マスク

マスクで肌荒れしてしまう原因と5つの対策

新型コロナウイルスの感染拡大によって、マスクをつけ続ける日々が1年以上続き、「肌が敏感になった」「肌荒れしやすくなった」という人が増えています。

このような“マスク肌荒れ”は、なぜ起きてしまうのでしょうか。
その原因と、マスクによる肌荒れを予防するカギとなる“肌のバリア機能”を高めるための5つの対策をお伝えします。

<監修>

日比野佐和子先生
医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授


ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。

目次

マスク肌荒れの原因1 “乾燥”が進み、肌が敏感になるから

マスクによって肌荒れをしてしまう原因の1つ目は“乾燥”です。

マスクをつけていると肌が潤うように感じますが、実は、マスク内の湿度がいくら高くても肌の保湿にはプラスになりません。
それどころかマスクをつけることで、肌はマスクをしていない時よりも、“乾燥リスク”にさらされてしまっていることをご存じですか?

その理由は、マスクの内側の水分が蒸発する時に、肌の表面にある「角質層」に含まれている水分まで一緒に奪い取ってしまうから。
マスクの隙間から、またマスクを外した時に、急速に肌内部の水分が蒸発して乾燥が進んでしまい、乾燥肌や敏感肌になりやすくなるのです。乾燥肌や敏感肌に傾くと、肌は荒れやすくなってしまいます。

マスク肌荒れの原因2 摩擦で“肌のバリア機能”が低下してしまうから

原因の2つ目は“摩擦”です。
マスクの着脱はもちろん、ずれを直したり、口を動かして話したりすることでも、マスクと肌は摩擦を起こしています。

しかも、マスクの内側は高温多湿。肌表面の角質層は、お風呂に入ってふやけた時のように水分を吸収して膨らみ、“肌のバリア機能”が低下した状態になっています。

“肌のバリア機能”とは、肌の表面にある角質層が、摩擦や紫外線、雑菌などの外部刺激から肌を守り、肌内部の水分を保ってくれる働きのこと。
具体的には、角層細胞内の「天然保湿因子(NMF)」が保持する水分と、角層細胞間を埋める「細胞間脂質」と、角層表面の「皮脂膜」がバリアの役割を果たしています。
このバリア機能が低下すると、外部刺激から肌を守れなくなり、肌の内側からも水分が抜けていってしまいます。
マスクでふやけてバリア機能が低下した肌が摩擦によるダメージを受けるため、さらにバリア機能の低下が進み、“肌荒れ”が起こりやすくなるのです。

それでもマスクをつけないわけにはいかない今、“マスク肌荒れ”を起こさないためには “肌のバリア機能”を高めるケアが必要です。

バリア機能を高める5つの対策をしていきましょう。

マスク肌荒れ対策1 適切なマスクを選び、マスク内の温度と湿度(ムレ)をコントロールする

マスク内は、汗や呼気によって湿度が上がり、蒸れます。
対策としてまず重要なのは、“適切なマスク選び”と“マスク内の温度と湿度(ムレ)のコントロール”です。

マスクの選び方やつけ方によって、摩擦をできるだけ避け、着脱の際に肌の水分を奪うような過剰な温度や湿度の差を軽減することができます。
① 肌に優しく、通気性のよい素材のマスクを選ぶ
新型コロナウイルスへの感染リスクを防ぐには、飛沫を遮断する機能の高いマスクであることは大前提です。その上で、肌に優しい素材を選びましょう。最近では、飛沫を防ぐ効果が比較的高い不織布マスクでも、肌に優しい工夫がされているものや通気性に優れたものがたくさん出ています。
特に、医療機関などでよく使われるマスクは、長時間使用するため、ラテックスフリー(天然ゴムの成分を含まない)のものが多く、おすすめです。

② 顔に合ったサイズのマスクを選ぶ
大きすぎるマスクは、マスクの隙間から乾燥を招きます。
逆に小さ過ぎるマスクは肌との摩擦が大きくなり、肌にダメージを与えます。今つけているマスクが本当に自分の顔のサイズに合っているかどうか、次の測り方を参考に見直してみましょう。

<自分の顔に合うマスクサイズの測り方>
親指と人差し指でL字形を作り、耳の付け根の一番高い部分に親指の先、鼻の付け根から1cm下に人差し指の先を当てます。親指と人差し指の先を結んだ直線距離が、顔に合うサイズの目安になります。+

[おすすめサイズ]
・9~11cm……子ども用サイズ
・10.5~12.5cm……小さめサイズ
・12~14.5cm……ふつうサイズ
・14cm以上……大きめサイズ
③ マスク内の湿度をコントロールする
着脱の際の湿度の差を緩やかにして肌の乾燥を防ぐには、マスク内部の湿度を下げる工夫も有効です。

