上田有希子先生
上田有希子先生
乾燥による肌荒れやかゆみで皮膚科を受診した際に、「ヘパリン類似物質」を処方された方も多いはず。ヘパリン類似物質は非常に高い保湿効果をもつ成分です。
今回は、このヘパリン類似物質の効果や効能、種類、使用方法などを詳しく紹介します。
乾燥による肌荒れやかゆみで皮膚科を受診した際に、「ヘパリン類似物質」を処方された方も多いはず。ヘパリン類似物質は非常に高い保湿効果をもつ成分です。
今回は、このヘパリン類似物質の効果や効能、種類、使用方法などを詳しく紹介します。
保湿効果の高いヘパリン類似物質ですが、ヘパリンとは一体何が違うのでしょうか。ヘパリンとヘパリン類似物質の違いを詳しく説明します。
保湿効果の高いヘパリン類似物質ですが、ヘパリンとは一体何が違うのでしょうか。ヘパリンとヘパリン類似物質の違いを詳しく説明します。
ヘパリンには抗凝固といって、血液を固まりにくくする作用があります。人の肝臓でも生成されます(ヘパリンの「ヘパ」は肝臓、という意味です)。医療現場では、血栓塞栓症の防止や治療、カテーテル挿入時の血液凝固防止などにも用いられています。
ヘパリンには抗凝固といって、血液を固まりにくくする作用があります。人の肝臓でも生成されます(ヘパリンの「ヘパ」は肝臓、という意味です)。医療現場では、血栓塞栓症の防止や治療、カテーテル挿入時の血液凝固防止などにも用いられています。
ヘパリン類似物質は、前述のヘパリンに似た構造を持っています。ヘパリン類似物質は「親水性」があり、水分子を引き寄せて保持する「保水性」があるため、皮膚の奥深くまで浸透させる高い「保湿効果」があります。そのため高い保湿力が期待できることから、医薬品として用いられ、乾燥による皮膚炎などに対して処方されます。病院で処方されるヘパリン類似物質には、軟膏やクリーム、乳液、泡状のタイプまで、さまざまなものがあります。保湿効果のほか、「血行促進」、「抗炎症」効果をあわせ持っています。気をつけなければならないことは、血液を固まりにくくする作用があるヘパリンと構造が似ているため、出血しやすい持病がある方が使用する際には注意が必要ですので、事前に医師に相談をしましょう。
ヘパリン類似物質は、前述のヘパリンに似た構造を持っています。ヘパリン類似物質は「親水性」があり、水分子を引き寄せて保持する「保水性」があるため、皮膚の奥深くまで浸透させる高い「保湿効果」があります。そのため高い保湿力が期待できることから、医薬品として用いられ、乾燥による皮膚炎などに対して処方されます。病院で処方されるヘパリン類似物質には、軟膏やクリーム、乳液、泡状のタイプまで、さまざまなものがあります。保湿効果のほか、「血行促進」、「抗炎症」効果をあわせ持っています。気をつけなければならないことは、血液を固まりにくくする作用があるヘパリンと構造が似ているため、出血しやすい持病がある方が使用する際には注意が必要ですので、事前に医師に相談をしましょう。
ヘパリン類似物質は、大人だけでなく0歳の赤ちゃんにも使用できます。では、ヘパリン類似物質の効果や効能は一体どのようなものになるのでしょうか。
ヘパリン類似物質は、大人だけでなく0歳の赤ちゃんにも使用できます。では、ヘパリン類似物質の効果や効能は一体どのようなものになるのでしょうか。
「親水性」と「保水性」を持ち、角質層の隅々までうるおいを届け、水分を保持するため、高い保湿効果が期待できます。保湿効果があるヒアルロン酸やコラーゲンなどの成分が、肌表面にとどまることと比較すると、ヘパリン類似物質が非常に高い保湿効果をもつことが分かります。
「親水性」と「保水性」を持ち、角質層の隅々までうるおいを届け、水分を保持するため、高い保湿効果が期待できます。保湿効果があるヒアルロン酸やコラーゲンなどの成分が、肌表面にとどまることと比較すると、ヘパリン類似物質が非常に高い保湿効果をもつことが分かります。
血液の流れを促進する効果があります。また、皮膚の新陳代謝を促進するため、傷跡や火傷の跡を治しやすくする効果も期待できます。
血液の流れを促進する効果があります。また、皮膚の新陳代謝を促進するため、傷跡や火傷の跡を治しやすくする効果も期待できます。
皮膚の荒れを正常な状態に戻す鎮静効果があり、乾燥による炎症、ひび割れなどの肌荒れの治療としても使われます。
皮膚の荒れを正常な状態に戻す鎮静効果があり、乾燥による炎症、ひび割れなどの肌荒れの治療としても使われます。
皮膚の奥深くに働きかけ、持続的な保湿効果が期待できるヘパリン類似物質ですが、乾燥対策に用いられるその他の保湿剤とは、どのような違いがあるのでしょうか。
保湿剤は大きく2種類に分かれ、「エモリエント」と「モイスチャライザー」といいます。
