乾燥肌によい食べ物はある?美肌を目指す食事術

乾燥肌

乾燥肌によい食べ物はあるのでしょうか?
「肌は内臓の鏡」と言われます。ハリ、弾力、透明感のある美しい肌に近づくには、毎日のスキンケアだけでなく、腸内環境を整えて肌のターンオーバーを促進するためのインナーケアも必要です。乾燥肌の改善に効果的な食べ物と、その食事法について考えてみましょう。

監修

日比野佐和子先生 医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授 日比野佐和子先生 医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授
日比野佐和子先生
医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授

ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。

乾燥肌にはスキンケアはもちろん、食べ物などのインナーケアも大切

乾燥肌にはスキンケアはもちろん、食べ物などのインナーケアも大切 乾燥肌にはスキンケアはもちろん、食べ物などのインナーケアも大切

乾燥肌を改善するには、正しいスキンケア食べ物や睡眠など体の中から対策するインナーケアの両方が必要です。

高額な化粧品や美容アイテムを揃えても、睡眠不足や運動不足、偏った食事や肌によくない食べ物を口にすることが習慣化していると、ターンオーバー(肌の新陳代謝)が乱れ、美肌から遠のいてしまいます。

特に食べ物は重要なファクターのひとつ。体はもちろん肌も、毎日口にする食べ物の栄養素からつくられています。腸内環境を整えることで肌のターンオーバーが正常化し、肌の水分量が上がるという側面も。

まさに「肌は内臓の鏡」なのです。

乾燥肌によい食べ物だけではなく、バランスよく食べるのが基本

特定の食べ物を集中的に摂る美容法やダイエット法は栄養のバランスが崩れるため、美肌のためにも健康のためにもおすすめできません。また、特定の栄養素をカットする食事法も同様です。炭水化物や脂質を極端に減らすと、健康なお肌を作るための栄養が不足して肌荒れや乾燥肌につながります。

身体に必要な栄養素は、大きく分けてタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維の6つ。体に吸収される栄養の量は決まっていますので、一度に大量摂取しても効果は変わりません。毎日いろいろな食べ物を少しずつ食べ、体に必要な栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

それでは、美肌のために大切な栄養素を見ていきましょう。

乾燥肌によい食べ物だけではなく、バランスよく食べるのが基本 乾燥肌によい食べ物だけではなく、バランスよく食べるのが基本

●タンパク質
髪や肌、爪、筋肉、内臓など、体を作るもととなる栄養素。肌のハリや弾力を保つコラーゲンを生み出す役割も担っています。不足すると体力や免疫力が低下するだけでなく、肌、爪、髪の状態が悪くなってしまいます。


●脂質
体を動かすエネルギー源で、細胞膜の主成分となります。不足すると肌や髪が乾燥するため、美容には欠かせない成分のひとつ。食品によって含まれる脂質の種類が異なり、肉や乳製品に多く含まれる「飽和脂肪酸」は、動脈硬化や高血圧、肌荒れの原因になりますが、オリーブオイルやナッツなどに含まれる「不飽和脂肪酸」、くるみや亜麻仁油、サバやサンマなどに含まれる「必須脂肪酸」には、動脈硬化、高血圧、血栓、アレルギー、肌荒れを予防する働きがあります。


●炭水化物
主成分は食物繊維と糖質。糖質は体や脳細胞を働かせるために必要な栄養素で、気持ちを安定させるホルモンであるセロトニンの原料になるほか、新陳代謝を促進する作用も。ただし過剰摂取は動脈硬化や糖尿病、肌のシワ、シミ、黄ぐすみ、たるみなどの原因になります。


●ビタミン

ビタミンを摂れる野菜 ビタミンを摂れる野菜

栄養素の吸収や代謝にかかわる栄養素。全13種のビタミンのなかでも、「ビタミンACE(エース)」と呼ばれるA、C、Eの3つには、体の老化を進める「活性酸素」の働きを抑える抗酸化作用があり、3つを同時に摂ることで効果が高まります。単体では、Aは肌を正常に保ち、肌の潤いを保つ、Cは肌のハリや潤いを保ち、シミやシワを防ぐ、Eは血流を促し、細胞の老化を防ぐなどの効果があります。

●ミネラル
カルシウム、鉄、亜鉛、ナトリウムなど、体の維持に必要な栄養素。カルシウムは骨や歯、健康な肌を作り、鉄は血行をよくする、亜鉛は肌のターンオーバーを促進するなど、それぞれの栄養素が重要な役割を担っています。いずれも体内では作られないので、食品やサプリ、ドリンクなどからの摂取が必要です。


●食物繊維
便通をよくし、腸内環境を整えるほか、糖質の吸収を抑えたり、乳酸菌を活性化させたりする効果もあります。果物や海藻類に含まれる水溶性食物繊維と、根菜や豆類に含まれるものは不溶性食物繊維の2種類があり、両方をバランスよく摂取することで効果が促進されます。

乾燥肌が気になる人がとり入れたい食べ物

乾燥肌が気になる人は、どのような食べ物をとり入れたらよいでしょうか?

