腰痛になると迷うのがその対策、『専門医を受診すべきか、あるいはセルフケアで改善できるか』という点です。受診するほどでもない痛みなどは、薬剤の使用やストレッチ、筋トレなど、いろいろ自己判断してしまいがちですが、まずは自身の症状をチェックリストと照らし合わせましょう。そのうえで、日常生活の注意を守り、正しく対処します。
腰痛になると迷うのがその対策、『専門医を受診すべきか、あるいはセルフケアで改善できるか』という点です。受診するほどでもない痛みなどは、薬剤の使用やストレッチ、筋トレなど、いろいろ自己判断してしまいがちですが、まずは自身の症状をチェックリストと照らし合わせましょう。そのうえで、日常生活の注意を守り、正しく対処します。
<監修>
<監修>
橋本三四郎先生
南新宿整形外科リハビリテーションクリニック院長
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション認定医/日本リュウマチ財団登録医
橋本三四郎先生
南新宿整形外科リハビリテーションクリニック院長
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション認定医/日本リュウマチ財団登録医
久留米大学大学院卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校、米国スクリプス研究所主任研究員。2001年ハシモトクリニック開院。日本医科大学病院整形外科・リウマチ外科非常勤講師を経て、2012年南新宿整形外科リハビリテーションクリニックを開院。著書に「あきらめないでひざの痛み」「こうすれば膝痛は治せる!」
久留米大学大学院卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校、米国スクリプス研究所主任研究員。2001年ハシモトクリニック開院。日本医科大学病院整形外科・リウマチ外科非常勤講師を経て、2012年南新宿整形外科リハビリテーションクリニックを開院。著書に「あきらめないでひざの痛み」「こうすれば膝痛は治せる!」
腰痛になってしまったら、自分の腰痛をセルフケアで改善できるかどうか、次の[YES・NOチェックリスト]で診断してみましょう。
5つ以上の項目で「YES」ならセルフケアで改善可能ですが、「YES」が4つ以下の場合は専門医の治療が必要です。
◆1日のうちで痛みを感じない時間が(10分程度でも)ある。[YES・NO]
◆膝より下には痛みが出ていない。[YES・NO]
◆しばらく座っていると痛くなる。あるいは、立ち上がるときに痛みを感じる。[YES・NO]
◆前かがみの姿勢でいると痛みがひどくなる。あるいは、家事やガーデニングなどで長時間前かがみの姿勢をとった後で痛くなる。[YES・NO]
◆朝起きるときは痛いが、30分ほど経つと痛みがやわらぐ。[YES・NO]
◆歩いていると痛みがやわらぐ。[YES・NO]
◆うつ伏せでいると痛みがやわらぐ。(うつ伏せになって2〜3分は痛みがつよくなるが、そのままでいると痛みがやわらいでくるのであれば、答えはYES)[YES・NO]
◆ここ数カ月あるいは数年の間に何回も腰痛になっている。[YES・NO]
◆再発を繰り返している場合、腰痛のない期間はどんな動きをしても痛みがなかった。[YES・NO]
◆再発を繰り返している場合、腰痛のない期間は普段の生活で痛みは出なかった。[YES・NO]
◆お尻や太もも、ふくらはぎに痛みがある場合、腰に痛みは常にあっても、お尻や太もも、ふくらはぎに痛みをまったく感じない時間がある。[YES・NO]
また、以下の項目のいずれかに当てはまる人は、ストレッチなどのエクササイズはせず、専門医に相談してください。
腰痛になってしまったら、自分の腰痛をセルフケアで改善できるかどうか、次の[YES・NOチェックリスト]で診断してみましょう。
