日本整形外科学会の調査によると、腰の痛みに悩まされている人は全国に約3000万人いると言われ、もはや腰痛は国民病ともいえるでしょう。 腰の痛みを経験したことがない人のほうが珍しいかも知れません。
このように多くの人にとって身近な腰痛ですが、その原因について知ることで腰痛対策をしましょう。
日本整形外科学会の調査によると、腰の痛みに悩まされている人は全国に約3000万人いると言われ、もはや腰痛は国民病ともいえるでしょう。 腰の痛みを経験したことがない人のほうが珍しいかも知れません。
このように多くの人にとって身近な腰痛ですが、その原因について知ることで腰痛対策をしましょう。
<監修>
<監修>
橋本三四郎先生
南新宿整形外科リハビリテーションクリニック院長
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション認定医/日本リュウマチ財団登録医
橋本三四郎先生
南新宿整形外科リハビリテーションクリニック院長
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション認定医/日本リュウマチ財団登録医
久留米大学大学院卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校、米国スクリプス研究所主任研究員。2001年ハシモトクリニック開院。日本医科大学病院整形外科・リウマチ外科非常勤講師を経て、2012年南新宿整形外科リハビリテーションクリニックを開院。著書に「あきらめないでひざの痛み」「こうすれば膝痛は治せる!」
久留米大学大学院卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校、米国スクリプス研究所主任研究員。2001年ハシモトクリニック開院。日本医科大学病院整形外科・リウマチ外科非常勤講師を経て、2012年南新宿整形外科リハビリテーションクリニックを開院。著書に「あきらめないでひざの痛み」「こうすれば膝痛は治せる!」
多くの人が経験する腰痛ですが、その腰痛のほとんどは原因不明と言われています。
このように原因を特定しにくい腰痛を「非特異的腰痛」と言い、一般に「腰痛症」と診断されます。
そしてこの非特異的腰痛の原因には、腰の椎間関節や筋肉など、さまざまあると考えられています。
多くの人が経験する腰痛ですが、その腰痛のほとんどは原因不明と言われています。
このように原因を特定しにくい腰痛を「非特異的腰痛」と言い、一般に「腰痛症」と診断されます。
そしてこの非特異的腰痛の原因には、腰の椎間関節や筋肉など、さまざまあると考えられています。
腰痛というと「椎間板」を自動的に連想する人も多いかと思います。その椎間板について少し説明しましょう。
腰痛というと「椎間板」を自動的に連想する人も多いかと思います。その椎間板について少し説明しましょう。
背骨の腰の部分には、5つの椎骨で構成される腰椎があり、私たちの姿勢や動作を支えてくれています。この椎骨と椎骨の間にあってクッションの役割を果たしているのが「椎間板」です。
椎間板の内部、中心部分にはゼラチン状の髄核があり、この髄核の周囲は線維輪という組織が髄核を守るように囲んでいます。
私たちが身体を曲げてお辞儀をするときなどは、椎骨に椎間板がギュッと挟まれるため、内部中心の髄核も、腰の動きに合わせて後ろへと移動します。座る、立つ、歩く、身体を曲げる、まわすなど、私たちは日常さまざまな動きをしますが、そのたびに腰椎の椎骨に挟まれた椎間板は動きに合わせてさまざまな動きをしているわけです。
