「美しい肌をつくるには保湿が大切」といわれますが、「では、保湿とは?」と、あらためて聞かれると、はっきり答えられる人はそう多くないかもしれません。ここでは「保湿とは何か」という、肌対策の根幹となる知識を解説し、保湿についての正しい理解を深める手助けをします。
「美しい肌をつくるには保湿が大切」といわれますが、「では、保湿とは?」と、あらためて聞かれると、はっきり答えられる人はそう多くないかもしれません。ここでは「保湿とは何か」という、肌対策の根幹となる知識を解説し、保湿についての正しい理解を深める手助けをします。
ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。
ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。
保湿とは、「肌に充分な水分を保持すること」です。充分な水分が保持されていると、肌はみずみずしさや、ツヤ、ハリ、透明感を維持することが可能になります。
たとえば、ぷるんとしたハリがあって、くすみやシミがない、赤ちゃんのようななめらかな肌には、多くの水分が含まれています。しかし肌の水分量は、赤ちゃんを100とすると、30代ではその約半分まで低下し、その後も加齢とともにどんどん低下していく一方。私たちの肌は、年齢とともに保湿ができなくなってしまうのです。したがって、肌にじゅうぶんな水分を保持できるようにすることは、美肌づくりの基本といっても過言ではありません。
中には「毎日保湿しているのに、肌が乾燥してしまう」という人もいるでしょう。その場合、潤いを保持する肌の機能がうまく働いていないことが考えられます。正しい「保湿」を知り、毎日のスキンケアを根本から見直していきましょう。
保湿とは、「肌に充分な水分を保持すること」です。充分な水分が保持されていると、肌はみずみずしさや、ツヤ、ハリ、透明感を維持することが可能になります。
たとえば、ぷるんとしたハリがあって、くすみやシミがない、赤ちゃんのようななめらかな肌には、多くの水分が含まれています。しかし肌の水分量は、赤ちゃんを100とすると、30代ではその約半分まで低下し、その後も加齢とともにどんどん低下していく一方。私たちの肌は、年齢とともに保湿ができなくなってしまうのです。したがって、肌にじゅうぶんな水分を保持できるようにすることは、美肌づくりの基本といっても過言ではありません。
中には「毎日保湿しているのに、肌が乾燥してしまう」という人もいるでしょう。その場合、潤いを保持する肌の機能がうまく働いていないことが考えられます。正しい「保湿」を知り、毎日のスキンケアを根本から見直していきましょう。
肌の潤いは、肌表面にある角質層の「バリア機能」が正しく働くことによって保たれています。肌のバリア機能とはその名の通り、肌をバリア、つまり防護壁で守る機能のこと。乾燥や紫外線、雑菌など、さまざまな外的刺激から肌の内部を守り、健やかな状態を保つ役割をもっています。このバリア機能が本来の役目を果たすには、肌表面にある角質層が潤いで満たされることが必要です。そのカギとなるのが、角質層に存在する、3つの要素です。
●バリア機能を司る3つの要素
バリア機能を司っているのは、角質層に存在する「NMF」「角質細胞間脂質」「皮脂膜」の3つです。それぞれの役割を順に説明しましょう。
まずNMFですが、これは水分を取り込み、保持する働きを持つ成分です。Natural Moisturizing Factor(日本語で「天然保湿因子」)の頭文字をとって、NMFと呼ばれています。
続いて、角質細胞間脂質。これはセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などからなる物質で、角質層を水分と油分のきれいな層にし、バリア機能を整えておく働きがあります。
最後に皮脂膜ですが、これは皮脂腺から出る皮脂(油分)と、汗腺から出る汗(水分)が混じったもので肌表面を覆い、水分の蒸発を防ぐ働きを持っています。そうした働きから、「天然の保湿クリーム」といわれることもあります。