5つ以上の項目で「YES」ならセルフケアで改善可能ですが、「YES」が4つ以下の場合は専門医の治療が必要です。
◆1日のうちで痛みを感じない時間が(10分程度でも)ある。[YES・NO]
◆膝より下には痛みが出ていない。[YES・NO]
◆しばらく座っていると痛くなる。あるいは、立ち上がるときに痛みを感じる。[YES・NO]
◆前かがみの姿勢でいると痛みがひどくなる。あるいは、家事やガーデニングなどで長時間前かがみの姿勢をとった後で痛くなる。[YES・NO]
◆朝起きるときは痛いが、30分ほど経つと痛みがやわらぐ。[YES・NO]
◆歩いていると痛みがやわらぐ。[YES・NO]
◆うつ伏せでいると痛みがやわらぐ。(うつ伏せになって2〜3分は痛みがつよくなるが、そのままでいると痛みがやわらいでくるのであれば、答えはYES)[YES・NO]
◆ここ数カ月あるいは数年の間に何回も腰痛になっている。[YES・NO]
◆再発を繰り返している場合、腰痛のない期間はどんな動きをしても痛みがなかった。[YES・NO]
◆再発を繰り返している場合、腰痛のない期間は普段の生活で痛みは出なかった。[YES・NO]
◆お尻や太もも、ふくらはぎに痛みがある場合、腰に痛みは常にあっても、お尻や太もも、ふくらはぎに痛みをまったく感じない時間がある。[YES・NO]
また、以下の項目のいずれかに当てはまる人は、ストレッチなどのエクササイズはせず、専門医に相談してください。
●膝から下の痛みがひどく、脚や足の指先に力が入りにくい、感覚が鈍い、ピリピリするといった症状がある。
●最近、大きな事故にあって腰痛になった。
●腰痛になってから尿が出にくい。
●急性腰痛(ぎっくり腰)にともなって、倦怠感や体調不良を感じている。
●ガンになったことがある。
●熱がある、体温が高くなった。あるいは汗が出るようになった。
●腰痛に加えて他の症状が出てきた。
●膝から下の痛みがひどく、脚や足の指先に力が入りにくい、感覚が鈍い、ピリピリするといった症状がある。
●最近、大きな事故にあって腰痛になった。
●腰痛になってから尿が出にくい。
●急性腰痛(ぎっくり腰)にともなって、倦怠感や体調不良を感じている。
●ガンになったことがある。
●熱がある、体温が高くなった。あるいは汗が出るようになった。
●腰痛に加えて他の症状が出てきた。
腰痛改善のために専門医を受診する際、症状の上手な伝え方を覚えておくと、より正確な診断につながります。伝えるべきポイントは5つです。
1)「いつから」
日ごとに腰痛は強くなっているか、同じ痛みが続いているのかなどを伝える。
2)「どこが」
腰のどの辺りか、背骨やお尻、脚も痛むのかなどを伝える。
3)「どんなふうに」
激しい痛みが続く、弱い痛みが続く、腰痛の強さの程度を伝える。
4)「どんなときに」
腰を曲げるとき、歩くとき、安静でも痛いなど、腰痛を誘発する動作を伝える。
5)「その他の症状」
脚やお尻のしびれ、麻痺、発熱など、腰痛以外の症状の併発があるか伝える。
腰痛改善のために専門医を受診する際、症状の上手な伝え方を覚えておくと、より正確な診断につながります。伝えるべきポイントは5つです。
1)「いつから」
日ごとに腰痛は強くなっているか、同じ痛みが続いているのかなどを伝える。
2)「どこが」
腰のどの辺りか、背骨やお尻、脚も痛むのかなどを伝える。
3)「どんなふうに」
激しい痛みが続く、弱い痛みが続く、腰痛の強さの程度を伝える。
4)「どんなときに」
腰を曲げるとき、歩くとき、安静でも痛いなど、腰痛を誘発する動作を伝える。
5)「その他の症状」
脚やお尻のしびれ、麻痺、発熱など、腰痛以外の症状の併発があるか伝える。
腰痛になってしまったときに、どのように対処し改善していけばよいのでしょうか?
腰痛になってしまった場合のセルフケアや、腰痛にならないための日常生活での心がけについてご紹介しましょう。
腰痛になってしまったときに、どのように対処し改善していけばよいのでしょうか?
