花粉症の点鼻薬・点眼薬は、内服薬と併用してもいいの?
医師に教わる効果的な花粉症市販薬の使い方

花粉症はだるさや眠気といった全身症状の他、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、目のかゆみなどの局所的な症状が強いのが特徴です。鼻や目の症状がつらい時に、市販の点鼻薬や点眼薬を使って上手に症状をコントロールする方法や、内服薬との併用について、耳鼻咽喉科医の松脇由典先生に教えていただきました。

鼻や目の症状がつらい時は、外用薬の選択も

花粉症に使われる市販薬には、内服薬以外に、外用薬(点鼻薬、点眼薬)があります。鼻に噴霧する点鼻薬や、目にさす点眼薬は、内服薬とはどんな違いがあり、どのような場合に有効なのでしょうか。

外用薬は、効き目の早さと副作用の少なさが特徴

1つの症状に対して内服薬か外用薬かを選べる場合がありますが、花粉症はこれに当てはまります。いずれもくしゃみ、鼻みず、鼻づまり、目のかゆみなどのつらい症状を抑えるための対症療法薬で、それぞれ次のような特徴があります。

<内服薬の特徴>
・有効成分が血管を巡って体のすみずみに送り届けられるので、目、鼻、のど、皮膚など体全体のアレルギー反応を抑える
・効果が現れるまでに時間のかかるものもある
・眠気などの副作用が起こることがある

<点鼻薬・点眼薬の特徴>
・内服薬に比べ、早く効果を実感できる
・眠気などの副作用が起こりにくいものが多い
・鼻や目の粘膜に直接使用するため、効果が現れる範囲は限定的

このように、点鼻薬や点眼薬にはピンポイントで症状を抑える効果があり、一般的に内服薬よりも効き目が早く、眠気などの副作用が少ない点がメリットといえます。

軽症の場合、点鼻薬あるいは点眼薬をファーストチョイスにするのもOK

医療機関での治療では、軽症の花粉症の場合、内服薬(第2世代抗ヒスタミン薬)や外用薬の中から、その人の生活スタイルに合ったものが1つ選択されます。

市販薬でもこれと同様で、症状や生活スタイルに合わせて内服薬だけを選んでも、点鼻薬あるいは点眼薬だけを選んでもかまいません。点鼻薬あるいは点眼薬のみをファーストチョイスにするとよいのは、例えば次のようなケースです。

・鼻の症状と目の症状のどちらか一方がつらい
・車の運転や機械の操作、高所作業をするため、眠気を避けたい
・他にも薬をのんでいるので、成分の重複を避けたい

最近では眠気を起こしにくい市販の内服薬もあるので、内服薬にするか外用薬でいくか、以前よりも選択肢が広がってきました。

鼻のつらい症状によって選ぼう!
点鼻薬の種類と選ぶ際のポイント

点鼻薬は鼻の粘膜の充血や腫れを抑え、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの鼻症状を緩和する薬です。鼻の中に噴射して粘膜に直接作用するため、内服薬よりも効き目が早く、全身への副作用が起こりにくくなっています。成分をよく確かめ、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

花粉症の症状に向く市販の点鼻薬には主に次の3タイプがあります。

① ステロイド点鼻薬……花粉による季節性アレルギー専用の局所ステロイド薬。優れた抗炎症作用により、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりを抑える。患部でよく効き、全身的な副作用が起こりにくい。症状が重い人に向く。
② アレルギー専用点鼻薬……花粉、ハウスダストなどによるアレルギー症状専用。抗ヒスタミン成分や血管収縮成分が入っている。
③ 急性鼻炎・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎用点鼻薬……抗ヒスタミン成分および血管収縮成分の配合量が②よりも多く、鼻みず、鼻づまりがつらい人に向く。

ステロイド点鼻薬は治療効果が高く、医療機関でも花粉症の第一選択薬として使用されている薬です。副作用は少ないといわれていますが、あまり長期にわたって使用すると鼻の乾燥感や違和感、鼻出血などが起こることがあるため、1年間に3カ月までなど、使用できる期間が決められているものもあります。使用の際は、添付文書をよく読み、使用期間や使用方法を守るようにしましょう。

②と③に配合されている血管収縮薬成分は、鼻づまりに即効性があり効果も実感しやすい成分ですが、使用を繰り返すと効き目が薄れるだけでなく、逆に鼻炎の症状を悪化させてしまうことがあります(点鼻薬性鼻炎)。使用する場合は添付文書をよく読み、長期間の使用は避けるようにしましょう。

<代表的な血管収縮成分>
・ナファゾリン塩酸塩
・塩酸テトラヒドロゾリン
・オキシメタゾリン塩酸塩

目のつらい症状によって選ぼう!
点眼薬の種類と選ぶ際のポイント

点眼薬は目の充血やかゆみ、涙目などを緩和する薬です。目の粘膜に直接作用するので、内服薬よりも効き目が早く、眠気などの副作用が少なく抑えられます。市販のアレルギー専用点眼薬には、医療用医薬品と同じ成分を配合したOTC薬もあります。

