セラミド

「セラミド」とは?肌の保湿に欠かせない潤い成分

近年、スキンケアやインナーケアの分野でよく聞く「セラミド」という成分。
「セラミドが配合されていると、何だか肌によさそうな気がするけれど、実は何なのかよく分からない……」という人も多いのでは?
「セラミド」とはいったい何なのか、アンチエイジングの第一人者、日比野佐和子先生に基本から教えていただきました。

<監修>

日比野佐和子先生
医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授


ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。

目次

「セラミド」とは、表皮の角質層の中にある「保湿因子」のひとつ

肌の潤いを保つ「保湿因子(皮膚に元来備わっている保湿成分)」には「皮脂膜」「天然保湿因子(NMF)」「細胞間脂質(さいぼうかんししつ)」の3つがありますが、その中でも特に重要なのは細胞間脂質の50%以上の組成を占めるセラミドです。
細胞間脂質とは、角層細胞の間にある脂質のことで、「セラミド」を中心とした脂質が水分を挟み込んで、何層にも重なっています。

私たちの皮膚は、体の外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」で成り立っており、皮膚の一番外側が「表皮」です。
表皮はさらに、外側から順に「角質層(かくしつそう)」、「顆粒層(かりゅうそう)」、「有棘層(ゆうきょくそう)」、「基底層(きていそう)」という4層に分かれています。
セラミドが含まれているのは、表皮の中でも一番外側にある「角質層」です。
角質層はたったの0.02mmほどの厚さしかありませんが、紫外線や摩擦、ウイルスや細菌などの外部刺激から私たちの肌を守り、肌内部の潤いを逃さない “バリア機能”という大切な役割をもっています。

角質層の“バリア機能”は、角質層が水分や油分などの“潤い”で満たされることで、本来の機能が発揮されるようにできています。
外界の環境条件(湿度など)や角層の状態によって大きく変動することはありますが、一般的に健康な皮膚には、角質層に20~30%の水分が保たれているのです。

この角質層を潤いで満たし、バリア機能を司る代表的な3つの保湿因子が、前述でも示したように、「皮脂膜」「天然保湿因子(NMF)」「細胞間脂質」です。
それぞれどんな役割があるのか見ていきましょう。

<角質層のバリア機能を守る3つの保湿因子>


①皮脂膜

皮脂腺から出る皮脂(油分)と、汗腺から出る汗(水分)が混じったもので、「天然の保湿クリーム」といわれます。肌の表面を覆い、肌の水分の蒸発を防ぐ働きがあります。

②天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor)

「NMF」とも呼ばれる「天然保湿因子」は、その半分が肌の潤いの元である「アミノ酸」でつくられています。水分を取り込み、保持する働きがあり、肌の潤いを保つ上でカギとなる成分です。

③細胞間脂質

角質細胞同士をつなぎ、肌に水分を保つ役割をもっています。
セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などからできており、それぞれが水に結びつきやすい「親水基(しんすいき)」と「親油基(しんゆき:疎水基[そすいき]ともいう)」をもっているため、水分の層とセラミドの層が交互にでき、層状の構造(ミルフィーユ状)で重なって配置されています。
この構造を「ラメラ構造」といい、ラメラ構造が美しく整っていると肌の水分がきちんと保たれ、潤いに満ちた健康な肌を維持できます。

角質層の潤いの80%以上は細胞間脂質が担っているといわれています。
セラミドはこの細胞間脂質の主成分であり、細胞間脂質の50%以上の割合を占めます。

そのため、セラミドは角質層の潤いを保ち、バリア機能を高めるためのとても重要な成分なのです。

セラミドは肌の中でどのようにつくられる?肌のターンオーバーの仕組みとは

セラミドは「肌のターンオーバー(皮膚の新陳代謝)」の過程で生成されます。

ターンオーバーとは、古い皮膚が剥がれ落ち、新しい皮膚へと入れ替わる作用のこと。

表皮の基底層で生まれた細胞(角化細胞)が、有棘層、顆粒層、角質層と押し上げられていく過程で、細胞の「核」を失い、死んだ細胞となって、やがて垢(アカ)として剥がれ落ちるまでをさします。

