「保湿」と聞くと、どんなスキンケアを思い浮かべますか? たっぷりの化粧水で肌を潤すことを想像する人もいるでしょう。でも、本当に化粧水だけでよいのでしょうか? 実は保湿をするには化粧水に加えて、油分も必要です。正しい保湿の方法を知って、体の外と中の両方から潤いを補っていきましょう。
「保湿」と聞くと、どんなスキンケアを思い浮かべますか? たっぷりの化粧水で肌を潤すことを想像する人もいるでしょう。でも、本当に化粧水だけでよいのでしょうか? 実は保湿をするには化粧水に加えて、油分も必要です。正しい保湿の方法を知って、体の外と中の両方から潤いを補っていきましょう。
ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。
ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。
美しく健やかな肌に、潤いは欠かせません。「潤いのある肌の代表格」とされる赤ちゃんの肌の水分量を100とすると30代で65%、40代で半分以下まで減少するといわれています。赤ちゃんのような潤いのある肌を目指ために、化粧水をたっぷり使って保湿を……と考える人も多いでしょう。しかし実は、化粧水をつけているだけでは、充分に保湿ができているとはいえません。化粧水でいくら水分を補っても、そこでスキンケアを終わらせてしまうと、せっかく補った水分が肌の表面から逃げてしまい、かえって乾燥につながることもあります。「しっかり保湿をしている」と思っていても、実は、肌にとっては充分なケアになっていないことが少なくないのです。
美しく健やかな肌に、潤いは欠かせません。「潤いのある肌の代表格」とされる赤ちゃんの肌の水分量を100とすると30代で65%、40代で半分以下まで減少するといわれています。赤ちゃんのような潤いのある肌を目指ために、化粧水をたっぷり使って保湿を……と考える人も多いでしょう。しかし実は、化粧水をつけているだけでは、充分に保湿ができているとはいえません。化粧水でいくら水分を補っても、そこでスキンケアを終わらせてしまうと、せっかく補った水分が肌の表面から逃げてしまい、かえって乾燥につながることもあります。「しっかり保湿をしている」と思っていても、実は、肌にとっては充分なケアになっていないことが少なくないのです。
なぜ、化粧水だけでは保湿が充分とはいえないのでしょうか? その理由を知るために、肌に水分が保持される仕組みを確認してみましょう。
●化粧水だけで保湿ができないのは「ふた」がされないから
肌の潤いを守っているのは、肌の一番外側にある角質層(角層)です。角質層には、「NMF」「角質細胞間脂質」「皮脂膜」という3つの保湿成分が存在しています。NMFには水分を取り込み、保持する働きがあります。また、セラミド、糖脂質、コレステロール、遊離脂肪酸などから構成される角質細胞間脂質には、水分と油分の配置をきれいに整える働きがあります。そして、主に、トリグリセリド、ワックスエステル、スクワラン、遊離脂肪酸などで構成されている皮脂膜には、肌の表面を覆い、水分の蒸発を防ぐ働きがあるのです。これら3つの働きがバランスよく整っていると角質層は安定し、肌を守る
なぜ、化粧水だけでは保湿が充分とはいえないのでしょうか? その理由を知るために、肌に水分が保持される仕組みを確認してみましょう。
●化粧水だけで保湿ができないのは「ふた」がされないから
肌の潤いを守っているのは、肌の一番外側にある角質層(角層)です。角質層には、「NMF」「角質細胞間脂質」「皮脂膜」という3つの保湿成分が存在しています。NMFには水分を取り込み、保持する働きがあります。また、セラミド、糖脂質、コレステロール、遊離脂肪酸などから構成される角質細胞間脂質には、水分と油分の配置をきれいに整える働きがあります。そして、主に、トリグリセリド、ワックスエステル、スクワラン、遊離脂肪酸などで構成されている皮脂膜には、肌の表面を覆い、水分の蒸発を防ぐ働きがあるのです。これら3つの働きがバランスよく整っていると角質層は安定し、肌を守る