マスク内部の湿度が高いと、肌が潤っているように感じてしまいますが、実はまったく逆。湿度が上がり、肌がふやけた状態になっていると、水分が蒸発しやすいので乾燥しやすくなります。
例えば、不織布マスクの内側にガーゼやティッシュを挟み、湿ってきたら取り換えるようにすると、湿度コントロールに役立ちます。

また、マスク内の汗は、こまめに拭き取るようにしましょう。密閉されている高温多湿の時間が長くなると、汗と共に過剰に分泌される皮脂が「アクネ菌」の餌となり、ニキビの発生につながります。拭く時は、肌をこすらないで、軽く押さえるようにしましょう。

マスク肌荒れ対策2 マスクをつけていても気を抜かず、紫外線から肌を徹底的に守る

「マスクで隠れるから大丈夫」と、日焼け止めの塗布がおろそかになっていませんか?
バリア機能が低下した肌に紫外線は大敵です。

肌が老化する原因の8割は、紫外線による「光老化」だといわれており、紫外線を無防備に浴び続けると肌にダメージが蓄積し、シミ、そばかす、くすみ、しわ、たるみなど様々な肌の老化を引き起こしてしまいます。
特に、鏡に映りにくい“顔の側面”は、元々日焼け止めの塗り忘れや塗りムラになりやすいポイント。

ここはちょうどマスクの端や耳かけのゴム紐が当たる場所でもあり、塗りムラに加えて、マスクの摩擦によって日焼け止めが落ちやすくなっています。マスクが当たる部分は念入りに塗るようにしましょう。

マスク肌荒れ対策3 マスクを外した後は、正しいスキンケア。“正しいクレンジング&洗顔”でバリア機能の低下を防ぐ

“マスク肌荒れ”を防ぐには、マスクを外した後の正しいスキンケアで“肌のバリア機能”を高めることが大切です。

その第一歩がクレンジングと洗顔。クレンジング剤は低刺激で保湿性の高い“洗い流すタイプ”の物を選び、しっかり洗い流しましょう。クレンジング剤の油分が肌に残っているとニキビや毛穴の黒ずみの原因になります。

クレンジングの後は、肌に優しい低刺激の洗顔料を使って“W洗顔”します。摩擦を起こさないよう、たっぷりと泡立てて優しく洗います。洗った後は36~38℃程度のぬるま湯で洗い流しましょう。

熱いお湯を使うと、肌に必要な皮脂も洗い流してしまうのでNG!肌が乾燥し、肌荒れを招きます。

マスク肌荒れ対策4 洗顔後は“即保湿”!自分の肌質に合った保湿をする

“肌のバリア機能”を守るスキンケアの基本は“保湿”です。

洗顔後の肌は、肌表面についた水分が蒸発する時に、肌内部の潤いまで一緒に蒸発してしまうため、保湿は時間との勝負!洗顔後、すぐに化粧水で潤いを補給します。
その後、乳液やクリームなど油分を含む物(高保湿のスキンケア)を重ね塗りして、潤いを肌に閉じ込めましょう。

マスク肌荒れ対策5 基本の食事・運動・睡眠で、体の内側から“バリア機能”を高める

いくらスキンケアを頑張っても体が健康でなければ、肌も荒れてしまいます。
基本のライフスタイルにおける「食事」「運動」「睡眠」のインナーケアで、“肌のバリア機能”を高めましょう。

・食事
「腸の状態=肌の状態(肌は内臓の鏡)」といわれるほど、肌荒れと腸内環境には関係があります。おすすめは、善玉菌自身を増やす納豆、みそ、ヨーグルトなどの「発酵食品」と、善玉菌の栄養となる海藻、ごぼう、こんにゃく、きのこなどの「食物繊維」を一緒に摂ること。腸内環境を整えることにつながります。

・運動
運動不足になると、血液やリンパの流れが滞り、肌荒れやむくみ、肌の新陳代謝の低下を引き起こします。ただし、激しい運動は肌の老化を加速させる「活性酸素」が発生してしまうので逆効果です。コロナ禍でも自宅でできるストレッチやヨガなど、リラックスして体を動かす運動(スローエクササイズ)がおすすめです。

・睡眠
肌の修復や再生を行う成長ホルモンは、深い睡眠(ノンレム睡眠)時に分泌が促されるので、ノンレム睡眠の割合が高い“入眠後3時間”の睡眠の質を向上させましょう。朝食にトリプトファンを含む良質なタンパク質を摂ると、約15時間後にトリプトファンがセロトニンを産生し、メラトニン(睡眠ホルモン)に変化して良質な睡眠につながります。

・トリプトファンを多く含む食品……納豆や豆腐などの大豆製品、チーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、牛肉、卵、鶏肉、ナッツ、バナナなど。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、マスク生活はまだしばらく続くと思いますので、“マスク肌荒れ”対策には、“肌のバリア機能”を高めるケアをしていきましょう。