つまりそのたびにゼラチン状の髄核もずれているのですが、この「ずれ」によって、徐々に髄核の周囲を囲む線維輪をも傷つけてしまっているのが実情です。そして、これが何かの拍子である一線を超えたとき、髄核が線維輪を突き破り、神経を圧迫するため、「腰椎椎間板ヘルニア」と診断され、腰痛はもとより、足のしびれや動かしにくさという症状まで併発してしまいます。
背骨の腰の部分には、5つの椎骨で構成される腰椎があり、私たちの姿勢や動作を支えてくれています。この椎骨と椎骨の間にあってクッションの役割を果たしているのが「椎間板」です。
椎間板の内部、中心部分にはゼラチン状の髄核があり、この髄核の周囲は線維輪という組織が髄核を守るように囲んでいます。
私たちが身体を曲げてお辞儀をするときなどは、椎骨に椎間板がギュッと挟まれるため、内部中心の髄核も、腰の動きに合わせて後ろへと移動します。座る、立つ、歩く、身体を曲げる、まわすなど、私たちは日常さまざまな動きをしますが、そのたびに腰椎の椎骨に挟まれた椎間板は動きに合わせてさまざまな動きをしているわけです。
つまりそのたびにゼラチン状の髄核もずれているのですが、この「ずれ」によって、徐々に髄核の周囲を囲む線維輪をも傷つけてしまっているのが実情です。そして、これが何かの拍子である一線を超えたとき、髄核が線維輪を突き破り、神経を圧迫するため、「腰椎椎間板ヘルニア」と診断され、腰痛はもとより、足のしびれや動かしにくさという症状まで併発してしまいます。
椎間板とは、腰椎の椎骨ひとつひとつに挟まれた組織。髄核と線維輪によって形成されています。
髄核は、椎間板の中心にあるゼラチン状の組織。そして髄核の周囲には線維輪が、年輪のように何重にも髄核を守るように囲んでいます。
椎間板とは、腰椎の椎骨ひとつひとつに挟まれた組織。髄核と線維輪によって形成されています。
髄核は、椎間板の中心にあるゼラチン状の組織。そして髄核の周囲には線維輪が、年輪のように何重にも髄核を守るように囲んでいます。
また、腰痛を引き起こす原因のひとつに、猫背のような「悪い姿勢」があります。これは腰椎のS字カーブ「腰椎前彎」が保たれないことから起こります。
「腰椎前彎」が保たれない状態が続くと、椎間板に負担がかかり、髄核がずれ、腰痛を引き起こす原因となります。
また、腰痛を引き起こす原因のひとつに、猫背のような「悪い姿勢」があります。これは腰椎のS字カーブ「腰椎前彎」が保たれないことから起こります。
「腰椎前彎」が保たれない状態が続くと、椎間板に負担がかかり、髄核がずれ、腰痛を引き起こす原因となります。
座る、立つ、歩く、身体を曲げる、ひねる、まわすなど、腰はさまざまな動きをこなしています。この動きに応じて、当然ですが周囲の筋肉もさまざまに動き、その動作をサポートしながら支えています。
たとえば、椅子から立ち上がったり座ったりする時には「脊柱起立筋」が、重いものを持ち上げるときなどは背骨を支えるために「多裂筋」が、そして腰をひねったりするときには「腰方形筋」が働いています。
こうして私たちは毎日さまざまな筋肉のおかげで多様な動きを重ねることができているのですが、筋肉も酷使をされると緊張が続き、こわばっていきます。すると筋肉内の血流が悪くなり、酸欠状態となり筋肉疲労が起こります。年齢を重ね、筋肉が弱くなっていくことで起こる場合もあります。
筋肉疲労は周囲の神経を刺激するので、それが「腰痛」となって現れます。しかしこの腰痛はレントゲンなどの画像検査でも確認できず、原因を特定できないため、「非特異的腰痛」のひとつに数えられます。
座る、立つ、歩く、身体を曲げる、ひねる、まわすなど、腰はさまざまな動きをこなしています。この動きに応じて、当然ですが周囲の筋肉もさまざまに動き、その動作をサポートしながら支えています。
たとえば、椅子から立ち上がったり座ったりする時には「脊柱起立筋」が、重いものを持ち上げるときなどは背骨を支えるために「多裂筋」が、そして腰をひねったりするときには「腰方形筋」が働いています。