エモリエントは、ワセリンに代表され、皮膚表面に油分のベールを覆って水分の蒸発を防ぐものをいい、成分そのもの自体には強い保湿効果はありません。
一方、モイスチャライザーは、水分を保持する作用をもつ“ヒューメクタント”を含み、高い保湿作用があります。ヒューメクタントの代表が、ヘパリン類似物質、尿素、セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸です。(セラミドはエモリエントに含まれることもあります)
皮膚の奥深くに働きかけ、持続的な保湿効果が期待できるヘパリン類似物質ですが、乾燥対策に用いられるその他の保湿剤とは、どのような違いがあるのでしょうか。
保湿剤は大きく2種類に分かれ、「エモリエント」と「モイスチャライザー」といいます。
エモリエントは、ワセリンに代表され、皮膚表面に油分のベールを覆って水分の蒸発を防ぐものをいい、成分そのもの自体には強い保湿効果はありません。
一方、モイスチャライザーは、水分を保持する作用をもつ“ヒューメクタント”を含み、高い保湿作用があります。ヒューメクタントの代表が、ヘパリン類似物質、尿素、セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸です。(セラミドはエモリエントに含まれることもあります)
ワセリンは石油由来の保湿成分です。しっかりしたテクスチャーで、皮膚の表面に膜を張り、角質層の水分が蒸発するのを防ぐとともに、外部刺激から皮膚を保護することができます。肌の奥にまでは浸透せず、充分な保湿効果を期待できません。ワセリンの純度を高めたものはプロペトと呼ばれていますが、こちらも効果効能は同様です。乾燥がひどく、肌荒れを改善したい場合は、モイスチャライザーの保湿剤との併用すると良いでしょう。
ワセリンは石油由来の保湿成分です。しっかりしたテクスチャーで、皮膚の表面に膜を張り、角質層の水分が蒸発するのを防ぐとともに、外部刺激から皮膚を保護することができます。肌の奥にまでは浸透せず、充分な保湿効果を期待できません。ワセリンの純度を高めたものはプロペトと呼ばれていますが、こちらも効果効能は同様です。乾燥がひどく、肌荒れを改善したい場合は、モイスチャライザーの保湿剤との併用すると良いでしょう。
セラミドは、体内にある角質細胞間脂質のひとつであり、角質細胞同士の隙間をうめる脂質をもっています。保水力があり、水分が蒸発しないようバリア機能の役割をもちます。セラミドは、この角質細胞間脂質の約50%を占め、皮膚の保湿維持に大事な成分ですが、加齢により減少します。このセラミドが不足して乾燥の原因となります。
セラミドは、体内にある角質細胞間脂質のひとつであり、角質細胞同士の隙間をうめる脂質をもっています。保水力があり、水分が蒸発しないようバリア機能の役割をもちます。セラミドは、この角質細胞間脂質の約50%を占め、皮膚の保湿維持に大事な成分ですが、加齢により減少します。このセラミドが不足して乾燥の原因となります。
コラーゲンは、皮膚の中層である真皮をつくる成分で、皮膚の弾力を保つ働きをしています。コラーゲンも加齢とともに減少します。コラーゲンは分子量が大きいため、皮膚に直接塗っても浸透しませんが、保湿能力に優れているため化粧品に配合されていることがあります。なお、飲むタイプのコラーゲンも市販されていますが、消化吸収の過程でアミノ酸に分解されてしまうため、コラーゲンの形で皮膚に補給される効果はありません。
コラーゲンは、皮膚の中層である真皮をつくる成分で、皮膚の弾力を保つ働きをしています。コラーゲンも加齢とともに減少します。コラーゲンは分子量が大きいため、皮膚に直接塗っても浸透しませんが、保湿能力に優れているため化粧品に配合されていることがあります。なお、飲むタイプのコラーゲンも市販されていますが、消化吸収の過程でアミノ酸に分解されてしまうため、コラーゲンの形で皮膚に補給される効果はありません。
ヒアルロン酸もコラーゲンと同様に真皮をつくる成分の一つで、ムコ多糖類の一種です。ヒアルロン酸は、自身の重量の約6000倍の水を吸着できる強い保水力があるため、様々な基礎化粧品に配合されており、肌表面への保湿効果が期待できます。比較的リーズナブルなので、取り入れやすいでしょう。
ヒアルロン酸もコラーゲンと同様に真皮をつくる成分の一つで、ムコ多糖類の一種です。ヒアルロン酸は、自身の重量の約6000倍の水を吸着できる強い保水力があるため、様々な基礎化粧品に配合されており、肌表面への保湿効果が期待できます。比較的リーズナブルなので、取り入れやすいでしょう。
ヘパリン類似物質には使用感の異なるさまざまな剤形があります。
ヘパリン類似物質には使用感の異なるさまざまな剤形があります。
