便秘薬に頼るのも手? 高齢者の「慢性便秘」対策

便秘薬に頼るのも手? 高齢者の「慢性便秘」対策

監修:All About

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便秘薬に頼るのも手? 高齢者の「慢性便秘」対策 便秘薬に頼るのも手? 高齢者の「慢性便秘」対策

年齢を重ねて体の機能が衰えると、あちこちに不調が見られるもの。便秘も同様で、60代を超えると悩む人の数がグンと増えることはご存知でしょうか? 高齢者の慢性的な便秘には、どう対処するべきかを考えてみました。

年齢を重ねて体の機能が衰えると、あちこちに不調が見られるもの。便秘も同様で、60代を超えると悩む人の数がグンと増えることはご存知でしょうか? 高齢者の慢性的な便秘には、どう対処するべきかを考えてみました。

放っておきたくない! 60代以降で便秘に悩む人が急増中

放っておきたくない! 60代以降で便秘に悩む人が急増中

グラフにもあるように、厚生労働省が実施した「平成28年 国民生活基礎調査」によると、人口1000人に対して70.2人の男女が便秘の自覚症状があると回答しています。これを世代別に見たとき、数が大幅に増えるのは60歳代以降。便秘は女性に多いと思うかもしれませんが、実は男性も人ごとではありません。59歳以下と60歳以上で比べると、上昇率が大きいのは男性方であることが一目瞭然です。

「排便が○日に1回」など、排便の回数で便秘を判断することもありますが、高齢になると食事の量が減る人も多いため、便の回数だけで判断し難い面もあるもの。たとえば、便の形状がコロコロしていたり、出したいのに出なかったりと、快適に排便できない状態なら便秘の可能性ありと言えるでしょう。

グラフにもあるように、厚生労働省が実施した「平成28年 国民生活基礎調査」によると、人口1000人に対して70.2人の男女が便秘の自覚症状があると回答しています。これを世代別に見たとき、数が大幅に増えるのは60歳代以降。便秘は女性に多いと思うかもしれませんが、実は男性も人ごとではありません。59歳以下と60歳以上で比べると、上昇率が大きいのは男性方であることが一目瞭然です。

「排便が○日に1回」など、排便の回数で便秘を判断することもありますが、高齢になると食事の量が減る人も多いため、便の回数だけで判断し難い面もあるもの。たとえば、便の形状がコロコロしていたり、出したいのに出なかったりと、快適に排便できない状態なら便秘の可能性ありと言えるでしょう。

便秘の自覚症状を持つ人の数(人口1000人あたり) 便秘の自覚症状を持つ人の数(人口1000人あたり)

加齢による体の機能低下に加え、薬の副作用も便秘の要因

加齢による体の機能低下に加え、薬の副作用も便秘の要因


60歳を超えると、便秘に悩む人の数が増えるのはなぜでしょうか? 一番の要因は、やはり加齢。年齢を重ねることで、排便でりきむときに必要な腹圧や肛門括約筋や、腸のぜん動運動などの生理的機能が低下するのです。また、前述のように食事量が減ることで、便秘予防に効果的な食物繊維を十分に摂れない場合も。さらに、加齢によって身体機能が低下し、身体を動かすのが面倒になったり、そもそも動かすこと自体ができなくなったりといった運動不足も要因です。

このほか、薬による副作用も便秘の要因になることがあります。高齢になると持病のため常に薬を服用する人も増えますが、薬の中には消化系の運動を妨げるものもあるのです。たとえば、うつやパーキンソン病の治療に使われる抗コリン薬、高血圧に処方されるカルシウム拮抗薬などは、副作用のひとつに便秘が挙げられています。

60歳を超えると、便秘に悩む人の数が増えるのはなぜでしょうか? 一番の要因は、やはり加齢。年齢を重ねることで、排便でりきむときに必要な腹圧や肛門括約筋や、腸のぜん動運動などの生理的機能が低下するのです。また、前述のように食事量が減ることで、便秘予防に効果的な食物繊維を十分に摂れない場合も。さらに、加齢によって身体機能が低下し、身体を動かすのが面倒になったり、そもそも動かすこと自体ができなくなったりといった運動不足も要因です。

このほか、薬による副作用も便秘の要因になることがあります。高齢になると持病のため常に薬を服用する人も増えますが、薬の中には消化系の運動を妨げるものもあるのです。たとえば、うつやパーキンソン病の治療に使われる抗コリン薬、高血圧に処方されるカルシウム拮抗薬などは、副作用のひとつに便秘が挙げられています。

加齢による体の機能低下に加え、薬の副作用も便秘の要因 加齢による体の機能低下に加え、薬の副作用も便秘の要因

このように便秘のリスクが高まっているにもかかわらず、実は自覚していない人が多いのも高齢者の便秘に見られる現象。硬い便が出たり、多少の残便感があったりしても、「こんなものだろう」と考えて対策を講じない人は少なくないようです。徐々に便秘がちになると自覚しづらいかもしれませんが、排便時に違和感がないか、今一度振り返ってみるとよいでしょう。