肌の潤いは、肌表面にある角質層の「バリア機能」が正しく働くことによって保たれています。肌のバリア機能とはその名の通り、肌をバリア、つまり防護壁で守る機能のこと。乾燥や紫外線、雑菌など、さまざまな外的刺激から肌の内部を守り、健やかな状態を保つ役割をもっています。このバリア機能が本来の役目を果たすには、肌表面にある角質層が潤いで満たされることが必要です。そのカギとなるのが、角質層に存在する、3つの要素です。
●バリア機能を司る3つの要素
バリア機能を司っているのは、角質層に存在する「NMF」「角質細胞間脂質」「皮脂膜」の3つです。それぞれの役割を順に説明しましょう。
まずNMFですが、これは水分を取り込み、保持する働きを持つ成分です。Natural Moisturizing Factor(日本語で「天然保湿因子」)の頭文字をとって、NMFと呼ばれています。
続いて、角質細胞間脂質。これはセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などからなる物質で、角質層を水分と油分のきれいな層にし、バリア機能を整えておく働きがあります。
最後に皮脂膜ですが、これは皮脂腺から出る皮脂(油分)と、汗腺から出る汗(水分)が混じったもので肌表面を覆い、水分の蒸発を防ぐ働きを持っています。そうした働きから、「天然の保湿クリーム」といわれることもあります。
この3つがバランスよく整っていると、角質層は安定し肌のバリア機能も正しく働くため、水分は保持されます。しかし何らかの原因によって角質層に乱れが生じると、バリア機能が低下し水分が失われて、乾燥などの肌トラブルを引き起こすことがあります。つまり、保湿をするには、肌内部に充分な量の水分がキープされるのとともに、それが蒸発しないようにふたの役割を果たす油分も大切ということになります。
保湿というと、「水分を補う」ことを思い浮かべやすいかもしれませんが、本当はそれだけでなく、補った水分を逃がさないよう、乳液やクリームなどの油分でふたをしてはじめて、保湿ができたといえるのです。
この3つがバランスよく整っていると、角質層は安定し肌のバリア機能も正しく働くため、水分は保持されます。しかし何らかの原因によって角質層に乱れが生じると、バリア機能が低下し水分が失われて、乾燥などの肌トラブルを引き起こすことがあります。つまり、保湿をするには、肌内部に充分な量の水分がキープされるのとともに、それが蒸発しないようにふたの役割を果たす油分も大切ということになります。
保湿というと、「水分を補う」ことを思い浮かべやすいかもしれませんが、本当はそれだけでなく、補った水分を逃がさないよう、乳液やクリームなどの油分でふたをしてはじめて、保湿ができたといえるのです。
また、肌の保湿力には「ターンオーバー」と呼ばれる、肌細胞の生まれ変わりのメカニズムもかかわっています。どうかかわっているのか、ターンオーバーの仕組みを説明しながら、詳しく見ていきましょう。
●ターンオーバーの仕組み
肌の表皮は、肌の内側から外側に向かって順に、基底層(きていそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、顆粒層(かりゅうそう)、角質層(かくしつそう)という4つの層に大きく分かれています(イラスト参照)。表皮の最も内側の基底層で生まれた新しい表皮細胞は、約14日間かけて基底層→有棘層→顆粒層に押し上げられていき、最後、角質層に約14日間とどまったのち、はがれ落ちていきます。見た目にはわかりませんが、肌はこうした仕組みを繰り返し、常に生まれ変わっているのです。この約28日のサイクルで肌が生まれ変わっていくメカニズムを、「ターンオーバー」と呼んでいます。この肌のターンオーバーのサイクルは20代で約28日のサイクルですが、加齢とともに、新陳代謝も低下するため、30代~40代では、40~50日と、遅くなる傾向があります。
