あまり聞かないイネ科花粉症。種類や特徴、症状などを知って対策につなげよう

イネ科の植物が花粉症の原因になることは、あまりよく知られていません。しかし、実際にはイネ科の花粉症は増加傾向にあります。カモガヤなど、身近に生息しているイネ科植物による花粉症は、初夏から秋にかけて発症します。

イネ科花粉症の原因はお米の稲ではない

イネ科植物にはさまざまな種類があり、イネといってもお米がとれる稲の花粉だけというわけではありません。稲に反応してしまう人もいますが、多くのイネ科花粉症の原因植物は、カモガヤやネズミホソムギなど、海外から輸入された牧草になります。家の近くに田んぼがないからと安心はできません。

原因となるイネ科植物の種類

イネ科花粉症の原因になるのは、おもにカモガヤ、ネズミホソムギ、オニウシノケグサ、ハルガヤ、オオアワガエリなどです。これらは牧草として輸入され広く利用されていますが、寒さに強く繁殖力があることから、雑草として日本全国に広がりました。
とくに花粉症の原因になりやすいのはカモガヤです。草丈は60㎝〜120㎝程度で、葉は緑色、枝の先に小さな白っぽい花が集まって咲きます。
イネ科の植物の花粉の飛散範囲は数十m程度。近づかなければあまり影響はありません。しかし、気づかずにイネ科の植物に直接触れてしまうと、花粉症の症状が強く出たり、肌荒れ(花粉皮膚炎)を起こすこともあるので、イネ科の植物の特徴を覚えて近づかないようにしましょう。

カモガヤ
ハルガヤ

イネ科植物が生息している場所

イネ科の植物は、歩道の端や空き地、草地、河川敷などに広く生息しています。
雑草として繁茂しているこれらの植物が花を咲かせて花粉を飛ばす前に、草刈りを行うとよいのですが、カモガヤなどは、茎を地中深くまで伸ばしているので、この地下茎と呼ばれる部分も駆除しないと、すぐにまた生えてきてしまいます。
空き地や河川敷の除草を個人で行うことは難しいですが、ご自分の家の庭で見つけたら、夏前に雑草駆除することが花粉症予防という観点からも大切です。

イネ科花粉の特徴

イネ科植物の花粉は、球形で1つの孔(穴)を持っていることが特徴的です。大きさはさまざまです。飛散範囲はだいたい数十m。樹木の花粉と違い、風に乗って遠くまで飛ぶことはありません。
一方で、花粉が飛散する期間は長く、関東、関西、九州では真冬以外、少量ですが飛散が確認されています。

イネ科花粉症の症状

イネ科の花粉症もくしゃみ・鼻みず・鼻づまりが中心ですが、スギ花粉症よりも目のかゆみ、充血など、アレルギー結膜炎の症状が強く出やすい傾向があります。
花粉に接触しないようにイネ科植物の生息地を避け、外出時はメガネをかけるなど、目の症状の対策をしっかり行うようにしましょう。

イネ科花粉のピーク時期と飛散状況

イネ科植物の花粉飛散状況
エリア 飛散開始時期 飛散終息時期 飛散ピーク時期
北海道 5月初旬 9月いっぱい 6月中旬から6月いっぱい
東北 3月下旬 10月いっぱい(12月下旬に少量飛散) 5月初旬から6月中旬
8月初旬から9月いっぱい
関東 2月中旬 12月いっぱい 4月中旬から7月上旬、7月下旬から10月中旬
東海 3月下旬 10月いっぱい 飛散量は少ない
関西 1月上旬 11月中旬 4月下旬から5月いっぱい、8月中旬から9月上旬、10月上旬
九州 2月中旬 11月いっぱい(12月下旬に少量飛散) 4月中旬から6月中旬、8月下旬から9月初旬、10月初旬

出典:「鼻アレルギー診療ガイドライン2016」より

イネ科花粉症の対策方法

イネ科の花粉は遠くまで飛散しないものの、私たちのまわりに普通に生息しています。
したがって、イネ科植物が生息している可能性のある草むらなどには、入らない!近づかない!と、自らの行動を律することが、イネ科花粉症対策の鉄則です。
とくに、気温が高めでよく晴れた日は要注意です。イネ科植物の花粉は午前中に大半が飛散し、そのピークは8時から10時です。午前中の気温が低く、午後から上がったときは午後の飛散が増えることもあります。

