上田有希子先生
上田有希子先生
乾燥肌ではかゆみが生じることがあり、ときにはかゆみが我慢できずについつい肌を引っ掻いて湿疹ができてしまうこともあるでしょう。乾燥肌を防ぐとともに保湿剤を使用して、予防と対策をしっかり行いましょう。
乾燥肌ではかゆみが生じることがあり、ときにはかゆみが我慢できずについつい肌を引っ掻いて湿疹ができてしまうこともあるでしょう。乾燥肌を防ぐとともに保湿剤を使用して、予防と対策をしっかり行いましょう。
そもそもかゆみという症状は、皮膚に異物が付着したことを知らせる「防御反応」のひとつです。皮膚は異物が付着すると、それを刺激として感知し、細胞内から「かゆみ物質」を放出させます。この「かゆみ物質」が知覚神経の末端に伝わり、脳がかゆみとして認識することで、かゆいと感じるようになります。
では、なぜ乾燥肌がかゆみを引き起こすのでしょうか。その理由としては、乾燥肌は肌のバリア機能が低下している状態であるということが考えられます。
肌には、肌内部からの水分の蒸発を防ぎ、細菌や花粉、紫外線といった外部の刺激や異物から身体を守るバリア機能が備わっています。このバリア機能が何らかの理由によって正常に働かなくなると、本来皮膚の奥に存在しているかゆみの知覚神経が皮膚の表面近くまで伸びてくるため、外部からの刺激に敏感になり、わずかな刺激でもかゆみを強く感じやすくなります。
また、肌は、角質細胞の中にある「天然保湿因子」、角質層の細胞と細胞の間にある「細胞間脂質」、皮脂と汗腺からできている「皮脂膜」などがバランスを取り合いながら水分の蒸発を防いでいます。これらの働きが弱まることで乾燥肌となってバリア機能の低下を招き、かゆみが生じやすくなります。
そもそもかゆみという症状は、皮膚に異物が付着したことを知らせる「防御反応」のひとつです。皮膚は異物が付着すると、それを刺激として感知し、細胞内から「かゆみ物質」を放出させます。この「かゆみ物質」が知覚神経の末端に伝わり、脳がかゆみとして認識することで、かゆいと感じるようになります。
では、なぜ乾燥肌がかゆみを引き起こすのでしょうか。その理由としては、乾燥肌は肌のバリア機能が低下している状態であるということが考えられます。
肌には、肌内部からの水分の蒸発を防ぎ、細菌や花粉、紫外線といった外部の刺激や異物から身体を守るバリア機能が備わっています。このバリア機能が何らかの理由によって正常に働かなくなると、本来皮膚の奥に存在しているかゆみの知覚神経が皮膚の表面近くまで伸びてくるため、外部からの刺激に敏感になり、わずかな刺激でもかゆみを強く感じやすくなります。
また、肌は、角質細胞の中にある「天然保湿因子」、角質層の細胞と細胞の間にある「細胞間脂質」、皮脂と汗腺からできている「皮脂膜」などがバランスを取り合いながら水分の蒸発を防いでいます。これらの働きが弱まることで乾燥肌となってバリア機能の低下を招き、かゆみが生じやすくなります。
バリア機能が低下した乾燥肌は、外部からの刺激に敏感で水分も蒸発しやすく、かゆみを生じやすくなる。
バリア機能が低下した乾燥肌は、外部からの刺激に敏感で水分も蒸発しやすく、かゆみを生じやすくなる。
乾燥肌によるかゆみは、主に角質層のバリア機能の低下によって起こりますが、その要因は、外からの刺激と身体内での変化が考えられます。
乾燥肌によるかゆみは、主に角質層のバリア機能の低下によって起こりますが、その要因は、外からの刺激と身体内での変化が考えられます。
〈顔や身体の間違った洗浄方法〉
〈顔や身体の間違った洗浄方法〉
乾燥肌は、洗顔や身体の洗浄方法によっても起こります。洗浄力が高すぎるクレンジングや洗顔料、ボディソープは、肌の保湿に必要な皮脂まで落としがち。肌をこするように洗ったり、タオルでゴシゴシと皮膚をこすったりすると、肌の角質層が傷つき、皮膚の水分保持力が弱くなって乾燥肌に。
乾燥肌は、洗顔や身体の洗浄方法によっても起こります。洗浄力が高すぎるクレンジングや洗顔料、ボディソープは、肌の保湿に必要な皮脂まで落としがち。肌をこするように洗ったり、タオルでゴシゴシと皮膚をこすったりすると、肌の角質層が傷つき、皮膚の水分保持力が弱くなって乾燥肌に。