また、肌の保湿力には「ターンオーバー」と呼ばれる、肌細胞の生まれ変わりのメカニズムもかかわっています。どうかかわっているのか、ターンオーバーの仕組みを説明しながら、詳しく見ていきましょう。
●ターンオーバーの仕組み
肌の表皮は、肌の内側から外側に向かって順に、基底層(きていそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、顆粒層(かりゅうそう)、角質層(かくしつそう)という4つの層に大きく分かれています(イラスト参照)。表皮の最も内側の基底層で生まれた新しい表皮細胞は、約14日間かけて基底層→有棘層→顆粒層に押し上げられていき、最後、角質層に約14日間とどまったのち、はがれ落ちていきます。見た目にはわかりませんが、肌はこうした仕組みを繰り返し、常に生まれ変わっているのです。この約28日のサイクルで肌が生まれ変わっていくメカニズムを、「ターンオーバー」と呼んでいます。この肌のターンオーバーのサイクルは20代で約28日のサイクルですが、加齢とともに、新陳代謝も低下するため、30代~40代では、40~50日と、遅くなる傾向があります。
さきほど紹介した、肌の潤いを保つのに必要なNMF、角質細胞間脂質、皮脂膜も、このターンオーバーの過程でつくられていきます。ターンオーバーがしっかりとした正常なサイクルで行われていれば、肌のバリア機能も正しく働くため、トラブルが起こりにくい、健康な肌になります。しかし、肌荒れが起きるなどして肌が傷つくと、傷ついた部分を早く修復しようと、肌のターンオーバーが促進されることがあります。そうすると、肌が正常につくられないままターンオーバーが進んでしまい、バリア機能が低下し、乾燥や外的刺激に対して弱い肌になってしまうことがあるのです。傷のほか、睡眠不足や紫外線も、ターンオーバーを早める要因になることがあります。
一方、加齢などの影響などによってターンオーバーが遅くなると、本来ははがれ落ちるべき古くなった角質が肌の表面にたまり、シミ、シワ、くすみ、毛穴の詰まりなどの原因になることがあります。また、古い角質が邪魔して、スキンケアをしても充分に浸透せず、乾燥につながってしまうこともあります。つまりターンオーバーは早すぎても遅すぎても肌トラブルを招くことにつながり、保湿力を下げてしまう可能性があるのです。
さきほど紹介した、肌の潤いを保つのに必要なNMF、角質細胞間脂質、皮脂膜も、このターンオーバーの過程でつくられていきます。ターンオーバーがしっかりとした正常なサイクルで行われていれば、肌のバリア機能も正しく働くため、トラブルが起こりにくい、健康な肌になります。しかし、肌荒れが起きるなどして肌が傷つくと、傷ついた部分を早く修復しようと、肌のターンオーバーが促進されることがあります。そうすると、肌が正常につくられないままターンオーバーが進んでしまい、バリア機能が低下し、乾燥や外的刺激に対して弱い肌になってしまうことがあるのです。傷のほか、睡眠不足や紫外線も、ターンオーバーを早める要因になることがあります。
一方、加齢などの影響などによってターンオーバーが遅くなると、本来ははがれ落ちるべき古くなった角質が肌の表面にたまり、シミ、シワ、くすみ、毛穴の詰まりなどの原因になることがあります。また、古い角質が邪魔して、スキンケアをしても充分に浸透せず、乾燥につながってしまうこともあります。つまりターンオーバーは早すぎても遅すぎても肌トラブルを招くことにつながり、保湿力を下げてしまう可能性があるのです。
したがって肌を保湿するには「肌のバリア機能を高める」とともに、「ターンオーバーを整える」こと、この2つが大切といえます。そのためには以下のことに注意して、日々のスキンケアを行ったり、生活習慣を見直すとよいでしょう。
●保湿をうたったスキンケアアイテムを使う