セラミドはターンオーバーの中で、顆粒層から角質層に押し上げられる段階で生成されて、細胞間脂質の中に放出されます。

ターンオーバーのサイクルは、20代では約28日周期といわれていますが、加齢と共に新陳代謝が衰えていき、周期は徐々に長くなります。
50代になるとターンオーバーのサイクルは45日周期くらいに延びる
といわれ、加齢とともに、その過程で生成されるセラミドも減少していってしまうのです。

セラミドは50代になると、20代の半分にまで減ってしまうって本当!?

私たちの肌は、加齢によってターンオーバーのサイクルが長くなるだけでなく、“セラミドを生み出す力そのもの”も衰えていきます。

セラミドは年齢を重ねるほどに減少し、50代では20代の約半分にまで減少してしまう
といわれているのです。

セラミドが不足した細胞間脂質はスカスカになり、肌のバリア機能が低下して肌が乾燥しやすくなり、シワもできやすくなってしまいます。

そのため、年齢を重ねるにつれてスキンケアやインナーケアで、セラミドを補うことが大切になってくるのです。

“乾燥”でも減るセラミド。正しい洗顔&スキンケアで維持しよう

セラミドは加齢で減っていくだけでなく、洗いすぎや生活環境などによる肌の“乾燥”でも減ってしまいます。

「肌が乾燥する」→「セラミドが減る」→「バリア機能が低下して、さらに乾燥する」……という乾燥の負のスパイラルに陥ってしまうこともあるので注意しましょう。

特に気をつけたいのが毎日の洗顔です。
肌をゴシゴシこすって洗いすぎると、大切なセラミドも一緒に洗い流されてしまいます。

たっぷりの泡で優しく、摩擦を避けて洗顔するようにしてください。洗顔後はどんどん乾燥が進むので、セラミドを配合した化粧水などで素早く保湿しましょう。

セラミド配合の化粧水を選ぶ時は、パッケージの成分表示で原料と配合量をチェック

化粧品に配合されるセラミドは、原料により大きく4種類に分かれます。

哺乳類由来の「動物性セラミド」、酵母などから作る、人のセラミド構造に似た「ヒト型セラミド」、米など植物が由来の「植物性セラミド」、セラミドに似せて石油から化学合成した「合成セラミド(疑似セラミドともいう)」です。

中でも皮膚への浸透性がよく、高い保湿効果が期待できる「動物性セラミド」や人の肌と相性がよく、高い保湿効果が期待できる「ヒト型セラミド」がおすすめですが、価格はやや高めになります。

また、「セラミド配合」とうたっている場合、セラミドの原料だけでなく「配合量」も確認しましょう。
おすすめは化粧品のパッケージの成分表示を確認すること。
パッケージの成分表示の記載順序は「配合量の多い順に記載する」という決まりがあるため、成分表示の前のほうにセラミドが記載されているほど、配合量が多いことになります。

体の中からセラミドを補う「インナーケア」を始めよう

セラミド配合の化粧水は肌に直接作用して即効性がありますが、効果が塗った部位だけに限定されてしまうので、全身の肌のセラミドを増やすためには体の中から摂ることも大切です。

セラミドは、1日0.6mg以上摂るとよいといわれています。
最も含有量が多い「生芋こんにゃく」は100gあたり0.76mg
のセラミドを含みます。他にも米(米ぬか)、小麦(小麦胚芽)、大豆、わかめ、ひじき、牛乳などにも多く含まれているので積極的に摂りましょう。

ただ、1日0.6mgを食品だけで摂るのは難しいため、ドリンクやサプリメントなどで補うことも一案です。肌のターンオーバーサイクルは長いので、インナーケアは“継続する”ことで効果が実感できるようになります。

肌の保湿とバリア機能にとって重要なセラミドは、加齢と共に失われていってしまいます。セラミドを補うケアで、いつまでもみずみずしい素肌を保ちたいですね。