〈室内外の湿度不足〉
〈室内外の湿度不足〉
冬季の空気の乾燥や冷暖房による室内の乾燥も乾燥肌の要因の一つ。湿度が60%を下回ると肌の水分が外気に奪われて乾燥肌となり、バリア機能の低下につながります。
冬季の空気の乾燥や冷暖房による室内の乾燥も乾燥肌の要因の一つ。湿度が60%を下回ると肌の水分が外気に奪われて乾燥肌となり、バリア機能の低下につながります。
〈紫外線によるダメージ〉
〈紫外線によるダメージ〉
紫外線も、乾燥肌の原因となります。紫外線を過度に浴びると、肌が水分を保持できなくなって皮膚のバリア機能の低下を招き、乾燥肌を促します。
紫外線も、乾燥肌の原因となります。紫外線を過度に浴びると、肌が水分を保持できなくなって皮膚のバリア機能の低下を招き、乾燥肌を促します。
〈肌と体内の水分不足〉
〈肌と体内の水分不足〉
大量の汗をかくと汗と一緒に肌の潤い成分も失われ、汗を放置すると汗が蒸発するときに肌の水分も奪われることで乾燥肌に。体内の水分不足は新陳代謝を弱め、肌の細胞が生まれ変わるターンオーバーが滞ってバリア機能の低下につながります。
大量の汗をかくと汗と一緒に肌の潤い成分も失われ、汗を放置すると汗が蒸発するときに肌の水分も奪われることで乾燥肌に。体内の水分不足は新陳代謝を弱め、肌の細胞が生まれ変わるターンオーバーが滞ってバリア機能の低下につながります。
〈必要な栄養素の不足〉
〈必要な栄養素の不足〉
肌の主成分となるタンパク質、肌を健やかに保つビタミンA、肌の新陳代謝を促すビタミンB2・B6、肌のバリア機能を正常に保つ必須脂肪酸などの栄養素不足も乾燥肌を招き、バリア機能が崩れやすくなります。
肌の主成分となるタンパク質、肌を健やかに保つビタミンA、肌の新陳代謝を促すビタミンB2・B6、肌のバリア機能を正常に保つ必須脂肪酸などの栄養素不足も乾燥肌を招き、バリア機能が崩れやすくなります。
〈ストレスや睡眠不足〉
〈ストレスや睡眠不足〉
ストレスや睡眠不足などによる自律神経の乱れは、肌の細胞が正常なサイクルで代謝しなくなり、乾燥肌やバリア機能の低下を招きます。
ストレスや睡眠不足などによる自律神経の乱れは、肌の細胞が正常なサイクルで代謝しなくなり、乾燥肌やバリア機能の低下を招きます。
〈加齢〉
〈加齢〉
加齢も乾燥肌の原因となります。男女とも加齢年齢を重ねることにより脂質や皮脂量などバリア機能に必要な成分の分泌が減るとともに、肌のターンオーバーも乱れがちになり、バリア機能が衰えます。
加齢も乾燥肌の原因となります。男女とも加齢年齢を重ねることにより脂質や皮脂量などバリア機能に必要な成分の分泌が減るとともに、肌のターンオーバーも乱れがちになり、バリア機能が衰えます。
乾燥肌などによってかゆみを感じると、つい肌を掻いてしまいがちです。掻くことで一時的にはかゆみは治まりますが、繰り返し掻いていると皮膚が傷ついてバリア機能が低下し、外部からのわずかな刺激にも敏感になって、ますますかゆみが強くなるという悪循環に陥ってしまいます。また、皮膚が傷つくと、細菌などが入りやすくなり、感染症などを引き起こしかねません。では、乾燥肌によるかゆみを止めるにはどう対処したらいいのでしょうか。
乾燥肌などによってかゆみを感じると、つい肌を掻いてしまいがちです。掻くことで一時的にはかゆみは治まりますが、繰り返し掻いていると皮膚が傷ついてバリア機能が低下し、外部からのわずかな刺激にも敏感になって、ますますかゆみが強くなるという悪循環に陥ってしまいます。また、皮膚が傷つくと、細菌などが入りやすくなり、感染症などを引き起こしかねません。では、乾燥肌によるかゆみを止めるにはどう対処したらいいのでしょうか。
乾燥肌によるかゆみの場合は、まずはできるだけ掻かないことが大切です。どうしても我慢できないときは、保冷剤や冷たいシャワーを当てるなど、かゆみのある部分を冷やすのもいいでしょう。冷やすことで知覚神経の興奮が抑えられ、かゆみも治まります。