乾燥肌への基本対策としては、いろいろな食べ物をバランスよく摂ることです。それぞれの栄養素が体内で働くことで、乾燥肌は改善されます。そのうえで、乾燥肌が気になる方へのおすすめの食べ物と食べ方の注意点を見ていきましょう。


●発酵食品と食物繊維を一緒に食べる・・・腸を整える
乾燥肌の改善には、腸内環境を整えることが大切です。
腸内環境を整えるには、乳酸菌などの善玉菌を多く含む発酵食品(納豆や味噌、キムチ、ヨーグルト、チーズなど)がおすすめ。できるだけいろいろな発酵食品を摂り、多様な菌を体内で育てましょう。

発酵食品と食物繊維を一緒に食べることで腸を整える 発酵食品と食物繊維を一緒に食べることで腸を整える

その際、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を一緒に食べると、善玉菌を効果的に増やせます。
食物繊維を多く含む食材には、海藻、ごぼう、サツマイモ、こんにゃく、きのこなどがあります。
腸内環境を整えることでターンオーバーが正常化し、乾燥肌の改善も見込めます。オリゴ糖は大豆などの豆類、ごぼう、玉ねぎ、バナナなどに含まれます。

●手羽先と牛すじ・・・コラーゲンとエラスチンが豊富
乾燥肌の改善に必要な肌の弾力を生み出してくれるのが、コラーゲンとエラスチンです。どちらもタンパク質の一種で、肉や魚の「皮」にはコラーゲン、「筋」にはエラスチンが多く含まれています。両方の成分を含む食べ物としては、手羽先や牛すじ、豚足、軟骨、魚の皮などがあります。これらは、乾燥肌の改善のために摂りたい食べ物ですが、食べ過ぎると皮下脂肪につながります。


●ガゴメ昆布・・・フコイダンが豊富
乾燥肌は保湿力が下がって起こります。ガゴメ昆布のぬめりに含まれるフコイダンには高い保湿力があり、肌表面に潤いをもたらします。また肌を外部の刺激から守ってくれるほか、育毛促進の効果も確認されています。


●生芋こんにゃく・・・セラミドが豊富

生芋こんにゃくはセラミドが豊富 生芋こんにゃくはセラミドが豊富

乾燥肌の改善にはセラミドを摂取することも一つの方法です。
肌の潤い成分セラミドを摂るのに適しているのが、生芋こんにゃくです。一般的なこんにゃくは、芋を乾燥させて粉にする工程でセラミドが失われますが、生芋こんにゃくは生のこんにゃく芋をすりおろして固めているため、セラミドが豊富に含まれています。100g食べると1日に必要な量のセラミドを補えます。

●卵・・・完全栄養食
バランスよく栄養素を摂取するには、1日2個の卵を食べることがおすすめです。卵はビタミンCと食物繊維以外の栄養素をすべて含む完全栄養食です。タンパク質のほかビタミンA、B、D、さらに多彩なミネラルを含み、美しい肌や髪を作ってくれるだけでなく、脳や目の老化予防にも役立ちます。朝、タンパク質を摂ると夜の睡眠の質が上がるため、乾燥肌改善が目的の場合には、朝食時に卵を食べることをおすすめします。


●レバーや豚肉・・・ビタミンB₂、B₆が豊富

レバーや豚肉はビタミンB₂、B₆が豊富 レバーや豚肉はビタミンB₂、B₆が豊富

乾燥肌は、ターンオーバーの乱れで起こります。
ターンオーバーを正常に保ち、乾燥肌の予防に役立つのが、レバーや豚肉などのビタミンB₂、B₆を含む食材です。ビタミンB₂は納豆やうなぎ、またビタミンB₆は卵、大豆製品、カツオやマグロなどの魚に含まれています。

●牡蠣・・・亜鉛が豊富で、ターンオーバーの正常化に役立つ
牡蠣はビタミンやミネラルを豊富に含む理想的な食材です。特に亜鉛の含有量が高く、肌や髪を作るタンパク質の合成を促します。亜鉛が不足すると肌のターンオーバーが乱れるほか、爪が傷む、抜け毛や白髪が増えるなどの悪影響を及ぼします。豚レバー、牛もも肉、数の子も亜鉛の摂取に効果的です。


●トマトジュース・・・リコピンが豊富

トマトジュースはリコピンが豊富 トマトジュースはリコピンが豊富

トマトに含まれるリコピンは肌の老化を防ぐほか、コラーゲンの生成をサポートし、シミを予防する働きがある抗酸化成分です。
1日に必要な量15mgを摂取するには、トマト2、3個分を食べなくてはならないため、1日1缶食塩無添加のトマトジュースを飲むのがおすすめです。

●大豆食品・・・イソフラボンが豊富
乾燥肌が気になる方には大豆食品もおすすめです。大豆食品に含まれる「大豆イソフラボン」には、細胞の新陳代謝を高めて肌の潤いを保つ、気持ちを落ち着かせるなどの効果があります。1日に必要な摂取量は、豆腐なら半丁、納豆なら1パック、豆乳なら1パック、きなこなら20gです。ただし、子宮筋腫や子宮内膜症の方は摂りすぎないよう注意しましょう。


どんなに食べ物に気をつけていても、不足してしまう栄養素はありますし、時間に追われてバランスのよい食事が摂れない時もあります。
乾燥肌を防ぐためにも、食事が偏りがちな時は手軽に必要な成分を重点的に摂取できるサプリメントやドリンクなどで、肌に必要な栄養素をチャージするようにしましょう。