上田有希子先生
上田有希子先生
肌質に合わないスキンケアを続けると、肌を傷めたり、皮膚疾患を起こしたりする可能性もあります。特に悩む人が多いのが乾燥肌による肌トラブルです。潤いのある健やかな肌を取り戻すために、まずは皮膚の働きを理解し、自分の肌質を正しく知ることから始めましょう。
肌質に合わないスキンケアを続けると、肌を傷めたり、皮膚疾患を起こしたりする可能性もあります。特に悩む人が多いのが乾燥肌による肌トラブルです。潤いのある健やかな肌を取り戻すために、まずは皮膚の働きを理解し、自分の肌質を正しく知ることから始めましょう。
●乾燥肌が原因のトラブル①カサつきからシワが発生
●乾燥肌が原因のトラブル②湿疹・アトピー性皮膚炎に
●乾燥肌が原因のトラブル③かゆみの知覚神経を刺激
●乾燥肌の原因①間違った洗顔方法
●乾燥肌の原因②紫外線・日焼け
●乾燥肌の原因③湿度の低下
●乾燥肌の原因④ビタミンなどの栄養不足
●乾燥肌の原因⑤睡眠不足・ストレス
●乾燥肌の原因⑥加齢
人の身体を覆う皮膚は、成人の平均で約1.6㎡の面積があり、およそ畳1枚分にも相当します。重量においても体重の約16%を占めるため、人体で最大の臓器ともいわれています。では、皮膚はどんな働きをしているのでしょうか。まずは皮膚の構造から見ていきましょう。
人の身体を覆う皮膚は、成人の平均で約1.6㎡の面積があり、およそ畳1枚分にも相当します。重量においても体重の約16%を占めるため、人体で最大の臓器ともいわれています。では、皮膚はどんな働きをしているのでしょうか。まずは皮膚の構造から見ていきましょう。
皮膚は大きく分けて3層の構造になっており、一番表面にあるのが「表皮」、その下が「真皮」、最下層が「皮下組織」です。表皮はさらに「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に分かれており、一番深いところにある基底層で日々新しい細胞がつくられています。基底層で生まれた細胞は分化を繰り返しながら徐々に表面に押し上げられ、やがて角質層になり、最後はアカになってはがれ落ちます。この新陳代謝のサイクルを「ターンオーバー」と呼び、年齢や身体の部位によって異なるものの、1カ月前後の周期で繰り返されています。
皮膚の働きには、皮脂や汗、天然保湿因子などが互いに協調して効果を発揮する「保湿機能」、体を守る「バリア機能」、「体温調節作用」、皮下脂肪を蓄える「貯蓄作用」、老廃物を汗として排泄する「排泄作用」、触感、音感、冷感などを察知する「知覚作用」があります。なかでも重要なのが「保湿機能」と「バリア機能」で、これを担っているのが表皮の角質層です。角質細胞が積み重なり、肌の内部からの水分の蒸発を防ぐとともに、水分保持の役割をもつ天然保湿因子の存在により、皮膚の乾燥を防いで保湿効果を保ちます。また、層状に積み重なる角質細胞によるバリアは、細菌や花粉、紫外線といった外部刺激や異物から体を守ってくれます。つまり、この保湿機能とバリア機能が整っていることで健康的な肌質が保たれるというわけです。
皮膚は大きく分けて3層の構造になっており、一番表面にあるのが「表皮」、その下が「真皮」、最下層が「皮下組織」です。表皮はさらに「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に分かれており、一番深いところにある基底層で日々新しい細胞がつくられています。基底層で生まれた細胞は分化を繰り返しながら徐々に表面に押し上げられ、やがて角質層になり、最後はアカになってはがれ落ちます。この新陳代謝のサイクルを「ターンオーバー」と呼び、年齢や身体の部位によって異なるものの、1カ月前後の周期で繰り返されています。
皮膚の働きには、皮脂や汗、天然保湿因子などが互いに協調して効果を発揮する「保湿機能」、体を守る「バリア機能」、「体温調節作用」、皮下脂肪を蓄える「貯蓄作用」、老廃物を汗として排泄する「排泄作用」、触感、音感、冷感などを察知する「知覚作用」があります。なかでも重要なのが「保湿機能」と「バリア機能」で、これを担っているのが表皮の角質層です。角質細胞が積み重なり、肌の内部からの水分の蒸発を防ぐとともに、水分保持の役割をもつ天然保湿因子の存在により、皮膚の乾燥を防いで保湿効果を保ちます。また、層状に積み重なる角質細胞によるバリアは、細菌や花粉、紫外線といった外部刺激や異物から体を守ってくれます。つまり、この保湿機能とバリア機能が整っていることで健康的な肌質が保たれるというわけです。