つまり肌内部の水分量をキープするには、肌のバリア機能を司る角質層がカギになってくるというわけです。何らかの原因で角質層が乱れていると、肌のバリア機能も乱れ、すきまからさらに多くの水分が蒸発していきます。この水分の蒸発を防ぐには、スキンケアの最後に油分を補って、「ふた」をしておくことが必要になります。正しく保湿をするには、化粧水で水分を補うだけでなく、補った水分を逃がさないよう、乳液やクリームなどの油分でふたをすること。この方法をとることが重要といえます。
つまり肌内部の水分量をキープするには、肌のバリア機能を司る角質層がカギになってくるというわけです。何らかの原因で角質層が乱れていると、肌のバリア機能も乱れ、すきまからさらに多くの水分が蒸発していきます。この水分の蒸発を防ぐには、スキンケアの最後に油分を補って、「ふた」をしておくことが必要になります。正しく保湿をするには、化粧水で水分を補うだけでなく、補った水分を逃がさないよう、乳液やクリームなどの油分でふたをすること。この方法をとることが重要といえます。
ケア方法のほか、化粧水や美容液の選び方を工夫することで、保湿ケアの効果が変わることもあります。たとえば、保湿成分として有名なコラーゲン、ヒアルロン酸、セラミドなどの成分。もともと肌に存在している保湿成分ですが、これらの成分が配合された化粧水や美容液などのスキンケアアイテムを選ぶと、より高い保湿効果を得られることもあるのです。
中でもおすすめは、セラミドが配合されたアイテム。なぜおすすめなのかというと、それはセラミドが、スキンケアが浸透する角質層に存在する成分だからです(イラスト参照)。
セラミドには肌の保水力と、先ほど説明した肌のバリア機能を高める働きがあります。角質層に水分と油分を閉じ込めることができるほか、セラミドがしっかり働くことで肌のバリアが強力に機能し、外的刺激から肌を守ったり、肌内部の水分が蒸発してしまったりすることを防いでくれます。
ケア方法のほか、化粧水や美容液の選び方を工夫することで、保湿ケアの効果が変わることもあります。たとえば、保湿成分として有名なコラーゲン、ヒアルロン酸、セラミドなどの成分。もともと肌に存在している保湿成分ですが、これらの成分が配合された化粧水や美容液などのスキンケアアイテムを選ぶと、より高い保湿効果を得られることもあるのです。
中でもおすすめは、セラミドが配合されたアイテム。なぜおすすめなのかというと、それはセラミドが、スキンケアが浸透する角質層に存在する成分だからです(イラスト参照)。
セラミドには肌の保水力と、先ほど説明した肌のバリア機能を高める働きがあります。角質層に水分と油分を閉じ込めることができるほか、セラミドがしっかり働くことで肌のバリアが強力に機能し、外的刺激から肌を守ったり、肌内部の水分が蒸発してしまったりすることを防いでくれます。
コラーゲンやヒアルロン酸にも肌にハリ(弾力)を与えたり、水分を蓄えたりする性質があります。ただし、これらは真皮層と呼ばれる、化粧品の成分が届かない奥深くに多く存在しているため、化粧水や美容液などのスキンケアで補うよりも食事やサプリメント、ドリンクなどのインナーケアで補ったほうが、より効果的といえます。インナーケアについては、のちほど詳しく説明します。
コラーゲンやヒアルロン酸にも肌にハリ(弾力)を与えたり、水分を蓄えたりする性質があります。ただし、これらは真皮層と呼ばれる、化粧品の成分が届かない奥深くに多く存在しているため、化粧水や美容液などのスキンケアで補うよりも食事やサプリメント、ドリンクなどのインナーケアで補ったほうが、より効果的といえます。インナーケアについては、のちほど詳しく説明します。