乾燥肌によるかゆみの場合は、まずはできるだけ掻かないことが大切です。どうしても我慢できないときは、保冷剤や冷たいシャワーを当てるなど、かゆみのある部分を冷やすのもいいでしょう。冷やすことで知覚神経の興奮が抑えられ、かゆみも治まります。
日常生活における対処法としては、乾燥肌ケアの基本である保湿対策をしっかり行うことで、乾燥のしていないかゆみがでにくい肌を目指しましょう。化粧水や乳液、ボディクリームなどをすり込むように塗るのではなく、やさしく押さえてなじませます。
日常生活における対処法としては、乾燥肌ケアの基本である保湿対策をしっかり行うことで、乾燥のしていないかゆみがでにくい肌を目指しましょう。化粧水や乳液、ボディクリームなどをすり込むように塗るのではなく、やさしく押さえてなじませます。
入浴の際にはぬるめのお湯に浸かって長湯はしない、汗はかゆみを起こす物質が含まれているので早めに洗い流す、直接肌に触れる衣類には綿や絹など肌にやさしい素材を選ぶ、室内の乾燥防止に加湿器などを利用するといった方法で、乾燥肌を防ぐ工夫を続けるようにします。
入浴の際にはぬるめのお湯に浸かって長湯はしない、汗はかゆみを起こす物質が含まれているので早めに洗い流す、直接肌に触れる衣類には綿や絹など肌にやさしい素材を選ぶ、室内の乾燥防止に加湿器などを利用するといった方法で、乾燥肌を防ぐ工夫を続けるようにします。
乾燥肌がすぐに改善しない場合は、保湿剤を塗って肌の乾燥が進むのを防ぐことも大切です。保湿剤には皮膚表面に油分のベールを覆って水分の蒸発を防ぐものと、水分を保持して高い保湿作用をするもの(親水性成分)があります。乾燥肌の保湿剤を市販品から選ぶなら、治療薬成分としても使用されているヘパリン類似物質や尿素といった親水性成分が配合されたクリームやローション、乳液がおすすめ。かゆみの症状が強い場合や長く続く場合には、皮膚科を受診するようにしましょう。皮膚科では、症状に応じて、塗り薬やかゆみ止めの飲み薬を処方されることが多いです。
乾燥肌がすぐに改善しない場合は、保湿剤を塗って肌の乾燥が進むのを防ぐことも大切です。保湿剤には皮膚表面に油分のベールを覆って水分の蒸発を防ぐものと、水分を保持して高い保湿作用をするもの(親水性成分)があります。乾燥肌の保湿剤を市販品から選ぶなら、治療薬成分としても使用されているヘパリン類似物質や尿素といった親水性成分が配合されたクリームやローション、乳液がおすすめ。かゆみの症状が強い場合や長く続く場合には、皮膚科を受診するようにしましょう。皮膚科では、症状に応じて、塗り薬やかゆみ止めの飲み薬を処方されることが多いです。
「保湿」「血行促進」「抗炎症」という3つの働きがあり、高い保湿効果はもちろん、皮膚の新陳代謝を促して再生する効果を期待できます。ヘパリン類似物質含有の保湿剤は、クリーム、乳液、ローションなど、様々なタイプがありますので、好みに応じて選ぶことができます。
「保湿」「血行促進」「抗炎症」という3つの働きがあり、高い保湿効果はもちろん、皮膚の新陳代謝を促して再生する効果を期待できます。ヘパリン類似物質含有の保湿剤は、クリーム、乳液、ローションなど、様々なタイプがありますので、好みに応じて選ぶことができます。
尿素は、乾燥肌にありがちな古い角質層を柔らかくして取り除き、皮膚に浸透して角質層の水分を保つ働きがあります。
尿素は、乾燥肌にありがちな古い角質層を柔らかくして取り除き、皮膚に浸透して角質層の水分を保つ働きがあります。
幼少期から乾燥肌が長年続いている方や、保湿剤を使用していても乾燥が改善されなかったり、かゆみを伴っていたりする場合、下記のような病気である可能性もあります。乾燥肌を生じやすい代表的な病気をご紹介します。
幼少期から乾燥肌が長年続いている方や、保湿剤を使用していても乾燥が改善されなかったり、かゆみを伴っていたりする場合、下記のような病気である可能性もあります。乾燥肌を生じやすい代表的な病気をご紹介します。
皮膚の乾燥によりバリア機能が低下して痒い湿疹を起こす代表的な疾患です。入浴時の洗いすぎや加齢などが原因となりますが、冬季にはどんな肌タイプの方も起こしやすいです。特にすね周りや、腕の外側、わきばらなど体の側面に症状がでやすいです。保湿剤で乾燥肌を予防することがとても大事ですが、強い痒みがあるときに皮膚科で湿疹を治療する塗り薬を処方されることが多いです。我慢せず相談するとよいでしょう。
