ミノキシジルを配合した外用薬は、壮年性脱毛症、いわゆる男性型脱毛症（AGA）に伴う薄毛の症状を改善するための医薬品です。1999年に日本初のダイレクトOTC薬（医療現場での使用実績を経ずに一般用医薬品として市販される薬）として登場して以来、長年にわたり市販薬として販売されてきたため、ドラッグストアなどで目にした方も多いかもしれません。

しかしながら、ミノキシジルにはどのような効果があり、そしてどのような副作用があるのか、詳しく知らない方も多いのでは？ まずはミノキシジルの効果について知っておきましょう。

人の毛髪は「成長期」「退行期」「休止期」といわれる一定の周期で生え変わっています。AGAになると、このヘアサイクルが通常より短くなることで薄毛・軟毛になってしまうのですが、ミノキシジル外用薬を継続使用することで、乱れたヘアサイクルを正常な状態へ導き、発毛を促進して症状を改善していくという効果があります。

ミノキシジル外用薬の発毛効果のメカニズムは次の通りです。

ミノキシジルは髪をつくる「毛包」に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することによって、発毛を促進します。また、先ほども触れた、ヘアサイクルの変化で小さくなってしまった毛包に直接働きかけ、大きく深くすることで、細く軟毛化した毛髪を太く抜けにくい毛に成長させます。

さらにミノキシジルには、すでに始まってしまった脱毛に対しても進行を食い止め、現状を維持する予防効果があります。そのため、ミノキシジル外用薬を続けて使用すると抜け毛の進行予防、さらには発毛効果が期待できるというわけです。

ミノキシジル外用薬の主な副作用には、次のようなものがあります。以下のような症状が現れた場合は使用を中止し、医師または薬剤師に相談しましょう。

・頭皮や皮膚のかゆみ
・頭皮や皮膚の発赤
・かぶれ（接触皮膚炎）
・ふけ
・頭皮の発疹
・使用部位の熱感

ミノキシジル外用薬の使用による副作用の中で、比較的多く報告されているのが「頭皮や皮膚のかゆみ」「かぶれ」「ふけ」などのアレルギー反応です。

上記のような皮膚トラブルは、ミノキシジル外用薬の用法・用量を守らずに使用すると起こる可能性が高くなります。使用の際は、各製品によって決められた用法・用量を守ることが大切です。

ミノキシジル外用薬は、使用にあたって注意が必要な人がいます。使用前に確認しておきましょう。

① ミノキシジルの成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人
② 未成年者
③ AGA以外の脱毛症（例えば、円形脱毛症、甲状腺疾患による脱毛など）の人、あるいは原因の分からない脱毛症の人
④ 女性は必ず、ミノキシジル1％配合の女性用製品を使用すること
⑤ 脱毛が急激または髪が斑（まだら）状に抜けている人

また、次の人は使用前に医師または薬剤師に相談してください。

① 今までに薬や化粧品などによりアレルギー症状（発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等）を起こしたことがある人
② 高血圧、低血圧の人……ミノキシジル外用薬の使用により血圧に影響を及ぼす可能性が考えられます。
③ 心臓または腎臓に障害のある人……ミノキシジル外用薬の使用により心臓や腎臓に影響を及ぼす可能性が考えられます。
④ むくみのある人……むくみを増強させる可能性があります。
⑤ 家族、兄弟姉妹にAGAの人がいない人……AGAの発症には遺伝的要因が大きいとされています。
⑥ 65歳以上の高齢者
⑦ 甲状腺機能障害（甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症）の診断を受けている人……甲状腺疾患による脱毛の可能性があります。

また、先述した皮膚の症状以外にも、以下のような症状が現れた場合は、副作用の可能性があります。直ちに使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

・精神神経系……頭痛、気が遠くなる、めまい
・循環器……胸の痛み、心拍が速くなる
・代謝系……原因の分からない急激な体重増加、手足のむくみ

毛髪は月にわずか1cm程度しか伸びないため、目に見える変化を感じるまでには時間がかかります。ミノキシジルの発毛剤を使用する場合、ミノキシジル5％を配合した外用薬は4カ月以上、ミノキシジル1％を配合した外用薬は6カ月以上続けましょう。

毎日見ていると抜け毛が減ったかどうか、変化に気づきにくいかもしれませんが、効果を確認するためには頭部の写真を撮ることもおすすめです。使用開始時に頭部の写真を撮り、3カ月ごとに同じ条件で比較することで、変化をより確実に確認できるでしょう。

また、ミノキシジルの使用を中止すると徐々に使用する前の状態に戻っていくことも知っておきましょう。長い目で継続していくことが大切な医薬品です。