保湿効果をさらに高めるには、自分の肌質に合わせた保湿ケアを行うのも有効です。ここからは、肌が乾燥しやすい「乾燥肌」、皮脂が多い「オイリー(脂性)肌」、そして乾燥肌とオイリー肌が混じった「混合肌」の保湿方法をそれぞれ紹介しますので、自分の肌に合った方法を選び、より潤った肌を目指してみましょう。
●「乾燥肌」の保湿スキンケアのポイント
保湿効果をさらに高めるには、自分の肌質に合わせた保湿ケアを行うのも有効です。ここからは、肌が乾燥しやすい「乾燥肌」、皮脂が多い「オイリー(脂性)肌」、そして乾燥肌とオイリー肌が混じった「混合肌」の保湿方法をそれぞれ紹介しますので、自分の肌に合った方法を選び、より潤った肌を目指してみましょう。
●「乾燥肌」の保湿スキンケアのポイント
顔全体がカサつく、洗顔後に肌がつっぱる、目元や口元に小ジワができる、ファンデーションが粉っぽく浮くなど、肌の乾燥が気になる人の場合、バリア機能が低下し、摩擦や紫外線といった外的刺激に対し、肌が弱くなっていることが考えられます。そのため、洗顔や化粧水や美容液などのスキンケアによる刺激もできるだけ避けることが大切です。よく泡立てた低刺激の洗顔料で肌をやさしく洗い、肌の潤いを奪い過ぎないよう、ぬるま湯で洗い流しましょう。そして洗顔後はできるだけすぐに保湿を。その際も強くパッティングする、こすりつけるなど肌の刺激になるようなことはせず、化粧水も乳液・クリームも手のひらでおさえるようにして、じっくり浸透させていきましょう。
顔全体がカサつく、洗顔後に肌がつっぱる、目元や口元に小ジワができる、ファンデーションが粉っぽく浮くなど、肌の乾燥が気になる人の場合、バリア機能が低下し、摩擦や紫外線といった外的刺激に対し、肌が弱くなっていることが考えられます。そのため、洗顔や化粧水や美容液などのスキンケアによる刺激もできるだけ避けることが大切です。よく泡立てた低刺激の洗顔料で肌をやさしく洗い、肌の潤いを奪い過ぎないよう、ぬるま湯で洗い流しましょう。そして洗顔後はできるだけすぐに保湿を。その際も強くパッティングする、こすりつけるなど肌の刺激になるようなことはせず、化粧水も乳液・クリームも手のひらでおさえるようにして、じっくり浸透させていきましょう。
●「オイリー肌」の保湿スキンケアのポイント
●「オイリー肌」の保湿スキンケアのポイント
顔全体がテカる、洗顔後は保湿をしなくても皮脂が浮いてくる、毛穴が開く、夕方になると化粧が崩れるといったオイリー肌の人の場合、ベタつきが気になるからと化粧水だけで済ませてしまい、乳液やクリームを省略しがちです。しかし、それによって肌内部の水分が蒸発し、不足してしまいます。そして、水分を補おうと皮脂が多く分泌されるため、さらにテカりが加速することもあります。オイリー肌の場合は、乳液やクリームを薄く重ねるなどの工夫をしながら、水分だけでなく油分もスキンケアでしっかり補っていきましょう。
顔全体がテカる、洗顔後は保湿をしなくても皮脂が浮いてくる、毛穴が開く、夕方になると化粧が崩れるといったオイリー肌の人の場合、ベタつきが気になるからと化粧水だけで済ませてしまい、乳液やクリームを省略しがちです。しかし、それによって肌内部の水分が蒸発し、不足してしまいます。そして、水分を補おうと皮脂が多く分泌されるため、さらにテカりが加速することもあります。オイリー肌の場合は、乳液やクリームを薄く重ねるなどの工夫をしながら、水分だけでなく油分もスキンケアでしっかり補っていきましょう。
●「混合肌」の保湿スキンケアのポイント
●「混合肌」の保湿スキンケアのポイント