外出するときの花粉症対策

外出するときの対策は、ほかの花粉症と同様です。

マスクをする

花粉が入り込む隙間を作らないように、顔の大きさに合うマスクを選び、正しく装着しましょう。

【立体型マスクの正しい付け方】

顔にフィットさせ、ノーズピースを鼻の形に合わせる

【プリーツ型マスクの正しい付け方】

1.プリーツを上下に伸ばし、マスクを広げる
2.顔に当ててノーズピースを鼻の形に合わせ、マスクをあごの下まで伸ばす
3.顔にフィットさせながら、耳にゴムひもをかける

メガネをかける

イネ科花粉症は、目の症状が強く出やすいので、外出時はメガネをかけましょう。伊達メガネやサングラスでも、目に入る花粉の量を減らせますが、「フード」のついた花粉症用メガネならより効果的です。

つばの広い帽子をかぶる

髪の毛に花粉が付くのを防ぐために、つばの広い帽子をかぶりましょう。

花粉が付着しにくい服を着る

ツルツルした素材の服は、花粉が付着しにくいので、花粉が飛ぶ時期におすすめです。服を洗濯するときに柔軟剤を使うと、静電気の発生を抑えられ、花粉もつきにくくなります。

帰宅したときの花粉症対策

帰宅したら花粉を家に持ち込まないように気をつけましょう。

服についた花粉を払って家に入る

玄関前で花粉を払い落としてから家の中に入りましょう。

帰宅後は洗顔、うがいをする

顔や口の中、のどについた花粉を洗い流しましょう。
洗眼液で目を洗うのも効果的ですが、花粉はまつ毛などにも付着するので、顔全体を洗ってしまったほうが効果的です。

鼻洗浄(鼻うがい)をする

鼻うがいは、鼻粘膜の炎症を抑える効果があるといわれています。花粉飛散がピークになる前から行いましょう。

鼻洗浄の方法
  1. ①生理食塩水(0.9%の食塩水)を人肌程度の36〜38℃くらいに温め、洗浄器に入れます。
  2. ②洗浄器のノズルを鼻にあて、前かがみになって「エー」と声を出しながら洗浄します。洗浄後の液は、鼻や口から出てくるので、洗面台で行いましょう。

洗浄するときに強い圧をかけると、耳が痛くなることがありますので、ご注意ください。

室内における花粉症対策

家の中の対策は掃除が中心になります。

こまめな掃除

家の中に入り込んだ花粉の数を減らすには、こまめな掃除がいちばん効果的。掃除機は、排気循環式のものを利用すると、排気で花粉が舞うのを防止できます。

空気清浄機の使用

空気清浄機は、寝室の枕元に置き、24時間稼働させると効果的です。できれば、高性能HEPAフィルター付きの空気清浄機を選びましょう。

心当たりのある方は一度アレルギー検査を行ってみましょう

春の花粉症が長引き、いつまでもくしゃみや鼻づまりが続く、ほかの花粉症の人たちの症状が治まったころに症状が出る、夏に花粉症のような症状が出て、目のかゆみが強いなど、イネ科花粉症かもしれないと思ったら、一度、アレルギー検査を受けてみましょう。
アレルギー検査は、アレルギー科や内科のほかに耳鼻咽喉科や眼科、皮膚科など、医師の診察を受けられる医療機関で受けられます。

原因となっている植物を突き止めると、飛散状況に応じて適切な対策ができます。早めの対策で、花粉の時期を楽に快適に過ごしましょう。

教えてくれた先生

松脇 由典 先生
松脇 由典 先生
医療法人社団 恵芳会
松脇クリニック品川 院長
耳鼻咽喉科・アレルギー科医師
松脇クリニック品川
【略歴】
1994年3月
東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月
東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 
理事長
現在に至る
【学会】

日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会

【賞罰】
平成24年
日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年
米国アレルギー喘息免疫学会 
Featured presentation
平成17年
東京慈恵会医科大学 金杉賞