皮膚の一番外側にある表皮は「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に分かれている。
皮膚の一番外側にある表皮は「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に分かれている。
肌質は肌の保湿能力と皮脂量のバランスから、大きく分けて「普通肌」「乾燥肌」「脂性肌」「混合肌」の4タイプに分類されます。それぞれの特徴と見分け方を知って、現在の自分の肌の状態を把握しましょう。季節やストレス、環境などによって肌タイプは変動するため、肌タイプを決めてかからず、その都度状態を確認することも大切です。
肌質は肌の保湿能力と皮脂量のバランスから、大きく分けて「普通肌」「乾燥肌」「脂性肌」「混合肌」の4タイプに分類されます。それぞれの特徴と見分け方を知って、現在の自分の肌の状態を把握しましょう。季節やストレス、環境などによって肌タイプは変動するため、肌タイプを決めてかからず、その都度状態を確認することも大切です。
普通肌は皮脂量、水分量がともに適量で、保湿能力がしっかり保たれている肌。皮溝ひこう、皮丘ひきゅう(指紋をはじめとする皮膚表面の隆起線)が整っていて、キメは明瞭で、適度なツヤやハリがあります。角質層の剥がれも毛穴も目立ちません。また、皮膚トラブルが少ないのも特徴です。
普通肌は皮脂量、水分量がともに適量で、保湿能力がしっかり保たれている肌。皮溝ひこう、皮丘ひきゅう(指紋をはじめとする皮膚表面の隆起線)が整っていて、キメは明瞭で、適度なツヤやハリがあります。角質層の剥がれも毛穴も目立ちません。また、皮膚トラブルが少ないのも特徴です。
乾燥肌は皮脂量が不足していて、角質層の水分保持能力が低く、水分量も不足している肌です。キメは細かいですが、皮溝ひこうは浅く、乱れていて明瞭ではありません。毛穴は小さく目立ちませんが、皮膚表面が乾いておりカサカサして粉を吹いたように見えることもあります。
乾燥肌は皮脂量が不足していて、角質層の水分保持能力が低く、水分量も不足している肌です。キメは細かいですが、皮溝ひこうは浅く、乱れていて明瞭ではありません。毛穴は小さく目立ちませんが、皮膚表面が乾いておりカサカサして粉を吹いたように見えることもあります。
脂性肌は皮脂量が過剰で、角質層の水分量も多く、肌がべたつき、ニキビができやすい肌。潤い、弾力はありますが、キメが粗く、毛穴が目立ちます。過剰な皮脂がたまって角栓ができやすく、皮膚表面がザラザラ・ブツブツになりやすいです。
脂性肌は皮脂量が過剰で、角質層の水分量も多く、肌がべたつき、ニキビができやすい肌。潤い、弾力はありますが、キメが粗く、毛穴が目立ちます。過剰な皮脂がたまって角栓ができやすく、皮膚表面がザラザラ・ブツブツになりやすいです。
混合肌は、皮脂量は多いが、保湿能力の低い肌。皮脂が固まりやすく、角栓が形成されて肌がザラザラしている。皮脂量が多いにもかかわらず、皮膚表面で広がらないために肌が乾燥しています。皮溝ひこうは浅く、キメは粗く乱れています。
混合肌は、皮脂量は多いが、保湿能力の低い肌。皮脂が固まりやすく、角栓が形成されて肌がザラザラしている。皮脂量が多いにもかかわらず、皮膚表面で広がらないために肌が乾燥しています。皮溝ひこうは浅く、キメは粗く乱れています。
自分の肌質はどのタイプなのかを知りたいときは、洗顔後に何もつけずに20分放置し、肌の状態の変化をチェックしてください。顔全体につっぱり感が残り、特に皮膚の薄い部分が気になるなら「乾燥肌」、顔全体につっぱり感があるものの、皮脂腺の多い額や鼻筋といったTゾーンにてかりが気になる場合は「混合肌」、Tゾーンが皮脂でてかっていたり、触るとべたつきを感じたりする場合は「脂性肌」の可能性があります。
