
肌の潤いを奪いすぎないぬるま湯で、すすぎ残しがないよう、しっかりと流したらOKです。入浴後は、先ほど紹介した尿素配合のクリームで、全身を丁寧に保湿しましょう。
全身の肌コンディションを整えるには、クリームなどでの外側からの保湿ケアだけでなく、内側からのインナーケアが重要になってきます。
化粧水やクリームを塗った部位だけに効果が現れる外側からの保湿ケアと異なり、インナーケアは全身に効果が現れるため、効率良く肌の潤いを保つことができます。おすすめのインナーケアをいくつかご紹介しましょう。
全身の肌コンディションを整えるインナーケア① 運動
運動には血行を促進したり、ストレスを解消したりといった、肌以外の健康にとってもさまざまな良い効果があります。しかし激しい運動をすると、肌の老化を加速させる活性酸素が発生し、肌コンディションを整えるどころか、かえって逆効果になってしまう可能性もあります。肌のことを考えると、リラックスしてゆったりと行える、ヨガやストレッチがおすすめです。
また、ふくらはぎを鍛えて全身の血流をアップさせるスクワットを、ゆっくりと無理のない範囲で行うのも、健やかな肌づくりに有効といわれています。
全身の肌コンディションを整えるインナーケア② 睡眠
健やかな肌をつくるには、睡眠も大切です。じゅうぶんな睡眠時間(約7時間が理想的)を確保することはもちろん、睡眠の質を高めることにもこだわりましょう。
最近、特に重要といわれているのが、眠り始めの3時間です。この時間は睡眠の深さが特に深くなるといわれており、体の疲れを取るためのゴールデンタイムと考えられています。肌のため、そして健康のために、眠り始めの3時間にしっかりと熟睡できる環境を整えておきましょう。
全身の肌コンディションを整えるインナーケア③ 食事
全身の肌コンディションを整えるには、クリームなどでの外側からの保湿ケアだけでなく、内側からのインナーケアが重要になってきます。
化粧水やクリームを塗った部位だけに効果が現れる外側からの保湿ケアと異なり、インナーケアは全身に効果が現れるため、効率良く肌の潤いを保つことができます。おすすめのインナーケアをいくつかご紹介しましょう。
全身の肌コンディションを整えるインナーケア① 運動
運動には血行を促進したり、ストレスを解消したりといった、肌以外の健康にとってもさまざまな良い効果があります。しかし激しい運動をすると、肌の老化を加速させる活性酸素が発生し、肌コンディションを整えるどころか、かえって逆効果になってしまう可能性もあります。肌のことを考えると、リラックスしてゆったりと行える、ヨガやストレッチがおすすめです。
また、ふくらはぎを鍛えて全身の血流をアップさせるスクワットを、ゆっくりと無理のない範囲で行うのも、健やかな肌づくりに有効といわれています。
全身の肌コンディションを整えるインナーケア② 睡眠
健やかな肌をつくるには、睡眠も大切です。じゅうぶんな睡眠時間(約7時間が理想的)を確保することはもちろん、睡眠の質を高めることにもこだわりましょう。
最近、特に重要といわれているのが、眠り始めの3時間です。この時間は睡眠の深さが特に深くなるといわれており、体の疲れを取るためのゴールデンタイムと考えられています。肌のため、そして健康のために、眠り始めの3時間にしっかりと熟睡できる環境を整えておきましょう。
全身の肌コンディションを整えるインナーケア③ 食事
食事はもっとも大切なインナーケアといっても過言ではありません。
食事は美肌づくりの基本であり、食べ物に含まれる栄養素が、健やかな体や肌をつくるもとになります。そのため、バランスの整った食事を摂ることが大切です。
また、食べ物からの栄養素は、腸内環境を整えることでしっかりと吸収できるようになります。
私たちの腸内には100兆個を超える細菌が存在していて、肌や体調を左右しています。腸内環境を整えるには、腸内細菌の中でも「善玉菌」と呼ばれる細菌の割合を増やす必要があります。
食事はもっとも大切なインナーケアといっても過言ではありません。
食事は美肌づくりの基本であり、食べ物に含まれる栄養素が、健やかな体や肌をつくるもとになります。そのため、バランスの整った食事を摂ることが大切です。
また、食べ物からの栄養素は、腸内環境を整えることでしっかりと吸収できるようになります。
私たちの腸内には100兆個を超える細菌が存在していて、肌や体調を左右しています。腸内環境を整えるには、腸内細菌の中でも「善玉菌」と呼ばれる細菌の割合を増やす必要があります。
ぬか漬け、味噌、しょうゆ、納豆、チーズ、ヨーグルトなどの発酵食品や食物繊維を食べると、善玉菌が増えやすくなるといわれています。こうした食品を積極的に摂取して腸内環境を整えていくと、肌にハリやツヤも生まれてくるでしょう。
忙しくて食事に気をつかうのが難しい場合は、サプリメントやドリンクを活用するのもおすすめです。
クリームや化粧水などで体の外側からの保湿ケアに加え、運動・睡眠・食事によって内側から肌コンディションを整えて、ハリ、ツヤ、潤いのある美しい肌を目指していきましょう。
ぬか漬け、味噌、しょうゆ、納豆、チーズ、ヨーグルトなどの発酵食品や食物繊維を食べると、善玉菌が増えやすくなるといわれています。こうした食品を積極的に摂取して腸内環境を整えていくと、肌にハリやツヤも生まれてくるでしょう。
忙しくて食事に気をつかうのが難しい場合は、サプリメントやドリンクを活用するのもおすすめです。
クリームや化粧水などで体の外側からの保湿ケアに加え、運動・睡眠・食事によって内側から肌コンディションを整えて、ハリ、ツヤ、潤いのある美しい肌を目指していきましょう。