ヘパリン類似物質の主な働きは、次の３つです。
・水分を引き寄せて保持する「保湿作用」
・血行 をよくする「血行促進作用」
・炎症を鎮める「抗炎症作用」
ヘパリン類似物質が乾燥肌へどのようにアプローチし、保湿効果が得られるのかを知るためには、まずは乾燥肌が起こる原因とメカニズムを知ることが重要です。詳しくは、「Q. 乾燥肌の原因は？」をご覧ください。

乾燥肌を引き起こすバリア機能の低下は、角質層の構造が乱れることで引き起こされます。そして、角質層の乱れは、紫外線、冷たい空気、過度な手洗いや洗顔などの外部刺激が大きな要因となります。ヘパリン類似物質などを含む製品で正しいケアをすることで、外部からの刺激で乱れがちな角質層の構造を整え、肌のバリア機能を保つことが重要です。

うるおいのある健やかな肌は、角質層の細胞間脂質や角質細胞内の天然保湿因子などの働きによって保たれていますが、これらは、ターンオーバーの過程でつくられます。
ターンオーバーのカギとなる細胞の生まれ変わりは、睡眠・食生活・運動・ストレスなど、毎日の様々な生活習慣の影響も受けるといわれています。特に、食べた栄養素が細胞の材料となるため、食事をおろそかにしないことです。朝食の欠食やダイエットによる小食、偏食は、乾燥肌や肌荒れを招くこともあります。糖質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの５大栄養素に加え、食物繊維を摂り、栄養バランスのとれた食事を１日３食食べ、コツコツと根気よく食生活等の改善を目指しましょう。
また、睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げるため、十分な睡眠も必要です。運動は血流をよくし、新陳代謝を促します。日頃からウォーキングやストレッチなどを適度に取り入れましょう。

乾燥肌は、ひどくなると化粧水が染みることがあります。染みるということは、バリア機能が著しく低下している証拠です。日頃行っている洗顔やスキンケアを見直してみるとよいでしょう。
例えば、洗浄力が強過ぎる洗顔料を使っていたり、タオルでゴシゴシ洗ったりしていると、皮脂や角質層を過剰に洗い流してしまい、バリア機能を低下させ、乾燥させてしまいます。できるだけマイルドな洗顔料をしっかりと泡立てて、優しく洗いましょう。
化粧水が染みている間は皮膚が過敏になっているので、洗顔後の化粧水もつけ過ぎず、シンプルにして、肌を少し休ませるくらいがちょうどよいでしょう。
なお、症状が重い場合や継続する場合は医師に相談しましょう。

「ヘパリン類似物質」の保湿効果について見てみましょう。
ヘパリンの「ヘパ」は肝臓という意味で、肝臓で生成される糖類の一種「ムコ多糖」に分類される成分であり、私たちの体内に広く分布しています。ヘパリンとヘパリン類似物質は、それぞれの化学構造がよく似ていますが、用途は異なります。
ヘパリン類似物質は、「親水性」と「保湿性」をもち、角質層までうるおいを届け、水分を保持します。さらに、細胞間脂質の水分を保持する機能に働きかけ、角質層のバリア機能を改善します。また、細胞同士をつなぐ接着因子に働きかけてバリア機能の低下を抑制することも、近年の研究で分かってきました。水分を吸い込む力と抱え込んでキープする力を兼ね備えたヘパリン類似物質が、角質層構造を整え、バリア機能を正常に働かせることで乾燥肌を治します。

ヘパリン類似物質には、抗炎症効果があります。
皮膚の炎症の原因は様々ですが、バリア機能が低下した肌は、炎症などを起こしやすい状態です。ヘパリン類似物質の保湿効果で、肌内部の水分を保持し、肌荒れや荒れ性の改善を図りましょう。
ヘパリン類似物質は角質層で働き、持続性のある保水力で肌をカバーします。１日に１～数回を目安に、適量を手に取り、気になる部分にすり込んで使いましょう。