花粉症の症状に向く市販の点眼薬には主に次の2タイプがあります。

① アレルギー専用点眼薬……アレルギー症状の発生を抑える作用をもつ成分が入っている。目のかゆみが強い人に向く。
② 目のかゆみ・充血用点眼薬……血管収縮成分が入っているものが多い。目の充血が強い人に向く。

すでに花粉症のアレルギー症状が出ていて、強いかゆみに悩んでいる場合は、①のアレルギー専用点眼薬を選びましょう。毎年ひどい症状に悩まされている人は、花粉が飛散し始め、症状を感じたらすぐに点眼し始めるのがおすすめです。このタイプの点眼薬の中には、花粉症の予防薬として使うことができるものもあります。

②に含まれる血管収縮成分は、常用すると血液循環が悪くなり、ドライアイや目の機能低下などを招く恐れもあります。使用の際は添付文書をよく読み、常用は避け、使用方法や使用回数を守るようにしましょう。

点眼薬によって、コンタクトレンズをつけたまま使えるもの、使えないものがあります。コンタクトレンズユーザーは商品パッケージの記載を確認し、自分に合ったものを選択するようにしましょう。ただし、花粉症の症状がひどい時は目への負担を軽減するため、コンタクトレンズの使用を控え、メガネを使うことをおすすめします。

外用薬は内服薬と併用できる? 併用のメリットは?

目と鼻の症状が共につらい時は、内服薬や外用薬の単独使用よりも、併用したほうが効果的に症状を抑えることができます。

花粉症は症状のタイプやその重症度によって、治療法や使用する薬が異なります。医療機関では、中等症以上の場合、内服薬にステロイド点鼻薬を組み合わせるのが一般的で、軽症の場合でも内服薬にステロイド点鼻薬を追加することがあります。市販薬も同様で、内服薬と外用薬の併用により、つらい症状を抑える効果が高まります。

花粉症の3つのタイプと重症度の目安

タイプ
症状
重症度の目安
くしゃみ・鼻漏型
くしゃみと鼻みずがほぼ同じ程度に発症し、鼻づまりよりも重症な状態
1日平均でくしゃみと鼻をかむ回数が6回以上で、鼻づまりによる口呼吸が全くない場合は、このタイプの中等症以上
鼻閉型
くしゃみ・鼻みずは軽度で、鼻づまりが重症な状態
鼻づまりが強く口呼吸があり、くしゃみや鼻をかむ回数が1日5回以下の場合は、このタイプの中等症以上
充全型
くしゃみ・鼻みず、鼻づまりがいずれも同程度の場合
くしゃみと鼻をかむ回数が1日6回以上で、鼻づまりが強く口呼吸がある場合は、このタイプの中等症以上



花粉症は症状によって3つのタイプに分けられます。どのタイプの花粉症であっても、中等症の場合は内服薬と外用薬(点鼻薬・点眼薬)の併用が有効です。ただし、症状の重さが中等症の目安を上回る場合は市販薬だけでは対応できないことが多いので、医療機関を受診するようにしましょう。

点鼻薬には目の症状を改善する効果も

市販薬の併用パターンにはいくつかありますが、例えば目と鼻の両方の症状がつらい時は、まずは点鼻薬あるいは内服薬を使い、効果が不十分な場合にさらに点眼薬を併用するのも1つの方法です。

実は、花粉症の目の症状と鼻の症状にはかなり深い関係があり、鼻炎の症状が強いと目の症状も起こりやすいことが分かっています。こうした目と鼻の関係は「眼‐鼻反射」と呼ばれ、ステロイド点鼻薬を使って鼻の症状が改善すると、同時に目の症状も改善することが報告されています。そのため、まず鼻の症状をステロイド点鼻薬で抑えることが大切なのです。

<市販薬の併用例>
くしゃみ・鼻みず・鼻づまりがつらい ➡ 点鼻薬×内服薬

くしゃみ・鼻みず・鼻づまりと目のかゆみがつらい ➡ 点鼻薬×点眼薬

目のかゆみがつらい ➡ 点眼薬×内服薬

併用する時はここに気をつけよう

内服薬には、眠気の副作用が起こるものもあります。車の運転をする人などは、添付文書の注意書きをよく読み、用法に従って使用しましょう。眠気の少ない内服薬を希望する場合は、医師や薬剤師に相談してください。

市販薬を2週間ほど使用して症状の改善が見られない場合は、医療機関を受診してください。また、高熱が出たり、色のついた鼻みずが出たり、急に症状が悪化したりした場合も花粉症以外の病気が考えられるので、受診するようにしてください。

教えてくれた先生

松脇 由典 先生 松脇 由典 先生

松脇 由典 先生

医療法人社団 恵芳会
松脇クリニック品川 院長
耳鼻咽喉科・アレルギー科医師
松脇クリニック品川

【略歴】
1994年3月東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 理事長
現在に至る

【学会】
日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会

【賞罰】
平成24年日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年米国アレルギー喘息免疫学会 Featured
presentation
平成17年東京慈恵会医科大学 金杉賞