自分の肌質はどのタイプなのかを知りたいときは、洗顔後に何もつけずに20分放置し、肌の状態の変化をチェックしてください。顔全体につっぱり感が残り、特に皮膚の薄い部分が気になるなら「乾燥肌」、顔全体につっぱり感があるものの、皮脂腺の多い額や鼻筋といったTゾーンにてかりが気になる場合は「混合肌」、Tゾーンが皮脂でてかっていたり、触るとべたつきを感じたりする場合は「脂性肌」の可能性があります。
水分が蒸発し、皮膚が乾燥した状態になると、肌トラブルが起きやすくなりますから、注意が必要です。乾燥肌をケアせずに放置していると、どんなトラブルにつながる可能性があるのでしょうか。
水分が蒸発し、皮膚が乾燥した状態になると、肌トラブルが起きやすくなりますから、注意が必要です。乾燥肌をケアせずに放置していると、どんなトラブルにつながる可能性があるのでしょうか。
乾燥肌をケアせずにいると肌表面が乾いてカサカサした手触りになり、乾燥が進行すると白く粉を吹いたように肌が荒れます。また、ちりめん状や線状のシワが現れ、そのまま放っておくと、シワの数が増えて大きなシワの原因になります。
乾燥肌をケアせずにいると肌表面が乾いてカサカサした手触りになり、乾燥が進行すると白く粉を吹いたように肌が荒れます。また、ちりめん状や線状のシワが現れ、そのまま放っておくと、シワの数が増えて大きなシワの原因になります。
乾燥肌になると角質層がはがれて隙間が生じ、外部から異物が肌の奥まで侵入して刺激を与えるようになります。たとえば本来なら角質層のバリア機能で入ってこないはずのアレルギー原因物質や細菌・ウイルスが侵入しやすくなり、湿疹やアトピー性皮膚炎の発症・悪化につながりかねません。また、トビヒや水イボなどの皮膚の感染症も起こりやすくなります。
乾燥肌になると角質層がはがれて隙間が生じ、外部から異物が肌の奥まで侵入して刺激を与えるようになります。たとえば本来なら角質層のバリア機能で入ってこないはずのアレルギー原因物質や細菌・ウイルスが侵入しやすくなり、湿疹やアトピー性皮膚炎の発症・悪化につながりかねません。また、トビヒや水イボなどの皮膚の感染症も起こりやすくなります。
乾燥した状態を放置していると、本来皮膚の奥に存在しているかゆみの知覚神経が皮膚の表面近くまで伸びてくるため、外部からの刺激に敏感になり、衣服のこすれや洗剤などのわずかな刺激でもかゆみを強く感じやすくなります。かゆくて皮膚をかくと、物理的刺激でさらに皮膚バリア機能が低下します。
乾燥した状態を放置していると、本来皮膚の奥に存在しているかゆみの知覚神経が皮膚の表面近くまで伸びてくるため、外部からの刺激に敏感になり、衣服のこすれや洗剤などのわずかな刺激でもかゆみを強く感じやすくなります。かゆくて皮膚をかくと、物理的刺激でさらに皮膚バリア機能が低下します。
角質層のバリア機能がしっかりと働き、肌内部に水分量が十分蓄えられていなければ、肌をみずみずしい状態に保つことはできません。何らかの要因でこのバリア機能が低下すると、水分が保持できなくなり、肌が乾燥してしまいます。乾燥肌を招く原因としては、次のようなものが考えられます。
角質層のバリア機能がしっかりと働き、肌内部に水分量が十分蓄えられていなければ、肌をみずみずしい状態に保つことはできません。何らかの要因でこのバリア機能が低下すると、水分が保持できなくなり、肌が乾燥してしまいます。乾燥肌を招く原因としては、次のようなものが考えられます。
洗浄力が高すぎるクレンジングや洗顔料は乾燥肌の原因に。汚れだけでなく肌の保湿維持に必要な皮脂まで落としてしまうことがあります。
また、肌をこするように洗ったり、洗顔後にタオルでゴシゴシ拭き取ったりすると、肌に摩擦が生じ、角質層が傷ついて、バリア機能が低下することが原因で、乾燥肌になることがあります。
洗浄力が高すぎるクレンジングや洗顔料は乾燥肌の原因に。汚れだけでなく肌の保湿維持に必要な皮脂まで落としてしまうことがあります。
また、肌をこするように洗ったり、洗顔後にタオルでゴシゴシ拭き取ったりすると、肌に摩擦が生じ、角質層が傷ついて、バリア機能が低下することが原因で、乾燥肌になることがあります。
強い日差しを浴び、日焼けをすると乾燥を招きます。原因は紫外線のもつ皮膚のバリア機能への影響で、水分が蒸発しやすくなります。日焼けは乾燥を招き、シミ・たるみなど数々の皮膚老化を招きますので、紫外線対策はとても大切です。