皮膚の乾燥によりバリア機能が低下して痒い湿疹を起こす代表的な疾患です。入浴時の洗いすぎや加齢などが原因となりますが、冬季にはどんな肌タイプの方も起こしやすいです。特にすね周りや、腕の外側、わきばらなど体の側面に症状がでやすいです。保湿剤で乾燥肌を予防することがとても大事ですが、強い痒みがあるときに皮膚科で湿疹を治療する塗り薬を処方されることが多いです。我慢せず相談するとよいでしょう。
半年以上の長い期間、湿疹を繰り返している場合に疑われます。幼少期に診断される方が多いですが、最近では成人で発症する方が増えています。アトピー素因といって、喘息や食物アレルギー、アレルギー性鼻炎などの他のアレルギー疾患を生じやすく、両親や兄弟にもアレルギー疾患を持つご家族がいることが多いです。アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下が顕著ですので、皮膚が乾燥しやすく、モイスチャライザーだけでなくエモリエントタイプの保湿剤を併用したり、湿疹部位にはステロイド剤のような外用薬が治療にはすすめられます。塗り薬以外にも最近では様々な新薬が登場し、治療法が進化しています。
半年以上の長い期間、湿疹を繰り返している場合に疑われます。幼少期に診断される方が多いですが、最近では成人で発症する方が増えています。アトピー素因といって、喘息や食物アレルギー、アレルギー性鼻炎などの他のアレルギー疾患を生じやすく、両親や兄弟にもアレルギー疾患を持つご家族がいることが多いです。アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下が顕著ですので、皮膚が乾燥しやすく、モイスチャライザーだけでなくエモリエントタイプの保湿剤を併用したり、湿疹部位にはステロイド剤のような外用薬が治療にはすすめられます。塗り薬以外にも最近では様々な新薬が登場し、治療法が進化しています。
遺伝性の疾患で、乾燥肌になりやすい病気があります。色素性乾皮症は遺伝子の異常で、強い日焼けをしやすい病気です。日焼けを繰り返すうちに皮膚が乾燥し、そばかす様のシミがたくさん出てきます。もうひとつ、魚鱗癬という病気も、全身に強い乾燥がみられます。乾燥により、皮膚の表面はひび割れ、ウロコ状に皮むけがみられます。
遺伝性の疾患で、乾燥肌になりやすい病気があります。色素性乾皮症は遺伝子の異常で、強い日焼けをしやすい病気です。日焼けを繰り返すうちに皮膚が乾燥し、そばかす様のシミがたくさん出てきます。もうひとつ、魚鱗癬という病気も、全身に強い乾燥がみられます。乾燥により、皮膚の表面はひび割れ、ウロコ状に皮むけがみられます。
乾燥肌によるかゆみの原因は、肌のバリア機能の低下にあると考えられています。間違った洗顔や身体洗浄方法、空気の乾燥、紫外線といった外からの刺激に加え、体内の水分、必要な栄養素、睡眠などの不足によって起こる身体内の変化がバリア機能の低下を引き起こします。かゆみを生じたときは、症状を悪化させないためにも、できるだけ掻かずに冷やすことで対処することが大切です。それでも我慢できない場合は、保湿力の高い保湿剤を使用することで乾燥を防ぎ、バリア機能の修復を図りましょう。かゆみが強く、長く引くときは、皮膚科を受診して適切な治療受けるようにしましょう。
乾燥肌によるかゆみの原因は、肌のバリア機能の低下にあると考えられています。間違った洗顔や身体洗浄方法、空気の乾燥、紫外線といった外からの刺激に加え、体内の水分、必要な栄養素、睡眠などの不足によって起こる身体内の変化がバリア機能の低下を引き起こします。かゆみを生じたときは、症状を悪化させないためにも、できるだけ掻かずに冷やすことで対処することが大切です。それでも我慢できない場合は、保湿力の高い保湿剤を使用することで乾燥を防ぎ、バリア機能の修復を図りましょう。かゆみが強く、長く引くときは、皮膚科を受診して適切な治療受けるようにしましょう。