レモンバームとは?

レモンバームとは?

レモンバーム
レモンバームとは? レモンバームとは?

レモンバームは、さわやかな柑橘系の香りがすがすがしいハーブです。

ハーブと人との関わりの歴史はかなり長く、今でも多くの人がハーブのある暮らしを楽しんでいます。そんなハーブのなかでも、今、特に注目したいのが「レモンバーム」です。いちごの葉っぱに似たかたちで、それを少し大ぶりにしたような可愛いハーブですが、そこに秘められた力は無限大。2,000年以上前の昔から、植物界はもちろん、美容界でも注目されていました。

さて、この小さな葉っぱの大きなパワーとはいったいどんなものか、探っていきましょう。

レモンバームは、さわやかな柑橘系の香りがすがすがしいハーブです。

ハーブと人との関わりの歴史はかなり長く、今でも多くの人がハーブのある暮らしを楽しんでいます。そんなハーブのなかでも、今、特に注目したいのが「レモンバーム」です。いちごの葉っぱに似たかたちで、それを少し大ぶりにしたような可愛いハーブですが、そこに秘められた力は無限大。2,000年以上前の昔から、植物界はもちろん、美容界でも注目されていました。

さて、この小さな葉っぱの大きなパワーとはいったいどんなものか、探っていきましょう。

監修

監修

日比野佐和子先生 医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授 日比野佐和子先生 医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授
渡辺肇子先生
薬剤師 オフィスパナケイア代表
渡辺肇子先生
薬剤師 オフィスパナケイア代表

わたなべ はつこ 薬剤師。

北里大学薬学部製薬学科卒業。外資系製薬会社勤務を経て、1999年、メディカルハーブ広報センターを設立。NPO 日本メディカルハーブ協会(旧メディカルハーブ広報センター)理事。一般社団法人 ハーブティーブレンドマイスター協会 理事。
「メディカルハーブ安全性ハンドブック」(東京堂出版)監訳。「ハーブティー大事典」(ナツメ社)監修。
植物療法の分野における臨床、研究、教育の三本柱を基本構想としながら、
西洋医学と代替療法のよりよい共存と、統合医療の発展を目指して活動中。

わたなべ はつこ 薬剤師。

北里大学薬学部製薬学科卒業。外資系製薬会社勤務を経て、1999年、メディカルハーブ広報センターを設立。NPO 日本メディカルハーブ協会(旧メディカルハーブ広報センター)理事。一般社団法人 ハーブティーブレンドマイスター協会 理事。
「メディカルハーブ安全性ハンドブック」(東京堂出版)監訳。「ハーブティー大事典」(ナツメ社)監修。
植物療法の分野における臨床、研究、教育の三本柱を基本構想としながら、
西洋医学と代替療法のよりよい共存と、統合医療の発展を目指して活動中。

レモンバームの別名は「メリッサ」

レモンバームの別名は「メリッサ」

メリッサは古代ギリシャ語でミツバチの意味。 メリッサは古代ギリシャ語でミツバチの意味。

古くから長寿のハーブとして知られているレモンバームですが、その学名を「Melissa officinalis」、属名「メリッサ」といいます。
メリッサは古代ギリシャ語でミツバチの意味。ではなぜミツバチなのでしょうか? その理由は、レモンバームの葉をこすると、ミントとレモンを合わせたような爽やかな香りが広がり、その香りが、とりわけミツバチを多く引きつけることから、その名がついたようです。
ミツバチの名の通り、メリッサ、つまりレモンバームは、2000年以上も前から地中海沿岸で「養蜂植物」「蜜源植物」として栽培、利用されてきたという歴史があります。そして「Melissa officinalis」、この種小名の「オフィキナリス」は、ラテン語で「薬用(薬効)の」を意味します。このことからも、レモンバームの秘めたるパワーが想像できますね。

養蜂植物からはじまったレモンバームの歴史は、以来さまざまな国や民族を魅了しながら延々と続いていきます。
ギリシャ人やローマ人は、レモンバームを料理の香りづけや薬草として珍重し、人々は発熱するとレモンバーム入りのワインを飲み、刻んだ葉で傷を癒したと伝えられます。
またアラブ人は、心臓の不調の際や、記憶力や精神力を高めたいときの秘薬としてレモンバームを高く評価しました。
9世紀のカール大帝の時代では、男子修道院の薬草園にレモンバームを植えるよう命じられ、続く中世やルネサンス期には、外傷や消化不良の治癒、不安や不眠の緩和にも用いられたといいます。

