広義には発毛剤は、発毛を促して新しい頭髪が増えることを助ける薬剤のことです。ただし、一般的に医療の中で「発毛剤」と呼ばれて使用される薬剤は、男性型脱毛症(AGA: AndroGenic Alopeciaとも呼ばれる)に対する治療薬を指すことが多いです。

男性型脱毛症は、前頭部、頭頂部、側頭部などに起きる進行性の脱毛のことで、今回の記事で取り上げる様な、ミノキシジルの局所への塗布やフィナステロイドと呼ばれる内服薬などで治療されることが多いです。

いずれも、研究などでその有効性が証明されており、医薬品として病院で治療、処方を受けることができる他、ミノキシジルは日本では薬局でも購入できる薬剤の一つにもなっています。

ミノキシジルは、毛髪の成長期の延長、休止期脱毛の減少、毛根を包む組織の成長作用などを介して、発毛を促していると考えられています。

ミノキシジル自体は血管拡張作用を持ち、血管内皮の成長因子を増やす効果があるため、頭皮への血流を増やします。このことで頭皮の細胞の栄養が増え成長が促されると考えられています。

1%または5%のミノキシジルが使用されることがありますが、一般的には5%の製剤の方が、発毛の度合いや効果発現までの時間が短いなど、効果がより高いことがわかっています。ただし、皮膚の痒みや刺激感などの症状も、5%の製剤の方で多くなると報告されています。

発毛剤としてのミノキシジルの局所への塗布では、副作用は起きにくいとされています。最も頻度の高い反応としては皮膚炎が挙げられます。

ミノキシジルの発毛剤が最もよく効果が出たとされているのは、脱毛の症状が5年以内程度と短く、脱毛の場所が頭頂部で、脱毛のサイズが10cm以内と小さい場合です。これらの条件に当てはまる場合には特に、治療を前向きに検討すると良いでしょう。

薬剤の使用以外にも普段の生活の見直しも、抜け毛対策には重要です。抜け毛を防ぐためには、頭髪の原料となる十分なタンパク質を含む食事の摂取が重要です。

その他にも、皮脂が出やすい頭皮を最低1日1回の洗髪をすること、洗髪時にはシャンプーで頭皮を洗うことを意識することが大切です。

シャンプー後はコンディショナーを使用し、コンディショナーをつけるときは毛先につける様意識するとより良いでしょう。

今回は、発毛剤として一般的になってきているミノキシジルについて、その期待されているメカニズム、男性型脱毛に対しての有効性、効果が出やすい方の特徴、使用時の注意（一時的な脱毛増加など）を含めて取り上げました。

ミノキシジルは即効性のある成分ではありませんが、長期的に使用することで発毛効果が期待できることが研究でも示されています。

日頃の頭皮ケアと合わせてミノキシジルを配合している発毛剤を使用することは、発毛や抜け毛防止に有効な手段だと言えます。