おでこ~鼻筋にかけてのTゾーンはテカりやすいけれど頬の部分は乾燥しやすい、洗顔後は部分的に肌がつっぱる、季節によって肌質が変化する、夕方になるとTゾーンやUゾーンだけお化粧が崩れるといったように、オイリー肌と乾燥肌が入り交じった混合肌の人は、パーツによってケアを変えるのがポイントです。たとえば乾燥する部分には乾燥肌向けのクリームをたっぷり使い、テカりが気になる部分にはオイリー肌向けのケアとしてクリームを薄くつけるといったように、肌の状態によってスキンケアの方法を変えていきましょう。
おでこ~鼻筋にかけてのTゾーンはテカりやすいけれど頬の部分は乾燥しやすい、洗顔後は部分的に肌がつっぱる、季節によって肌質が変化する、夕方になるとTゾーンやUゾーンだけお化粧が崩れるといったように、オイリー肌と乾燥肌が入り交じった混合肌の人は、パーツによってケアを変えるのがポイントです。たとえば乾燥する部分には乾燥肌向けのクリームをたっぷり使い、テカりが気になる部分にはオイリー肌向けのケアとしてクリームを薄くつけるといったように、肌の状態によってスキンケアの方法を変えていきましょう。
最後に、体の中から肌を潤すインナーケアについて紹介します。
睡眠などの生活習慣や食事が、肌の状態に大きな影響を与えることも少なくありません。特に睡眠不足やストレスは肌の新陳代謝である「ターンオーバー」のサイクルが乱れて、刺激に弱く、乾燥しやすい肌をつくってしまうことがあります。また肌のバリア機能も低下しやすくなります。まずはストレスを上手に発散しながら、規則正しい生活を送り、健やかな肌をつくっていきましょう。
食事面では、保湿成分であるコラーゲンを多く含む食材を積極的に摂取してみましょう。おすすめの食品は手羽先や牛すじ、卵など。これらの食材には良質なコラーゲンが多く含まれているため、健やかな肌をつくる効果が期待できます。ただし、くれぐれも食べ過ぎは禁物です。いくら肌によいといわれる食品でも、食べ過ぎると皮下脂肪に変わるほか、むくみやニキビのもとになり、かえって肌荒れを引き起こしてしまうこともあるので、注意しておきましょう。肌に必要な栄養素を効率よく摂取するには、コラーゲンやヒアルロン酸など、健やかな肌をつくるといわれる栄養素を含むサプリメントやドリンクを利用するのがおすすめです。
このように、体の外側からのスキンケアも適切に行いながら、生活習慣や食事といった、体の内側からのインナーケアも併せて行い、潤いのある、健やかな肌づくりを目指していきましょう。
最後に、体の中から肌を潤すインナーケアについて紹介します。
睡眠などの生活習慣や食事が、肌の状態に大きな影響を与えることも少なくありません。特に睡眠不足やストレスは肌の新陳代謝である「ターンオーバー」のサイクルが乱れて、刺激に弱く、乾燥しやすい肌をつくってしまうことがあります。また肌のバリア機能も低下しやすくなります。まずはストレスを上手に発散しながら、規則正しい生活を送り、健やかな肌をつくっていきましょう。
食事面では、保湿成分であるコラーゲンを多く含む食材を積極的に摂取してみましょう。おすすめの食品は手羽先や牛すじ、卵など。これらの食材には良質なコラーゲンが多く含まれているため、健やかな肌をつくる効果が期待できます。ただし、くれぐれも食べ過ぎは禁物です。いくら肌によいといわれる食品でも、食べ過ぎると皮下脂肪に変わるほか、むくみやニキビのもとになり、かえって肌荒れを引き起こしてしまうこともあるので、注意しておきましょう。肌に必要な栄養素を効率よく摂取するには、コラーゲンやヒアルロン酸など、健やかな肌をつくるといわれる栄養素を含むサプリメントやドリンクを利用するのがおすすめです。
このように、体の外側からのスキンケアも適切に行いながら、生活習慣や食事といった、体の内側からのインナーケアも併せて行い、潤いのある、健やかな肌づくりを目指していきましょう。