ミノキシジルには、こうしたヘアサイクルの変化によって小さくなった毛包に直接働きかけ、細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することにより、毛包を活性化して発毛を促し、細く軟毛化した毛髪を太い毛に成長させる効果があります。

さらに、ミノキシジルは血管拡張作用をもつため、毛包周囲の血流が改善し、毛包に十分な栄養や酸素が供給されるようになることで、発毛の促進や育毛のサポートとなることもわかってきました。
 

ミノキシジルの効果

1. 毛包を活性化し、休止期から初期成長期への移行を促進することで、発毛を促す。
2. 成長期を維持し、太い毛髪（硬毛）を増加させる。

2023年6月時点で、ミノキシジルは日本のOTC医薬品（市販薬）の中で唯一、壮年性脱毛症における「発毛」と「育毛」「脱毛（抜け毛）の進行予防」の効果が認められている成分です。

壮年性脱毛症に見られる抜け毛のタイプは、１つではありません。生え際や頭頂部、そりこみ部分からなど、脱毛の仕方によっても６つのタイプがあり、人それぞれ異なります。脱毛の状態が次のいずれかに当てはまる場合、壮年性脱毛症の可能性が高いといえます。
 

男性の壮年性脱毛症分類と進行パターン（緒方知三郎の分類）

Ⅰ型　全体が薄くなる
Ⅱ型　頭頂部を中心に薄くなる
Ⅲ型　前頭部からМ字型に薄くなる
Ⅳ型　Ⅲ型に加えて頭頂部からも薄毛が進行する
Ⅴ型　額の真ん中から後退していく
Ⅵ型　頭頂部から輪が広がるように薄くなっていく

ミノキシジルは、特に上記の赤枠で囲んだような脱毛タイプにおける後退した前頭部やM字になってしまった前頭部、生え際、頭頂部などに高い効果を発揮します。

ミノキシジル配合の発毛剤には、濃度が１％と５％の製品があります。男性の場合はどちらの濃度の製品も使用できますが、女性の場合は１％の製品のみ市販されています。

ただし、どちらの濃度のタイプが合うかは、壮年性脱毛症の進行状況や体質などによって異なり、必ずしも濃度が高いほど良いというわけではありません。肌が敏感な人が使用した場合、ミノキシジルの濃度が高くなると、ご使用後に頭皮にかゆみやかぶれなどの副作用が現れたりすることもあるためです。

選び方の１つの目安として、発毛剤を初めて使用する方や、あまり症状が進行していない方、すでに１％の製品で効果に満足している方は１％のものを選ぶとよいでしょう。より効果を求める方や、１％の発毛剤では効果が分かりにくかったという方は５％のミノキシジル製品を選びましょう。

●1％の製品を選ぶ目安
・初めて使用する
・あまり症状が進行していない
・女性^※
※日本では、女性は5％の臨床試験が行われていないため、1％のみ市販されています

●5％の製品を選ぶ目安
・1％では満足できなかった
・4ヶ月で効果を確かめたい

ミノキシジル配合の発毛剤は第１類医薬品として市販されており、薬剤師に相談し、循環器系の疾患の有無などの情報を提供した上で購入することができます。どちらの濃度を選べばよいか判断に迷った時は、購入の際に薬剤師に相談しアドバイスを受けるようにしてください。

ミノキシジル配合の発毛剤を安全、かつ効果的に活用するためには、発毛剤の添付文書に記載されている用法・用量と使用上の注意を守り、正しく使用することが大切です。

なお、ミノキシジルは壮年性脱毛症の原因を取り除くものではないため、効果が得られたからといって使用をやめてしまうと、徐々に使用する前の状態に戻ってしまいます。発毛効果を維持するために、効果を実感した後も継続して使い続けるようにしましょう。