こうして私たちは毎日さまざまな筋肉のおかげで多様な動きを重ねることができているのですが、筋肉も酷使をされると緊張が続き、こわばっていきます。すると筋肉内の血流が悪くなり、酸欠状態となり筋肉疲労が起こります。年齢を重ね、筋肉が弱くなっていくことで起こる場合もあります。
筋肉疲労は周囲の神経を刺激するので、それが「腰痛」となって現れます。しかしこの腰痛はレントゲンなどの画像検査でも確認できず、原因を特定できないため、「非特異的腰痛」のひとつに数えられます。
腰痛はその痛みの生じる期間によって、急性、亜急性、慢性と分類されます。このなかの慢性腰痛は、3ヶ月以上慢性的に痛みが続く腰痛のこと。幅広い年代に起こりますが、働き盛りである30代から50代の、主に事務職の人や、家事などで前かがみの姿勢を取り続けることが多い主婦に比較的多く見られます。
この慢性腰痛は、特に腰に大きな異常が見られなくても痛みが続くケースが多く、その原因は生活習慣やストレスなどの主に心因的なものとされています。
痛みは弱いものの、腰全体が重く、だるい感じが長く続き、お尻や脚にまで痛みやしびれが広がることもあるため、その痛みに対する不安を長く感じるほどますます神経過敏になり、さらに不安が増して自律神経のバランスが乱れ、血流が悪くなり筋肉が緊張して再び腰痛に、という悪循環を起こしかねません。
腰痛はその痛みの生じる期間によって、急性、亜急性、慢性と分類されます。このなかの慢性腰痛は、3ヶ月以上慢性的に痛みが続く腰痛のこと。幅広い年代に起こりますが、働き盛りである30代から50代の、主に事務職の人や、家事などで前かがみの姿勢を取り続けることが多い主婦に比較的多く見られます。
この慢性腰痛は、特に腰に大きな異常が見られなくても痛みが続くケースが多く、その原因は生活習慣やストレスなどの主に心因的なものとされています。
痛みは弱いものの、腰全体が重く、だるい感じが長く続き、お尻や脚にまで痛みやしびれが広がることもあるため、その痛みに対する不安を長く感じるほどますます神経過敏になり、さらに不安が増して自律神経のバランスが乱れ、血流が悪くなり筋肉が緊張して再び腰痛に、という悪循環を起こしかねません。
骨に必要な栄養は、カルシウムやタンパク質、ビタミンDやビタミンKなどですが、無理なダイエットや偏食でこれらの栄養バランスが偏ると、骨密度は減少し、骨の強度も低下していきます。これは骨粗しょう症にみられる症状ですが、悪化すれば腰椎の骨折さえ招く恐れがあります。「腰痛だと思ったら実は骨折だった」という場合もあるので、食事をおろそかにせず、骨のための栄養バランスにも気をつけたいものです。特に高齢者になるほど圧迫骨折が多くなります。心配な場合は必ず受診しましょう。
また、栄養不良とは異なりますが、閉経後の女性の場合、エストロゲンの減少というホルモンバランスの乱れによって骨がもろくなり、腰椎の劣化から骨折を招くこともあります。
一方で、栄養の摂り過ぎによる骨折もあります。例えば糖質の過剰な摂取による肥満は、腰椎に大きな負荷をかけ、骨や軟骨、靭帯などを劣化させます。腰椎圧迫骨折を招く要因にもなるので注意が必要です。
骨に必要な栄養は、カルシウムやタンパク質、ビタミンDやビタミンKなどですが、無理なダイエットや偏食でこれらの栄養バランスが偏ると、骨密度は減少し、骨の強度も低下していきます。これは骨粗しょう症にみられる症状ですが、悪化すれば腰椎の骨折さえ招く恐れがあります。「腰痛だと思ったら実は骨折だった」という場合もあるので、食事をおろそかにせず、骨のための栄養バランスにも気をつけたいものです。特に高齢者になるほど圧迫骨折が多くなります。心配な場合は必ず受診しましょう。
また、栄養不良とは異なりますが、閉経後の女性の場合、エストロゲンの減少というホルモンバランスの乱れによって骨がもろくなり、腰椎の劣化から骨折を招くこともあります。