腰痛になってしまった場合のセルフケアや、腰痛にならないための日常生活での心がけについてご紹介しましょう。
腰痛を引き起こす姿勢で多いのが、猫背のような悪い姿勢での着座です。
そこで、座ったときに「腰椎前彎(ようついぜんわん)」をつくるようにしましょう。「腰椎前彎」とは腰椎のS字カーブ(腰の上のくぼみ)のことで、まっすぐ立つと自然に形成されますが、前かがみなど、腰を丸くするとなくなります。この悪い姿勢を長時間続けると、腰の靭帯が疲労して引き伸ばされ、靭帯が傷んで腰痛を引き起こします。
腰痛改善のためには、座る姿勢を正すことと、ある程度の時間が経ったら立ち上がる、動くなどの対策が大切です。
腰痛を引き起こす姿勢で多いのが、猫背のような悪い姿勢での着座です。
そこで、座ったときに「腰椎前彎(ようついぜんわん)」をつくるようにしましょう。「腰椎前彎」とは腰椎のS字カーブ(腰の上のくぼみ)のことで、まっすぐ立つと自然に形成されますが、前かがみなど、腰を丸くするとなくなります。この悪い姿勢を長時間続けると、腰の靭帯が疲労して引き伸ばされ、靭帯が傷んで腰痛を引き起こします。
腰痛改善のためには、座る姿勢を正すことと、ある程度の時間が経ったら立ち上がる、動くなどの対策が大切です。
腰を丸めたままの間違った姿勢で重いものを持ち上げることは、腰痛持ちの場合、禁物です。
重いものを持ち上げる際には、その直前・直後に立った姿勢で腰を5〜6回反らせましょう。そして足を広げ、まずは立った姿勢での腰椎前彎を作ります。
次に、この腰椎前彎を保ったまましゃがみ、荷物をつかみ、バランスを保ちながら身体を少し後ろに傾け、膝を伸ばしゆっくり持ち上げます。このとき反動はつけません。荷物を降ろすときはこの逆の手順で行います。
腰を丸めたままの間違った姿勢で重いものを持ち上げることは、腰痛持ちの場合、禁物です。
重いものを持ち上げる際には、その直前・直後に立った姿勢で腰を5〜6回反らせましょう。そして足を広げ、まずは立った姿勢での腰椎前彎を作ります。
次に、この腰椎前彎を保ったまましゃがみ、荷物をつかみ、バランスを保ちながら身体を少し後ろに傾け、膝を伸ばしゆっくり持ち上げます。このとき反動はつけません。荷物を降ろすときはこの逆の手順で行います。
寝ている時だけ腰が痛くなる、あるいは朝起きたら腰痛が起きていたという場合は、寝具に問題があるかもしれません。できるだけ正しい寝姿勢を保てるよう、腰に負担をかけず、身体の重みで沈み込まないマットレスや敷布団を選びましょう。とはいえ硬すぎるマットレスはよくありません。下にしっかりとした支えがあれば、指で押した痕がゆっくり戻るような中程度の柔らかさ の方が快適な場合があります。
寝ている時だけ腰が痛くなる、あるいは朝起きたら腰痛が起きていたという場合は、寝具に問題があるかもしれません。できるだけ正しい寝姿勢を保てるよう、腰に負担をかけず、身体の重みで沈み込まないマットレスや敷布団を選びましょう。とはいえ硬すぎるマットレスはよくありません。下にしっかりとした支えがあれば、指で押した痕がゆっくり戻るような中程度の柔らかさ の方が快適な場合があります。
腰痛になっても安静期間は2日間まで。適度に身体を動かすほうが改善も早くなります。おすすめは、毎日続けることができ、脳の血流を促し、痛みを抑える物質が増加すると言われる有酸素運動です。たとえばウォーキングや水泳などはいかがでしょう。
腰痛になっても安静期間は2日間まで。適度に身体を動かすほうが改善も早くなります。おすすめは、毎日続けることができ、脳の血流を促し、痛みを抑える物質が増加すると言われる有酸素運動です。たとえばウォーキングや水泳などはいかがでしょう。