このように便秘のリスクが高まっているにもかかわらず、実は自覚していない人が多いのも高齢者の便秘に見られる現象。硬い便が出たり、多少の残便感があったりしても、「こんなものだろう」と考えて対策を講じない人は少なくないようです。徐々に便秘がちになると自覚しづらいかもしれませんが、排便時に違和感がないか、今一度振り返ってみるとよいでしょう。

高齢者の便秘対策には、周囲の配慮も必要

高齢者の便秘対策には、周囲の配慮も必要


便秘に悩む人が多い高齢者の場合、どのような対策を施せばよいのでしょうか? 以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

便秘に悩む人が多い高齢者の場合、どのような対策を施せばよいのでしょうか? 以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

生活習慣の見直しと改善

生活習慣の見直しと改善

年齢にかかわらず、生活習慣の改善は便秘対策の基本。食生活では食物繊維や乳酸菌などを積極的に摂り、腸内環境のバランスを整えるようにしましょう。食が細い方は、サプリメントで補うのもオススメです。また、適度な運動は血流を促進し、腸の働きを活発にする効果があります。無理は禁物ですが、面倒がらずに身体を動かすようにしてください。

年齢にかかわらず、生活習慣の改善は便秘対策の基本。食生活では食物繊維や乳酸菌などを積極的に摂り、腸内環境のバランスを整えるようにしましょう。食が細い方は、サプリメントで補うのもオススメです。また、適度な運動は血流を促進し、腸の働きを活発にする効果があります。無理は禁物ですが、面倒がらずに身体を動かすようにしてください。

生活習慣の見直しと改善 生活習慣の見直しと改善

水を飲む習慣をつける

水を飲む習慣をつける

水分の摂取量が少ないと便が硬くなるので、意識して摂ることが大切。特に高齢者の方は、夜、目が覚めてトイレに行くのがイヤだからと水分を控えがちなので、朝、起きたときにコップ一杯の水を飲むなど、無理のない範囲で毎日の習慣にしてください。

水分の摂取量が少ないと便が硬くなるので、意識して摂ることが大切。特に高齢者の方は、夜、目が覚めてトイレに行くのがイヤだからと水分を控えがちなので、朝、起きたときにコップ一杯の水を飲むなど、無理のない範囲で毎日の習慣にしてください。

水を飲む習慣をつける 水を飲む習慣をつける

1日1回、便意がなくてもトイレで座る

1日1回、便意がなくてもトイレで座る

1日1回、たとえば朝食後に10分でいいのでトイレで座るようにしてください。これは、排便習慣を身につけるため。排便しやすいのは和式トイレの姿勢ですが、洋式トイレの場合も前屈みに座れば便が出しやすくなります。

1日1回、たとえば朝食後に10分でいいのでトイレで座るようにしてください。これは、排便習慣を身につけるため。排便しやすいのは和式トイレの姿勢ですが、洋式トイレの場合も前屈みに座れば便が出しやすくなります。

1日1回、便意がなくてもトイレで座る 1日1回、便意がなくてもトイレで座る

環境の変化に気を付ける

環境の変化に気を付ける

高齢になるほど、環境の変化には敏感。ストレスに感じてしまうと交感神経が優位になるため、腸の動きを妨げる可能性があります。デイサービスやショートステイを始めた、あるいは子どもや孫と同居するようになったなど、環境が変わったときは周囲の人も注意するようにしましょう。

高齢になるほど、環境の変化には敏感。ストレスに感じてしまうと交感神経が優位になるため、腸の動きを妨げる可能性があります。デイサービスやショートステイを始めた、あるいは子どもや孫と同居するようになったなど、環境が変わったときは周囲の人も注意するようにしましょう。

環境の変化に気を付ける 環境の変化に気を付ける

時には薬に頼ることも必要

時には薬に頼ることも必要

上記のような対策を行っても便秘が解消されない場合は、薬の力を借りましょう。便に水分を与える非刺激性の酸化マグネシウムや、腸に直接刺激を与える刺激性など、便秘薬にはさまざまなタイプがあるので、症状に合ったものを選んでください。なお、酸化マグネシウムは腎臓疾患のある方が使いすぎると高マグネシウム血症のリスクが高まります。服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。

上記のような対策を行っても便秘が解消されない場合は、薬の力を借りましょう。便に水分を与える非刺激性の酸化マグネシウムや、腸に直接刺激を与える刺激性など、便秘薬にはさまざまなタイプがあるので、症状に合ったものを選んでください。なお、酸化マグネシウムは腎臓疾患のある方が使いすぎると高マグネシウム血症のリスクが高まります。服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。

時には薬に頼ることも必要 時には薬に頼ることも必要