クリームには、ベースが水の水中油型と、ベースが油の油中水型の2種類に分けられます。ベースが水の方が塗りやすいため市販されいてる保湿剤の多くが水中油型ですが、ベースが油の油中水型のクリームのほうが、皮膚への浸透がよく、高い保湿効果があります。「ソフト軟膏」は、油中水型クリームに該当し、しっかりした保湿力があり、皮膚への刺激が少ないため、かゆみなどの症状が強くでている肌の状態でも使用しやすいです。
クリームには、ベースが水の水中油型と、ベースが油の油中水型の2種類に分けられます。ベースが水の方が塗りやすいため市販されいてる保湿剤の多くが水中油型ですが、ベースが油の油中水型のクリームのほうが、皮膚への浸透がよく、高い保湿効果があります。「ソフト軟膏」は、油中水型クリームに該当し、しっかりした保湿力があり、皮膚への刺激が少ないため、かゆみなどの症状が強くでている肌の状態でも使用しやすいです。
乳液のような白い液体の乳剤性ローションと、水のようなクリアな液体の溶液性ローションがあります。保湿力はクリームには劣りますが、どちらも肌なじみが良く、よく伸びるので広範囲にも塗りやすく、頭部など毛が生えている部位にも使用可能です。
乳液のような白い液体の乳剤性ローションと、水のようなクリアな液体の溶液性ローションがあります。保湿力はクリームには劣りますが、どちらも肌なじみが良く、よく伸びるので広範囲にも塗りやすく、頭部など毛が生えている部位にも使用可能です。
泡で出てくるタイプで、皮膚に伸ばしていくと徐々に液状になっていきます。伸びがよく、油分をほとんど含まないためさっぱりとした使い心地が特徴です。
泡で出てくるタイプで、皮膚に伸ばしていくと徐々に液状になっていきます。伸びがよく、油分をほとんど含まないためさっぱりとした使い心地が特徴です。
ヘパリン類似物質は、クリームやローションなどの剤形が違っていても有効成分の量に差はありません。油分が多い方が、皮膚を保護する力があり低刺激なため、皮膚の状態を問わず使えます。使う部位、肌の状態、使用感の好み、季節等に応じて、ご自身で使いやすいものを選ぶのがいいでしょう。使い分けの例を紹介します。
ヘパリン類似物質は、クリームやローションなどの剤形が違っていても有効成分の量に差はありません。油分が多い方が、皮膚を保護する力があり低刺激なため、皮膚の状態を問わず使えます。使う部位、肌の状態、使用感の好み、季節等に応じて、ご自身で使いやすいものを選ぶのがいいでしょう。使い分けの例を紹介します。
湿気の高い季節は、油分が少ないローションや、すっと液状化してさっぱりとした使い心地のフォームがいいでしょう。また、真冬や乾燥しやすい季節の場合は、クリームがおすすめです。
湿気の高い季節は、油分が少ないローションや、すっと液状化してさっぱりとした使い心地のフォームがいいでしょう。また、真冬や乾燥しやすい季節の場合は、クリームがおすすめです。
塗布部位が顔で、特に乾燥が気になる場合は、基礎化粧品と同じような使い勝手のクリームやローションを。塗布後にさっぱりとしたい場合は、フォームを使うのもいいでしょう。手やひざなど乾燥しがちな部位は、しっかり保湿をするクリームが適しています。頭皮など毛が生えている部位には、べたつかずに保湿のできる油分が少ないローションが良いでしょう。
塗布部位が顔で、特に乾燥が気になる場合は、基礎化粧品と同じような使い勝手のクリームやローションを。塗布後にさっぱりとしたい場合は、フォームを使うのもいいでしょう。手やひざなど乾燥しがちな部位は、しっかり保湿をするクリームが適しています。頭皮など毛が生えている部位には、べたつかずに保湿のできる油分が少ないローションが良いでしょう。
一般的な保湿成分は角質層にとどまり、深部までは行き届かないことに対して、ヘパリン類似物質は角質層だけでなく皮膚の奥深くの真皮にまで保水して、さらに水分を持続する高い保湿効果が期待できます。さらに、クリームやローションなど様々なタイプがあるため、使いやすさや好みに合わせてチョイスできます。乾燥肌の方はもちろん、大人から赤ちゃんまで使用できるのも嬉しいポイントです 。ヘパリン類似物質は、どなたでも生活に取り入れやすい保湿剤といえるでしょう。
一般的な保湿成分は角質層にとどまり、深部までは行き届かないことに対して、ヘパリン類似物質は角質層だけでなく皮膚の奥深くの真皮にまで保水して、さらに水分を持続する高い保湿効果が期待できます。さらに、クリームやローションなど様々なタイプがあるため、使いやすさや好みに合わせてチョイスできます。乾燥肌の方はもちろん、大人から赤ちゃんまで使用できるのも嬉しいポイントです 。ヘパリン類似物質は、どなたでも生活に取り入れやすい保湿剤といえるでしょう。