こうしたレモンバームと人との長い歴史のなかでも最も有名な関わりが、1379年にカルメル会の修道女によって作られた「カルメル水」です。
これはレモンバームとアンジェリカ(西洋当帰:セイヨウトウキ)を、さまざまな香辛料と一緒に混ぜ、アルコールに浸して成分を抽出したもので、万能薬、不老長寿の薬として1611年にはカルメル修道会によって商品化されました。
驚くことにこの「カルメル水」、実は現在でも変わることなく、スイスのドゥヴリエのカルメル修道会の修道院で作られ続けているロングセラー商品となっています。

古くから長寿のハーブとして知られているレモンバームですが、その学名を「Melissa officinalis」、属名「メリッサ」といいます。
メリッサは古代ギリシャ語でミツバチの意味。ではなぜミツバチなのでしょうか? その理由は、レモンバームの葉をこすると、ミントとレモンを合わせたような爽やかな香りが広がり、その香りが、とりわけミツバチを多く引きつけることから、その名がついたようです。
ミツバチの名の通り、メリッサ、つまりレモンバームは、2000年以上も前から地中海沿岸で「養蜂植物」「蜜源植物」として栽培、利用されてきたという歴史があります。そして「Melissa officinalis」、この種小名の「オフィキナリス」は、ラテン語で「薬用(薬効)の」を意味します。このことからも、レモンバームの秘めたるパワーが想像できますね。

養蜂植物からはじまったレモンバームの歴史は、以来さまざまな国や民族を魅了しながら延々と続いていきます。
ギリシャ人やローマ人は、レモンバームを料理の香りづけや薬草として珍重し、人々は発熱するとレモンバーム入りのワインを飲み、刻んだ葉で傷を癒したと伝えられます。
またアラブ人は、心臓の不調の際や、記憶力や精神力を高めたいときの秘薬としてレモンバームを高く評価しました。
9世紀のカール大帝の時代では、男子修道院の薬草園にレモンバームを植えるよう命じられ、続く中世やルネサンス期には、外傷や消化不良の治癒、不安や不眠の緩和にも用いられたといいます。

こうしたレモンバームと人との長い歴史のなかでも最も有名な関わりが、1379年にカルメル会の修道女によって作られた「カルメル水」です。
これはレモンバームとアンジェリカ(西洋当帰:セイヨウトウキ)を、さまざまな香辛料と一緒に混ぜ、アルコールに浸して成分を抽出したもので、万能薬、不老長寿の薬として1611年にはカルメル修道会によって商品化されました。
驚くことにこの「カルメル水」、実は現在でも変わることなく、スイスのドゥヴリエのカルメル修道会の修道院で作られ続けているロングセラー商品となっています。

レモンバームの用いられかた

レモンバームの用いられかた

レモンバームのハーブティ レモンバームのハーブティ

その昔から「人を喜ばせるハーブ」として珍重され、利用され続けてきたレモンバーム。現代に入っても、その優れた機能から多くの人々をいまだ惹きつけてやみません。

たとえばヨーロッパでは、身近なところで、食品や飲み物の香りづけに使ったり、サラダやスープなど料理の材料としたり。ハーブティーとして親しまれることはもちろん、ときには、スキンケアなどの美容目的にも使われたりしています。

ですが、レモンバームの有用性はこれだけにとどまりません。レモンバームとの関わりは数千年もの歴史があり、その長い時間の中で研究され、見出されてきたさまざまなはたらきのなかでも、とりわけ心身のデリケートな状態を穏やかに調整する作用が注目されています。

例えばドイツでは、レモンバームを、神経の緊張やストレスによる不安、あるいはパニックなどの際に、それらを穏やかに鎮めるハーブティーやハーブバスとして利用するのが一般的な利用法となっています。

 