一方で、栄養の摂り過ぎによる骨折もあります。例えば糖質の過剰な摂取による肥満は、腰椎に大きな負荷をかけ、骨や軟骨、靭帯などを劣化させます。腰椎圧迫骨折を招く要因にもなるので注意が必要です。
重いものを持ち上げた時やスポーツなどで腰をひねった時、激烈な痛みとともに起こる腰痛が「ぎっくり腰」です。その原因は主に腰椎の捻挫。腰への瞬間的な加重や急激な運動などの大きな負荷は、腰椎周囲の筋肉を損傷させるばかりか、髄核が大きくずれることで周囲の線維輪をも損傷させ「椎間板ヘルニア」を引き起こすのです。
このぎっくり腰、またの名を急性腰痛といい、起きた瞬間はまったく動くこともできないほどの激痛がともないます。また、経過に応じた正しいケアをしっかり施さないでいると、クセになってしまう人も多い腰痛なので注意が必要です。
何かに気を取られていたり、忙しさにかまけて油断しているときこそ危険。すっかり忘れた頃にいきなりやってくるのが「ぎっくり腰」です。床に落ちたものを勢いよく腰を曲げて拾う、重たい植木鉢を移動させる、あわてて椅子から立ち上がるなどなど、いつもの何気ない動作も普段から慎重に行うようにしたほうが安全です。心当たりのある人は、自分の腰を過信しないことが大事です。
重いものを持ち上げた時やスポーツなどで腰をひねった時、激烈な痛みとともに起こる腰痛が「ぎっくり腰」です。その原因は主に腰椎の捻挫。腰への瞬間的な加重や急激な運動などの大きな負荷は、腰椎周囲の筋肉を損傷させるばかりか、髄核が大きくずれることで周囲の線維輪をも損傷させ「椎間板ヘルニア」を引き起こすのです。
このぎっくり腰、またの名を急性腰痛といい、起きた瞬間はまったく動くこともできないほどの激痛がともないます。また、経過に応じた正しいケアをしっかり施さないでいると、クセになってしまう人も多い腰痛なので注意が必要です。
何かに気を取られていたり、忙しさにかまけて油断しているときこそ危険。すっかり忘れた頃にいきなりやってくるのが「ぎっくり腰」です。床に落ちたものを勢いよく腰を曲げて拾う、重たい植木鉢を移動させる、あわてて椅子から立ち上がるなどなど、いつもの何気ない動作も普段から慎重に行うようにしたほうが安全です。心当たりのある人は、自分の腰を過信しないことが大事です。
自由自在に身体を動かせることがどれだけ幸せなことか、腰痛になるとそのありがたさをしみじみと痛感するものです。それだけ不快感をもたらし、身体の自由を奪ってしまう腰痛。その原因はさまざまあり、何かひとつのことだけに気をつけていればよいわけでもなさそうです。
筋肉のコリや疲労が原因の腰痛や骨のゆがみが原因の腰痛、ストレスから動かさずにいるために起こる腰痛もあれば、動きすぎて起こる腰痛もあります。このように腰痛のタイプはさまざまで、毎日の食事内容の良し悪しも、腰痛の原因になりかねません。
腰はまさに「身体の要」ですから、腰痛にならないためにも、腰痛の原因やメカニズムを知り、腰痛のリスクになるような生活や行動を見直していけるといいですね。
自由自在に身体を動かせることがどれだけ幸せなことか、腰痛になるとそのありがたさをしみじみと痛感するものです。それだけ不快感をもたらし、身体の自由を奪ってしまう腰痛。その原因はさまざまあり、何かひとつのことだけに気をつけていればよいわけでもなさそうです。
筋肉のコリや疲労が原因の腰痛や骨のゆがみが原因の腰痛、ストレスから動かさずにいるために起こる腰痛もあれば、動きすぎて起こる腰痛もあります。このように腰痛のタイプはさまざまで、毎日の食事内容の良し悪しも、腰痛の原因になりかねません。
腰はまさに「身体の要」ですから、腰痛にならないためにも、腰痛の原因やメカニズムを知り、腰痛のリスクになるような生活や行動を見直していけるといいですね。