痛みがつらいときには腰痛改善効果のある湿布薬や消炎剤の利用もひとつの方法です。痛みが軽減することで不安要素も軽減します。肌が弱くかぶれやすい人は、ローション剤やスプレーを使いましょう。
痛みがつらいときには腰痛改善効果のある湿布薬や消炎剤の利用もひとつの方法です。痛みが軽減することで不安要素も軽減します。肌が弱くかぶれやすい人は、ローション剤やスプレーを使いましょう。
ぎっくり腰は、重いものを持ち上げたり、スポーツなどで腰をひねった時に起こることが多い、激痛を伴うつらい腰痛です。ぎっくり腰発症直後は、歩くのもままならないので安静にし、腰に負担をかけないように慎重に過ごしましょう。
ぎっくり腰は、重いものを持ち上げたり、スポーツなどで腰をひねった時に起こることが多い、激痛を伴うつらい腰痛です。ぎっくり腰発症直後は、歩くのもままならないので安静にし、腰に負担をかけないように慎重に過ごしましょう。
腰に負担のかからない、ラクな姿勢で安静にします。
・仰向けに寝て、膝を軽く曲げ、膝の下にクッションを入れる。
・膝を軽く曲げ、横向きに寝る。
・仰向けに寝て、低めの台に両脚を乗せる。
腰に負担のかからない、ラクな姿勢で安静にします。
・仰向けに寝て、膝を軽く曲げ、膝の下にクッションを入れる。
・膝を軽く曲げ、横向きに寝る。
・仰向けに寝て、低めの台に両脚を乗せる。
ぎっくり腰でゆがんだ関節を元に戻すにはある程度時間がかかります。ゆっくり慎重に腰椎前彎を回復させるように心がけましょう。
ぎっくり腰でゆがんだ関節を元に戻すにはある程度時間がかかります。ゆっくり慎重に腰椎前彎を回復させるように心がけましょう。
背もたれがまっすぐな椅子を選びます。低くて柔らかいソファは腰椎前彎が保てないので避けます。
背もたれがまっすぐな椅子を選びます。低くて柔らかいソファは腰椎前彎が保てないので避けます。
掃除機をかける、歯を磨く、手を洗う、お皿を洗うなどの動作は、腰を曲げたり背中を丸めたりせず、腰椎前彎を保ちながら股関節から身体を前傾させるようにしましょう。
掃除機をかける、歯を磨く、手を洗う、お皿を洗うなどの動作は、腰を曲げたり背中を丸めたりせず、腰椎前彎を保ちながら股関節から身体を前傾させるようにしましょう。
前かがみや座ったままでの咳やくしゃみは避け、その場で立ち上がって腰を反らせ、手を腰に当て支えながら。
前かがみや座ったままでの咳やくしゃみは避け、その場で立ち上がって腰を反らせ、手を腰に当て支えながら。
どうしても必要な場合は、前述の「正しいものの持ち上げ方」で。ただし持ち上げにくいものや15kg以上のものは避けます。
どうしても必要な場合は、前述の「正しいものの持ち上げ方」で。ただし持ち上げにくいものや15kg以上のものは避けます。
以前は、腰痛が起きたら、改善のためにもなるべく安静にするようにと言われていました。しかし現在では、ある程度動かせるのなら、少しずつでも身体を動かしていくことが腰痛改善への近道と提唱されています。ただし、無理してストレッチや筋トレに走るのは禁物です。自分の症状が受診レベルかどうかをまずチェックし、セルフケアで対処できるレベルであれば、日常生活のちょっとした動作のひとつひとつに注意しながら、少しずつ身体を動かしていくようにしましょう。これが腰痛改善のための対策です。
以前は、腰痛が起きたら、改善のためにもなるべく安静にするようにと言われていました。しかし現在では、ある程度動かせるのなら、少しずつでも身体を動かしていくことが腰痛改善への近道と提唱されています。ただし、無理してストレッチや筋トレに走るのは禁物です。自分の症状が受診レベルかどうかをまずチェックし、セルフケアで対処できるレベルであれば、日常生活のちょっとした動作のひとつひとつに注意しながら、少しずつ身体を動かしていくようにしましょう。これが腰痛改善のための対策です。