こうした「心の鎮静効果」以外にも、レモンバームは、子どもを含む幅広い年齢で利用できる植物性の消化剤としても活用されています。
これはレモンバームが神経系に作用し、消化管の筋肉をゆるやかに弛緩させる機能を持つためとされ、ヨーロッパ諸国では、消化器系の不調からくる食欲不振や、胃腸の不快感、膨満感などに、レモンバームのお茶が用いられることも多いようです。

さらに近年、レモンバームの作用を深く掘り下げるべく、詳しい成分などの研究が進み、レモンバームの主成分が、シトラール、シトロネラールなどの精油成分、タンニン類、フェノール類(ロスマリン酸、カフェ酸)などで構成されていることがわかりました。
これらの成分の解析によって、また新たに、抗菌、抗ウイルスや抗酸化の作用が期待できることもわかってきています。

このように昔から現代に至るまで、その幅広い効能で人々に利用されてきたレモンバーム。そしてこれからも、この植物のポテンシャルを引き出す研究は続きそうです。
いずれにせよ、ストレスを和らげ、心身を穏やかに調整し、さらにはお腹の調子を整え、ウイルスから守るなど、レモンバームのパワーは、私たちの暮らしに欠かせないものになっていくでしょう。

その昔から「人を喜ばせるハーブ」として珍重され、利用され続けてきたレモンバーム。現代に入っても、その優れた機能から多くの人々をいまだ惹きつけてやみません。

たとえばヨーロッパでは、身近なところで、食品や飲み物の香りづけに使ったり、サラダやスープなど料理の材料としたり。ハーブティーとして親しまれることはもちろん、ときには、スキンケアなどの美容目的にも使われたりしています。

ですが、レモンバームの有用性はこれだけにとどまりません。レモンバームとの関わりは数千年もの歴史があり、その長い時間の中で研究され、見出されてきたさまざまなはたらきのなかでも、とりわけ心身のデリケートな状態を穏やかに調整する作用が注目されています。

例えばドイツでは、レモンバームを、神経の緊張やストレスによる不安、あるいはパニックなどの際に、それらを穏やかに鎮めるハーブティーやハーブバスとして利用するのが一般的な利用法となっています。

 

こうした「心の鎮静効果」以外にも、レモンバームは、子どもを含む幅広い年齢で利用できる植物性の消化剤としても活用されています。
これはレモンバームが神経系に作用し、消化管の筋肉をゆるやかに弛緩させる機能を持つためとされ、ヨーロッパ諸国では、消化器系の不調からくる食欲不振や、胃腸の不快感、膨満感などに、レモンバームのお茶が用いられることも多いようです。

さらに近年、レモンバームの作用を深く掘り下げるべく、詳しい成分などの研究が進み、レモンバームの主成分が、シトラール、シトロネラールなどの精油成分、タンニン類、フェノール類(ロスマリン酸、カフェ酸)などで構成されていることがわかりました。
これらの成分の解析によって、また新たに、抗菌、抗ウイルスや抗酸化の作用が期待できることもわかってきています。

このように昔から現代に至るまで、その幅広い効能で人々に利用されてきたレモンバーム。そしてこれからも、この植物のポテンシャルを引き出す研究は続きそうです。
いずれにせよ、ストレスを和らげ、心身を穏やかに調整し、さらにはお腹の調子を整え、ウイルスから守るなど、レモンバームのパワーは、私たちの暮らしに欠かせないものになっていくでしょう。

レモンバームの植物学

レモンバームの植物学

それでは植物としてのレモンバームとはどのようなものか、みていきましょう。

それでは植物としてのレモンバームとはどのようなものか、みていきましょう。

レモンバームの植物学 レモンバームの植物学

一般的な呼び名: レモンバーム

学名: Melissa officinalis (メリッサ オフィキナリス
科: シソ科
使用される部位: 葉
原産地: 南ヨーロッパ
和名: 香水薄荷(こうすいはっか)、西洋山薄荷(せいようやまはっか)

一般的な呼び名: レモンバーム

学名: Melissa officinalis (メリッサ オフィキナリス
科: シソ科
使用される部位: 葉
原産地: 南ヨーロッパ
和名: 香水薄荷(こうすいはっか)、西洋山薄荷(せいようやまはっか)