さきほども説明したように、正しく保湿するには水分だけ、油分だけを補ってもうまくいきません。水分をいくら補っても、油分でふたをしなければせっかく補った水分が蒸発し、保湿どころか乾燥が進んでしまう可能性もあります。水分を補ったら必ず油分でふたをし、肌が水分を保てるようにしておくことが必要です。また水分や油分と一緒に、保湿成分であるセラミドなどを補えるスキンケアアイテムを使うのも、有効です。角質細胞間脂質の一つであるセラミドは、肌の保水力を高めるのに適しています。
●洗顔後はすぐに保湿する
入浴や洗顔の後は、肌が無防備な状態にあるため、水分の蒸発が進み、肌の乾燥も急激に進んでいきます。したがって洗顔後は可能な限りすぐ、できれば5〜10分以内に、潤いを補うことが大切です。それにより、肌のバリア機能が保たれ、肌の水分量もキープできるでしょう。
●部屋の湿度を見直す
部屋の湿度を見直すことが、肌の保湿につながることもあります。なぜなら空気が乾燥することによって、肌の表面からの水分蒸発量が増え、乾燥が進むからです。一般的に肌によいとされる湿度は40~60%といわれていますが、空気中のウイルス対策から考慮すると50〜60%が理想的です。空気の乾燥が進む冬場だけでなく、夏でもエアコンによって室内が乾燥することがあります。湿度計や加湿器を用意し、空気の乾きすぎにも注意しておきましょう。
そのほか、栄養バランスが整った食事を規則正しく摂取する、定期的に運動をして体を動かす、睡眠をしっかりとる、ストレスをためすぎないようにするといったことも、肌のバリア機能を高め、保湿力を高めることにつながります。特に食事については、栄養バランスの乱れが肌にも影響を与えます。忙しい時は、必要な栄養素を手軽に摂取できるドリンクを飲むなどして、栄養を補うのもおすすめです。
毎日の保湿ケアを見直し、潤いのあるみずみずしい肌を目指しましょう。
したがって肌を保湿するには「肌のバリア機能を高める」とともに、「ターンオーバーを整える」こと、この2つが大切といえます。そのためには以下のことに注意して、日々のスキンケアを行ったり、生活習慣を見直すとよいでしょう。
●保湿をうたったスキンケアアイテムを使う
さきほども説明したように、正しく保湿するには水分だけ、油分だけを補ってもうまくいきません。水分をいくら補っても、油分でふたをしなければせっかく補った水分が蒸発し、保湿どころか乾燥が進んでしまう可能性もあります。水分を補ったら必ず油分でふたをし、肌が水分を保てるようにしておくことが必要です。また水分や油分と一緒に、保湿成分であるセラミドなどを補えるスキンケアアイテムを使うのも、有効です。角質細胞間脂質の一つであるセラミドは、肌の保水力を高めるのに適しています。
●洗顔後はすぐに保湿する
入浴や洗顔の後は、肌が無防備な状態にあるため、水分の蒸発が進み、肌の乾燥も急激に進んでいきます。したがって洗顔後は可能な限りすぐ、できれば5〜10分以内に、潤いを補うことが大切です。それにより、肌のバリア機能が保たれ、肌の水分量もキープできるでしょう。
●部屋の湿度を見直す
部屋の湿度を見直すことが、肌の保湿につながることもあります。なぜなら空気が乾燥することによって、肌の表面からの水分蒸発量が増え、乾燥が進むからです。一般的に肌によいとされる湿度は40~60%といわれていますが、空気中のウイルス対策から考慮すると50〜60%が理想的です。空気の乾燥が進む冬場だけでなく、夏でもエアコンによって室内が乾燥することがあります。湿度計や加湿器を用意し、空気の乾きすぎにも注意しておきましょう。
そのほか、栄養バランスが整った食事を規則正しく摂取する、定期的に運動をして体を動かす、睡眠をしっかりとる、ストレスをためすぎないようにするといったことも、肌のバリア機能を高め、保湿力を高めることにつながります。特に食事については、栄養バランスの乱れが肌にも影響を与えます。忙しい時は、必要な栄養素を手軽に摂取できるドリンクを飲むなどして、栄養を補うのもおすすめです。
毎日の保湿ケアを見直し、潤いのあるみずみずしい肌を目指しましょう。