妊娠中・授乳中の花粉症治療~選ぶべき薬は?

妊娠中や授乳中は薬の使用に慎重になりますよね。でも、花粉症の症状が辛くて仕方がないときはどうすればいいのでしょう。赤ちゃんに悪影響を及ぼさない花粉症対策とは?

妊娠中に花粉症の薬を飲んでも大丈夫?

妊娠中は、花粉症の薬に対して慎重な対応が求められます。特に赤ちゃんの器官がつくられる妊娠2〜4カ月目では、薬の成分が赤ちゃんの悪影響を及ぼしやすいため、医師も原則としてお薬の使用は避けます。
妊娠5カ月を過ぎると、普通は奇形という問題は起こらないとされています。それでもお母さんが飲んだお薬の成分が胎盤を通って赤ちゃんに届き、影響を与えることはあります。

くしゃみ・鼻みず・鼻づまりといった鼻炎症状が強くて日常生活にどうしても支障がある場合は、点眼薬や点鼻薬を使います。点眼薬や点鼻薬は、血液の中に移行する薬効成分の量が少ないので比較的安全です。点眼薬は抗アレルギー点眼薬や抗ヒスタミン点眼薬、点鼻薬では抗アレルギー点鼻薬や抗ヒスタミン点鼻薬、ステロイド点鼻薬を症状や重症度に合わせて使います。

それでも症状が改善しない場合は、妊娠5カ月以降は安全性の高い内服薬を使用するようにします。
つまり、妊娠5カ月以降ならば薬物療法を行うことは可能ですが、市販薬を自己判断で飲むことはNGです。必ず医師の診断を受け、薬を処方してもらうようにします。花粉症の症状がつらいときは、かかっている産婦人科で相談しましょう。

妊娠5カ月以降の妊婦に対する安全性が確認されている内服薬の成分

・ロラタジン
・d-クロルフェニラミンマイレン酸塩
・dl-クロルフェニラミンマイレン酸塩
・ジフェンヒドラミン塩酸塩
・シプロヘプタジン塩酸塩水和物など

妊娠に気づかずお薬を飲んでしまった! どうすればいい?

妊娠初期、妊娠に気づかずに花粉症のお薬を飲んでしまった場合には、まず産婦人科医に相談をしてください。どの薬をいつからいつまで飲んだのか、きちんと伝えることが大切です。
花粉症の内服薬で奇形などのリスクが高いものはありませんが、妊婦さんと産婦人科医が飲んだお薬の情報を共有し、赤ちゃんの成長を慎重に見守っていく必要があります。

妊娠中の花粉症対策は?

妊娠中は鼻の粘膜がむくみやすいため、花粉症の鼻炎症状が悪化しがちです。いままで花粉症でなかった人が、妊娠や出産を機に花粉症を発症することもあります。
鼻づまりがあるときは、蒸しタオルで鼻を温めると血行がよくなってむくみが軽減します。入浴やマスクの着用も有効です。

しかし、最も重要なのは花粉を浴びないようにすることです。外出時はマスク、メガネ、帽子などで花粉から身を守りましょう。花粉のつきやすい起毛などの素材の服は避け、すべすべした素材の服を着るようにすることも大切です。また、外出から帰ったら、家に入る前に花粉を払い落とし、手洗いやうがい、洗顔、入浴などで体についた花粉を洗い流すようにすると、症状を悪化させずにすみます。花粉症のシーズンはこまめに家の中を掃除し、空気清浄機(高性能HEPAフィルター付)を寝室に置いて24時間作動させます。

妊娠中に舌下免疫療法はやめた方がいい?

妊娠前から舌下免疫療法を行っている場合は、妊娠しても中止する必要はないとされています。早産や奇形、高血圧やたんぱく尿などの異常を起こしたという報告は世界的にもありません。

妊娠がわかったら産婦人科の主治医には舌下免疫療法を行っていることを、花粉症の主治医には妊娠したことを報告しましょう。自分の状況をきちんと伝えることで、医師も十分注意したうえで安全に治療を継続することができます。
ただし、妊娠中に舌下免疫療法を新たに始めることに対しては、安全かどうかはっきりわかっていないのでおすすめできません。

授乳中の花粉症対策

授乳中の花粉症対策は、妊娠5カ月以降の花粉症対策と基本的には同じです。花粉を浴びるのを避け、くしゃみ・鼻みず・鼻づまり、目のかゆみなどがひどい場合は、医師に相談して授乳中でも使える成分の入った点眼薬や点鼻薬を処方してもらいましょう。

自己判断で市販の内服薬を服用するのは控えたほうがいいでしょう。授乳中に内服したお薬の成分は母乳の中に残るため、医師に授乳中であることを告げ、安全性の高いお薬を処方してもらいましょう。

授乳中の人に対する安全性が確認されている内服薬の成分

使える花粉症の内服薬の成分
・ロラタジン
・d-クロルフェニラミンマイレン酸塩
・dl-クロルフェニラミンマイレン酸塩
・ジフェンヒドラミン塩酸塩
・シプロヘプタジン塩酸塩水和物など

妊娠中・授乳中の花粉症、漢方薬は飲んでも大丈夫?

漢方薬は体にやさしくて安全というイメージがありますが、薬である以上副作用の心配がゼロということはありません。
花粉症治療の指針である『鼻アレルギー診療ガイドライン 2020年版』(鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会)では妊娠中・授乳中の人に対する漢方薬の使用はすすめていません。
妊娠・授乳中に花粉症の症状がつらいときは、妊娠中・授乳中の人への安全性が確認されている薬を処方してもらいましょう。

どうしても薬を使いたくないときは?

妊娠・授乳中でどうしてもお薬を使いたくないという場合は、花粉を浴びるのを徹底的に避けるようにするのがいちばん効果的です。
繰り返しになりますが、家の中をこまめに掃除し、空気清浄機(高性能HEPAフィルター付)を寝室に置いて24時間作動。外出時はマスク、メガネ、帽子、花粉のくっつきにくいすべすべした素材の服を着用。家に入る前に花粉を払い落とし、手洗いやうがい、洗顔、入浴などで体についた花粉を洗い流しましょう。

教えてくれた先生

松脇 由典 先生
松脇 由典 先生
医療法人社団 恵芳会
松脇クリニック品川 院長
耳鼻咽喉科・アレルギー科医師
松脇クリニック品川
【略歴】
1994年3月
東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月
東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 
理事長
現在に至る
【学会】

日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会

【賞罰】
平成24年
日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年
米国アレルギー喘息免疫学会 
Featured presentation
平成17年
東京慈恵会医科大学 金杉賞
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