レモンバームは、身の丈が30〜90cmくらいまでに成長する直立の多年草です。茎は全体に細かい毛で覆われ、そのところどころに、ハーブとして使用される葉が密生します。

葉っぱは、2つの葉が向き合うように一対の節に生える対生型。形は卵型からひし形があり、表面には葉脈のように緑のヒダが扇形に波打ち、葉の裏面には軟毛(腺毛)が密生しています。この葉をこすると、独特のレモンオイルのような柑橘系の香りがあたり一面に漂うわけです。

レモンバームは、もちろん花も咲かせます。時期は夏の終わり。とても小さな1cmにも満たない花ですが、淡い黄色やピンク、白い花が4〜12輪、茎のてっぺんに輪生し、見た目はとても可憐です。

 

このレモンバーム、本来の原産は南ヨーロッパになりますが、今ではその生息範囲も広がり、英国やスウェーデン、中央ロシアなど、ヨーロッパ大陸のほぼ全域に分布。北米でも、東部の州の多くやカナダの各州で広範囲に野生化している株を見ることができます。

 

もちろん、レモンバームは野生種だけではありません。薬草園に植えられていた9世紀の頃から、人の身近で育てることが可能な植物でもあります。しかもいたって丈夫で育てやすいのが特徴なので、今では多くの家の庭やプランター、軒先に植えられている姿が見受けられます。そう、レモンバームはハーブガーデンにもぴったりの、カジュアルな植物でもあるのです。

レモンバームは、身の丈が30〜90cmくらいまでに成長する直立の多年草です。茎は全体に細かい毛で覆われ、そのところどころに、ハーブとして使用される葉が密生します。

葉っぱは、2つの葉が向き合うように一対の節に生える対生型。形は卵型からひし形があり、表面には葉脈のように緑のヒダが扇形に波打ち、葉の裏面には軟毛(腺毛)が密生しています。この葉をこすると、独特のレモンオイルのような柑橘系の香りがあたり一面に漂うわけです。

レモンバームは、もちろん花も咲かせます。時期は夏の終わり。とても小さな1cmにも満たない花ですが、淡い黄色やピンク、白い花が4〜12輪、茎のてっぺんに輪生し、見た目はとても可憐です。

 

このレモンバーム、本来の原産は南ヨーロッパになりますが、今ではその生息範囲も広がり、英国やスウェーデン、中央ロシアなど、ヨーロッパ大陸のほぼ全域に分布。北米でも、東部の州の多くやカナダの各州で広範囲に野生化している株を見ることができます。

 

もちろん、レモンバームは野生種だけではありません。薬草園に植えられていた9世紀の頃から、人の身近で育てることが可能な植物でもあります。しかもいたって丈夫で育てやすいのが特徴なので、今では多くの家の庭やプランター、軒先に植えられている姿が見受けられます。そう、レモンバームはハーブガーデンにもぴったりの、カジュアルな植物でもあるのです。

まとめ

まとめ

レモンバームははるか遠い昔から、人々の心身の不調に寄り添い、その穏やかな作用でさまざまな症状を癒してきました。レモンバームが「人を喜ばせるハーブ」と呼ばれるのも納得ですね。ミツバチが好む植物であることからはじまり、人の身近で役立ちながら、現代になってもなお、その秘められた能力の解明が進み続けています。

ところで、レモンバームと香りが似たハーブにレモングラスがありますが、こちらはイネ科で、乾燥させないと香りが出てこないそうです。よくタイ料理などに使われていますが、レモンバームとは別物なので、どうかお間違いなく。

レモンバームははるか遠い昔から、人々の心身の不調に寄り添い、その穏やかな作用でさまざまな症状を癒してきました。レモンバームが「人を喜ばせるハーブ」と呼ばれるのも納得ですね。ミツバチが好む植物であることからはじまり、人の身近で役立ちながら、現代になってもなお、その秘められた能力の解明が進み続けています。

ところで、レモンバームと香りが似たハーブにレモングラスがありますが、こちらはイネ科で、乾燥させないと香りが出てこないそうです。よくタイ料理などに使われていますが、レモンバームとは別物なので、どうかお間違いなく。