強い日差しを浴び、日焼けをすると乾燥を招きます。原因は紫外線のもつ皮膚のバリア機能への影響で、水分が蒸発しやすくなります。日焼けは乾燥を招き、シミ・たるみなど数々の皮膚老化を招きますので、紫外線対策はとても大切です。
低い湿度は乾燥肌の原因となります。冬は空気が乾燥して湿度が下がりますし、夏場の冷房や冬場の暖房も室内の湿度を大きく低下させます。湿度が60%を下回ると、肌の水分が外気に奪われて乾燥肌に陥ります。
低い湿度は乾燥肌の原因となります。冬は空気が乾燥して湿度が下がりますし、夏場の冷房や冬場の暖房も室内の湿度を大きく低下させます。湿度が60%を下回ると、肌の水分が外気に奪われて乾燥肌に陥ります。
肌を健やかに保つビタミンA、肌の新陳代謝を促すビタミンB2・B6、肌のバリア機能を正常に保つ必須脂肪酸などの栄養素の不足は、乾燥肌の原因となります。肌の潤いを保つには、肌の主成分となるタンパク質はもちろんのこと、肌に関わるビタミンA・B2・B6必須脂肪酸などの栄養素が不可欠です。偏った食生活、間違ったダイエットなどによってこうした栄養素が不足してしまうと、乾燥肌を招くおそれがあります。
肌を健やかに保つビタミンA、肌の新陳代謝を促すビタミンB2・B6、肌のバリア機能を正常に保つ必須脂肪酸などの栄養素の不足は、乾燥肌の原因となります。肌の潤いを保つには、肌の主成分となるタンパク質はもちろんのこと、肌に関わるビタミンA・B2・B6必須脂肪酸などの栄養素が不可欠です。偏った食生活、間違ったダイエットなどによってこうした栄養素が不足してしまうと、乾燥肌を招くおそれがあります。
睡眠不足やストレスも乾燥肌の原因となります。肌のターンオーバーの乱れは、毎日の生活習慣やライフスタイルとも関係します。睡眠不足やストレスなどで自律神経が乱れると、肌の細胞が正常なサイクルで代謝しなくなり、肌を守るバリア機能が低下して、肌が乾燥しやすくなります。
睡眠不足やストレスも乾燥肌の原因となります。肌のターンオーバーの乱れは、毎日の生活習慣やライフスタイルとも関係します。睡眠不足やストレスなどで自律神経が乱れると、肌の細胞が正常なサイクルで代謝しなくなり、肌を守るバリア機能が低下して、肌が乾燥しやすくなります。
男女とも年齢を重ねることにより細胞間脂質や皮脂量などバリア機能に必要な成分の分泌が減っていきます。女性は20歳をピークに、男性は30歳代後半から徐々に減少するといわれています。さらに、肌のターンオーバーも年齢を重ねるとともに乱れがちになり、肌が乾燥しやすくなります。
男女とも年齢を重ねることにより細胞間脂質や皮脂量などバリア機能に必要な成分の分泌が減っていきます。女性は20歳をピークに、男性は30歳代後半から徐々に減少するといわれています。さらに、肌のターンオーバーも年齢を重ねるとともに乱れがちになり、肌が乾燥しやすくなります。
皮膚の働きの中でも、肌質と関係が深いのが「バリア機能」です。表皮の角質層がバリアとなって、肌内部からの水分の蒸発を防ぎ、外部刺激や異物の侵入も防いで体を守っています。また、肌質は人によって異なり、肌の保湿能力と皮脂量のバランスから、「普通肌」「乾燥肌」「脂性肌」「混合肌」の4タイプに分類されます。なかでも悩む人が多いのが乾燥肌で、乾燥が進行すると肌が荒れ、シワが現れ、バリア機能が低下して湿疹・皮膚炎も起こりやすくなります。乾燥肌になる要因としては間違った洗顔方法や、日焼け、湿度の低下、栄養不足、加齢などがあげられますが、睡眠不足やストレスも肌の細胞が周期的に生まれ変わるターンオーバーの乱れにつながるので気をつけましょう。
皮膚の働きの中でも、肌質と関係が深いのが「バリア機能」です。表皮の角質層がバリアとなって、肌内部からの水分の蒸発を防ぎ、外部刺激や異物の侵入も防いで体を守っています。また、肌質は人によって異なり、肌の保湿能力と皮脂量のバランスから、「普通肌」「乾燥肌」「脂性肌」「混合肌」の4タイプに分類されます。なかでも悩む人が多いのが乾燥肌で、乾燥が進行すると肌が荒れ、シワが現れ、バリア機能が低下して湿疹・皮膚炎も起こりやすくなります。乾燥肌になる要因としては間違った洗顔方法や、日焼け、湿度の低下、栄養不足、加齢などがあげられますが、睡眠不足やストレスも肌の細胞が周期的に生まれ変わるターンオーバーの乱れにつながるので気をつけましょう。